立野真琴インタビュー -2-
【プロフィール】
 立野真琴、本名。富山県出身。血液型は、たぶんA型。星座はおひつじ座。『ガラスの仮面』の美内すずえのアシスタントを経て、『花とゆめ』の『ゆられてたまごBoys(白泉社)』で少女マンガ家デビュー。今年、マンガ家歴二十周年を迎える。

前回に引き続き、秋の夜長のにアダルトに、マンガ家人生二十年のエピソードをまじえたロングインタビュー第二弾。

ダメなんです、これだけは…

―― 『裏通りのシキ』について。コミックスのあとがきにもあったんですけど、じつは、おじさんと少女の組み合わせが好きであると。
立野:うん、大好きですね。
―― 少女マンガで、デビューされて、いまでは、BLも描かれている。どうしてそのふたつを両立させることができるのでしょう?
立野:私は基本的に飽き性で、わりとどれもこれも好きなパターンがあるんです。
 少女マンガでも、おじさんと少女にかぎらず、年上の女性と少年とか、同年代とかも好き。その延長線上にBLもあって。あまり、これが好き、というふうに、ひとつには絞れないんですよ。
―― 少女マンガではおじさんと少女、BLではおじさんと少年というように、何か共通項でつながってるとか。
立野:まったくないですね。BLで好きなのは、むしろ同世代なんですよ。対等なほうが自分としては好きです。でも、なんだかんだいって、少女マンガも同世代男女を描くんですよ。だから逆に『裏通りのシキ』では、めったに描けないおじさんと少女だったので、楽しかったんです。
 でもどうしてもダメなパターンもあるんですよね、不思議なことに。
―― ちなみにそれはどのような?
立野:いやぁ、問題発言じゃないですかね。どうしてもダメなパターンは、小学生がオヤジを、なんて、ダメです。年の差二十は耐えられない。ダメなんです、これだけは!
―― どうしてダメなんでしょうね。四十才と六十才は?
立野:だいぶ、許容範囲になってきました。
―― 老化が許容範囲!?
立野:子供の攻めがダメ。子供がオヤジにむかってそれはないだろう…という。せめて五才くらい上までにしてっと思ってしまう。そういう年齢差が、私には、まだ許容できない部分なんですよ。
―― 礼儀を重んじてしまう?
立野:いやー、体力的にも、体格的にもありえないでしょう。
―― シキもそうですが、同じキャラクターが、違う作品にも、何度もでてくるスターシステムの手法をとられていますよね。
立野:『裏通りのシキ』は、続編が描きたかった一番の作品なんですよ。
 読み切りでいただいた話で、その後、他のシリーズをはじめたので、描くチャンスがなかったんです。やっぱり長い連載をやったキャラクターの方が、思い入れの度合いは違いますよ。ただこれだけは描けなかったから、心残りがあるんです。
―― まだシキには魂が残っているという。
立野:他のキャラクターは、けっこう満足するまで描けたんですが、シキだけはもうちょっと描きたかったなぁっていう心が残ったんだと思います。で、ちょこっと脇役にならいいかな、と思って使いはじめたら、けっこう読者の方も喜んでくださって。クセになっちゃった。でも、『青い羊の夢』のシキと『裏通りのシキ』のシキは違う人なんですよ。
―― まさしくスターシステム。
立野:そうなんです。使いやすいんですよね、なんでも屋みたいな役どころで。


男の子はおなかとお尻!

