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Back Story: 7〜


● 愛をください  ●

第6話『誰とでもうまくやっていけるコウモリ』<8月9日(水) ヨル9:00〜9:54 フジ系>
脚本:辻仁成 演出:松田秀知

<出演>遠野李理香(21)菅野美穂/月密【つきみつ】中也(27)伊藤英明/進藤未明(23)原沙知絵/柿崎保(38)筧利夫/木場静江(28)黒谷友香/園長・石井苗子/美智子・深浦加奈子/長沢基次郎(31)江口洋介/野波麻帆/民雄・鈴康寛/ケン山本・KEE/三原・銀粉蝶/蓮井妙子(45)仁科亜季子/木場源太(35)杉本哲太/蓮井昭彦・串田和美/葛井昴(45)陣内孝則 ほか


 下北沢のガード下で歌っていた遠野李理香(菅野美穂)は、敏腕音楽プロデューサーの柿崎保(筧利夫)に見出されて、覆面シンガー『蓮井朱夏』【はすい・しゅか】と名乗り『ZOO』のレコーデングを行う事に相成った。
 やたらテンション高い柿崎が集めた“最高のスタッフ”によって録音はサクサク進んで行き、自分じゃないみたい… と達観する李理香は、作詞家と印税支払いの為に作家契約が必要だと言われて、長沢基次郎(江口洋介)に手紙をしたためた。
 あなたの書いた詩にメロディをつけたものがCD化される事になったと回りくどく説明して、歌うのは私で、実はレコーディングは終わっているとカセットテープを同封。レコード会社が印税を払うべく書類を送りたいと言っているがどうすれば良いか? と喫茶店で記した所に月密【つきみつ】中也(伊藤英明)がやって来た。
 件の文通相手か? と覗き込んでいつもの場所で歌う前に食事しに来たと言う中也は、本当に歌うのが好きだと感心する李理香に、プロデビューが決まった途端に態度が大きくなったと指摘。ガード下に顔を見せないのはあんな汚い場所では歌えないって事か? と毒付くが、そっちの方が態度がデカイと返す李理香は思いっきりスネを蹴り上げると、オーダーの際に「それから“愛をください”」と懲りない中也に今一度蹴りを入れた。デビューが決まった途端に暴力的になっている。
 ガード下に行けなかったのはレコーディングしていたからと説明して、カセットテープを差し出す李理香は、大きなタイアップが決まったらしく『異例の早さで世の中に出るらしい』と続けるが、途端に席を移す中也は、店頭に並んだ時点で購入すると返答。気に障った? との問いに、正直に羨ましいと告白して、タイアップなる甘美な響きに憧れつつ、何故誰も発見してくれないのか? とひがむ自分が情けないのだと漏らした。その気持ちを思い図って沈黙する李理香は、ひとりガード下で歌う中也の姿を物陰からそっと盗み観た…。
 手紙を受け取った基次郎は、CD化の件は久々の吉報で嬉しかったと報告。自分の詩が李理香の歌となり多くの人に伝わって行くのは素晴らしい事だと祝福しつつ、名前は出さないで匿名歌手ならば君が作詞したものにして欲しいと申し出た。それよりも君自身の方が心配で、以前に送った函館の青空の写真を見ているか? と投げかけつつ、君の孤独がそのCDによっていくらか癒され類る事を願っている、『いつも君の心の側に居る基次郎』と結ばれた手紙を受け取った李理香は「基次郎、会いたい…」と言葉にしつつ、文通を始めるに当たって『決してお互い訪ねあわない』『絶対に恋の対象にはしない。会うのもこれが最後』と約束させられたシーンを回想。自分の事を心配してくれるのは世界でただひとり。基次郎だけだと結ぶと、わざとらしい程の笑顔で園児たちと接する李理香は、またまた園長室に呼び出された。
 とうとう乗り込んで来た木場源太(杉本哲太)の妻・静江(黒谷友香)は、本当に夫と不倫関係はなかったのかを確かめに来たと迫るが、「ありません!」と白々しい返答に、寝言で叫んでから夫の態度が一転したと訴えるが、何か決定的な証拠がなければ… と園長(石井苗子)が割って入った。
 しかし、寝言ではダメか? と迫る静江は、大きな声で震えながら叫ぶなどとかつてない事であり、その後の言動からも一方的に想いを寄せているとは思えないと指摘。何かあったからこそだとの弁に、先輩の美智子(深浦加奈子)は『携帯に電話をくれ』と囁いていたと暴露! 静江は顔色を変えるが、「言っていません!」とすかさず返す李理香は美智子の妄想だとまで言い出すではないか!悪魔か、この女は!?
 どこが妄想なの! と美智子も怒りを露わにするが、言った言わないではなく本当の事を知りたいのだと窘める園長は、李理香に対して源太の事をどう思っているのか? 気付かぬうちに勘違いを招く行動を取っていたのでは? と迫った。
 園児のお父さんとしか見ていない… と、更にしらを切り通すものの、誘惑したのだと迫る静江は何も知らずに懐いている息子・カズヤが可愛そうだと、不憫だと思わないのか? と良心に訴えると、毎晩パパに会いたいと泣いているととどめを刺した。
 さすがに動揺するものの、何か隠している顔だと言われてもしらを切り通す李理香に敗北した静江は、肩を落として保育園を去って行った。すんごく憎たらしいなぁ、李理香って。

 そんな事がありつつもCDジャケットの撮影が始まると、程なくして派手なメイクで背中まる空きルックの覆面シンガー『蓮井朱夏』のCDパッケージが目出度く完成。本社ビルに掲げられたどでかい看板が総力をあげての売り出しを物語っているが、静江に乗り込まれても懲りずに葛井昴(陣内孝則)の仕事場を訪れた李理香は、仲むつまじい源太一家と『あなたに懐いているあの子が不憫だと思わないの!?』の声を回想しては、ドスドスとガラス窓に額を打ち付けた。
 シャワーを終えた昴から、どうした? と肩を触れてビクリ! と身を固くする李理香は、自分から訪ねておきながら申し訳ないと頭を下げて「今日は…」と御辞退申し上げると、「あなたを満たす事が…」と回りくどく弁解した。だが、愛人や不倫相手と思った事は一度もないと返す昴は「君の魂に惹かれているだけだ」と説明。苦しそうな君を見て、どうしたら楽にしてあげられるのか考えているだけで、「そういう愛もある」と続けて、人を信じられず愛せないならば無理する事はないが、自分を嫌いなったり憎んだりは良くないと諭す昴は、いつでも会いたいたい時に会いに来なさい、私はいつでも君を待っていると結んで、李理香を送り出した。
 マンションを出て基次郎の名を呼びながら「苦しい」を連発。醜い心を持っていて苦しいと訴える李理香は、CDショップに足を向けるが、大々的プロモーションを組まれた『ZOO』のCDを手に取る人々や、店内モニターから流れるプロモビデオから逃れるように店を出るが、夜空を見上げても月は出ておらず… フラフラと街を彷徨って、やっと月が見えるスポットに辿り着くと「基次郎…」と涙ながらに呟きつつも、ビルの屋上に掲げられた『蓮井朱夏』のどでかい看板から目を逸らしては、また涙。アパートに戻ると手紙が届いていて安堵するものの、隣人宅のテレビから流れる『今世紀最大の覆面歌手』と煽るプロモビデオに目を背ける李理香は、慌てて部屋に逃げ込んだ。いやぁ、スターって大変っすねぇ、覆面でも…。
『手紙の文字が最近妙に角張っていて気になる』との書きだしで、心の苦しみが字や文章に現れていて、兎に角心配だと訴える基次郎は、CDはとても良い曲だと褒めながらも、歌う君の心がくすんで見えた、歌の中に君の息吹を感じる事が出来なかったと厳しく指摘。心や体を汚す事で社会へ復讐した気になっている、自分を痛めつける事で産まれた事に抗議している、身体の汚れは洗い流す事は出来るが心の傷はそうに非ず。一日も早く自分の存在を認め、自分を好きになって世界を許しなさいと結ばれた手紙を受け止めた李理香は、翌日も保育園でこれ見よがしな笑顔をもって園児と接触。そんな様子を源太が物陰から監視していた。
 そんな午後。保育室でふたりっきりになった進藤未明(原沙知絵)から、本当に源太とは何もないのか? と尋ねられて「またスパイをするつもり?」と返す李理香は、不倫しているのだと周囲に告げ口するのだろうと指摘。本当に心配しているだけで誤解しないで欲しい! との弁に、誰も信用出来ないと呟くが、園で噂になっているが自分は信じているのだと言う未明から、信じて良いのだろう? と念を押された李理香は、信じるなどと良く簡単に言えるものだとせせら笑って、たった3ヶ月しか知らない自分の何を信じると言うのか? と迫った。
 人間なんて誰も信用出来ないと続けて、保育園を辞めようかと思っている旨漏らす李理香は、自分には園児の面倒を見る資格はないと告げて、何もないなら辞める必要はない! と迫る未明に「したわ… したの」と返答。不倫をしたのか? と驚く未明に、不倫を認め肉体関係もあったと告げて「欲しかった… 幸福」と漏らす李理香は、他人の幸福に触れてみたかった、幸福そうなあの人の身体と心に触れてみたかったのだと説明。そして、奥さんの苦しみやカズオが可哀相だと思わないのか? 幸せに憧れる気持ちは理解出来るがそれはやりすぎではないか!? と言われて「理解が出来るだって?」と鋭く反応する李理香は、あんたに何が理解出来るって言うのよ? と本性を現した。おうよおうよ!

