◆毎週月曜日更新  [トリック][コラム・テレビ丼]
◆毎週水曜日更新  [バスストップ][花村大介]
◆毎週金曜日更新  [愛をください][合い言葉は勇気]
[萬年テレビ亭][TOPへ]

Back Story: 10 11 最終話 1〜6


● 愛をください  ●

第11話<9月14日(水) ヨル9:00〜9:54 フジ系>
脚本:辻仁成 演出:松田秀知

<出演>遠野李理香(21)菅野美穂/月密【つきみつ】中也(27)伊藤英明/進藤未明(23)原沙知絵/柿崎保(38)筧利夫/長沢基次郎(31)江口洋介/奥村公延/長沢杏子・風吹ジュン ほか


 文通相手の長沢基次郎(江口洋介)が実の兄で、しかも筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせい そくさくこうかしょう)に犯されて余命いくばくもない事を知った遠野李理香(菅野美穂)は、長沢杏子(風吹ジュン)と共に病院に泊まり込んで看病する事を決める一方、『友だち』として函館まで追って来た月密【つきみつ】中也(伊藤英明)は病院近くのベンチで朝を迎えた。
 掃除にやって来た老人(奥村公延)に起こされて、頬を撫でる心地よい風が『やませ風』=山から吹いてくる風と教えられた中也は、函館は良い街だと絶賛。空気も美味くて美人も多いと続ける老人は旅の人・中也が東京から来たと聞いて、自分も30年前に上京したが人が多くてギスギスしていたとの感想を述べて、ここはのんびり暮らせる良いところだと同意を求めた。
 すんなり認めて、ここで働きたくなったと言う中也は、仕事らしい仕事はしていないが『たまに歌っている』と説明。あんたは歌手か!? と驚く老人から、ベンチで野宿とは“売れない歌手”か? と問われた中也は『まぁ、のんびりいきなさい』との弁に、恥ずかしそうに頷いた。いつもは『ZOO』だが、今週は函館を褒める訳か…。
『私、お兄ちゃんの分も絶対に幸せになるね』との呼びかけと、杏子からタオルで首筋を拭いて貰って気持ちよさそうに目覚めた基次郎は、夢の中で李理香が『愛を下さい』と歌っていたと告げてやわらかな笑顔を向けるが…。そんな兄の笑顔が余計に辛く感じる李理香は廊下でひとり壁に頭をコツコツ打ち付けながら、心配そうな杏子に『いっぺんに全てを理解できない』と訴えた。
 兄に何かをしてあげたいと思うが時間は残されておらず… この3年が悔やまれてならないとの弁に「意味のある3年間だった」と返す杏子は、一番苦しんでいる時に手紙で励ます事が出来た事は、基次郎の人生に豊かな意味を添える事になったのだと説明。妹の抱えた不幸を一緒に背負う事で逆に幸福な3年間を過ごせた事、本当に一生懸命妹の未来を想像し、悩んで考えていた事を告げて、時間が無さ過ぎる… との嘆きに、「あんたに出来る事はまだ沢山ある」と続ける杏子は、テレビで歌う事? と問う李理香に、勿論それもあるが立派になったり偉くなる事よりも、幸福になる事が一番。次に基次郎が生きていた姿をずっと記憶してあげる事をあげた。
 心の中にしまってあげる事が基次郎が生き続ける事でもあると説く杏子は、基次郎を記憶の中で生かすのだと自分に言い聞かせながら、あの子は私の記憶の中でも生きている、あなたの記憶の中でも生きていると結んで、おかあさん… と胸に飛び込んで来た李理香をしっかりと抱き留めた。今更だが、李理香はこのお母さんと一緒に暮らしてはどうだろうか?
 病室に戻って歌番組が終わったら直ぐに戻って来ると約束する李理香に、お前がそばに居てくれたら本当に病気が治る気がすると言う基次郎は、世界でただひとりの兄に会えて嬉しいと言いながら「なのに…」と声を詰まらせる妹に、人間には長さがあるのだと語りかけた。
 俺は普通よりちょっと短いかも知れないが、手紙を通して誰よりも、どんな兄妹よりも深く付き合う事が出来た、淋しくなったらこの3年間の文通を読み返してくれ、あの便箋の中の無限の言葉の中に俺は居るからとの弁に、泣きながら『まだ死んではいけない』と返す李理香は、基次郎は絶対に死なない、奇跡は起こるのだと訴える。が、もう奇跡は起こっていると言う基次郎は『お前が奇跡だ』と告げて、いつまでも側にいて叱ったり意見を言ってくれなけば… との訴えに、大丈夫だ… と小さく返した。
 一通の手紙を差し出す杏子は、出そうか否かと迷った末に捨てるように言われた手紙なのだが、内容は恐らく文通をやめる言い訳なのだろうと説明。傷つけない為の思いやりだろうと続けて、今すぐ読めという訳ではないが、基次郎の書いたものは残しておきたかった事とその権利があるのはあなただけと告げて、すぐに戻ると言う李理香を見送った。

 外で待っていた中也から歌番組は諦めたかと思ったと言われて、そのつもりだったと認める李理香は、楽しみにしている兄の為に頑張りたいのだと説明。空港に向かうタクシーに乗り込むと、緊張の面持ちで中也が歌う『……』な『ZOO』をBGMに基次郎の手紙を開封。迫真の演技だと信じたいが、凄く下手な歌だ。
『なかなか手紙が出せなくてごめんなさい』との書き出しで、ロープーウェイは夏がかきいれ時で多忙だったと偽って、昇進も決まって部下の面倒をもみるようになったと事を理由に、以前ほど頻繁に手紙が書けなくなりそうな気配だと説明。『なにせ人手不足なものだから』と念には念を入れて、ついては一旦文通を終わらせてはどうか? と提案。もう3年も経っており一区切りには丁度良いかも知れないと思っている… まで読み進めて飛行機に乗り込んだ李理香は、野宿明けでぐっすり眠り込む中也を伺いながら、『でも誤解しないで欲しいのは…』以降を読み進んだ。
 決して君の相談に乗るのが面倒になって文通を中止するのではない。しっかりとした人間になる為に自分の中に解決の糸口を見つけ出して欲しい。これからは自分で考え、どんな事に対しても自分の力で乗り越えて行って欲しいと訴えて、『どんなに忙しくて手紙が書けなくても、僕はいつも君の心の側にいるよ』に続いて、いちいち『李理香』と呼び掛けながら『君があまりに苦しくて何もかもから逃げ出したい時、君の心の中には僕という野原がある事を忘れないで。僕の姿は見えないかも知れないが、君の心のすぐ側で君が安らぐ風でいよう。僕はいつも月の中に居る。僕は道端の名もない花。君が吸っている空気の中にさえ僕は充満している。街路樹の上から僕はいつも君が安全なように見張って居るよ。僕は揺れる大木の木々の葉。僕は静かに打ち寄せる波。僕は大平原の大きな岩だったり、空を舞う小さな鳥だったりするんだ。そして僕は君。愛しい李理香、そして君は僕』で終わる手紙を読み終えた李理香は涙ながらに基次郎の名を呼んだ。この手紙… 出さなくて正解だな。
 一方のゼブラレコード本社では、テレビ局からの電話にひたすら詫びるアシスタント嬢に、19時を過ぎている事を指摘する同僚氏がドタキャンもあり得ると説明。今回のテレビ出演はまだ早かったのでは? テレビで歌う姿をみんな見たがっている! と説明芝居が続いたところに敏腕音楽プロデューサー柿崎保38歳が登場! と、同時に嘘臭く電話が鳴った。おいおい!
 空港に到着したと言う李理香に“朱夏”!? と反応して、今日は何の日か知っているな? と回りくどい柿崎は『皆さんに沢山迷惑をかけてしまった』と一応は常識のあるところを見せて、まだ間に合うだろうか? との問いかけに『勿論』と返答。リハーサルは出来ないかも知れないがと続けて、『ぶっつけで大丈夫』との弁を確認。今から迎えに行くので『そこを動かないように』と慎重に対応するが、楽器を取りに戻りたいので下北沢で待ち合わようとの電話を終えた。
 戻って来た。出演すると言っている。ぶっつけで充分だそうだ。との報告に、何故かアシスタント嬢は『カッコいい〜』と過剰反応!? あの野郎〜 下北まで迎えに来いだあぁあ!? と声をあげる柿崎が、一転クールダウンして「迎えに行くからワゴン車一台発進!」と命じる一方、都心に向かうバスの中で、テレビ出演にビビる中也を励ます李理香の携帯電話が鳴った。
 進藤未明(原沙知絵)からと知った中也は、生出演の励まし電話だろうと解釈。微笑んで見守るが突然『あんたなんかだいっキライだよ』との言われように唖然とする李理香を怪訝そうに伺った。