―― 描くのは朝方?
立野:朝五時まで、描いてます。せっぱつまったときはそのまま延長で……。でもうちはちゃんと八時間くらい寝てます。さし迫ったら、四時間とか三時間とか(笑)。
完徹すると、みんながヨイヨイになっちゃって、全然仕事にならないんですよ。若い頃は馬力があったから、二日くらい徹夜してましたけど。
―― ちなみに、立野さんは一日にどれくらいマンガを描かれるんですか?
立野:だいたい十四、五時間くらい。途中でご飯を食べるときに、一時間くらいずつ休んだりしているので、仕事自体は十一時間か、十二時間くらいかな?
―― BGMをかけながら?
立野:かけてますよ。私、邦楽が好きなんです。『Steal Moon』ではL’Arc~en~Ciel(以下、ラルク)が多いかな?
―― ビジュアルバンドが多い?
立野:ビジュアルバンドも大好きですけど、J-POPも好きです。サニーデイ・サービスとか、くるりとか、フィッシュマンズとか。でも、ラルクとかムックとかDirengreyも好き。ただ少女マンガのときは、ちょっとヌルめにJ-POPで、BLのときは、ハードなビジュアル系を聞いている気がします。
―― 女の子と男の子、どっちが描きやすいですか?
立野:男の子ですね。マンガを描きはじめたころは、女の子ばかり描いていたんですが、男の子ってむずかしいから、猛練習しちゃうんですよ。そうなると男の子のほうが、今度は描きやすくなっちゃった。
―― 男の人の場合、どのあたりを注意して描かれますか?
立野:おなか…、あたり、かな。裸体にかぎらず。できるだけ、ストンとなるように。あそこが一番、女の子と男の子で違う部分だと思うので。男の子のほうが胴が長くて、ストンとなってそのままお尻にいくっていう。
―― 女の子はぷりっとなってますから。
立野:そうですね、だから女の子のほうが、デフォルメがきくので楽なんですけど。男の子は、しぼってあるというよりはズドンと、できるだけ直線的に描きたい。さらに筋肉がついているほうがよいので、お腹も割っちゃいます。
―― お尻は大きめがいい? それとも小さめ?
立野:小さめがいい。でもスレンダーなキャラクターを描かれる方よりは、ずいぶんと私のは肉感的なんじゃないかな?


イヤがるハムにナニをスル…

―― お酒がすごく好きとのことですが、マンガを描かれながら飲んだりも?
立野:飲んでも描けるんですけど(笑)、いちおう、飲まないようにしてます。
―― やっぱりお酒を飲みながらのほうが、インスピレーションがわきますか?
立野:うーん、お酒を飲んでると、お酒のことしか考えてない。だいたい無駄話ばかりしてます。でも、飲み友達はけっこういて、声優さんとか、マンガ家じゃないお友達が多いんですよ。飲み会でそういうお話を聞いていると、アイデアが浮かぶときがありますね。
―― ハムスターもお好きとか。
立野:はい、大好きです(笑)。ハムスターには、今日も、「行ってくるね?」って出てきました。寝てましたけど(笑)。
―― ハムスターと他の動物の魅力の差は? 抱き心地ですか?
立野:いや、飼いやすさです。エサと水をちゃんとやっていれば、ほったらかしていても小屋のなかでも、勝手に遊んでるんで。おおむね寝てるし。ときおり、出して遊んで…けっこう飼い馴らすのは得意ですよ(笑)。
―― 今、何代目なんですか?
立野:十代目くらいかな? 三年くらいの寿命ですが、私独りぼっちになるとさびしいので。一年たつと、次のやつを飼ったりして、重複する時期があったので、それで十代くらい。
―― ちなみに、名前は全部覚えてますか?
立野:覚えてますよ! 最初がハム吉で、チュミに、マイケルで、次がドングリ。
マロンで、ピーナッツ。そのあとファーファで、あ、すいません、八代目だ。いまいるのがジュジュなんで八代目ですね。
―― ハムスターも1匹1匹顔が違います?
立野:全然違います。性格も違いますよ。オレンジジュース好きな子とか、ヨーグルト好きな子とか嫌いな子とか。これは、どうも生まれついてあるみたいで……。ヨーグルト嫌いな子には、無理やりヨーグルトを流しこむという作業があるので。おなかをこわさないために、自分がヨーグルトを食べるときに、食べさせておくんです。
 ですので、嫌いな子には、嫌がる受にナニする人みたいに、飲め! みたいなことをやってますよ(笑)。(つづく)


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