 何一つ苦労も知らずに育ち、仲間を平気で売る事が出来て自分だけ点数を稼いで、世渡りが誰より上手い。あんたみたいに幸福の中で温々生きて来た人間に何が理解できるのかって言ってるんだよ!! と本音を突き付けられた未明は、「彼が好きだったの」と告白。好きだったの! と声をあげると、源太に朝見つめられるだけで幸せだったのだと言うではないか!!ほほぉ〜。
 それをあんたがやって来て、盗んで持っていってしまった!! と赤裸々な告白が続く訳で、その日以来私を見てくれなくなった、カズオもあなたに手渡すようになるとすぐになついたと説明。私はあんたに幸せ奪われたのよ!! と声をあげる未明は、自分も何度か誘われた事はあったが不倫する勇気はなかったのだと激白。なのにあんたは簡単に寝る事が出来た、ずっと憎かったのだと続けると「その可愛らしい顔で孤独ぶって不幸せ装って生きてるあんたが憎かった!」と正直に告白。だから告げ口してやったのだと続けて、自分のようにひっそりとしか人を愛せない人が居る事を覚えておいて! と結んぶと、さすがの李理香もうなだれるしか術が無く… 欠席が続くカズヤの靴置き場を見て涙を流した。源太、だめじゃん。あちこちコナかけちゃぁ…。
 そんな事があって、自分が育った施設を訪れた李理香は、幼い日を回想。自分たちもいつか誰かと結婚して子供を作って家族を持つのだろうか? と尋ねる民雄から、誰にも愛された事のない自分たちが本当にそんな事が出来るのか? と問われた李理香は、解らないと返答。大人になったら結婚しようと言われて「イヤだ」と即答して、子供ができたら祖父祖母が居ない事になるので可哀相だと説明。自分たちは親のみならず祖父母もいない事を納得する民雄に、だから結婚相手は沢山兄妹が居て、親も元気で祖父母も健在な人が良いと続ける李理香は、現実的な奴だと言われても、幸せになりたいから、と結んで回想を終えると、竹刀を片手の園長(つじ しんめい)が相変わらず園児を折檻している姿が視界に飛び込んで来た! 柵の向こう側に立つ李理香に気付いて随分立派になったと言う園長は、まだ虐待を続けているのか? との弁に、人聞きの悪い! これは虐待に非ず愛の鞭だと説明して、だからお前のようにまともな人間が園から羽ばたいて行けたのだと言う。
 私の何処が立派なのか? あんた何処見てるの!? と興奮する李理香は、気持ちを静めて私の兄妹たちに優しくして欲しいと懇願。そうでなければ大人になってから自分のように世の中に対して憎悪や復讐心しか持たなくなってしまうのだと説明。あんたが私たちにそういう心を植え付けた、あんたのせいで私は人間を信じる事が出来なくなった、自分のまわりの人間がどんどん不幸になって行く、全部あんたのせいだ!! と涙で訴えた。それが正しい怒りの矛先です。
 園長は黙ってその場を去って行き、そこにやって来た三原(銀粉蝶)に慰められた李理香は、その夜いつものガード下に赴いた。
 ロンリーガール! と声を掛けられて「あぁ、中也」と低く応じる李理香は、CDを買ったが良い出来だったとの感想に意外そうに顔をあげた。音、演奏、アレンジ共に良いと評して、ひがんでしまった事が情けないと正直な中也はいつもの居酒屋へ飲みに誘った。
 深刻そうな様子を気にして、デビュー早々何か不満でもあるのか? と尋ねる中也は、言うと君に失礼だから… との弁に、やっと常識が解るようになって来たと評して、俺は落第、失恋続きの失格人間だと認めた上で、話せば落ち着く事もあるだろう、と聞き役を買って出た。良い奴だ。

 あの音楽やポスターが自分ではないみたいだとの悩みに、覆面歌手ゆえ仕方ないとオツに返す中也は、そうではなくて声も含めて全て! と返す李理香に、アレンジ、ミックス等全て良く、覆面歌手とのイメージも悪くない。柿崎の敏腕なればこその大々的な宣伝活動だとフォローして、あくまでお前ではなく『蓮井朱夏』なので気にするな! 嫌だったらやめれば良いのだと励ました。
 それはそうだと認めつつも『歌は人の心を現すものだ』と言われた事を挙げて、今の私は最低だと言う李理香は、そんな人間があんな歌を歌っていて良いのか? との自己嫌悪なのだと説明。他にも『歌が輝かない』理由はある… との弁を受けて、確かに『歌は人の心を現すものだ』と言ったと返す中也は、しかし最低の人間に歌を歌う資格がないとは言っていない、むしろロックは最低の人間だからやって行ける世界なのだろう。歌も心があるから苦しい=歌に説得力が出る筈で、お前がただの良い奴ならば、あんなに心には響かないと説明すると「お前、頑張るなよ」と励ましの言葉を結んだ。初めて客観的でしかも納得出来る台詞を聞いた気がするぞ。
 そんな有り難いお言葉を頂戴した所に、携帯が鳴ると『葛井昴』の表示を確認した李理香は、よせば良いのに、件の仕事場がある高級マンションに急行! しっかり尾行していた源太は、そのマンションに『葛井昴事務所』がある事を確認して、物陰に身を隠した。
 前回の勝手な振るまいを詫びる李理香に「君はカナリアで私は鳥かご」と唐突に返す昴は、「鳥かごのドアは開けてあるので君は自由なカナリアだ」と結ぶと、その陳腐な言い回しではなく「自分が気持ち悪い」と声を詰まらせる李理香は、こんな関係を平気で持つ事が出来る自分が… と涙を流しながら、基次郎の手紙を回想。『身体の汚れは洗い流す事は出来る。でも心の傷は洗い流す事は出来ない。君は一日も早く自分の存在を認め、自分を好きになって、そして世界を許しなさい』との言葉に涙を流し続けると、ソファーで眠ってしまった李理香はパチパチと原稿を入力する音で目を醒ました。
 失意でマンションを出ると、源太の尾行に気付かないまま下北沢の雑踏を抜けてアパート前に到着。夜空の月を見上げて「基次郎〜 会いたい〜」と口に出してから郵便受けを開ける手を源太が掴んだ!! 昴とも付き合っているのか? あちこちに男が居るお前はどういう女なのか? 長く付き合っているのか? と迫られて「そういう質問には答えたくありません」と無気力に返すものの、それでも俺はお前が好きだ、お前を離したくない!! と迫られて、お願いだから家族の元に戻って下さいと力無く呟く李理香が、保育園を辞めると宣言した所に、静江が登場! こりゃぁ修羅場かぁ? と思いきや、カズヤが会いたがっていて、パパと一緒に遊びたいと穏やかに告げるではないか。
   そして、あなたが追いかけているものは幻だと指摘。幻はいつか消えてしまうが、自分とカズヤは消える事がない。いつもあなたの事を心配しているのだと続ける静江は、苦しい想いをさせた事を詫びて、自分の愛情が足りなかったのだろうと認めると、「もう大丈夫… もっと幸せになろう」と訴えて、李理香を気にし続ける源太を連れてその場を去って行き…。残された李理香は、泣きながら「ごめんなさい…」を何度も繰り返しながら夜空の月を見上げた。
 そして翌日。3年前に基次郎から貰った詩集『ZOO』を手に旅行支度を整えた李理香は「約束を破る事にしました」と綴った手紙を回想。絶対に会わないという約束を破る程に苦しいのだと続けて、あなたの顔を見てきちんと叱れたいのだと説明。空港に向かうバスの中で、約束を破った私をあなたならきっと許して『下さる筈』、きっと私に光りを与えて『下さる筈』と訴える李理香は、こんなに汚れた私でも会って戴けますか? と問い掛けた手紙の返事を待たずに、函館の地に降り立った。
 そして、函館山ロープーウェイの山頂駅で働く姿を想像しながら「基次郎、私来てしまいました…」と呟く李理香で… 『愛をください』第6話、end。

▲李理香が覆面歌手『蓮井朱夏』から『来ちゃいました女』に化した第6話。昨今の連ドラでは珍しく5話まで藤田明二氏が連続演出だったが、松田秀知氏の演出は李理香の描き方がかなり憎々しげで痛快だった。今週もバリバリ現実離れした台詞を吐き続ける売れっ子脚本家・葛井昴氏だが、一体どんなドラマを執筆しているのだろうか? 是非とも劇中で紹介して欲しいものだ。突き抜けたキャラ揃いの中で中也の言動だけが唯一自然で好感が持てたので、どうかこのまま貴重な『普通の人』として頑張って戴きたいものだ。因みに新聞掲載タイトルの『話題騒然!今夜も泣けます』はいまいち凡庸。4話の『こんな猛暑でも〜』のインパクトを越えてくれなければ俺は納得出来ないぞ!
 さて来週は、職場に基次郎を訪ねるものの「そんな奴は居ないなぁ」と言われる李理香に、3年もよく嘘をつけたもんだよなぁ… と中也も呆れ顔。しかも未明は、保育士辞める前に人間辞めた方が良いんじゃない? と核心をついてくれるぞ! そして幸せスマイル全開の実父・昭彦(串田和美)と李理香が御対面しつつ、函館の基次郎宅の前で、あなた何者? と呟く李理香が、「基次郎、一体どういう事なのか教えてよぉ〜」とアパートのベランダで涙して… 基次郎が実在しない!? ホラー作品だったのかどうか… 期待して待つぞ!!


● 愛をください  ●

第5話『遠慮しすぎのメガネザル』<8月2日(水) ヨル9:00〜9:54 フジ系>
脚本:辻仁成 演出:藤田明二

<出演>遠野李理香(21)菅野美穂/月密【つきみつ】中也(27)伊藤英明/進藤未明(23)原沙知絵/柿崎保(38)筧利夫/木場静江(28)黒谷友香/園長・石井苗子/美智子・深浦加奈子/長沢基次郎(31)江口洋介/野波麻帆/民雄・鈴康寛/ケン山本・KEE/蓮井妙子(45)仁科亜季子/木場源太(35)杉本哲太/蓮井昭彦・串田和美/葛井昴(45)陣内孝則 ほか


