|
ミナミの帝王
超法律学
|
磯貝 英男 監修
天王寺 大
郷 力也 編著
|
|
○● 知らないと泣く! 日常に生かせる法律知識 ●○
マージャンの貸しもきちんと取れるんや
不法原因給付の法理が否認されるとき
▼賭博で負けて支払った金は請求できない
賭博に負けて支払った金銭や、殺人や窃盗を頼んで支払った金銭のように、不法な原因に基づいた支払いのことを「不法原因給付」といいます。
そこで、マージャンに負けて支払った金銭は、この不法原因給付に当たりますから、いったん支払ってしまえば、支払った相手に「返してくれ」と請求することはできないということになります。
これは、自ら反社会的な行為をしておきながら、それを理由に自分の損失を取り戻そうとするような者は法律で保護しないということなのです。
賭けマージャンは、もともと賭博罪として禁止されている反社会的な行為ですので、原則として、それに基づく支払い請求も法律上できないということになります。
しかし、事実上、請求したり支払ってもらう分には差しつかえありませんし、支払ってもらった金銭は返さなくてもいいのです。
▼ケース・バイ・ケースでマージャンの貸しも取れる
民法に「公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ反スル事項ヲ目的トスル法律行為ハ無効トス」と定められています。「公ノ秩序」というのは、国家社会の一般的利益、「善良ノ風俗」というのは社会の一般的な道徳観をそれぞれ意味し、両者を合わせて「公序良俗」と呼ばれます。
この「公序良俗」の規定は、誰がみてもどうかと思われるような、正義や人倫などに反する社会的に妥当性のない行為に対しては、法律上の効力を認めないというものです。
つまり、賭博などの社会的に妥当性のない行為を行なったものは、その行為について法律は保護しないという原則がありますから、賭博としてのマージャンの勝ち越し金は法律上取り立てが許されない性質のものなので、あきらめなければならないのです。
ただし、この「公序良俗」は、社会的妥当性を欠く行為は法律で保護されないということで、たとえば、働きもせずに四六時中賭けマージャンをやっていて、その勝ち越し金を請求したようなときに、相手方が支払いに応じなくてもいいということなのです。
ところが、週に1、2回同好者を集めて、単なる遊びでやった程度では不法の利益を得ようとしていたとみることはできないし、賭け金の支払いといっても遊びに費したものとみることができるとして、その貸金の返還を求めることに「不法原因給付の法理」を適用せず、その貸金を支払えという判決(東京地裁・昭和55年7月17日判決)も出されています。