 保育園時代の写真を焼きながら、バスの中なので良く聞こえないとの弁に『キライだって言ったのよ』と返す未明は、ひとりでスター気取りして楽しい? 孤独を武器に男を乗り換えて楽しいんでしょう。あんたなんかに私の孤独は解らない。孤独を売り物にするんじゃないよ! 親が居ないからからって何だよ、虐待を受けて来た事を商売にすんなよ! 親が居ても孤独な人間は居るんだよ。裕福な家庭に育ったって上手く生きて行けない人間だって居る。あんただけが不幸じゃ無いんだよ? 私がこっそり愛した人を横取りしたうえに、大スターになって今度は真面目に働いている私をバカにするんでしょう? あんたなんか友だちでも何でもない。週刊誌やスポーツ紙に情報を流したのは私… と一気に激白。なにゆえそんな事をしたのか? と問われて、さぁ何ででしょうね? と無機質に返す未明は、私は一生こうやって他人の子供のおしめを替えて生きて行くが、あんたはどんどん有名になって金持ちになって生きて行く。不幸が聞いて呆れる。幸せなクセに、偽物の涙とインチキな孤独で大衆を騙すなって言いたいんだよ! と言い放って電話を終えた未明は街をフラフラと彷徨った。一部『?』な部分もあるが、未明の言う事も間違ってはいない。
 下北に到着したふたりは、互いに楽器を取りに戻ってガード下集合を約束。李理香と別れてアパートに急行する中也は自失茫然の未明と遭遇。無視を決め込む姿勢に、「しっかり前を向いて歩かないと命を落とす事になる」と進言するも『関係ない』との弁に、卑屈になってばかり居ると自分を見失う事になると続けた。
 あんたに何が解るのだとの捨て台詞に、おめぇのように人を裏切ったり憎んだりした事がない故気持ちは一生解らないし、解ってやる気もないと応戦するが、李理香みたいな女が許せない。何が孤独よ、聞いて呆れる! と未明の反撃が始まった。
 孤児だったから欲しくても何も手に入らなかったと言いながら、入っている。欲しい男はみんな自分のものにして、手に入れたい放題! 幸せが欲しいなどと調子の良い事言って、ちゃんちゃらおかしい。私がずっと片思いし続けた男をストーカーにまでさせて、私のささやかな世界踏みにじっておいて何が不幸よ? 私とあいつとどっちが不幸なのか? 何であんな女がのうのうと生きてられるのかが解らない!! との主張を聞いて、ただのヤキモチでは? と返す中也は「おめぇはサボテンなんだよ」と指摘した。
 砂漠に生えるサボテンに例えて、棘を生やしてるせいでどんどん人を遠ざけてしまう未明が、李理香より孤独なのは、その心から飛び出している無数の棘のせいだ! と続けると、うるさい! 私に説教しないでよ! と声をあげて、『あいつを潰してやる』『写真週刊誌だろうが何だろうがどこへでも情報流してやる』『あいつが立ち直れようにしてやる』と言い放つ未明の頬を張った!
 暴力に訴えた事を謝りつつ、砂漠のサボテンでも花を咲かせす事は出来る。刺々しく生きるだけがサボテンじゃない。この砂漠の街で花を咲かせてみせろ。そしたら誰かがきっと優しく声をかけてくる。李理香は君を許す。棘なんか気にしないで君をギュッと抱きしめるだろう。あいつはそういう奴だ。孤独と言う名の砂漠が悪い、人生と言う名の砂漠が悪い。だから君は全身に棘を生やして孤独から自分を守ろうとした。君が悪いんじゃない… と大いに語る中也は、「花を咲かせてみせろよ。自分なりの花をさ」と結んだ。
 そして、お節介を焼かないで欲しい。あんたなんかに何も解らない、私の気持ちなんか誰にも解らない!! と涙で逃げ出そうとする未明に、李理香は絶対君を恨んだりしていない! と投げ掛けた。説教でこんなに時間を喰って、歌番組生出演を棒に振る気か?

 そんなこんなでガード下に駆け込んだ李理香が柿崎の用意したワゴン車に乗り込んだところに、少し遅れて中也も到着。こんな時に言うのもどうかと思うが… と前置く柿崎は、写真週刊誌に情報を流した人間が解った事、本人に忠告した事を説明。今聞きたくないと返す李理香は、本番が終わってから詳しく話すとの弁を遮って、『一生黙っていて欲しい』と言い切って、「ちょっと嬉しかっただけだ」と満足そうに微笑む中也に『変な奴』とリアクションしつつワゴン車はお台場の某テレビ局に到着。待ち構えていた20人弱のファンを避けながら局舎に入れば、さすがのふたりにも緊張感が押し寄せて来た。
 番組プロデューサーの吉田氏と挨拶もそこそこに、出番20分前に楽屋入り! 生放送が始まっているスタジオの司会者・愛川欣也氏(本人)が『あの幻の覆面歌手、蓮井朱夏さんをスペシャルゲストとしてお迎えしています』と紹介する一方、バタバタと支度するふたりは、メイクなし衣装で出演する事になるが、敏腕プロデューサー・柿崎も『ノープログレム! 服が歌う訳じゃないです!!』とヤケクソなのか大いに賛成!? 副調整室で吉田プロデューサーと一緒に見ているのでリラックスしていうも通りにやるよう指示。基次郎の手紙をジーンズのポケットに忍ばせる李理香は『あなたの為に歌うんだからね。そばに居て聞いててね』とモノローグ。柿崎のピースサインに見送られたふたりは、拍手で迎えるスタッフに素人っぽくオドオドしながらカメラ前に立った。
 李理香の横に立つ中也は『そちらの方は?』と愛川氏に問われて「月密」と返答。「月密くんです」と軽く流して、蓮井朱夏は本邦初のテレビ出演だと持ち上げる愛川氏は『ZOO』が『あっという間にミリオンセラー』になったと説明。幼少の折りに児童養護施設で育ち、人生の試練と戦いながらこの歌が産まれたのか? 面白い詩だが、どんな時にこの歌が出来たのか? と質問すると『18歳の時自殺をしようとしてある人に助けられた。その人がくれた詩』との返答に『救いの神のような方』とコメント。『その後3年間文通したが、その人は私の兄だった。孤児だった妹をずっと探していたが、やっと捜し当てたその日に自殺しようとしていた』との衝撃発言に一瞬言葉に詰まる愛川氏は、『感動的なお話』『この歌の持っている説得力はそういう中から産まれた』『若くても人生色々な事がある。私も感動してしまった』とコメント。スタンバイが完了した李理香は『キュー』を出されるが、目を閉じたままで45秒間沈黙。吉田プロデューサーや柿崎、愛川氏、テレビの前の基次郎&杏子を驚かせるが、『あ』などと漏らして53秒目にようやく、離ればなれだった兄と半分ずつ作った曲だとコメント。同じように苦しみや孤独や不安を抱えて生きている方全てにこの曲を捧げたいと思います… と告げてようやく歌い出した。
 画面を満足そうに見つめる基次郎、街頭ビジョンを見上げる人々がインサートされて… スタジオ副調整室では「素晴らしい… とても心に残る曲と歌声だね」と漏らす吉田プロデューサーに、「ありがとう。何だか嬉しいよ」と柿崎が熱く返答。ああそうですか。
 そして2コーラス丸々歌い終わる頃に基次郎がゆっくりと目を閉じて… 『愛をください』第11話、end。

▲そんなこんなで奇跡的な生放送出演を果たした第11話。19時羽田到着からバスで下北沢へ。未明に説教を垂れてアパート経由でお台場着… 病室の基次郎がおとがめナシで観ていられる愛川欣也氏司会の歌番組は一体何時にオンエアされているのでしょう? と疑問に思いつつ、さっくり『あっという間にミリオンセラー』と言ってのける愛川氏から『月密君』と紹介された月密中也27歳。『ZOO』は“良い歌”函館は“良い街”と、番組の為だけの褒め殺し要員として大活躍! 『お勤め御苦労様』と心から労をねぎらいつつ、最終回にはロケーション全面協力の下北沢か、人気脚本家・葛井昴(陣内孝則)のドラマでも褒めちぎって戴きたいものだ。
 さて次週最終回は、「どうして急に死んじゃうのよ」と携帯電話を落として泣き崩れる李理香は、再び函館に赴いた喪服の中也から「負けないで生きて欲しい」との励ましに、大丈夫。私、幸福になるって兄と約束したんだから… と返すが、何やら姿をくらますらしい。基次郎の柩には文通の手紙が入れられて、未明や昴が体どうなるのかは解らないが、蓮井昭彦(串田和美)氏は一命を取り留めるらしい。そして東京に戻った中也に、私はあなたが良いの! と告白する李理香で… 解り易い予告に好感が持てるので期待して待つぞ!


● 愛をください  ●

第10話<9月6日(水) ヨル9:00〜9:54 フジ系>
脚本:辻仁成 演出:藤田明二

<出演>遠野李理香(21)菅野美穂/月密【つきみつ】中也(27)伊藤英明/進藤未明(23)原沙知絵/柿崎保(38)筧利夫/葛井昭子(36)真矢みき/長沢基次郎(31)江口洋介/川俣しのぶ/長沢杏子・風吹ジュン/蓮井昭彦・串田和美/木場源太(35)杉本哲太/葛井昴(45)陣内孝則 ほか


 突然手紙の途絶えた文通相手の長沢基次郎(江口洋介)に会うべく再び函館を訪れた遠野李理香(菅野美穂)は、基次郎の義母・杏子(風吹ジュン)に連れられて入院先の病室を訪れた。
 病院のベッドで手紙の返事が出せなかった事、沢山嘘をついた事を詫びる基次郎は「お兄ちゃんなの?」と尋ねられて、世界でたったひとりの血を分けた妹だ… と返答。感動の再会と衝撃の事実に李理香が言葉を失う一方、東京ではプロデューサーの柿崎保(筧利夫)が血相を変えてガード下の月密【つきみつ】中也(伊藤英明)を訪れた。
 テレビ局のプロデューサーとの打ち合わせ日なれど李理香は現れず。携帯は電源オフ、アパートにもおらず状態だと慌てて告げる柿崎は、『逢いたい人が居る』ので函館に行ったのでは? との弁に練習はどうする? と迫るが、練習などいつもしないし場所がどこだろうと同じにようにやるだけだと言う中也に、ならば良しとして『本番までに戻って来てくれれば』と乱れる呼吸を整えた。音楽業界ってこんなにいい加減なのか?
 だが、戻って来るかなぁ〜 との無責任発言に再び青ざめる柿崎は、俺はアイツの恋人でもなくただの『友達』だとトーンダウンする中也に『探して来て下さい』と頭を下げて本番までに連れて来て欲しいと懇願。友達ならばとおだてて「旅費は出す!」と財布を差し出して、自分で行けば良いとの真っ当なツッコミに『君はあいつの友達です!』と教師のように言い渡した。ずさんなタレント管理だなぁ…。
 一方の基次郎は、ずっと心配していたが自分が『こういう』病気になって、いつかは死ななければならない事を知ってからは一目会いたいと思っていたのだと説明。『死』に驚く李理香に、もう覚悟は出来ているので、最後の力を振り絞って手紙を書き続けていたが、手も体も殆ど自分の意志では動かす事が出来ないのだと漏らした。そして、やっと会えてたたったひとりの兄と解ったばかりなのに、私を残してどこかへ行ってしまうのか? と訴えて本当に悲しいと涙も出ないのだと言う李理香の、お兄さんと呼んでも良いですか? に黙って頷く基次郎は『お兄さん』と何度も繰り返す妹に『李理香』と応えた。
 同じ頃。旅支度を調える葛井昴(陣内孝則)は、行く先を尋ねる妻・昭子(真矢みき)に、次のドラマの取材を兼ねた小旅行で2、3日で戻ると説明。あの女と旅行なのか? とすっかりお見通しで、あなたはいつも自分の思う通りに生きる人だったと指摘。行きたいところに行き、会いたい人に会い、したいことをする事を創作の刺激にして来たのだと続ける昭子は、自分は妻としていつも嫉妬の中で脅えながらひとり家を守って来たが、これからも多分それは続くのだろうと独白。それでも、あなたを失いたくない! あなたの生き方も仕事も人間も全部好きなのだ、いつも昴がどこかへ行ってしまうのでは? と脅えながら生きているのだと告白。そして、これは嫌味ではなくと前置いて、引き留めはしない。行ってらっしゃい。楽しんで来て下さいと素直に送り出す姿勢を見せて、あなたの弱さをやっと解った気がすると訴えた。そして旅行から戻って来てからで良いので、家族でハワイでも行きましょう… と結ぶ昭子は、解った。そうしよう… と条件を呑んで出て行く昴を見送ると、ひとり涙を流した。今すぐハワイは無理なので『戻って来てから』は当たり前だろう!!
 回診が始まって病室を出た李理香に、基次郎が有効な治療法も見つかっていない難病に犯されていると告げる杏子は、兄妹ならば何故もっと早く教えてくれなかったのか! と迫られて、文通の事は知っていたが全てを打ち明けられたのは先週だった事、貰った手紙を誰にも触らせなかった事、最後まで自分の存在を知らせずにいるつもりだった事を説明。せっかく出会えた兄が不治の病で余命がないなどと知ってしまえば妹をもっと不幸にするとの考えなのだと続けて、ならばずっと側に居て看病したと言う李理香に、あの子はそういう子だと返答。自分が兄だと名乗り出て死んでしまうなどと残酷な事は出来ない。ならば文通相手として、励まし導いての良い相談相手で終わった方が良いと思っていた事から兄だとは報せなかっただと基次郎の気持ちを代弁。自殺を止められたのが神様のおぼしめしなら、自分の残った時間を彼女に捧げたいと思い、闘病生活を送りながら手紙を書き続けた基次郎は、手紙だからこそ妹との長い空白の時間を埋められると思ったとむすんだ。