 手紙が途絶えがちな長沢基次郎(江口洋介)に、毎日返事を待っている旨をしたためる遠野李理香(菅野美穂)は、会えないと信じていた父・蓮井昭彦(串田和美)に会って来たが、感動も喜びもなく許せないという憎しみだけが残ったと報告。置き去りにされる悲しみ、捨てられた者だけに残り続ける憎しみ… と心情を綴って、保育園の中庭で園児たちと共に空を見上げる李理香が、私は青空が憎い… 愛をください… と結んだその日、木場源太(杉本哲太)の妻・静江(黒谷友香)から園長宛に、息子のカズを連れてしばらく福岡の実家に戻るとの連絡が入った。
 夫婦喧嘩か? と進藤未明(原沙知絵)はそれ以上の追求を避けるが、『妻も子も捨てるつもり』と思い詰めた様子の源太に『捨てないでよ…』と訴えたシーンを回想する李理香は、程なくして美智子(深浦加奈子)から園長室に呼び出された。
 知りません。身に覚えがありません、としらを切る李理香は、寝言で『李理香』と叫んだ源太を追求した静江が、喧嘩の際に暴力を振るわれて実家に帰る事になったと説明する園長(石井苗子)に、身に覚えがありませんと繰り返した。『李理香』などと希な名前じゃ言い訳も出来ないわなぁ…。
 その態度に呆れて「今日はここまでにしておきます」と諦める園長から、今後色々調べて行動に問題があった場合は、今度こそ『何の情けもかけずに』即刻保育園を辞めて貰うと言い渡されてさすがに落ち込みを見せる李理香の前に、児童養護施設時代の友人・りさ(野波麻帆)と民雄(鈴康寛)が現れた。
 3年振りの再会に笑顔を戻す李理香から「今は何をしている」と尋ねられて、目下社会と自分への復讐の真っ最中だと返すりさは、凄い復讐なんだ! と言う民雄と共に待ち伏せていたのは、その作戦に加わって欲しいからだと説明。マンションで乾杯の準備を整えると、復讐=主婦になる事だと打ち明けるりさは、主婦=結婚がなにゆえ社会への復讐なのか? まさかどこかの幸福な家庭を壊して? と自分に置き換える李理香に、そうではなく母親になったのだと返答。常連客の子供を宿したが結婚相手は民雄だとの弁を受けて、ある客と恋愛関係を持ったが妊娠を知ったその男は金を渡して逃げて行ったと『新郎・民雄』が言えば、気がついた時には5ヶ月を過ぎておろせなかったと続くりさは、孤児が母親になるとはどういう事か解るか? と投げ掛けた。
 自分と同じ運命だけは送らせたくないと思いながらも、悩み抜いて子供と一緒に死のうかとも考え、復讐心を持ち過ぎた罰なのだとも思ったと説明。誰にも相談出来ずにいたが民雄に打ち明けると翌日プロポーズされたのだと言う。
 ちゃんと考えた上での事だと言う民雄は、親の居なかった自分たちが親になって子供を立派に育てる事が、自分たちを侮辱した社会への復讐になると説明。実はもの凄く不安でこの先どうなるかは解らないが、今は民雄と自分を信じてみようと思っていると心中を語るりさに続いて、だから証人になってくれと言う民雄は、今日はふたりの結婚式だと結ぶと、感動の涙をこぼす李理香を促して『産まれて来る子に乾杯!』とシャンパングラスを鳴らした…。
 そんな『復讐』もあるのか… とアパート前で下弦の月を見上げる李理香は、指を組んで願いを込めつつ恐る恐る郵便受けを開くと基次郎からの手紙を発見した!
 返事が遅くなった事を詫びつつ体調を崩して会社も休んでいたという基次郎は、父との面談は自分なりに色々考えてみた結果会わない方が良いのでは? と記しているではないか!遅いでしょうが!
 復讐心に翻弄されている今のあなたでは良い再会は難しいかと思う、もう少し時間が必要だろう、人間としてあなたが成長した時に未来が見えて来るのだろうと分析して、いずれにせよ焦らずに、あなたが全てを許せるという時期が来るまで慎重に行動してください… と結ばれた手紙に、会わない方が良いとのアドバイスは遅すぎるし、自分の成長など待てず、未来など信じられないとモノローグする李理香は、すぐに返事をくれない基次郎の事も信じられないとため息を漏らした。

 後日。車で尾行して来る源太に気付いた李理香は脱兎の如く逃げ出すが、程なく追いつかれてしまい…。園長から聞かされた通りを説明する源太は、暴力を振るった事を咎める李理香から、何故冷静になれないのか? 暴走しても何も良い結果は… と言われるが、解っているが好きで好きで仕様がないんだ! どうしようもないだろう!! と声を荒げて、奥さんや子供に負けないくらい幸せにして欲しいとの言葉を引用した。その後『捨てないで』とも言ったとの反論に、幸せはあっちこっちにはないと説明。どっちはいつか消えなければならないと言う源太は、結果お前を取ると決意して、仕事も辞めるので一緒にどこか違う土地に行って新しい人生をスタートさせたいと先走りまくる。
 そして、なにゆえその考えに至るのか? あんなに綺麗な奥さんやカズはどうするつもりなのかと迫る李理香に、刺激のない安定した幸福に飽きたのだと返答。良い夫や優しい父親を演じるのもウンザリで、家族の食べ残しを整理するのが俺の幸せじゃない。これから一生このエンドレスの幸福に浸って生きて行くのは耐えられないと続けて、人生は長いのでやり直しがしたい… と無責任発言連発の源太は、幸福に飽きたなんて! と罰当たり発言に驚く李理香に、お前が俺から離れようとすればする程惹かれて行く、お前には不思議な生命力がある、ここではないどこかへと俺を連れだしてくれるもの凄いエネルギーがある! と評して、それがなにかは解らないが俺はお前に惹かれて行く、そして俺はお前を幸せに出来ると結んだ。人生は長いので、また家族を捨てるんじゃないか?
「出来ない」と言われて、出来る! と食い下がる源太は、幸せが欲しいのなら俺がお前を誰よりも幸せにして見せると明言。都合の良い幸せですね… と言い捨てて立ち去る李理香の腕を取って、ドライブに行ってこれからの事を話し合おう! と執拗に迫るが、さわるな!! と吐き捨てる李理香はガンを飛ばして今度こそ立ち去って行った。どんなドライブなんだか。
 茫然と空を見上げる李理香は、これが私の復讐? これが私の望んでいた事なのか? と自問しながら『復讐心こそ一番醜い心だよ』と基次郎の弁を回想すると、その夜葛井昴(陣内孝則)の仕事場を突然訪れた。
 君の中の天使と悪魔が戦っているんだなと言う昴は、惹かれる訳がやっと解ったと言い出して、どうしてこんなに気になるのかをずっと考えていたのだと告白。心の中に天使と悪魔が同居している、と月並みな表現で、正反対の心を持つが故に揺れる君が居て、物書きの自分は興味に駆られて君を創造したいと思っていくのだが、今すぐ愛されるとは思っていないと説明。年齢や立場の違いではなく、心の問題だと続ける昴は、欠落しているものがあると指摘。あらかじめ持って生まれる事のなかった感情と言うべきか? 欠けた月のようにその部分だけがポッカリと失われてしまっていると勿体つけると、それは何? との問いかけに、旨くは言えないが人を愛し信じる気持ちだと指摘する。
  園児たちは大人の醜い顔を持っていないので天使の部分を見せられるのだが、自分に抱かれている時は猜疑心の塊になると評して、大人の心を持った人間を全て疑っているのが悪魔の部分だと指摘。部屋を出て行こうとする李理香に、焦らずゆっくり生きてゆけば、いつか悪魔と天使が和解する時が来ると昴は結んだ。
 そんなこんなでガード下に出向く李理香は、無視を決め込んだ月密【つきみつ】中也(伊藤英明)から、また悲しい事があったのかと声をかけれて、どうして解るのか? と返した。
 ひとりで歌いたい時はいつもそうだとの御指摘に、ならばほっといてくれと返すが、あの人はどうする? とこなした先には柿崎保(筧利夫)が待ち受けているではないか!?
 今時ウインクなど送るかったるさに、ひとりで歌いたかったとウンザリするものの、もうここでは歌わないかと思ったと安堵して「どうもぉ〜こんばんわぁ〜」と近寄って来る柿崎は、聞いてても良いかなぁあ? と暑苦しく迫ると、路上はみんなのものであり勝手に歌へば勝手に聞くのは自由だと中也がフォロー。邪魔にならないように離れていると目をギラつかせる柿崎は、李理香の歌に聴き惚れた。凄いキャラだな、コイツ。

 やっぱりとっても良い! と拍手して今日はもうオシマイか? と迫る柿崎は、じっと見られては調子が出ないと言う李理香に、久々に真剣なのでつい力が入ってじっとしていられないと暑苦しく弁明。少しで良いから時間が欲しい、「お願い!」と手を合わせて頭を下げた。
 中也をも巻き込んでいつもの店に場所を移すと、保育園も続けながらの活動方法を考えたと言う柿崎は、顔を出さず名前も偽名。事務所にも所属せずの覆面歌手としてのデビューを提案。印税の関係で著作権協会にだけは本名登録が必要だが… との弁に中也も賛成。もし売れなくても、すぐに元の生活に戻れると続けて、「やろうよ、音楽シーンを変えよう!」と噴飯もので迫る胡散臭さをどう思っているのか? 柿崎程の人物にこんなに惚れ込まれて羨ましい、自分は何度ゼブラレコードのオーデションを落とされた事かと言う中也は、これは実力ではなく神様のおぼしめしであり、今のお前には環境の変化が必要だと指摘して柿崎を『うんうん』と頷かせる。グジグジしたものにがんじがらめだが、CD発売で人生に変化が訪れるかも知れないと続けて、音楽シーンを変える必要はないが… で柿崎は『なにぃ!?』と不満そうだが、自分自身が変われるきっかけが掴めるやも知れずで、逆に悪い結果が出たとしても何もしないで何かを待つよりはマシでは? と背中を押した。『音楽シーンを変える必要はない』には賛成だ!
『何もしないで何かを待つよりはマシ?』と反芻して自分に欠けているものの象徴である下弦の月を見上げる李理香が、やってみます… と呟いた瞬間、中也の頬に影が入るが「やります」を確認した柿崎は、やったぁあ〜!! と立ち上がった。
 中也クン、有り難う! と森進一風なハスキーボイスを使い分ける柿崎は大袈裟に握手を求めると、すぐにレコーディングでまずは『ZOO』で世の中をノック! アウト! だと振った首筋をほぐしつつ、最高のミュージシャンとスタッフを集めてみせる! と熱苦しく宣言して店を出て行った。
 滅多に嫉妬した事はないと漏らす中也は、さすがに今度ばかりはなぁ… と正直に告白。27歳までプロを目指してオーディションを受けて来たのに、目指していない奴が簡単にプロになるとは… と続けるが、さっき言いそびれたがふたりでデュエットはどうか? と言う李理香に、ふざけるな、バカにするな! と声をあげて、俺にもプライドぐらいあると憤慨! 俺はそこまで哀れなのか? と迫って、そんなつもりでは… との弁に、お前には下積みがないから解らないだろうが引き受けた以上は最後まで全力を尽くしたCDを作らなければ金輪際口はきかないと迫る中也は、大きくため息をついた…。辛い所ですなぁ…。
 帰り道で下弦の月を見上げる中也は、お前の周辺は水の流れが悪い気がすると指摘。人前で歌う前にそのゴミを取り除いて流れを良くしておく方が良いと続けて、説教は嫌いなのでこれに留めるが、歌は心を映す鏡のようなものだと結んでその場を去って行くと、兎に角どこかに脱出したかったとモノローグする李理香は、欲しい出口が見えない今を変える為にCDを作る事が本当に良いのか… と月を見上げながら基次郎に問い掛けた。
 そして翌日。やはり欠席が続くカズの事を実は好きだと告白する“きょん”を迎えに来た昴は、疲れた顔をしていると指摘。大丈夫だと返す李理香に『いつでも良いから』と耳打ちして帰って行ったその夜…。手紙が思うように進まない李理香は、基次郎からの『復讐とはそういうものだ』と記された手紙を読み返した。
 仕返しをしたつもりでもそれ以上に自分が傷ついてしまう訳で、苦しいのは結局自分のせいだと指摘する基次郎が、昨日昼休みを利用して君の為に撮ったという函館市内の写真を眺めながら、『ゆるゆる生きて下さい』との文面に目を移す李理香は、例え僕の手紙が届かなくなっても大きな心でのんびり待っていて欲しい、僕はここから君を見守っていますよ… と結ばれた手紙を読み終えて、何故返事が出せないのか? と口に出した。
 何か手紙を書けない事情があるのか、それとも励ます事に疲れたのか? と問いつつ、そういう優しさはいらないと続けて、みんな身勝手でもう誰も信じられないし信じたくないと結ぶ李理香は、翌日再び園長に呼び出された。

