ミナミの帝王
 超法律学
磯貝 英男 監修
天王寺 大    
郷 力也  編著



○● 知らないと泣く! 日常に生かせる法律知識 ●○


「いやや」言うても、国が差し押さえてくれるんや
公正証書の意味と強制執行


▼公正証書は国が認める公文書

 公正証書というのは、公証人役場へ行って公証人に頼んで、金銭消費貸借などの法律行為に関し作成してもらう証書のことをいいます。その作成の際には金銭消費貸借では、原則として貸主と借主がそれぞれ自分の印鑑証明書(発行日から6カ月以内のものが有効)と実印、さらに運転免許証など身分を証明できるものを持参する必要があります。
 金銭消費貸借では、公証人は、貸主と借主の間の金銭貸借に関して、次のような項目について双方の意思を確かめ、法律的に間違いがないように公正証書をまとめてくれます。。

 @貸金額 A貸付日 B弁済方法 C利息 D期限後損害金 E弁済期限喪失の措置[たとえば、支払い期限の前に債務者の財産が他の債権者から差し押さえを受けたときに、貸主が期限まで手が出せないようでは困るので、どのような事由(理由)が生じたらすぐに強制執行できるかなどの取り決め]

 多少の手数料がかかるものの、公正証書の作成はもっとも間違いのない方法といえます。


▼強制執行は金銭債権の取り立てのみ

 公正証書でも、強制執行が認められるのは金銭債権の取り立て、貸金の返済だけです。
 それも、すべての公正証書に金銭債権の強制執行が認められるのではなく、公正証書に債務者、つまり金を借りた人が強制執行をされてもいいと約束している場合に限られます。
 強制執行を約束をした公正証書は、裁判を起こして判決を受けるのと同じ効力がありますから、裁判を起こすことなくすぐさま強制執行できるというメリットがあります。
 そこで、萬田銀次郎は仲井に、捨て印といって印鑑を押させることによって「但し、一度でも返済を滞納した場合強制執行を受けても異議はありません」という文言を書き入れて、公正証書を作成したわけなのです(
『壊れた友情』第6巻)。

 この「強制執行認諾条項」が記載された金銭消費貸借契約公正証書は、債務者に債務不履行、つまり約束した金銭を期限どおりに返済しなかったようなことがあったような場合には、公証人から執行文を得ると、確定判決と同じように、差し押さえなどの強制執行に移ることができるのです。
 ただし、公証人は利息制限法を遵守しなければなりませんから、制限超過利息や損害金の支払いを借主が認めていたとしても、あくまでも制限以内でしか公正証書を作成しませんので、内容には十分注意が必要です。