 そう聞いた李理香は『会うのもこれが最後』『絶対にお互いを訪ね合わない』との約束は自分の死を知っての事だったのか? と呟いた。そして、昨日基次郎は李理香に会いたいと言ったのだと続ける杏子は、病魔が進んで行くのが解っているから、最後にひとめ自分の妹に会いたいが無理だろう… と諦めたいたがこうしてあなたが来ているのも神の力なのだろうか? と胸を詰まらせた。
 そんなの無いよ… 何故基次郎が死ななきゃならないの? と動揺し続ける李理香は、自殺止められたシーンを回想。『ちゃんと君は今生きている』『健康な肉体を持って世界に存在している。それだけでも感謝しなくちゃ』との意味を深く胸に刻んだ…。
 再び病室に戻った李理香は、いつも励ましてくれた事を深く感謝しながら、基次郎に出逢った事で人間らしく強く生きなければならないと知った事、復讐心が醜い心と知ってもう誰も恨んでいない事、自分を産んでくれた人達にもきっと事情があったと思うようにしている事を報告。そしてせっかく会えたのに寝たきりで済まないと言う基次郎は、兄故にお前がどんなに真っ直ぐで素直な子が解っていると告げて、『お兄ちゃんにもっと早く会いたかった』と泣きながら訴える李理香に、色々悩んだ末の選択だったのだと結んで暫しの眠りについた。
 杏子からベットの下の箱に手紙が入っていると聞いた李理香は、何度も読み返してどう返事を書いたら良いものかと一日を過ごしていたと聞きながら、ギッシリ詰まった3年分の手紙と対面。「ありがとう」を何度も繰り返した。
 その日の夕刻。待合室に場所を移して、ふたりの母親は李理香を産んだと同時に命を落としたと聞いていると言う杏子が、その後の経緯を説明する。
 函館で事業に失敗した父・昭彦(串田和美)は、基次郎を施設に預けて李理香だけを連れて東京に戻って行った。経済的事情でふたりは育てられないとの判断だったのだろうが、自分だけが残された事がずっと心のわだかまりだった基次郎は、親戚を訪ねるべく上京。はじめは嫌な顔をされたが、病気の事を告げると李理香を養護施設に預けた事を教えて貰ったのだ。
 そう聞いて父・昭彦に会ったと告げる李理香は、今は事故で入院しているが原因は『反省しているのなら死んで償って』との暴言を吐いた自分のせいだと告白。兄に感謝していると続けながらも、兄と知った今も基次郎は基次郎だ。彼が現れなければ私は悪魔の言いなりになって人間の心を放棄していたかも知れないが、今は少なくともその愛情のお陰で頑なな心がとけるようになって、少しは人間らしい心を持つ事が出来たと思います… と結ぶと、杏子は『本当に良かった』とばかりに笑みを浮かべた。良いお母さんだなぁ…。
 そんなこんなで李理香がホテルに戻ると、こじんまりとしたロビーで待っていた昴が『よぉ』てな感じで手をあげた。マジ? 『来ちゃった男』かよ。
 函館港の見えるバーラウンジで事情を聞いて『そういう気分ではないのは解るが』と前置きながら、看病にも体力がいるので一口だけでも食べなさい! と進言。モソっとフォークを口に運ぶ李理香は、憎悪で父を殺すところだったと告白。実際には大変な重傷を負わせて、今度は兄を失う事になる復讐心の塊のような私に、あんなに美しい兄を次の世界へと見送る資格があるかどうか心配なのだと訴えた。
 側に居るだけで充分君の気持ちが伝わるのだとアドバイスする昴は、そうすれば基次郎はその優しさをまとって天国に行けるのだと結ぶが、時間がないとの訴えに、10年だろうと1年だろうと1分だろうと伝わらない時は何も伝わらないが、3年間の文通で兄と心を通じ合わせて来たので、今は時間がなくともお互い心の中に長く強い絆がある筈だと指摘。時間などは所詮人間がこしらえた尺度に過ぎない。兄の最後の最後の瞬間まで、君は君の持っている全ての愛情をそそぎ込めば良いのだ。君は自分が思っている程酷い女でも悪い人間でもない、本当は優しい人間なのだ… と静かにエールを送った翌日… 東京では進藤未明(原沙知絵)が人気の少ない公衆電話から雑誌社に“蓮井朱夏”情報をリークしていた。おうよおうよ、やっぱり君か!!

 受話器をバンダナで覆って保育園時代の同僚として、彼女は園児の父親にかなり色目を使って複数の父親と関係を持っていたと思う。その中でも一番関係が深かったのが『葛井昴』で、最初のきっかけは… と続けたところで、柿崎が登場! 慌てて受話器を置く未明に『病院で会った』と挨拶して、保育園時代の情報と写真週刊誌は君が漏らしたようだと迫った。そして、何の事ですか? ととぼける未明に、調べはついている! 君は朱夏の友達じゃなかったのか? 金に目がくらんだか!? と更に迫るものの、全く意に介さずで『何の事やら?』を繰り返す未明は悠然とその場を去って行った。下手に良い人にならず、最後まで頑張って下さい!
 病室を訪れた李理香に杏子から全てを聞いた事を確認する基次郎は、会わなければこんな姿を見せずに済んだと後悔しつつ、会えて良かったと言われて、兄と名乗るのが怖かったのだと告白して、手紙だけの繋がりは心配をかけたくない故だったが、最後にこうして会えた事を神様に感謝していると結ぶ。
 だが、神様が会わせてくれたのならきっと奇跡は起こると涙で訴える李理香は、お兄さんの病気はこれからみるみる良くなってゆく筈。私がここに来たのはその為でしょ? 私がお兄さんを元の元気な基次郎に戻す! と訴えてみるものの、基次郎に助けて貰えたお陰で今日まで生きてこられたのだと冷静さを取り戻して、その恩返しが出来ないのが辛いと結んだ。
 お前が幸福に生きてくれたら、それが俺の幸福だと諭す基次郎は、何でせっかく会えたのに… 神様はこんな酷い事ばっかり私に… と嘆く李理香に、神様はずっと会えなかったふたりを会わせてくれたのだと説明。初めはお前が死のうとした時、そして今度は俺が死を迎えようとしている時に… そんな神様には感謝しなくてはと続けて、暫し力無く咳き込んだ。
 そしてお前が幸福に生きると約束してくれたら、俺は幸せに死ぬ事が出来ると続けて、どうやって幸福になったら良いのが解らない! しかもあなたを失ったらとても幸福になんか… と絶望する李理香に、お前はずっと幸福を探してきたが、幸福はいつも遠くにあるものだったと確認する基次郎は、それは岬の突端に建つ孤独な一本の灯台と同じだと例えた。
 灯台の灯りは遠くばかりを照らすので足元を照らす事ができない。でも幸福とは足元にあるもの。気が付かないような身近なところにあるものだと説明して、お前の幸福はお前のすぐ側、足元にある… と告げたところで再び発作に襲われた基次郎には杏子からドクターストップが!いやいや、良く語ってくれました。
 後は医師にまかせようと待合室で告げる杏子から、少し休むように促された李理香は、ずっと基次郎の側に居たい… と訴える。ならば今夜から一緒に病院に泊まり込む? と言われて顔を輝かせる李理香は荷物を取りに病院を出ると、街角で中也を発見! 更に明るさを取り戻す李理香にどうしたのか? と問われて『自分でもよう解らん』と返す中也は、何だかおめぇが心配になったと説明。友達だからな… とテレつつ『青柳町の長沢基次郎』を頼りに近所で徹底聞き込みを敢行。やっと病院を探し当てたのだと説明。その基次郎は世界でただひとりの私の兄だった… との告白に言葉を失いつつ、俺に出来る事は? 力になれないか? と訴える中也は、大丈夫なので東京に帰って欲しいとの弁に、手伝いたいと食い下がるが… 東京で待っていてくれれば良いと言う李理香は着替えを取りに戻るべくその場を去って行った。