 カズの長期欠席の件を再び問われて、何の事やらさっぱり理解が出来ないととぼけて、自分が疑われる理由が何かあるのか!? と強気で迫ると、何度も言うように何かあってからでは遅いと言う園長は、若さ故で身の程をわきまえていないのではないか? と迫るが、いくら親がいなくとも身の程くらいは解ると李理香は反撃する。が、以前にこっそり源太と微笑み合う現場を見たと言う美智子は、小声で『携帯に電話をくれよ』と囁いたと指摘。そんな事はないとの弁に、それでは私の耳がどうかしていたのか!? と迫る美智子に、そんな事は知らない! と突っぱねるものの、そこに静江から電話が!!
 直接話があるとの御指名を受けた李理香は、心当たりはないのか? と迫られてしらを切り続けるものの、ならばなにゆえ主人は寝言で名前を叫ぶのか!? と声をあげる静江は、大きな声で縋るように何度も叫んでいたとの新事実を暴露! 手放したくないかのような悲痛な叫びだったと続けて、優しかった夫が暴力をふるう豹変振りは、誘惑されたからだとしか思えないと迫るが、いつものようにカズを預かっていただけとの白々しさに、この子が不憫… と涙声で電話を切った。李理香って凄い…
 だんだんボロが出て来たと言う美智子は、もうすぐ尻尾を掴んでここから追い出すので待っているようにと迫って、園の風紀を乱す者は追放しないと… と結ぶ。
 電話はどういう話しだったのか? と問い質す園長は、聞いての通りとのふてぶてしさに、静江はあなたが夫を取ったと言った事を確認。必ず尻尾を掴んであげるわ… と美智子のダメ押しに、『復讐とは〜(以下省略)』の言葉を回想する李理香は、その後ゼブラレコードでスタッフ顔合わせに出席した。
 最後にサウンドプロデューサーのケン山本(KEE)を紹介する柿崎は「売れっ子です!」と解り易く説明。握手を求められて遠野李理香ですとの自己紹介に、覆面歌手の名前を考えたと言う柿崎は、下の名前のみ、朱色の朱に夏と書いて『朱夏』ではどうか? と提案。何でも良いです… との返答に、そのやる気のなさが良いな〜 とケン“売れっ子です!”山本は皮肉を込めるが、苗字は? と振られた李理香は父・昭彦宅の表札を回想。蓮井でも良いですか? との提案に「蓮根の蓮に井戸の井ですか?」と力強く太マジックを走らせる柿崎が『蓮井朱夏』と読み上げると、一同異議なし! 実はCMタイアップも決まっている? などとやる気ある人々を無視してノートに蓮井と書き続ける李理香は、電車を乗り継いで再び蓮井家の団らんを盗み見た。
 ニューキャラの妻・妙子(仁科亜季子)も交えて嫌味な程に幸せそうな笑顔を振りまく昭彦を恨めしそうに見つめる不審者・李理香に気付いて犬のジョンが吼えだした! やれ散歩に行きたいだ腹が減っただと一家総出でジョンを囲んで大騒ぎの図に益々ショックを受ける李理香は、どうしてあなたは笑ってられるのですか? と思わず呟いた。
 人に捨てられた私がどれだけ悲しい思いをして生きてきたのか、生きようとしているかは解らないでしょう? 何故あなたは幸福で私は不幸なのか… 私は要らない子? 不必要な子ですか? 私は捨てられた荷物なの? と続けると動揺のあまり誤って鉢植えを落としてしまい… 指差して誰か居る! と言う長女の声に脅えてその場を脱兎の如く逃げ出した李理香は、道にうずくまって「淋しいよぉ…」を繰り返して泣き出した。
 誰か、誰か… と声をあげて淋しいよぉ〜 と泣きながら下弦の月を見上げて『淋しい時は夜空に月を捜して下さい』と追伸された基次郎の手紙を回想。僕の光があなたの悲しみを癒し、いつもあなたに寄り添っているので、決して李理香はひとりじゃない。満月の夜は精一杯の愛を送ります… とのメッセージを胸に刻みながら「モト…」と漏らす李理香で… 『愛をください』第5話、end。

▲これみよがしな昭彦の笑顔が不気味な第5話。どっか具合が悪いのか? と思う程ニコニコされ続けては李理香ならずともひんしゅくを買うと言うもので… ヘンだぞ、昭彦!? と突っ込みつつ、もう一人の変な男・柿崎保38歳のオーバーアクションなハイテンション男ッぷりには大いに笑かして戴いた。業界ノリのつもりなのか? コントと見まごう妙なハイテンションは、深刻な世界の住人・李理香、昴、源太、未明、中也の中で異彩を放ちまくりで、ドラマの世界観を一層味わい深くしてくれる救世主の如き貴重な存在だ。どうか最後まで迷走しまくって戴きたい。因みに『はすいしゅか』と入力すると『破水酒家』と変換されて、これまた味わい深いぞ!
 さて来週は、なんか自分じゃないみたい… とCDジャケットを手に漏らす李理香に、あれはあくまでも蓮井朱夏なのだと中也が返せば、一番あんた憎んでるの私なのよ! とジットリ未明が涙で訴えると、何が理解出来るかって言ってるんだよ! と負けない李理香に、人を愛せないなら無理して愛す事もないと昴が進言。「基次郎… 逢いたい」と李理香が呟けば、源太と静江は元の鞘に収まるのか? そしていよいよ函館の地を訪れて「基次郎… 私、来てしまいました」と呟く李理香で… どうなる事か、期待して待つぞ!


● 愛をください  ●

第4話『おしゃべりな九官鳥』<7月26日(水) ヨル9:00〜9:54 フジ系>
脚本:辻仁成 演出:藤田明二

<出演>遠野李理香(21)菅野美穂/月密【つきみつ】中也(27)伊藤英明/進藤未明(23)原沙知絵/柿崎保(38)筧利夫/木場静江(28)黒谷友香/長沢基次郎(31)江口洋介/民雄・鈴康寛/三原・銀粉蝶/美智子・深浦加奈子/木場源太(35)杉本哲太/蓮井昭彦・串田和美 ほか


「わたくし、そういう者です」と名刺を差し出すゼブラレコードのプロデューサー柿崎保(筧利夫)から「あなたと長いお付き合いが出来たら…」とCDデビューを勧められた遠野李理香(菅野美穂)は、そこにやって来た月密【つきみつ】中也(伊藤英明)と共にいつもの居酒屋へと場所を移した。
 ゼブラの柿崎と言えば業界でかなり名の通った敏腕プロデューサーで、自分は何度もオーデションを落とされたと言う中也は、プロになる気はなく保育士のままでいたいと返す李理香に、曲も歌もかなり良い。歌が生きていて心に刺さって来る。偽物の歌が溢れている時代にお前の作った歌は輝いていると手放しで大絶賛! 難しく考えずに思い出だと思ってCDを出してみるのも悪くないし、柿崎となら絶対『ポップス界のスター』になれると太鼓判を押した。『ポップス界のスター』に『絶対なれる』か… 羨ましい限りだ。
 だが、最初から言っている通りプロなどになりたくないし、スターにも憧れていないと返す李理香は、そういう生き方もあると納得する中也と別れて帰宅。空の郵便受けに溜め息を漏らしつつ、長沢基次郎(江口洋介)に手紙をしたためながら、人には育ちと関係なく生まれ持ったものがあり、それが人生を大きく左右するのだろうか? との追伸を書き終えて窓をから空を見上げると、「月が出ていない」と口に出して、基次郎の名を呼んだ…。
 後日。児童養護施設時代の保育士・三原(銀粉蝶)から、信憑性は兎も角実父の居所が解ったとの連絡を受けた李理香は、詳しい話を聞くべく約束の喫茶店に出向いた。
 学園に幼い李理香を連れて来た人物は、行きずりの人から預けられたと言っていたが、実は父の親戚だった。重病に倒れてから自分に何かあった場合に、その娘が一生自分の父親に巡り会えないまま終わってしまう事を思い悩んだ結果、こっそりと氏名住所を記した手紙を三原宛てに送って来たとの説明を聞いた李理香は、『蓮井昭彦』なる名前を確認。蓮井は娘の顔も名前も知らないし、住所も比較的近所… しかし新しい妻子が居ると続けて難しい選択だと溜め息を漏らす三原は、「今更会っても…」と言う李理香に、向こうが会いたがるのか、どんな人物なのかはハッキリとした返事が返って来なかったのだと説明。20年近く前の事ゆえに、父の気持ちにどんな変化があるのかは解らないとも言っていたと聞いて、益々困惑する李理香は「解りません」と正直に応えた。何だか凄く都合の良い説明だなぁ…。
 喫茶店を出てフラフラと街を彷徨う李理香の姿を発見した木場源太(杉本哲太)は、妻・静江(黒谷友香)を適当に誤魔化してストーカーの如く後を追った。
 逃げる李理香に、何故連絡をくれないのだと迫り、どうして急に冷たくなる? 前は電話ですぐに会いに来てくれたが今は電話にも出てくれない! と目を血走らせるわ腕を掴むわの源太を振りきって更に逃げ出した所に民雄(鈴康寛)のバイクが割って入った。
 兄だと偽って用があるなら俺が聞く! と凄む民雄は、礼を述べつつ多少の誤解があるが悪い人ではないとの説明を受けて、どういう誤解かは知らないが妹を苦しめる事は俺が許さない!! と更に凄むと、また出直すがよく考えていて欲しい、ふたりが育んだ愛を想い出して欲しい… とトチ狂った言葉を残して、源太はその場を去って行った。お前が『よく考える』べきだ。
 そんな修羅場に遭遇して、お前も俺の事はとやかく言えないと指摘する民雄は、自分も変わるかもしれないと言い出して、旨く説明出来ないがバイクを乗り回す事ではなくやっと世の中に復讐する事が出来そうなのだと結ぶ。そして変な事を考えてはいけないと心配顔の李理香に、一度仲間のリサとメシを喰いに行こう、お前にも加わって欲しいと意味深発言を残してその場を走り去って行った…。

