
[ミニ書評]
現在「週刊漫画ゴラク」で「白竜−LEGEND−」として新連載が始まった都会派現代ヤクザの生態をリアルとケレンの絶妙なバランスで描いた話題作の前シリーズ完結版。膨大な跡地を所有する「国営鉄道」の東京一等地払い下げを巡る入札戦に従来の談合体質丸出しで臨む大手ゼネコン村尾建設。そこは全くの無風地帯の筈だったがある男の来日が全てを変える。香港の世界的実業家、チャン・リーの出現だ。底の見えない膨大な資金力、マスコミを巧みに操る世論操作…。未知なる敵に村尾建設の責任者・鬼島の対応は後手後手となる。万策尽きた鬼島が藁をもすがる思いで取り出した名刺、そこには「黒須組組長代行 白川竜也」の名が…。本巻のストーリーはまさにインテリヤクザ白竜の面目躍如といった感の仕上がりで、その攻防戦は読み応え十分。恐らく実際にあった事件の様々なエピソードを換骨奪胎してドラマに仕立てているのだろうが、雑誌や新聞の記事で読んでも結局忘れてしまうような事件も、劇画であるからこそ、その構造が浮き彫りに去れ、読者はその本質を理解しうる。原作の天王寺氏は言うまでもなく「ミナミの帝王」の作者。この辺のテクニックは抜群で、また渡辺氏の精緻な画面が『業界』の人々の表情を実に的確に捉え、かつての日本映画全盛期の名悪役達の演技を見るかのような思いにさせられる点も本作の魅力の一つだ。最近の「週刊漫画ゴラク」で初めて白竜を知ったという方、一気買いの時は今ですぞ。
(朝雄竹美)