 ホテルを出る間際。鳴りだした携帯に不機嫌そうに応じる李理香は、やっと捕まった! とはやる柿崎からプロデューサーとの打ち合わせを何故すっぽかしたと問われて、とても大事な時なのだと返答。生出演を忘れた訳では? 明日の夜までに戻って来てくれ! 一度顔を出してくれなければ心配で… との訴えを無視してプチッと一方的に電源を切った携帯をバックに放り投げて、ホテルの部屋を飛び出して行くと、リダイアルも虚しく『電波の届かない…』旨を伝えるメッセージに柿崎のイライラは最高潮に達した。柿崎保38歳。スキャンダル対応、素人の管理共に大甘ちゃんだ!
 病院側の公園でハモニカを吹いている中也から、この辺で適当に野宿しているので何かあったら呼んでくれと言われた李理香は、『幸福とは足元にあるもの気が付かないような身近なところにあるものなんだよ?』と告げた基次郎の言葉を回想。まさかぁ〜 と呟きつつも、函館の人に迷惑だけはかけてくれるな、ここは病院近くなので夜に歌ったりしないでね? とグローバルな視点から地域住民の立場にたったアドバイスをしつつ『お前の幸福は、お前のすぐ側、足元にある』と基次郎の声に小首を傾げつつ病院に向かって行き… その後ろ姿に『あんまり無理するなよ』と中也は投げ掛けた。『函館の人に』ねぇ…。いやいや良い心がけです。
 基次郎の寝顔を眺めて、天涯孤独だと思っていた自分に兄が居たなんて… と杏子に漏らす李理香は、自分の兄に恋をするところだったと告げるが、いや、もう好きだった、愛していたのかも知れない。兄だと解った今もこの人が愛しいと告白。小さく声を漏らす基次郎に、喉が乾いたの? と呼び掛ける杏子は、吸い口を李理香に託して病室を出て行った。
 水を飲んで目覚めた基次郎から、歌はどうした? と聞かれて、『信じられない事だけど』ヒットしているのだと告げる李理香は、お前の歌っている姿を一度で良いから観てみたかったとの弁に、今度テレビで歌うやも知れずと曖昧に返答。いつなのか? と聞かれて、わざとらしく「明日だ」と応える。観たい! 自分の詩を歌う妹の姿をテレビで観たい。『日本中の人が』お前の歌を待っていてくれるのは凄い事だ。明日必ず母さんと観る… とまで言えば、出演して頑張って歌うと李理香は宣言!!良かったな、柿崎!!
 だからお兄ちゃんも負けないでと言われて、こんな病気なんかには負けないと返す基次郎は、「素晴らしい詩をありがとう」と礼を述べて、励みになったと言う李理香の、この歌を歌っていると少しだけは人間に優しくなれる、自分から誰かに愛をあげたくなるのだとの弁に、『愛をください』と呟いた。そして『ください』なのに『あげたくなる』と続ける李理香に、頼みがあると真剣な眼差しを向けて、父さんを許してやって欲しいと訴える基次郎は、子供を捨てた親が苦しまない筈はない、きっと父も苦しんだ筈だ。人を許す事が出来るとお前もまた許されるのだと諭して、静かに目を閉じた。
 その日の夜。中也が新聞をまとってベンチで野宿する一方、待合室で夜空の月を見上げる李理香はため息を漏らしながら『人を許す事が出来るとお前もまた許されるのだ』を回想。基次郎の名を呼びながらひとり泣きじゃくった。
 そして杏子と共に病室のベットに横たわり『親愛なる長沢基次郎さま…』とモノローグして、あなたが私の兄だった事を何よりも喜んでいる。あなたはきっといつまでも私の中で生き続ける。この同じ部屋の中で一緒に呼吸出来ている、この瞬間を忘れない。と結ぶ李理香で… 『愛をください』第10話、end。

▲基次郎&杏子親子が雄弁に語った第10話。杏子(風吹ジュン)を筆頭に、蓮井昭彦の妻・妙子(仁科亜季子)、やや劣るが施設の三原先生(銀粉蝶)、園長(石井苗子)と、お歳を召された女性キャストがおしなべて『良い人』に描かれているは実に不公平だ! と憤慨しつつ第10話にして『やっと』李理香&基次郎の産みの母が『死んだ』事が明かされた。今までだたの一度も『母』を恨むと言わなかったフォローのつもりかも知れないが、ここにも激しく不満を感じる俺だった。基次郎こと江口洋介氏は、弾けたりニヤける芝居よりも好感が持てるので、生放送を観ながら『……』なる展開に陥らず最終回まで生きながらえて、回想シーンのみでお茶を濁された前半のオトシマエをキッチリつけて戴く事を切に願う! 
 さて来週は、携帯電話で『偽物の涙とインチキな孤独で大衆を騙すなと言いたいんだよ!』と“胸のすくような”台詞を吐き捨てる未明を中也が殴り倒すと、あなたに出来る事はまだ沢山あると言う杏子に、テレビで歌う事ですか? と返す李理香は、夢の中で歌ってたよと基次郎に言われて、兄の事を宜しくお願いします! と東京へ。柿崎にせかされてバタバタと局入り、スタジオに入った李理香と中也を迎える司会者は、な、な、何と愛川欣也氏だぁ!! そして意識が遠のく基次郎に向けて、あなたの為に歌うんだからね、と呟く李理香で… 愛川欣也氏の投入と未明の台詞に150%期待して楽しみに待つぞ!!


● 愛をください  ●

第9話『ヘビに睨まれたアマガエル』<8月30日(水) ヨル9:00〜9:54 フジ系>
脚本:辻仁成 演出:松田秀知

<出演>遠野李理香(21)菅野美穂/月密【つきみつ】中也(27)伊藤英明/進藤未明(23)原沙知絵/柿崎保(38)筧利夫/葛井昭子(36)真矢みき/長沢基次郎(31)江口洋介/川俣しのぶ/長沢杏子・風吹ジュン/蓮井昭彦・串田和美/木場源太(35)杉本哲太/葛井昴(45)陣内孝則 ほか


 病院で目覚めた遠野李理香(菅野美穂)は、月密【つきみつ】中也(伊藤英明)がずっと付き添っていてくれた事に心から感謝の言葉を口にした。無事に退院の許可が降りるが、中也の報を受けて駆け付けた柿崎保(筧利夫)は、こんな時に言うのはどうかと… と前置いて、テレビの生放送歌番組から出演依頼があった事を告げる。写真誌に顔が出たこのタイミングできちんとベールを剥ぐのが適切かと思うと続ける柿崎は、ラジオ同様1回だけだけ、生演奏のバックバンドメンバーは超一流どころを揃える、外国からミュージシャンを呼んでも良いとの条件を並べた。
『もし出演するならば』路上で歌っていた時のように中也とふたりで出演したいと言う李理香は、自分の歌の原典は路上なので弾きが良い。が、ひとりでは心細いので信頼している人間と一緒が良いと申し出て、「路上で歌う“ZOO”!」と大袈裟に納得する柿崎は改めて中也へ出演を依頼したところに、顔色を変えた進藤未明(原沙知絵)が飛び込んで来た。
 中也からの連絡を受けて保育園を抜け出だして来たと説明。絶対に無理をするなと言う未明はお互い嫉妬や妬みがあったが今は違う。今は本当に李理香の事が心配だ、少しは自分を大事にする事を考えて欲しいとの訴えて、倒れただけでこんなに大勢の人間が駆け付けてくれたと言う中也は「お前はひとりじゃないんだ。それを忘れるな」と進言。出演交渉に話を戻す柿崎に、『困った』と言いつつ、李理香の側に居てあげたとも思いを優先すると言う中也は一度だけ手伝う事を約束した。
 帰り道で李理香の身体を気遣う中也は、テレビ出演を無留やり頼んで怒っていないか? プライドを傷つけたのならば言って欲しいとの申し出に、心配だから付き合うのだと返答。病院のベットで『お父さん』とうなされていた事を指摘して、人を憎む気持ちは苦しいと漏らす李理香に、『愛する気持ち』と遠くない事を指摘する中也は『憎んでいる気持ち』のすぐ裏側にはきっと同じ位の『愛情』が隠れているのだと説明。俺もお前が心配だ。その重い荷物の半分だけでも持ってあげられれば… と最近思うと告白して『意外と優しい』と驚く李理香に、最初から優しかったと笑ってみせた。
 そして看病しながら「やっぱりお前の事が好きだ」と気付いたと告白しつつ、そういう気分ではない事は解っているが… と聞いて、文通相手の長沢基次郎(江口洋介)の件を持ち出す李理香は『3年も騙し続けた憎い奴』との評価に、何かあって嘘をついたのだと信じたいと反論。人を信じないお前が珍しい、そいつの事が好きなのか? との追求に、そんな感情ではないが彼は心の支えだったと説明。ここに居ると心が苦しいので彼の家がある函館に行って来ると宣言するが、会ってどうするとの問いに、「解らない」としか言えなと返答。だが、会いたいという気持ちが『心のど真ん中』にある、会わなければいけないという『使命感』があるのだと宣言して、中也を納得させた。『心のど真ん中の使命感』じゃあ仕方ないな、中也!
 そんなこんなでアパート前に到着。郵便受けを覗く李理香を待ち受けていた葛井昴(陣内孝則)の妻・昭子(真矢みき)は、『泥棒猫の昼帰り』呼ばわりで夫の所に行っていたのだろうと指摘。よ〜く切れそうな鋏を突き付けると、何が覆面歌手の“蓮井朱夏”? ただの泥棒猫。昴をたぶらかして業界にコネでも作ろうとしたのだろうと決めつけて、全く悪知恵の働く女だと指摘。「お前みたいな悪女、野放しに出来ない。これでお前を丸坊主にしてあげる」と鋏を振り回すが、駆け付けた中也の声で、覚えておけ、これでは済ませぬ! と捨て台詞を吐く尚子は場を去って行った。チェッ、もう行っちゃうのかよ。
 大丈夫なので大袈裟にしてくれるなと言う李理香は、逃げるように部屋へと消えて行き、残された中也は公園で煙草を吸いながら『そいつが好きなのか?』と問い詰めたシーンを回想。否定しながらも『彼はずっと心の支えだった』『会って来る』と決意の表情を思い浮かべてため息を漏らした。
 一方の保育園では、カズオを迎えに来た木場源太(杉本哲太)に、李理香の事が忘れられないのか? と声をかける未明が「私じゃダメですか?」と思いを打ち明けた。
 以前に食事に誘ってくれた事も覚えていない様子に、随分前の事だから忘れてしまったのだろうと言いつつ、朝やって来て微笑んでくれた事が嬉しかった。いつもじっと見つめて『おはよう』と言ってくれた事が嬉しかったと告白する未明は、李理香のように度胸がなくて… と続けるが、トイレに行ったカズオが戻って来ると制する源太は、きっと何かの思い過ごしだろうと断言。そうではなくてもう一度微笑んで欲しいだけで、昔のようにただ『おはよう』と目を見て言って欲しいだけなのだと訴えるものの、そういう話は迷惑だ! と言い捨ててカズオと共にそそくさと帰って行った。さすがに懲りたか、感心感心。