 そんなこんなで自殺を止めらた陸橋に佇みながら基次郎に宛てて、突然父の居所が解ってしまい戸惑っている… とモノローグしたところに柿崎からの携帯電話が鳴った。一度話だけでもさせて欲しい。決めるのは君で本当に駄目なら仕方がないが、兎に角情熱を伝えたい。一時間で良いから会って欲しい! とハイテンションな申し出に、李理香は期待しないで欲しいと言いながらも翌日のアポを受けた。情熱か… 暫し使っていない言葉だなぁ。
 その夜。ベランダの鉢植えからイチゴを摘み取りつつ基次郎に語りかける李理香は、何故両親は私を捨てたと思うか? 自分の子供を捨てるとはどんな気持ちがするものなのか? 今この時に捨てた私の事をどう思っているのか、まだ覚えているのかすっかり忘れているのか… と不安そうに宙を睨んだ…。
 翌日。ゼブラレコードを訪れた李理香は、息を切らせて階段を駆け下りて来た柿崎にプロになる気もCDを出す気もなく「私が欲しいのはただひとつ、幸福です」と告げた。
 他の問題も抱えている事、施設で仲間と共に育ってきた事を明かして、そんな自分にとって大事なものは金や名声や成功ではなく普通の幸せなのだと説明。しかも昨日は自分を捨てた父の居所が解って、とてもCDを出す気分ではないのだと言うものの、事情は飲み込めて歌に説得力がある理由も良く解ったと目を輝かせる柿崎は、益々仕事がしたいと思っていると迫る。
 そして、もしも間違えて自分のような人間がスターになったとすれば、それに群がって様々な野心を持った人が近づいて来るだろう。しかし自分が欲しいのは『嘘偽りのない本物の愛』であり、ただ普通の幸せなのだが、それが見えなくなるのが怖い。あるいは全く曲がヒットせずにある日突然柿崎やレコード会社からポイと捨てられるはもっと怖いし、そうなれば保育園にも戻れない… と本音を語る李理香は、そっと生きて行きたい、道端に咲いた名もない花で居たい… と結ぶ。
 だが、それでも『仕事がしたい』を繰り返す柿崎は、君が持っている孤独感こそ今の時代に一番必要なものだからです! と断言するが、これ以上自分の人生を切り売りして生きて行きたくないと結ぶ李理香は、部屋を出て行った。何だか良く解らん会話だぞ!?
 その夜。基次郎によせる手紙に何故返事が来ないのか? としたためる李理香は、復讐の為に園児の父親と関係を持っているような酷い女なので愛想を尽かされても仕様がない、流石のモトも呆れ果てたのか? と諦めるものの、ここで君と文通が出来なくなれば私は本当に苦しい。本当の事を話してしまった自分の人の良さにきっともの凄く後悔をするだろうと続けて、お願いだからどうか返事を下さい、と締め括った。『人の良さ』ねぇ…。
 翌日。保育園に息子のカズを迎えにやって来た源太は携帯に電話をくれと耳打ちするが、如何にも『私たち訳ありです』な雰囲気を美智子(深浦加奈子)と進藤未明(原沙知絵)はしっかりと察知。告げ口の件を気にしているのか? と尋ねられて、どうせ美智子にしつこく聞かれたのだろうし園児を心配しての事でもあり、自分が同じ立場だったらと思えば責められないと返す李理香は、むしろ庇ってくれた事に感謝していると返答。戸惑いながらも言葉通りに受け取る未明に、今まで通りに仲良くやろう、友達だから信じていると結ぶものの『コノ野郎』とばかりに手にした雑巾を握り締めた。おお怖ッ!
 その夜。布団を敷きながら基次郎に語りかける李理香は、人間はみんな嘘つきで簡単に人を裏切るので嫌い! いつか自分を裏切るであろう基次郎も大嫌い! 優しい人は皆嘘つきなので、自分はひとりで生きて行く、手紙をくれないあなたも信用出来ないと結ぶ。だが、こんなに苦しいのは産まれて来たからで、自分を産んだ人が悪いと独り言を続ける李理香は、その片割れを発見したので復讐する! と決意表明した所で、ベランダにサンダルが飛んで来た!!

 散歩に行こう! と誘う中也は、そんな気分ではなく独りでボ〜ッとしていたいとつれない返答に、それでは人間は悪い方向に行きがちであり、現に自殺しそうな顔をしていると分析。勝手に人の心を読むな! と返す李理香は「こいつも信用できない」と呟いて布団に潜り込んだ。
 今日は不機嫌な九官鳥だと笑う中也は、ベランダによじ登って歌い始めるが「落ちろ」とのお言葉通り程なく力尽きて落下! 慌てて駆け寄って来た李理香に、助けに来てくれる事を期待してわざと落ちたのだと説明した。見かけによらず根性あるな、中也!
 手を差し伸べるものの「綺麗な目をしてる」と言われて、そういう台詞が今一番聞きたくない! と手を払う李理香は、誰も信じられないしあんたも信じられないと部屋に戻ろうとするが、素直に詫びてそれでも「散歩しよう」との訴えに根負けして夜の下北沢をプラプラ歩く事に。
 いつもの居酒屋で父親の件を話す李理香はどんな奴か見てみたい気もするが、自分捨てた相手からもっと決定的に否定されてしまう事を考えると… と複雑な心境を吐露するが、俺ならもっと気軽に会いに行くし、会って良かったと思う事あるかもと言う中也に背中を押されて、翌日にはメモの住所を訪れた。
 立派な居を構えて自分にとっての妹や弟と共に犬の散歩に出る蓮井昭彦(串田和美)に駅までの道を尋ねる李理香は、途中まで一緒に… と言われて暫し後に続くが、幸せ一杯で穏やかに微笑む父の様子に涙を堪えた…。
 その夜。いつものガード下に出向いて今夜は独りで歌いたい! と離れた場所でひとしき歌った李理香は、定位置で歌っていた中也から、お前の歌が好きで必死で歌うお前も好きだ… と愛の告白を受ける。
 恐らく産まれてから今日まで、ずっと必死で生きて来たであろう姿を見ていると愛しく思える、別に口説いている訳ではないが何とかしてやりたいと思ってしまうと説明する中也は、恋をしてしまったのだと言う。だが、勝手な思いなので無視してくれて良いし、不幸な自分が好かれるとも思っていないとの弁に、父親に会って来た事を告げる李理香は、自分の苦労とは裏腹に自分と血のつながった妹や弟と微笑んで暮らしている事が絶対に許せないと告白。自分は必要のない人間だとずっと思い込んで生きて来たので、誰かに必要とされたくて好きでもない男の人に身体を任せたりしたが、そこには本物の愛などなく…。みんな偽物の愛ばかり、周囲は冷たい人間ばかりで裏切り者ばかりだと続けて、自分は誰にも愛される資格がないし愛す気もないと結んで、その場を走り去って行った。
 勿論中也は必死で追うが、そこに源太の車が滑り込んで来る訳で、なにゆえ連絡をくれないと迫ってお前が望むなら家族を捨てても構わないと言い出すではないか! 俺はお前を取る。妻も子供捨てるつもりだ! と言われた李理香は、捨てないで… と呟いた後に「何にも捨てないでよ!!」と絶叫して脱兎の如く逃げ去って行った。“別れる”と言いなさいよ。
 郵便受けを覗くものの、手紙は届いておらず… どうしてお返事を下さらないのですか? と基次郎に宛てる手紙をモノローグする李理香は、こんな大切な事が次々に起こっているのに、もう私を見捨てたのだろうか。本当の事を言い過ぎてしまったのかと心配しつつも、返事をくれなければこの世界で誰ひとり信じる事が出来なくなるので、是非とも返事が欲しいと綴って、「あなたのただひとりの友達で居たい遠野李理香より」と結ぶ李理香で… 『愛をください』第4話、end。

▲嫌味な程に幸せそうな父・昭彦が初登場の第4話。『これ以上身を削って』『ただひとりの友達で居たい』と、李理香の独りよがりばかりが目立った気がするが、何かの狙いなのだろうか。普通の幸せを望むならば世間への復讐と称して園児の父をかどわかす事無く、一途な中也君とくっつけば良いと思うのだが、そうは出来ない自分に苛立ちを感じてるって事なのだろうが、その葛藤がイマイチ見えてこない気がするのは俺だけだろうか…。因みに新聞や局HPではサブタイトルが『こんな猛暑でも愛と感動と涙贈ります!』とバラエティのりで度肝を抜かれたが、オンエアは『おしゃべりな九官鳥』と従来通りテーマ曲『ZOO』からの引用だった。にもかかわらず『こんな猛暑でも〜』とパブを打った英断に『愛と感動』を覚えた次第だ。
 さて来週は、更に迫る源太に「触らるな!」と声をあげる李理香は、中也の言う「神様の思し召し」を反芻。蓮井家の一家団欒を覗き見て「どうしてあなたは幸福なんですか」と漏ら李理香に「いつか悪魔と天使が和解する時が来る」と今週お休みの昴(陣内孝則)が進言。待望の基次郎からの手紙が届くわ、CDデビューの芸名が決まるわで良い事ずくめと思いきや「淋しいよぉ…」と路上で泣き崩れる李理香で… 脚本の辻仁成氏が、李理香が可哀相で泣きながら執筆した旨コメントした第5話だ! 期待して待つぞぉ〜。


● 愛をください  ●

第3話『片足でふんばるフラミンゴ』<7月19日(水) ヨル9:00〜9:54 フジ系>
脚本:辻仁成 演出:藤田明二

<出演>遠野李理香(21)菅野美穂/長沢基次郎(31)江口洋介/月密【つきみつ】中也(27)伊藤英明/葛井昴(45)陣内孝則/進藤未明(23)原沙知絵/葛井昭子(36)真矢みき/木場静江(28)黒谷友香/柿崎保(38)筧利夫/美智子・深浦加奈子/園長・石井苗子/三原・銀粉蝶/民雄・鈴康寛/木場源太(35)杉本哲太/葛井昴(45)陣内孝則 ほか


