ミナミの帝王
 超法律学
磯貝 英男 監修
天王寺 大    
郷 力也  編著



○● 必ず覚えたい! 金銭貸借の基本ルール ●○


いつでもええ……、せやから今返せ!!
返済日を決めていない金銭消費貸借契約


▼借りた金は必ず返さなければならない

 いかに出世払いの借金だといっても、立派な借金ですから、払ってもよし、払わなくてもよしというのではありません。いつかは返済しなければならないのです。

 一方、くれてやったようなものなのだから、やったほうから「返してくれ」と請求ができないというものでもないのです。  支払い債務は、すでに発生しているのですが、ただその支払い時期が出世という事実に基づいているわけです。  したがって、出世しなければ、弁済期が来ないということになるのでしょうか。  もちろん、何が出世かは問題ですが、少なくとも金が返せるような経済的・社会的な地位を得たときが、出世の時期すなわち弁済期となると考えられるのです。
 ということは、貸主が「出世したんだから返済しろよ」と請求したら、それに応じなければならないといえるのです。


▼相当の期間を決めて請求する

 出世払いというのは、約束したときの状況により出世したとき、または出世しないことが確定したときに支払うという不確定な弁済期間を定めたケースと弁済の時期を決めていないケースと2つ場合が考えられます。返済時期を決めないで金を貸した人は、それこそいつでも「相当の期間」を自ら決めて、その期間内に金を返すように、借主に対して請求することができるのです。
『友情を売った男』(コミックス第10巻)の近藤製材社長・近藤が、友人の北沢純也をこの手で引っかけようとしたわけです。

「相当の期間」というのは、借主の事情、借金の使い途、金額などによって多少の違いはあるのですが、要は借主が返済する金を用意するのに必要と考えられる「常識的な期間」ということになります。3日から2週間くらいあれば十分ではないでしょうか。

 さて、その相当期間が経過した後、借主が返済しなければ債務不履行ということになって、以後元金完済まで元金残高に対して、法定利息相当額の損害金を取ることができます。相手が商人であれば6分、それ以外では5分ということになります。
 どうしても借主が返済しないということになると、訴訟を起こし、貸金を支払えという判決をもらい、借主とか連帯保証人の財産を差し押さえ、競売のうえ、その売上金から回収するということが考えられます。