 李理香が床に叩き付けた鳥篭の修理を終えた蓮井昭彦(串田和美)は、借金取りに追われて幼い李理香を親戚の手に委ねたシーンを回想。鳥篭を手にふらふらと歩きながら『何で捨てたのよ』『自殺してよ! 自分が本当に悪い事をしたと思うなら死んで償って!』と責められたシーンを回想しながら赤信号を渡る昭彦は車にはねられてしまい… 宙を舞った鳥篭が道に叩き付けられると同時に、何か悪い予感に襲われた李理香の携帯電話が鳴った。
 昭子がそっちに行かなかったか? と尋ねる昴は、先程やって来たと聞いて、かなり『血走った声で』自分に連絡があったので心配して電話をしたと説明。私は大丈夫なので心配しないで欲しいと告げる李理香は、覆面歌手だったとは知らなかったと言われて、巻き込んでしまった事を詫びるが、自分よりも君が心配だとの弁に、少し旅に出ようと思うと返答。行き先を聞かれて『函館』と応えて「僕も行こうかな」を無視してまた電話すると返答。ゆっくり休んで来るように言う昴からの電話を終えた。
 翌日。ゼブラレコード会議室で「またやられた!」と机を叩く柿崎は、またもや週刊誌に李理香のスキャンダル記事が掲載された事に頭を抱えるが、保育園での不倫話から来週の生番組出演までかなり詳しくリークされている。絶対近くに情報を漏らしている奴が居るのだと言うスタッフたちに、この中に居ない事を願うばかりだと返答。朱夏に精神的ダメージを与えなければ良いのだが… と大袈裟に呟く一方、『保育園勤務時代の隠された顔。愛を信じない保母が見せる子供たちへの笑顔』なる見出し記事を紹介するテレビのワイドショーを見ていた李理香がテレビのスイッチを切ると携帯が鳴った。
『テレビは見たが別に平気だ』と確認して受話器を置いた柿崎は、大袈裟に頭を抱えるか否か… とコントの如きリアクションを見せて、本人は大丈夫だと言っているが、気になると発言。出版社に友人が居るという部下に、金を使って構わないのでリーク先を調べるように命じる一方、事故にあった昭彦は集中治療室に運ばれた。
 生死の境を彷徨いながら、妻・妙子(仁科亜希子)に前妻との間に子供が『ふたり』居た事を告白。隠していた事を詫びながら、うちひとりの娘・李理香が現れた事、会って詫びたい事を告げて、探すと申し出る妙子に『アルバイト…』と漏らしたその夜。函館行きの旅支度を整える李理香のアパートを訪れた妙子は、昭彦の妻だと名乗った。
 話す事は何もないと告げてドアを閉める李理香は、昭彦が交通事故に遭ってかなり危険な状態だと聞いて『自殺してよ! 自分が本当に悪い事をしたと思うなら死んで償って!!』と罵ったシーンを回想。『死ぬかも知れません』と続けて、娘に会いたいとあなたの名前ばかり呼んでいると涙で訴える妙子の、私には事情は解らないが生死を彷徨う人間が間違いなく今必要としている。間に合ううちに顔だけ見てやって欲しいとの申し出を受け入れた李理香は病院に向かうと、手を握って「本当に済まなかった」と詫びる昭彦にかける言葉もなく…。廊下の椅子で妙子に寄り添って眠る『義理の姉弟』の姿を複雑な思いで見つめながら一夜を明かした。
 見舞ってくれた事を感謝する妙子から、峠を越える事が出来たのは来てくれたおかげだと言われて、本当にそうだろうか? と返すが、間違いないとの言葉を受け止めてその場を去る事を決めた。
 そして、詳しい事は何も聞かされていないままに随分と失礼なお願いをしたと思うと詫びる妙子に、自分の方こそちゃんと役にたてたのか… と返す李理香は、又少ししたら様子を見に来させて欲しいと申し出て、その場を去ると基次郎に向けてモノローグしながら空港へ向かった。
 そこに何が待っていても私はもう恐れない。自分の人生に決着を付ける為にも私はあなたから逃げる訳には行かない… と呼び掛けて再び『長沢』の家を訪れるものの、やはり人の気配はない。
 その様子を怪訝そうに伺う隣人の女性(川俣しのぶ)に、文通相手の基次郎を訪ねて来た事を告げて、「あの基次郎とかい?」と怪訝そうに言い残す隣人女史を追った。
 3年も文通を続けているにも関わらず、訪ねてみれば住んでいないようだが自分が手紙を送っている住所は間違いなくここ。しかし彼は居ないが返事は戻って来る…。との訴えに、連絡は取れるか?と尋ねる隣人女史は、一応家族に問い合わせてみる。勝手に居場所を教える訳には行かないので、連絡先を教えてくれれば長沢さんに伝えておくと説明。丁重に礼を述べる李理香は携帯番号を告げて取り敢えずこじんまりとした3階建ての古いホテルにチェックイン。初めて出逢った日に『文通しよう』を言われたシーンを回想しながら屋上に上がって、『基次郎〜〜』と叫ぶ李理香は、一目で良いからあなたに会いたい… と函館の街に向かって呟いた。

 そして翌日。基次郎の母・杏子(風吹ジュン)から携帯に連絡が入った。
 文通相手だと知っているが、『ちょっとした事情』で基次郎本人とは会う事は出来ないとの弁に、会わなければ生きて行く自信がない! と訴える李理香はひとめでも会わせて欲しいと懇願。ホテル側で杏子と待ち合わせる約束を取り付けた。
 喫茶店に場所を移して、3年前に偶然命を救われた縁で今日まで文通が続いていたが、最近返事が途絶えがちな事、基次郎が嘘をついていた事、『絶対にお互いを訪ね合わずに、嘘をつかない』との約束をしていたので真実だけを綴っていた事、文通が唯一の逃げ場だった事を告白。文通を通して自分の犯した罪や悪意を全て語り、そのひとつひとつに愛情ある言葉を返してくれた事、彼がいなければ社会に対してもっと酷い復習を行っていたかも知れない事を訴えつつ、信じていた基次郎がロープーウェイの運転手ではなく住所の家にも住んでいなかった事を指摘して、どういう事なのか? と迫ると、3年前にあなたを救ったのは偶然ではないと口を開く杏子は、『ひとめ生きている様子が見たい』と会いに行ったのだと告白。基次郎は血の繋がった兄なのだと衝撃の事実を告げた!!ええっ!! と一応驚いておこう。
 亡くなった杏子の夫が養護施設から預かって来た時から、生き別れた妹が居るのでどうしても探し出して一緒に暮らしたいと基次郎が訴えていた事、夫もそうするつもりだったが程なく病気で死んでしまった事、その後財政的に苦しくなって妹を引き取る事が出来なくなった事を聞いて茫然とする李理香を前に、説明は続く。
 成長してからも基次郎は李理香を探し続けて、いつも気にし続けていた事、そして本当に偶然だが自殺しようとしていた李理香を救った事を告げて、嘘をついていた事と今日ここに来られなかった事には事情があるのだと説明。3年前にふたりが会った時には基次郎は病魔に犯されていたが、元気なうちに妹を探しに行ったと聞いて更に驚く李理香は、あの時は元気だったと迫る。
 確かに当時は感染症に気をつけてさえいればひとり旅も可能だった事、病魔はその後急速に進んで今は思うように字も書けない事を告げて、以前よりも字に力がない筈だと指摘。その事実をどう伝えるべきか迷っていた事を詫びつつ『この時期』訪ねて来た事も不思議な縁だと言う杏子は、訳を問われて言葉に詰まりながらも、李理香を病院に案内した。
 恐る恐る病室に足を踏み入れる李理香は、ベットの上から力無く視線を向ける基次郎と対面した。
 そして何も言わずに穏やかな笑みを浮かべる基次郎に、瞳を潤ませながら小さく笑顔を返す李理香で… 『愛をください』第9話、end。

▲李理香、昭彦、基次郎と病院3連発の第9話。この期に及んで基次郎が実兄でも一向に構わないが、然るべき前フリがあっても良いのでは? 先週の予告でバラしているとはいえ、集中治療室で唐突に『ふたり』と言われてもねぇ? 昭彦が李理香を親戚に委ねたシーンはドア外のみだったが、せめて室内にもう一人男の子が居た事を臭わせるシーンでもあればと思うが、ラストに見せた基次郎の小さな笑顔が圧巻だったので良しとしよう。写真誌へのリークは、『保育園時代』と『歌番組出演』ネタとの事で容疑者は“ふたり”に絞られるが、さてどっちでしょう? 因みに『血走った声で』と独自の言語感覚を持つ葛井昴45歳の劇中ドラマは今週も描かれず。ガッカリだぜぃ!
 さて来週は、兄さんと呼んでも良いですか… と言う李理香に基次郎が優しい笑みを返す一方、何で函館なんかに行かなければならんのか!? とゴネる中也は結局函館へ。保育園時代の情報は君が漏らしていたようだと柿崎に迫られて、中也が『はぁ?』とリアクション。未明は、何の事ですか? と堂々と返答。ならば信じなくても良いと言う昴に、「まさか」と李理香は信じていない様子だ。そんなこんなで基次郎の容態が急変! せっかく会えたのに何で基次郎が死ななきゃならないの? と嘆く李理香で… どうなる事やら、期待して待とう!


● 愛をください  ●

第8話『徹夜明けの赤目のうさぎ』<8月23日(水) ヨル9:00〜9:54 フジ系>
脚本:辻仁成 演出:藤田明二

<出演>遠野李理香(21)菅野美穂/月密【つきみつ】中也(27)伊藤英明/進藤未明(23)原沙知絵/柿崎保(38)筧利夫/葛井昭子(36)真矢みき/園長・石井苗子/美智子・深浦加奈子/長沢基次郎(31)江口洋介/蓮井昭彦・串田和美/葛井昴(45)陣内孝則 ほか