 その夜。遠野李理香(菅野美穂)は文通相手・長沢基次郎(江口洋介)への手紙を書こうとするものの、児童養護施設の仲間・民雄(鈴康寛)の『社会を許すな!』との声を回想。『その目は人間を一切信じていない者の目だ』と指摘した葛井昴(陣内孝則)の声や基次郎の『君は過去を許すべきだ。復讐心こそ一番醜い心だよ』とのアドバイスを思い浮かべれば筆は益々止まり… 便箋を破り捨てたところに、木場源太(杉本哲太)が突然訪ねて来るではないか!何と非常識な。
 ドアチェーン越しに中に入れて欲しいと言われても、急に来られて困ると返す李理香は妻や子供が寝たのを確認してやって来たと聞いて、行きつけの店で木場一家とテーブルを囲んだシーンを回想。
 妻・静江(黒谷友香)の語る理想の亭主&パパッぷりを思い起こして、また今度にして欲しいと断るものの、君の俺への愛が「変化してない事」を確認したらすぐに帰るとの弁に、「愛? 確かめる?」と薄笑いを浮かべて反芻。深夜にいきなり女性の部屋を訪ねて中に入れろと迫るのが愛なのか? 私をレディと思うのであれば帰って欲しいと言い渡した。
 それでも諦めずにチェーン越しに手を掴む源太に危機感を感じて大声を上げると、騒ぎを聞きつけた隣人氏の罵声で敵は渋々帰って行く訳で、便箋に向かう李理香は、やはり社会に復讐を開始しようと思うと綴った。
 苦しかった過去の清算には『そこらじゅうで理不尽に咲き誇る』幸福の花を、ひとつひとつひねり潰して行くしかないと気が付き、その実行が過去の苦しみと和解する術なのだ、と締め括っている事を知る由もない源太は、アパートの外から李理香の部屋を恨めしそうに見上げていた…。実行に伴うリスクが目前に迫っているぞ。
 そんな恐ろしい手紙を受け取った基次郎は、函館の美しい空の下でループーウェイの山頂駅からのメッセージを手紙に込めた。
 雄大な自然に抱かれた展望台から戻って来るお客は、生活という苦痛から解放されて皆一様に清々しい顔になっている事を例に挙げて、質や量は違うが誰もが苦痛を抱えているのが人生であり、『君だけが苦しいじゃない』と説明。もっと苦しんでいる人も沢山居る事を忘れないで欲しいと続けて、『君の手紙は痛い』と指摘。世界を抱えようとするのではなく、世界に抱かれて生きている事を想像してみては? と提案して天望台から空に向けて撮った写真を同封。悪魔に誘惑されそうになった時は、この写真を見て心を静め欲しいと結び… 保育園で手紙を読み終えた李理香は、同封された写真を東京の空に重ねて、眩しそうに見上げた。
 その夜。ギターを背負っていつものガード下に出向いた李理香は、月密【つきみつ】中也(伊藤英明)と遭遇! 脱兎の如く逃げ出すものの、写真の御利益なのか? 追ってきた中也と微笑み合って一緒に歌う仲に発展してしまう。長い確執だったなぁ〜。
 随分と歌った後は腹が減っただろうと若い割には年寄り臭い言い回しの中也と食事をするまでに馴染んだ李理香は、顔に“苦しい”と書いてあると指摘されて憮然としつつ、悩んでも問題は解決しない、人間なんて動物なのだから喰って寝て楽しめればそれで楽になるとの弁に、哲学を語るなと返した。
 そして『ZOO』を口ずさみつつ悔しいが良い歌だと認める中也は、絶対にCDが出せると断言。レコード会社にデモテープを送ってみては? と提案するが、CDになどしたくはないと言う李理香は、家では思いっきり歌えないので路上で歌っているのだと説明。プロを目指しているんじゃないのか? と驚く中也がプロを目指している事に驚いて、あんな下手な歌とギターでかい!? と鋭く指摘。よく言った! 俺も同感だぜ。
 自分にはそんな欲はないが歌は友達で、歌っていると孤独を感じないとの弁に、自分も最初はそうだったが、何年かすると意地が出てくるのだと言う中也は、喰って行ける事ばかりを考えるようになると、楽しかった筈の歌がだんだん苦しくなって来るのだと説明。ならば辞めて普通の仕事につけば良いと言う李理香は、プロになりたい! との返答に、苦しいのにと追求。『悩んでも問題は解決しない。喰って寝て楽しめればそれで楽になる』と自分の言葉をそのまま返されて笑顔を取り戻した中也と共に家路に向かった。
 自殺を救ってくれた人が書いた詩を歌っている事も凄いが、3年間も文通している事の方がもっと凄いと驚く中也に、メール等は味気ないが手紙は温もりが伝わるのだと説明。そいつが好きなのか? との問いに、お互い訪ね合ったり好きになったりしないと約束したのだと返す李理香は、文通を長く続ける為であり、恋になってしまうと『文通が違ったものに変質する』と大仰に解説。誰にも言えない本当の事だけをお互いに書こうと約束したのだと続け、随分ストイックな奴だとの御指摘に、人を信じられない自分には丁度良い相手であり、君のようにチャラチャラしていな分だけ信用できるのだと結んだ所に、アパート前に到着。車の中で待ち伏せをしていた源太がふたりの前にヌッと現れた!マジで怖ぇ〜ぞぉ〜!
 こういう恋人が居ながら影で俺とも付き合っていたのか… と家庭持ち男とは思えない発言の源太に、話があるからドライブに行こうと腕を掴まれた李理香が声をあげるわ、止めようとする中也と揉み合うわの騒ぎに前出の隣人氏が怒り爆発! 毎晩毎晩何やってんだぁ〜 と茶碗を投げつけられた源太は敢えなく退散。あんな強面が毎晩来るのか!? と心配する中也には答えず部屋に駆け上がった李理香は、息を切らして空の写真と取り出して気を静めるように務めた。

 翌日。源太の妻・静江が連れて来たカズを平然と預かった後に“きゃん”を連れて来た昴と、本日の密会打ち合わせを平然とこなす李理香に、進藤未明(原沙知絵)がジットリ光線を送っていた。
 サクサク保育園の仕事をこなして、豪華なレストランでワインを傾けつつ楽しい食事を終えた李理香は店のグランドピアノに触れて、ずっとピアノある生活に憧れていたと漏らす。
 家庭教師の先生にバイエルとか習いたかった… と淋しそうな表情を見せつつ、高級ホテルのスイートルームに直行。「宝石箱のような東京だろ?」との陳腐な台詞に失笑する事もなく、こんな世界があるなんて… と瞳を輝かせた。
 ホテルで一番広い部屋で「VIPやスターがよく泊まる」のだと自慢する昴に、お姫様になったみたい… とウットリしながらも「ホント、神様って不平等な事をなさる」と漏らす李理香は、親も家もない自分にとってここはとんでもない世界であり、下界を見下ろすととても恐ろしくなるとコメント。餓死する人がいる一方、何万円もする食事を毎日食べて生きている人がいる。屋根もなく暮らす人々が居る一方、一泊何十万も払う人が居る訳で上を見ればキリがないが、一度この世界を知ってしまうと後戻りが出来なくなるようで怖い… と続けた。そして、欲しいものが限りなかった小さい頃の自分はいつも手を伸ばしていたが、そこには目に見えないガラスの天井がいつもあったのだと説明。すぐそこに欲しいものがあるのに、自分だけはガラスの天井に手がぶつかってしまい、みんなはすぐに手が届くものに自分だけは手が届かないのだと窓を叩く李理香は、自分だけがガラスの天井に覆われているのだと泣き始めた。
 優しく抱き留めて、欲しいものなどすぐ手に入ると言う昴に、身体を売ってと言う意味なのかと問う李理香は、魂やプライドも捨てて手に入れろと言う事か? と迫りつつ窓に映った自分を見つめて「この顔キライ」と結びながら『そこらじゅうで理不尽に咲き誇る幸福の花を、ひとつひとつひねり潰して行くしかない』と社会の復讐を誓った手紙を回想。
「李理香の、父親になって…」と涙で訴えて、昴の胸で「パパ、パパ」と繰り返した…。そしてざっくりとひと『復讐』終えた李理香はバスローブ姿でミネラルウォーターを飲みながら、ベットで眠る昴パパに冷ややかな視線を送った。凄い復讐だなぁ…。
   後日。近所の公園で園児を見守る李理香の前に、バイクに乗った民雄(鈴康寛)が現れた。
 施設時代の仲間リサが六本木で働いていて、会いたがっているのだと持ちかけて、仕事は何を? との問いにSMクラブの女王様だと返答。金持ちの男たちのケツを毎晩鞭で叩くとは、考えてみれば凄い復讐である事、毎日園長に竹刀で叩かれていた自分には信じ難い話だが、何万も出してリサに叩かれにやって来る金持ちがいる事を訴えて、あいつの鞭には本物の恨みがこもっているので人気が出るのも当然だろうと説明。
 保育園は朝が早いので御辞退しますと告げる李理香は、冷たいと言う民雄に児童公園にバイクで乗り入れるのはやめるように申し出た。子供たちは脅えるわ、同僚に迷惑がかかるわと訴えるが、悪い噂がたって迷惑なのだろうと言い当てる民雄は、昔を引きずった人間の出現に迷惑している顔だと指摘すると、「変わったな」と言い残してその場を去って行った…。
 そんな事がありつつもガード下で歌い終わった李理香は、中也と共に行きつけの飲み屋に立ち寄った。
 俺たちはイイ感じのカップルに見える筈! と浮かれる中也に、そんな事はないとうんざりしつつも、今幸福なのか? と問う李理香は、金はナシでオーディションには落ちまくり当然彼女も出来ずで、このまま行けば最悪な人生… と正直な申告に「だろうね」と同調。不幸な男に用はないってかぁ!? との怒りに「ないない」と返して、自分は幸福な男にしか興味はあらずと説明するが、不幸な者同士が出逢って幸せになる事もあろうし、幸福そうに見えても実は不幸な奴も多いのでは? と中也が投げ掛けた所に源太一家がやって来る訳だ!お互い別の店を選ばないかなぁ、普通は…。
 ラブラブって感じでお似合いよ! と静江に言われたのは嬉しい限りだが、亭主の源太=強面のストーカー=園児の父親=李理香は保育士… と3話分の経緯を一気に把握した中也を前にして、李理香は黙って俯いた…。
 翌日。先輩の美智子(深浦加奈子)から園長が呼んでいると言われた李理香と早知は、昴の妻・昭子(真矢みき)が待ち受ける園長室へ向かった。
 暴走族の男性に付きまとわれているのは本当か? と尋ねられて「いいえ」と否定。だが娘の“きょん”から聞いているのだと言う昭子は、「どうでしょう?」と誤魔化す未明に、共犯になると脅しをかける。
「2度程来ました」とあっさり自供させて、その暴走族が李理香の友人だと美智子に報告したのはあなたでしょう? とネタをばらした。どうする未明!?

