
[ミニ書評]
近未来、その街は寄り集まった様々な人種が勝手にそれぞれの母国語で呼ぶが故、その名を失ってしまったという正に倒錯の象徴のような場所。そこを支配するのは対立する二つのグループ「サルト」と「マイナ」。そしてその「サルト」のボス、カグラが死んだ所から物語は始まる。後継候補はラーティとナラダの二人。そして巻き起こる激しい両派の争い。ラーティの部下、界は命を賭けてラーティを守る事を深く誓う。ある日ラーティの危機を身を挺して阻止しようとする界。しかし「サルト」最強の男ラーティは難を逃れた後、界を平手打ちにしてこう界を詰る。「お前如きが人を優先して助けようとするな、自分の命は自分で守れ、弱い者から先に逃げるのは当然の事だろう」と。自らの甘さを再認識した界はひたすら強くなる事を希求する。そしてその教えを乞うた相手は同じ「サルト」に属するとはいえラーティの後継レースのライバル・ナラダ。かくして物語は複雑な人間関係を背景にハードアクション、セックスシーンを交え思わぬ方向へと…。
圧倒的な画力を武器に立野真琴が描く「青い羊の夢」に続くSFBLロマンの傑作。普段「BL」という二文字を敬遠しがちな読者もその世界感に圧倒されること請け合いです。あ、もちろんBLファンの皆様も十分満足できるシーン満載故、ご安心の程を。
(U之介)