 遠野李理香(菅野美穂)は葛井昴(陣内孝則)に呼び出されて仕事場を訪ねるが、そこに妻・昭子(真矢みき)が夜食を持ってやって来た。玄関先でくい止めるべく昴は動かないように言い渡すが、女物のサンダルを何故隠さないのか? 顔色を変える昭子は当然誰が居るのか? と迫る。そこに堂々と姿を現す李理香は、どういう事!? との問い詰めに、私を苛めるあなたが憎かったと正直に告白。自分が強引に引き入れたと昴の言葉など届く筈もなく、この泥棒猫があなたをそそのかした! と激昂して掴みかかろうとする昭子に、葛井さんが欲しかった、葛井さんに優しくされて嬉しかった! と言いたい事を言い放つ李理香は修羅場からとっとと逃げ出した。カッコ悪りぃ〜。
 トボトボと帰路についてポストを確認するものの、長沢基次郎(江口洋介)からの手紙は届いておらず… ため息を漏らす李理香は、夜空に浮かぶ欠けた月を見上げた。
 後日。李理香は“蓮井朱夏”として一度だけとの条件付きでFMラジオの生番組に出演した。
 覆面歌手なれど“すんごく可愛い”とDJ氏から紹介されて戸惑いながらも、ぶっきらぼうに自己紹介。プロデューサーの柿崎保(筧利夫)に『OK! 良い感じ』『自分のテンポで構わない』ので思った事を喋るように言われて、自分が孤児だった事、両親の事も知らず児童擁護施設で過ごした事、虐待を受けて脱走を繰り返していた事、自殺未遂の日に『ZOO』が産まれた、みんなが持っている愛を自分は持ち合わせていない事を激白。人は信じておらず自分も嫌いだが自分の歌だけは信じていると一気に語ると、君の歌の中にある本物の力が見えた気がすると言うDJ氏に向かって、「哀れまないで下さい」とコメント。誰にも哀れみで見られたくありません! と言い切られてリアクションに困ったDJ氏は、取り敢えず曲に行ってみよう! 『快進撃を続ける大ヒットナンバーの“ZOO”』とその場をまとめ上げた。が、衝撃の告白とぶっきらぼうな態度に柿崎は大満足! 笑顔満開でダブルピースマークを送った。メチャメチャ感じ悪っ!!
 そんなラジオ出演から『噂が全国をひとり歩き』して大反響! 50万枚をクリアして、このまま行けば100万枚突破も夢ではなく、アルバムの準備に入ろうと意気込む柿崎は『ひとり』なるタイトルまで考えていると告げるや、じゃあまた電話します! とハイテンションで電話を切るが、やる気のなさそ〜な李理香は、基次郎からの手紙が来ていない事を確認して、アンティークショップのバイトに出掛けた。
 仕入れから戻って来た父・蓮井昭彦(串田和美)の萬年笑顔に、何がそんなに楽しいのか? 自分を捨てた事を忘れて、笑えない自分とは対照的にいつも笑っていると心の中で苦々しく思う李理香は、中国製の鳥篭を『タダ同然』で仕入れて来たと満足げに笑う姿に怒りと憎しみが炸裂。中の鳥は居ない。家族のところに戻ったのか? と呟くと、「家族はいないよ」と応えた昭彦の目の前で鳥篭を床に叩き付けた!! さすがに怒る昭彦に、お父さん、何怒ってるの? 怒りたいのは私の方… と呟くや、自分の子供を捨てる事が出来る悪魔! と言い放った。どうしてお父さんは幸せなの? 何で私は捨てられたの? 私が悪い子だから? それとも邪魔だった? 鳥篭の方が大切なのか? 暖かい家族が居て私だけが何で孤独で不幸なのか!? とたたみかけて、そうだったのか… と肩を触ろうとする手を払いのけて、「触るな!」と言い捨てた李理香は店を去ると、自殺を試みた陸橋に佇んだ。
 何故私を救ったのか? と基次郎に呼び掛けると、昴からの携帯が鳴って、今夜会いたいとの申し出に従った李理香は、ホテルのバーへ赴いた。懲りない人だ。

 保育園を辞めたと知って新しい仕事は見つかったのか? と心配する昴に、曖昧な返事を返しつつ、とっとと逃げ出しておきながら「あの後大丈夫でしたか?」と平然と尋ねる李理香は、何も心配する事はないが、新しい仕事に就けたかが気になったと言われて「本当に大丈夫」だと返答。それよりも奥さんはどうしているか? と意地悪な質問に、会わずに逃げるようにしてホテルに逃げ込んだと情けなく応える昴は、いつまで? との問いに、「しゃくに触る事だけど、いつも時間だけが答えを知っているんだ」と結んだ。そんなギャグをかます余裕があれば大丈夫だろう!
 当然そのまま部屋に直行。君はますます冷たい彫刻になっていると評して、人間不信は益々強くなっているようだとの弁に、先生は私を好きなのか? と尋ねる李理香は、どのくらい好きなのか? 愛の量や大きさを知りたいと迫った。
 愛とは言っても君と結婚したいとか、妻と離婚したいとかまでは考えていないが、誤解しないで欲しい。そういう契約や形式は僕にはもうどうでも良く『ただこうしていられる瞬間の中に永遠を見ていたいと思う方でね』との弁を、ロマンチストなんだと言える李理香も大した器だと感心するしかない。が、そうとは限らないと食い下がる昴は、『愛に押し潰されるのが怖い』のだろうとダメ押し。一番息の長い愛とは、ある一定の距離を保てているものだと信じている。近すぎても重すぎても軽すぎても離れ過ぎててもいけないもの、それが愛なんだ… との弁は「難しすぎる」との反応が。いやいや、女房が怖くてホテルに逃げ込んでいるだけに説得力抜群だ!
 そして「愛とは難しいものだ」と優勢に出る昴は、どんな理屈も好きだと言う気持の前ではもろいものだが、自分は今その距離を保てそうになくて苦しんでいるところだと一区切りつけた。そして、無償の愛がこの世の中にあるが、それが一番理想的な愛の形だと断定。『損得の発生しない愛』だが、これは究極の話であって実現出来るものかどうか解らない。何故ならば人間は常に自分が一番可愛いからだ。と一応納得出来る線で締め括った。
 そして翌日。ポストを覗くものの返事は来ておらず。『やはり私を騙していたの?』と自問しつつ手紙を書こうとするが筆は進まず… 基次郎〜 と呟いたところにドアチャイムが鳴ると進藤未明(原沙知絵)が訪ねて来た。
 いつもの居酒屋に場所を移して、色々考えた結果『嫉妬した事を謝ろうと思う』と打ち明ける未明は、源太(杉本哲太)を取られた気持ちから嫉妬で混乱したが、李理香の気持ちになって考えれば酷い事を言ってしまったと反省したのだと説明。別に信じなくて良いと言いながら、3ヶ月前に園に来た時に友達になれそうだとの予感があったので、このまま終わってはダメだと思った。毎日園児と遊んでいると今『頃李理香は何をしているのか?』と考えてしまうとの弁に、素直に嬉しいとのお言葉を戴いた未明は、「人間やめたら?」と酷い発言を心から謝ると頭を下げるが、何も知らずに『凄いこと』をしてしまって迷惑をかけたのは自分だと恐縮する李理香に、ならば友達になろうと提案。すぐにでなくても良いので、またこうして食事をしたり話をしよう、友達だと思えるようになったら嬉しいと言われて胸を詰まらせる李理香は、園児たちが寂しがっているが源太の息子・カズオも戻って来たと聞いて安堵の涙を流した。
 これからどうするのか? と問われて、取り敢えず下北沢は引っ越してしばらく旅にでも出るか? と返答したところに、呼び出した月密【つきみつ】中也(伊藤英明)がやって来た。忠告を無視して部屋から逃げ出したのにわざわざ呼び出したのか?

 この怪しい男は何者だ? と怪訝そうな視線に中也を『友達』と紹介。保育園の同僚『だった』との弁に、未明に向かってお辞めになったの? とのリアクションに、自分が辞めたのだと囁く李理香は、『ZOO』が売れて印税ガッポリ、保育園なんかで働く必要ないわってか? と漏らす中也に、誰にも言っていないのだと頭を抱える訳で、「印税」って何? と身を乗り出す未明に全て知られる羽目に陥った。
 ホントなのか? と驚きの事実に、俺もここまで行くとは思わなかったと返す中也は、今日は蓮井朱夏の奢りだ! と調子つくが、マジで怒る李理香は、なりたくなった訳ではなく売れたくて売れたのではない。運命や人生がどんどん悪戯して私を私が望まない場所に押し上げて行くだけだと罰当たり発言で、「そういう下品な言い方しないで!」と言い放つ。全く売れずに在庫を担いで手売りでもするつもりだったのか?
 呆れ顔で冗談だと言う中也は未明が友達ならば言っても構わないだろうと反撃。ひとりも友達がいないと言っていた! との発言に未明は、色々あってこれから本当の友達になるのだと説明。友達とはそういうもので、作ろうとするするものではないと俺は言った筈だ! と我が意を得たりの中也は、歌手である事を少なくとも友達には隠すなと進言するが、嬉しい事なら言う! と返す李理香は、まだ自分でも何が何やら解らん事をあなたのようにペラペラ言えないのだと不満顔だが、自分の妹も『ZOO』のCDを持っていると言う未明は、それが本当なら『友達になって』などと図々しい事が言えなくなってしまうと結ぶ。
 そんな悲しい事を言わないで欲しいと訴える李理香は、あれは自分ではなく世間が勝手に作り出した存在だと意味不明の事を言い出すが、本当に凄い事だと興奮醒めやらぬ未明に、父親に会ってきた事、何故自分だけ幸せなのかと言ってやった事を告白。スターになんかなりたくない、私が欲しいのは普通の幸福なのに、みんなが持ってるような普通の愛なのに… と結んで、一同は場所をガード下に移した。
 中也が歌う場所から離れて佇む李理香は、父親とは話し合わずに逃げて来たと告白。向こうも話す事はないだろうし今の幸福を壊されたくないだろうと続けるが、そうか? と疑問符を浮かべつつも歌手は続けた方が良いと言う未明は、産まれ持った才能があるので続けるべき。同じように孤独な心を持った人にとって、李理香の本当の歌は応援歌になると思うし、そうしているうちに普通の幸せが訪れるだろうとそつなくまとめる。その言葉を受け止めて、何不自由なく育った来た未明に対してずっと嫉妬していたと謝罪する李理香は、幸せそうな人を全て妬んでいたがそれは間違いだったと告白。自分のようにひねくれた人間にも優しくしてくれる人は居る。そして、間違いを正してくれる人も居ると言い終えて、歌っている中也を振り返ると、未明も意外そうに振り返った。いわゆる『変な奴』にしか見えないからな、中也は。
 そんなこんなで友達2名をゲットした李理香は、ある朝携帯電話のベルで目を醒ました。興奮する柿崎から、本日発売の写真週間誌に昴と“蓮井朱夏”のスクープ記事が掲載された事。朝のワイドショーで大々的に取り上げられている事聞かされて、慌ててテレビのスイッチを入れた。
『人気脚本家・葛井昴の不倫相手は驚くべき女性。話題の覆面アーティスト・蓮井朱夏の素顔を撮った!』との記事を紹介する番組を見ながら、写真を撮られたホテル前のシーンを回想。タクシーに乗る間際に、今日で関係を最後にしたいと申し出る李理香に「解っている」と返す昴は、君が苦しみを吐き出す為に僕の腕の中に居る事は僕にも耐えられない事だと言いつつ、誤解していると指摘。私は君の身体や若さを求めているのではない。いつか解る時が来る… と気障な事を宣っているから写真誌に撮られてしまう訳だ。テレビでは『若者たちに人気のカリスマ的アイドル・蓮井朱夏。実はデビューしてひとつきも経っていないが、CDはまもなくミリオンセラーに届く大ヒット。幼い頃、児童養護施設で虐待にあいながらもひたむきに生きて来た。保母をしていた園児の父親である昴と密会を繰り返していた…』とレポーター女史が事実を誇張する事なく伝えているが、自失茫然の李理香は柿崎が叫ぶ携帯に応える事なくその場に立ち尽くした…。