 子供たちが心配だったので美智子だけには言っておいた方が良いとの判断だったと耳打ちされた李理香は大きな溜め息を漏らして、児童養護施設時代の友人だと自白。バイクで公園に入らないようきつく言い渡したと続けるが、やはりそうだったと勝ち誇る照子は、その反抗的な目が育ちを伺わせると指摘。親の愛情を知らずに育った人間に子供を預けるのは反対だったと続けて、それはちょっと言い過ぎでは? と制する園長(石井苗子)に、暴走族を友人に持つ人の肩を持つのか? と反論。
 だいたい園長がこんな人を雇うから問題が起こるのだと言われて、肩を持つ訳ではなく嘘をついたら責任を取って貰うと厳しく忠告してあると園長の反論も虚しく、子供がバイクにひかれそうになったとズンズン話を進める照子は、児童公園でバイクを乗り回すなど『人間のする事ではない』と指摘。
 それは認めるが、園児は皆無事だったと旗色の悪い園長に、事故が起きてからでは遅すぎる! とたたみ込んだ所に、付きまとわれている李理香も被害者だ! と口を挟む未明は、散歩のコースも変えて自分が先輩として一層の注意を払うので今日のところはこの辺で勘弁して戴けないか? と助け船を出した。
 そして、大事な子供を預けているので、保育士としての責任をもっと持って欲しいのだと締め括る照子から「どうなんですかね?」と迫られた李理香は、すっくと立ち上がると深々と頭を下げて謝罪! 今後このような事が起こらないよう細心の注意を払って園児と向き合って行くと素直に詫びる姿に、驚いた一同は言葉を失った。まぁ、頭を下げる事はしてますからねぇ。
 美智子に捕まってしまい、生徒が親に言っているのに報告がないのはおかしいと迫られたのだと偽る未明は、黙っていたのだが、報告は園児を預かる保育士の使命だと言われてしまい… と続けて、裏切る結果になってしまい、本当に悪かったと頭を下げた。完璧な言い訳だ。
 さすがにヘコみながらも、本当の事でもあり逆に迷惑をかけてしまったと返す李理香は、力になると言いながらも力になれなかったと弁明して、どんな言い訳も出来ないと言う未明に、気にしないでと微笑みながらも、『人間なんかを信じた自分が悪い』と心の中で結んだ。
 その夜。世界などそんなに美しいものではない… と心の中で基次郎に訴えかける李理香は、そこに済む人間はもっと醜い存在で、地球にとって人間はガン細胞であり、人間がはびこったお陰で地球は滅びようとしている。奴らはみんな悪性の腫瘍だと結んで、携帯電話を取り出した。
「今から行っても良いですか?」と切羽詰まった声に、いつものホテルを予約するか? と返す昴は、その仕事場が良いのだとの訴えを快諾。切った電話ですぐさま自宅にコールして、仕事がノッているので夕飯はいらない。プロデューサーが来るかも知れないので、差し入れは持って来なくて結構! と、修羅場対策を整えた。
 程なく仕事場に到着して、奥さんが来たらどうする? 私を見捨てる? と問い掛ける李理香は「まさか」との返答に、私のパパだから見捨てないでしょ? じゃぁ離婚して! と迫るがすぐに「嘘」と抱きついて、何故だか今日は沢山甘えたい気分だと説明。「いいですか? また李理香がわがままになっても…」と臭い台詞を吐く訳だ。おうよ、おうよ!
 そして空の写真を見ながら、基次郎に当てた手紙をモノローグする李理香は、復讐はこんなもので終わるもではない。もっともっとズタズタになるまで、幸福な人や家や社会や世界を壊してやりたい… と心の中で結んで、空の写真をバックに押し戻した。
 見るからに高そうなグラスに白ワインを注ぐ昴に、人の育ちは消せるものだろうか? と尋ねて、何気なく人が使う『あの人は育ちが良いから』との言葉を聞く度に心がズタズタに切り刻まれているのだと告白。誰かに言われたのたのか? と問われても、自分の過去を消してしまいたい… と涙で訴えた数日後…。
 いつものようにガード下で歌う李理香の前に現れて名刺を差し出す柿崎保(筧利夫)は、さっきからずっと聞いていたが「あなたの歌、心に響きました!」と声を震わせて感動を体現。もし良かったらその曲をCDにして「世の中に届けたいとは思いませんか?」と持ちかけて、あなたと「長いお付き合いが出来たら…」とひとり興奮する柿崎から、いろいろ説明が必要だが、もしその気があるのならば一緒に仕事をさせて戴きたいのですが… と言われて面食らう李理香で… 『愛をください』第3話、end。

▲ニューキャラ・柿崎の登場で少しだけ話が動いた第3話。脚本家の昴だけでなく、李理香、中也までもが変な言葉を使いだして、どんどん味わい深さが増して来た。『痛い手紙』を書く李理香、トホホな歌唱力でプロを目指し続ける中也、強面ストーカーの源太、『パパになって女』と火遊びを続ける昴、李理香の歌をCD化しようとする柿崎… と無茶なキャラ揃いで本当に動物園の様相を呈しているこのドラマ。未明、美智子、“きゃん”ママ昭子のチクリ魔トリオが比較的まともなキャラに見えるって、ある意味凄い事だと俺は思うぞ!
 さて来週は、「情熱を伝えたいんだよ。会って貰えないかい?」と熱い男・柿崎を評して、「あの人とだったら絶対ポップス界のスターになれる」と中也が太鼓判を押す。そして父の居場所が解ったのは良かったが、定番パターンで新しい家族との幸福にショックを受ける李理香の図… って感じか? 「なんか、恋しちゃったらしいんだよね」と中也が脳天気に言うが、ストーカー源太から身を守ってくれるのは、民雄なのか? しつこい源太に李理香が吼えて… 絶対ポップス界のスターにって… いやいや楽しみになって来たぞ!!


● 愛をください  ●

第2話『白鳥になりたいペンギン』<7月12日(水) ヨル9:00〜9:54 フジ系>
脚本:辻仁成 演出:藤田明二

<出演>遠野李理香(21)菅野美穂/長沢基次郎(31)江口洋介/月密【つきみつ】中也(27)伊藤英明/葛井昴(45)陣内孝則/進藤未明(23)原沙知絵/葛井昭子(36)真矢みき/木場静江(28)黒谷友香/美智子・深浦加奈子/園長・石井苗子/三原・銀粉蝶/民雄・鈴康寛/木場源太(35)杉本哲太/葛井昴(45)陣内孝則 ほか


 遠野李理香(菅野美穂)は、園児の父で人気脚本家の葛井昴(陣内孝則)の仕事場に意を決して連絡を入れると、豪華なフランス料理店でのディナーに誘われた。
 顔なじみの支配人と談笑する昴に食べたいものを… と言われた李理香は、自分には両親がおらずフランス料理は初めてで、「恥をかく前に」とナイフやフォークの使い方もおぼつかない事を正直に申告。高校卒業まで児童養護施設で過ごし、年長が両親代わりなので最後は母親を知らない自分がみんなの母親役だったと続けたところで、冷えたシャンパンがサーブされた。
「目の前の美しいレディに」乾杯! の後は高級バーでグラスを傾けつつ、娘の“きょん”(多分本名)は昴にそっくりだと言う李理香は、親子が似ている事が羨ましいと漏らして、先生は幸福ですか? と尋ねた。
 世間一般の幸福がどういうものかは知らないが、多分幸福な部類に属するのだろうと凡庸な答えを確認して、そうだと思っていたと言う李理香は、文通相手・長沢基次郎(江口洋介)の手紙に記された『幸福そうな人と関係を持っても、その幸せは君には伝染しない。幸せそうな匂いを嗅いだに過ぎない』との戒めを反芻しつつも結局その日は、フランス料理 → バー → ホテルの一室(全て高級)と定番コースをサクサク消化。翌朝、目覚めと共に児童養護施設で友達と興じたままごとを回想しながら、ベットに昴を残して部屋を出た李理香は、『私、また別の男の人と関係を持ってしまいました』と基次郎に宛てる手紙をモノローグしながら高級ホテルを見上げた。
 父親くらい歳の離れた担任園児の父親に抱かれている間、私がどれ程の叫び声を上げていたかあなたに聞こえますか? 自分の肉体を男の欲望の中に浸す事で、産まれて来た事の恨みを晴らしているかのようだ、と訴えて不快にした事を詫びながらも本当の事だけを書くようにとの約束は守って居るので、これが本当の私… と結んでアパートに帰宅した。
 後日の夜、いつもの路上で歌っていると、月密【つきみつ】中也(伊藤英明)がやって来て「よっ、ロンリーガール」と声をかけつつ、一緒に歌おうと持ちかける。傍目には他愛ない場所取りにし思えないが、余程拘りがあるらしい李理香は「孤独な者同士」と言われて、自分は孤独ではないので勝手に決めつけないで欲しいと言い放つ。そして、孤独だから『愛をください』などと歌っているのだと指摘して、
「愛、あげようか? 俺の愛はとろける程あったかいぜ」とふざけた事をぬかす中也の頬を張る李理香は、からかわれるのは嫌いだと言い捨ててその場を去って行く。バカな事言う方が悪いわな。
 そして必死で追う中也に、あんたなんかの愛を貰わなけば生きて行けない程自分は惨めで孤独なのか? とまで言い出す李理香は、『愛をください』と歌っていても哀れみや同情、君のようないい加減な人間の愛は要らないと豪語! いい加減かどうかも解らない、人を外見で評価するなと言う中也を、どう見ても不純の塊と評価して、
「顔が嫌い、服のセンスだっさい。以上」と結んで逃げるように帰宅すると、郵便受けを覗いて基次郎からの手紙を開封。『君が心配で寝苦しい真夏の夜が続いています』との書き出しで、自分を呪い傷付け生きる君を遠くからしか見守る事しか出来ないが、その苦しみが僕の胸をも引き裂いて行き、『君の孤独が僕の存在にまで亀裂を走らせる』と少々大袈裟な手紙は、底のない程に深く暗過ぎる人間不信からどうやって君を救ったら良いのか途方に暮れてしまうが、どうかお願いだからここでヤケを起こさずに、『理性を持って生きて下さい』と結ばれていた。仰る通りですね。