 書きたい放題書きやがって! 何処から漏れた? スタッフを疑いたくはないし… と興奮する柿崎は、チェックが甘かったのは自分のせいだと頭を下げて、『あまりに急に売れ過ぎて』対応が間に合わなかったせいもある。自分の責任だ! とマジで謝罪するが、いずれ解る事だと返す李理香は、保育園を辞めた事は知らなかったとの弁に、内緒にするつもりではなかったが『いろいろあって』辞めたと今更になって報告。テレビは昴の力で押さえる事が出来たが、雑誌までは手はまわらず。何を書いてくるか解らないと言う柿崎は、もう私には失う物は何もないと言う李理香のどんな事を書かれても平気、死ぬ気になれば何だって出来るとの弁に、歌を辞めるなどと言い出さないで欲しいと、ファンレターを差し出した。
 生きているのが辛くて社会をドロップアウトしたり、逃げようとしている子が殆どだが、皆一様に“蓮井朱夏”の歌を聴いて『人生に光りを見た』と書いていると説明。こんなに真剣なファンが居るのだからどうか続けて欲しいとの弁に、「辞めません」と返す李理香は、他に取り柄もなく今は自分の歌で自分の存在と戦うつもりだと宣言。「よし! じゃあ覆面を剥ぐ時が来た訳だな」と柿崎は一層のやる気を見せた。頑張って売り上げを伸ばして下さい。
 帰宅してポストを覗くものの、やはり返事は来ておらず… 足を引きずるように階段を上がる李理香を昭彦が呼び止めて、話がしたいので少しで良いから時間が欲しいと申し出て、喫茶店へ。
 テレビに君の顔を見た。『蓮井』の名を使ってくれて有り難う。と言われて、何で有り難うなのか? 何で急に訪ねて来た? 蓮井朱夏の印税が目当てなので『蓮井』の名に有り難うなのかと言う李理香は、今まで何の連絡もなかった人が急に話があるなどと信用出来ないと言い捨てる。
 決して捨てた訳ではなく色々な事情があったが、今話しても理解して貰えないだろうとの弁に、20年以上ほったらかしにされて理解しろと言うのか! と迫る李理香は、自分は幸せな家庭を作って私は虐待を受けた事を繰り返すと、「済まなかった」としか言わない昭彦に「済まなで済むか!」と返して、何故捨てたのか!? と声をあげて店の注目を集めた。
 事業に失敗して金を借りたヤクザに終われた。一旦親戚に預けたが、そこにも問題があって彼らも育てる事が出来なくなったとの説明に、今は普通に生活していると指摘。あんなに大きな子供がいればもっと早くに生活は軌道に乗っていた。その時迎えに来る事が出来た筈だ! と迫るが、今の妻の力で新しい生活が出来るようになった。彼女には随分無理をさせたので子供の話をする事が出来なかった。「私は鬼だ」と聞いた李理香は、やっぱり見捨てたのだ! と泣きながら、自分は幸せな家庭を作ってのうのうと生きて来たと指摘。何て幸福な人、何て幸せな人、あなたは素晴らしい父親だ! と言い放って、涙する姿に「汚らしい涙を流さないで下さい」と言い放った。
 そして、言い訳になるかも知れないが、お前の事を忘れた日は一日もないと言う昭彦の顔面に、コップの水を浴びせかける李理香は、立ち上がって頭からアイスコーヒーとジンジャエールらしき飲み物をもぶちまけると、自殺してよ! 自分が本当に悪い事をしたと思うなら死んで償って!! と言い放って店を飛び出すと、下北沢の街をフラフラと彷徨った。
 何故かマスコミや写真誌カメラマンはひとりもおらず、道行く人も誰ひとり『ミリオン間近の覆面歌手』蓮井朱夏とは気付かない中、時折道に倒れながらもガード下まで辿り着いた李理香は、中也の前で力尽きて倒れてしまった。
 病院に駆け付けた柿崎に、命に別状が無いが心意的理由だろうと医者の弁を告げる中也は、検査の途中だが本人はぐっすり眠っていると報告。こんな時に駆け付けてくれる人間を李理香はいるも欲していた、きっと心はいつもボロボロだったのだろう、やせ我慢ばかりしやがって! と辛そうに述べる一方、病室でベットに横たわりながら函館山で働いている基次郎の姿を夢に見る李理香が「苦しいよ、基次郎…」と涙を流して… 『愛をください』第8話、end。

▲デビュー曲『ZOO』のCD、100万枚突破間近の第8話。いやいやここまで堂々と描かれれば爽快感すら感じられると言うもの。因みに今週のオリコンチャートでエコーズ版『ZOO』は5位まで上昇しております。蓮井朱夏バージョンも追って発売されるので、初登場1位の『慎吾ママのおはロック』と是非とも競り合って戴きたいものだ。こうなれば是非とも『人気脚本家』葛井昴がどんなドラマを執筆中で、視聴率はどのくらいなのか、評判はどうなのかまでを描いて戴かなければ納得が行かないと思っているのは俺だけか?
 さて来週は、昴の妻・昭子と思われる人物から鋏を突き付けられる李理香を、本当に心配している! と未明が訴える。蓮井朱夏に生放送の歌番組出演話が舞い込みつつ、中也は「やっぱりお前の事が好きだと告白。私じゃダメですか… と未明は源太にアタックか? そして基次郎の母・杏子(風吹ジュン)が登場するわ昭彦は李理香に言われた通り? 交通事故に遭遇するわで盛り沢山だが、「基次郎!!」と絶叫しつつ、「私の兄?」と驚く李理香で… 予想通りの展開か? 期待して待つ!


● 愛をください ●

第7話『そっくりな猿が僕を指さしてる』<8月16日(水)ヨル9:00〜9:54 フジ系>
脚本:辻仁成 演出:松田秀知

<出演>遠野李理香(21)菅野美穂/月密【つきみつ】中也(27)伊藤英明/進藤未明(23)原沙知絵/柿崎保(38)筧利夫/葛井昭子(36)真矢みき/園長・石井苗子/美智子・深浦加奈子/長沢基次郎(31)江口洋介/蓮井昭彦・串田和美/葛井昴(45)陣内孝則 ほか


「基次郎… 私、会いに来てしまいました」と函館の地に降り立った遠野李理香(菅野美穂)はロープウエイ乗り場に向かったが、長沢基次郎(江口洋介)の姿は見あたらず… 山頂駅に降り立って制服姿の男を見る度に基次郎か!? とワクワクするが皆別人。意を決してそのひとりに尋ねるが、長沢基次郎31歳なる人物は、社員名簿を調べてみても会社には存在しないと衝撃の事実を知った李理香は、住所を頼りに住まいを訪れた。
 ドアブザーに手をかけるものの『決してお互いを訪ね合わない事。それから絶対恋の対象にしない』との約束を回想。ブザーを押さずに手を降ろした李理香は郵便受けを開けてみるが、そこには間違いなく自分が投函した手紙が届いている。全国から寄せられて手紙がぎっしり詰まっているかと思ったぜぃ!
 失意のうちにホテルに戻り、バーでショートカクテルをカッと流し込んだ後に、部屋で手紙を書き始めた李理香は、自分は約束を破って函館に来てしまったが、どうしてロープウエイの運転手などと嘘をついたのか? 本当の事だけを話すと約束通りにずっとその言葉を信じて、園児の父との不倫等々全て本当の事を話したのだ…。と書き終えた手紙を手に、翌朝再び住まいを訪ねてみるとポストの手紙は消えている。意を決してブザーを3回鳴らしてみるが返事がない事を確認。窓から部屋を覗いてみると人が住んでいる気配は見受けられず… との状況を、喫茶店で手紙に書き足す李理香は、これから東京に戻る事。約束を破ったせいで手紙が届かない気がする事。そして「見てはいけないものを見てしまった恐怖で私の心は一杯です」と結んだ手紙を、空港のポストに投函する事を断念。破り捨てて函館の地をあとにした。
 翌日。保育園に明日にでも辞表を出すつもりだと進藤未明(原沙知絵)に打ち明ける李理香は、木場源太(杉本哲)との事で息子のカズヤを傷つけてしまったからだと漏らす。だが「辞めれば済むんだ」と返す未明は、辞めれば責任が終わるなど『とっても気楽な考え』だと指摘。園と木場家に謝罪する方法は園を辞める他ない! との弁に、また何処かよそに行っては同じ事を繰り返すのでは? とたたみ込む未明は、幸せが欲しいとか言って人の物を取るのだろうと指摘。保育士を辞める前に心を入れ替えれば!? と迫り、その歪んだ心は孤児だからではなく、産まれつきもっていた心なのに養護施設や親、孤独のせいにしてずっと逃げて生きてきた訳で、「ちゃんちゃら可笑しい」と一息つくと、どんなに幸せそうに見える人でもあんたなんかより、もっと苦しみを抱いて生きている人が居る。あなたはただ甘えているだけで、淋しいからと言って人の玩具を取る我が儘な園児と同レベルだと指摘。「人間辞めた方が良いんじゃない?」ととどめを刺した。『虐待』の一点を覗けば全くその通りですな。
 返す言葉もなくガックリ肩を落として帰宅した李理香は、こんな時に限って郵便受けに基次郎からの手紙を発見! 『基次郎、あなたは一体誰?』と口に出しながら暫し封筒を眺めるものの、意を決して封を切ると… 簡単な挨拶のあとに自分は『相変わらず山頂駅で働いている』、同僚たちと仕事の後に飲むビールは最高、みんな愉快で気の合う素晴らしい仲間たちだ… とコントのギャグとも取れる程に間の悪過ぎる内容だ。
 一体あなたは誰なのだ? わたしたちは本当の事だけを言い合う仲ではなかったのか? 真実の友達になるんじゃなかったの? と声に出す李理香は、あなただけを支えにして来た私はどうなるのだ!? 基次郎教えてよ!! と涙声をあげると、あなたが居たから生きてこれたのだ… と手紙を握り潰した。

 そんなこんなの翌朝では、とても出勤する気にはなれず。しばらく李理香先生は風邪でお休みだと報告する未明は、園児たちの『淋しい』コールを聞きながら昨日の『人間辞めた方が良いんじゃない?』口激を回想して心を痛める一方、やはり函館行きの件を手紙に記した李理香は、私の真剣な手紙をあなたはいつも笑って読んでいたのだろう? と追求。これから私はどうやって生きて行けば良いのか… いやそんな事を聞いても仕様がないか、と自問自答。「もう誰も、もう何も信じる事が出来ません」と結論付けながら、昨日同僚に『人間辞めたら』と言われた事を報告。「そう思う、あの時死んでいたらと思います」と結んだ手紙を投函した李理香は、街を彷徨いながらガード下で歌う月密【つきみつ】中也(伊藤英明)には声をかける事無く、翌日は父・蓮井昭彦(串田和美)の家に向かった。
 家を出てから尾行を敢行した結果、昭彦がアンティークショップのオーナーだった事を知るが、何とその店には『アルバイト急募』の貼り紙が!! 意を決して店内に足を踏み入れると、客と思って接客を始める昭彦に貼り紙を見た事を告げるや、即面接。保育園で保母をしているが事情があって今週中に辞めるつもりなので、それ以降から働けると言えば、保母なら安心だが時給が安いが? と心配する昭彦は、他に『内職のような仕事』もあるので大丈夫だろうとの弁に、即採用を決めた。
 あっさりした決定に驚くものの「こういうのは縁だから」と言う昭彦は「握手だ」と手を差し伸べるが、どこかで会った事が? と問われた李理香は、客として来た事があるのだと誤魔化した。
 記憶はあてにならず、しかも最近は物忘れが… とバツ悪そうに「連絡先を…」とメモを手にする昭彦は「とうのりりか」と聞いて何やら想う所あるらしく… ペンと紙を受け取った李理香が記す『遠野李理香』の文字に顔色を変えて、知り合いに全く同じ名前があるのだと説明。『取り敢えず宜しく』と話はまとまるが、李理香終始、刺すような視線を昭彦に向けていた。俺なら怖くて雇わない。
 店を出て公園のブランコを漕ぎながら、基次郎さえも信じられなくなったと呼び掛ける李理香は、私の復讐心は再び燃えさかろうとしています… と新たな決意を述べた。
 そして翌日。突然退職願を提出する李理香に、やっぱり源太と不倫関係にあったのかと指摘する美智子(深浦加奈子)は、親の愛情を受けずに育ったせいだ、人のものが欲しくなるとは何と育ちが悪いのだろう! と言い捨てた。
 そして、本当に不倫をしていたのか? と確認する園長(石井苗子)は、はっきりと事実を認める李理香に、自分は優柔不断な園長と影で言われているが、自分の口からはっきりと結論を出した以上は辞めて戴くしか道はないと言い渡した。
 そして最後にひとつだけと前置いて、子供たちと接する姿は本物だった、本気で子供を抱いていたと言う園長に、子供に対するちゃんとした愛がある事は立派だとと言われて園を去る李理香を未明が追いかけて来た。
「昨日の夜、沢山泣いた」と言う未明は、最初は源太を奪われた復讐を日々の糧にしていたが、今は少し違う。言い過ぎた事を謝りたくなったと申し出て、気持ちの整理が出来ていないがそれらの言葉がとても響いたと返す李理香に、園児たちが描いた病気見舞いの絵を手渡した。
 早く戻った来て欲しいと泣く子もいるとの弁に、涙を堪えて会うと悲しくなるのでこのまま去って行くと言う李理香は落ちついたら一度挨拶に来る予定なので、宜しく伝えて欲しいと言い残して立ち去ろうとするが、未明とは友達になれそうな気がした事、それは大きな勘違いだった事を告げた。
 自分に優しかったのは復讐の為で、心を許しての事ではなかったのだが、一緒に仕事をしていたせいか、何故だか感謝している… と、言葉を詰まらせて歩き出す李理香は、待って! との声に「ありがとう」と応えてその場を去って行った。

 その夜。来ると思って待っていた、ゆっくり話がしたいとガード下で待機していた中也にいつもの居酒屋に連行? された李理香は、基次郎の一件を告白。家には誰も住んでいない様子なれど手紙は誰かが取りに来ているとは、まるでミステリーだ。よくも3年も騙し続けたもんだ、そいつが一番の嘘つきだったとの説明に、基次郎はそんな人ではない! と返す李理香は、きっと何か理由がある筈だと弁明。3年も騙され続けてどこまでお人好しなのだ!? 『そんな奴』=嘘、嘘、嘘、嘘だらけの猫はいだらけじゃないか! と中也は寒く笑わせてくれる。
 本当の事だけを言い合う仲など、調子が良すぎて最初から眉つばだった。今のお前には現実的な友達=例えば俺『とか』が必要だ。お前の周囲には不倫、復讐、文通、親父への憎悪などと非現実的な事ばかりが溢れている。人間が生きて行くうえで一番大事なのは日常であり、それは周囲の仲間たちが作り上げて行く世界。誰がお前の仲間なのか考えてみろ!? 3年も騙されていたのだ。いい加減に目を醒ませ… と月密中也27歳は多いに語る。
 そしてロープウエイは嘘だったが、励まし続けてくれた事と命を救ってくれた2点は紛れもない真実で、あの文通がなければ私はとっくにこの世界には生きていないと反論する李理香に、ならばなにゆえ嘘をつく必要があるのだ!? と迫る中也は、それは解らない… との弁に「やはりミステリーだ」と結ぶと、自分のアパートへと場所を移した。
 飲め! とシンハービールの栓を抜く中也は、酔わせてどうする? 淋しそうな女だから簡単にモノに出来ると思っているとの弁に、どこまで心がひねくれているのか、と呆れ顔で、しかも分厚い金庫にしまわれていては誰も友達になどならないと評した。
 その弁を受けて、友達とはどうやって作るのか? と尋ねて恥ずかしい話だがひとりも居ないのだと告白する李理香に納得する中也は、お前と友達になる奴は余程のお人好しでなければ… と言いつつ、そもそも『友達をつくる』との発想が横柄だと指摘。プラモデルでもあるまいにどうやって『友達をつくる』のだ? 人の心は操作出来ない、自然に出来るもの生まれてくるものが友達なのだと説明。お前に人間的魅力があれば自然に出来る。無理に作ろうなどと考えるなと言いつつ、そう簡単に友達は出来ない、普通は『知り合い』に過ぎず『友達』とは別物。知り合いが1000人居たとしても友達ひとりには絶対かなわない。地位・名誉・金・学歴は努力で手にはいるが『たったひとりの本物の友達』は努力では手に入らない。相手は『心』で生きる生きもので、しかも他人の『心』。それを動かすのは地位でも金でもなく『心』でしか動かす事が出来ない。本当の友達になかなか出会えない故に、人間はいつも孤独で虚ろなのだ… と熱弁をふるう中也は、子供の頃に『親友』=“親しい友”を『真友』=“真実の友”と書くとばかり思っていたと告白。なんか出来過ぎって感じぃ?
 だからいまだに友達は少ないが、俺を好きになってくれる奴はみんな真実の友達なのだと結んで、解る? と問われた李理香は「解ったような解らないような…」と返答。無理に解らずとも宜しいと微笑む中也は、ビールは美味いがちょっとぬるいとの弁に、ぬるいから美味いのだ。「お腹にいい」との弁に笑う李理香に、ちゃんと笑える、もっともっと笑った方が良いと言った所に携帯が鳴り出した。
 葛井昴(陣内孝則)との表示を確かめる李理香に、「絶対に出ちゃだめだ」と言う中也は、今は自分を変える時だ。俺はお前が好きだ、お前を苦しめる奴らからお前を遠ざけたいと告白するが… あっさり携帯に応じる李理香は、部屋を出て昴の仕事場へ直行。残された中也は茫然とビールを煽った。
 そして昴の仕事場で、基次郎がこの3年間自分にとって世界で唯一の灯台だったとモノローグする李理香は、この暗い海を進んで行く勇気も力もない。灯台の火が消えた今は海底深くに沈んでしまいそうでもう二度と海面に這い上がって来る事は出来ないかも知れません… と結んだ所に、部屋にブザー音が鳴り響いた!! ドア前で差し入れを持って妻・昭子(真矢みき)がブザーを押し続ける一方、昴と顔を見合わせつつ覚悟を決める李理香で… 『愛をください』第7話、end。

▲話がマルチで動きだした第7話。『不倫、復讐…』に『覆面』も入れて『ふ』を並べて欲しかった。『覆面歌手』が一番非日常的だと思うが、プロデビューコンプレックゆえに指摘しなかったのか? などと思いつつ、気がつけば今回は“蓮井朱夏”の『ZOO』には全く触れずじまい。売れてないのか? 俺の言いたい事を代弁してくれた未明は、後々『真実の友達』に昇進しそうだが、歌わなくなった中也が語ること語ること。自宅にシンハービールを常備、しかもぬるく提供するとはなかなか『味の解る男』と見たが、ビールはその国のものが一番美味いと俺は思う。因みに李理香の部屋より中也の部屋の方が綺麗に片付いてリアリティに溢れていたが、函館のレトロな基次郎宅と昴の高級マンションのブザーが同じ『ブー』音なのはリンクなのか?   さて来週は、じゃあ私みたい… と言いながら李理香が昭彦の前でアンティック商品を壊すと、昴と“蓮井朱夏”との不倫が写真誌に掲載される。「怖いんだろうな、愛に押し潰されるのが」と昴はコメントするが、中也と未明の前で「スターになんかなりたくないよ」と李理香がコメント。「覆面を剥ぐ時が来たようだな」と柿崎(筧利夫)は落ちついているぞ! 昭彦の頭に水をかけて、自殺してよ! 本当に悪い事をしたと思うなら死んで償ってと迫る李理香だが、当然昭子(真矢みき)との修羅場もアリ。そしてガード下で倒れる李理香に、あの時死んでいれば良かった… との台詞が被って… 何とも盛り沢山な予告だ、期待して待つぞ!


制作:フジテレビ・共同テレビ /脚本:辻仁成/演出:藤田明二(共同テレビ)・松田秀知(共同テレビ)/プロデューサー:中山和記(共同テレビ)・梨本みゆき(共同テレビ)/協力プロデュース:河合徹(フジテレビ)/音楽:Arico/主題歌:「ZOO」(ECHOES)

構成・文/阪本 悠


【ご意見・ご感想はこちら】