 そんな多忙が祟ってか、翌日保育園に遅刻してしまった李理香はまんまと園長(石井苗子)に見つかってしまい、就職して3ヶ月で連絡無しの遅刻を厳しく咎められる。
 遅れるなら連絡を入れるべきで、常識がない。子供たちに示しがつかないでしょ? とごもっともな御指摘に素直に詫びた所に、もう一人の遅刻者・“カズちゃん”を連れて木場源太(杉本哲太)が飛び込んで来る訳だ。
 先生も遅刻したのだと言う李理香は、モテそうなので夜遊びでもしていたのか? と言う源太から昨晩何故携帯を切っていたのかと迫られるが、黙殺。その様子を見逃さなかった同僚の進藤未明(原沙知絵)は、近所の公園への主張保育の際に源太が李理香に気があるのでは? とズバリ尋ねた。
 平然としらを切って子供たちに駆け寄る李理香は、未明のジットリした視線を背中に浴びつつ、園児から両親が居ないのか? と尋ねられて、事情があって預けられたのだと正直に返答。淋しかったが同じ境遇の子と生きて来たと説明して両親を大事にするのだと言い聞かせた所に、突如バイクが乱入して来るではないか!!おっと、新展開か!?
「李理香、俺だよ。捜した」とフルメットを外した男・民雄(鈴康寛)は、ままごと遊びの父親役だった児童養護施設の幼なじみだが、昼間から酒を飲みブラブラしている様子を指摘する李理香に、何故連絡を絶ったのか? 新しい人生に傷が付くからか! と迫った。
 要は姉弟よりも強い絆の仲間を捨てて自分だけ幸せになりたいのかよぉ! と訴えたいらしいのだが、施設を脱走したり市長に園内暴力を訴えた際も世間は耳を貸さず、自分たちは益々酷くなる暴力に耐えて来たと言う民雄は、社会への復讐を決めたのだと言う。
 児童公園でバイクを乗り回す事が社会への復讐とは情けないと正論をぶつける李理香に、子供の頃共に復讐を誓った仲だと返す民雄は、「忘れるな、社会を許すな!」と言い残してガラの悪い友人を乗せたバイクでその場を去って行った。コメント不能…。
 そしてとある喫茶店で『社会を許すな!』と言う民雄と、幼い自分の『絶対社会を許さない』との声を何度も聞きつつ手紙をしたためる李理香は、『復讐の為に生きる事くらい、人間にとって虚しい事はない』と記された基次郎の返事を受け取った。
・君は過去を許すべきで、さもなくば過去と一緒に破滅してしまう… → しかし民雄が言ったように今の自分には社会への反発だけが生きる活力なのかも知れない。
・復讐心こそ一番醜い心で、民雄を痛みを舐め合って何になる? これから一生自分たちを不幸にした社会を恨んで行くつもりか? → 基には解らない事よ。君だってどうせ幸福な家庭で育てられて来たんでしょ?
・自分を大事に、月のように僕はいつでも君のすぐ側に寄り添っている → 『(溜め息)』
 と納得行かない風の李理香が、後日職場の先輩保育士・美智子(深浦加奈子)から呼び出される様子を未明がジットリと見送った。
 園児の母から苦情が入ったと前置いて、児童公園で養護施設の事をペラペラ喋った事を咎める美智子は、話を聞いた子供が両親が居なくなる恐怖におののいて夜になって泣き出したと説明。なにゆえ自分の事を自慢げにペラペラ喋るのか? と言われて、聞かれた事に答えただけで親は大事にするべきと教えたのだと李理香は反論。
 それが余計な事で、まだ理解出来る年齢ではない子供にイタズラに恐怖心を与えてしまったのだと制する美智子は、黙って睨み付ける態度に益々怒り爆発! ふてぶてしい、かわいこぶっても心の中までは変えられない、反省している人間の顔ではないと言う美智子は、問題ばかり起こすわ屁理屈を並べるわ、子供に愛情が薄く仕事はいい加減だと指摘。採用を反対したのに園長は人を見る目がない! と吐き捨ててその場を去って行く訳で、心配顔の未明は大した事ではないと強がって園児の世話に没頭する李理香に、やはりジットリした視線を送った。

 そんなこんなの保育園を忌々しそうに覗く民雄に、園長が声をかけて李理香の知り合いか? と尋ねる。何とした事か!
 昼日中の飲酒を指摘された民雄は、偶然通りかかって子供が可愛いからただ見ていただけと昨今では通りの悪い言い訳をするものの、園児を守る義務があると言う園長は、昼間から泥酔している人物には近寄って戴きたくない! と民雄を追い返した後、李理香に友達なのか? と尋ねる。
 明らかにあなたを見ていたと言われてもしらを切り通すものの、児童公園でバイク男が乗り込んで来た事を別の先生に未明が話していたと、美智子が割り込んで来る。
 疑わしきは罰せず主義なので詮索は避けようとサックリかわす園長に、園の平和が乱されてしまう、李理香を雇ってから園がギクシャクしていると続ける美智子は、何かボロを出したら自分が厳しく罰すると言う園長に、何かがあってからでは遅いのでは? と意地悪く結んだ。
 そんな事があっても明るく園児たちの世話を焼き、母親が居ない子供から「ママになって」と言われて快諾する李理香の働きっぷりにジットリ視線を送り続ける未明は、美智子を呼び止める。よしよし、来たぞ来たぞ!!
 自分から聞いたとは言わないで欲しいと前置いて、先刻の男は児童公園にバイクで乗り付けた施設時代の李理香の仲間だと報告。「子供たちが心配なので」一応報告したと言う未明にいたく感謝する美智子は、「これかも監視」して何かあったら自分に教えるようにと諭してその場を去って行った。
 即刻園長室に駆け込み、李理香の嘘を報告する美智子は、園児に「危険が迫って」いるのですぐに解雇して欲しいと迫るが、園長はまだ3ヶ月なのでもう少し様子を見ようと返答。
 最初は要領も掴めず、まだ何か起こった訳でもなく、酔った青年が李理香の様子を見に来ただけで「和解人同士の恋なら」とやかくは出来ないとの弁に、暴走族と付き合う保育士を雇っていて何か起これば園長だけの責任では済まされないと美智子は迫るが、決定的な事件が起こればその時処分を下すと園長が結ぶ一方、迎えが来ない「ママになって」の園児・リコに、電話が入って父親が遅れると告げる李理香は、過去の自分を重ね合わせて迎えが来るまで一緒に遊ぼう! と提案。その姿にジットリ視線を送る未明は、迎えに来た父親が「ママありがとう」と李理香に告げるリコを嫌そ〜な顔で連れ帰った後に、早番なのに付き合わせて悪かった事を詫びつつ、美智子が嫌な奴だと漏らして食事に行こうと提案。でもカラオケはパスだと言う李理香は、行きつけの店でカラオケも含めて他の先生たちとの付き合いが無い事を指摘されて、面倒だからと返した。
“嘘っこの微笑み”を無理に作るのが苦手なのだと説明するものの、
「そこがダメなんだと思うな」とキッパリ指摘する未明は、付き合いは大切であり自分とこうして食事が出来るだから、下手に敵を作る事にも繋がるのだと続けて、職場は楽しくやろうと結ぶ。そして、ずっと幸福な家庭で育って来たのだろうと言う李理香は、恵まれて生きて来た人間の匂いがする、死にたくなった事はないだろうと続けるが、自分にも悩みはあると憤慨した所に源太一家がやって来るではないか! 御一緒にと誘う未明に、源太はあからさまに躊躇するものの、親子三人では間が持たないと言う妻・静江(黒谷友香)に押し切られて渋々同席する事に…。メシも喉に通らんだろうな。
 見ているだけで幸福をわけて貰えそうな円満家族だと言う李理香に、わけて上げたいと返す静江は、源太を評して、浮気はしないし働き者で家族に優しく、日曜日には美味しい手作りパスタを披露すると自慢げに並べ立てて、羨ましいと言う未明に「いつでもお貸しします」とまで言い出す始末! 顔色を失いつつ黙々と食べ続ける源太に、家でも家族の残した料理をこうして食べてくれるとのろけて、李理香たちも結婚するなら家庭的な男が良いのだと勧める始末だ。
「浮気もせずに家族を守るウルトラマンのようなお父さんって、ホントに理想ですよね?」と李理香が皮肉を返した所で、未明がお開きを宣言。良かったな、源太!

 店を出て未明と別れた李理香は、ジットリ視線が背中に注がれている事に気付かずフラフラと下北沢の繁華街をうろついていると、中也に遭遇! 慌てて逃げるもののあっさり追いつかれてしまい、腕を掴んでこんな時間にこんな場所で出会うとは余程の縁なのだと言う中也に下北が狭いだけだと言い返す。
 前世は王子とお后だ、親の仇だと思うと話は全く噛み合わないが、昨日は済まなかった詫びる民雄は茶化すつもりではなく『愛をください』とのフレーズが心に響いたのだと説明。えっ、昨日? 基次郎の手紙から推測すると数日後の筈だが?
 それだけ歌や詞に説得力があったと言いたかったが、照れてあんな言い方しか出来なかったのだ、本当に済まなかったと頭を下げられた李理香は、「もういい」と言い捨てると掴まれた腕をほどいてその場を去って行き、その淋しそうな後ろ姿に『愛をください〜 ZOO〜ZOO♪』と中也がフレーズをなぞった…。歌、ヘタっすね。
 がっくりと肩を落として帰路につくものの、部屋に入る気になれず… きびすを返す李理香は昴の仕事場を訪れた。
 何故あの朝黙って帰ってしまったのか、何故すぐに連絡をくれなかったのかとの問いに「なんとなぁく」と返す李理香は、『な・ん・と・な・く』と入力するワープロの隣に飾ってある家族写真を見て、
「私の写真もここに置いて欲しいな〜 無理ですか?」と迫り、何か企んでいるだろうと言う昴から心の中に得体の知れないものが潜んでいると言われ、まるで怪物みたいな言い方だと返した。
「あるいはそうかも」と肯定する昴は、保育園で見せる優しい顔の裏側に別な冷たい氷の怪物が存在しているような部分に惹かれているのだと続けるが、孤児で親の温もりを知らずに育ったからだと言いたいのだと李理香は挑むような視線を返した。
 すかさずその目は人間を一切信じていない者の目だと指摘して、君を抱いている時、まるで氷を抱いているような、自分の中にある温もりを全て吸い取られそうなそうな気がしたと説明して、不思議な事に、私は吸い取られたいという欲求に激しく襲われたと告白。見てはいけないものを見てしまった気がしたと続けて、
「君の裸体はまるで彫像…」と形容しつつ、申し訳ないが君の憎しみや悲しみに興奮する… と以下舞台の台詞宜しく、君が幸福な人間に対して、敵意のようなものを持てば持つほど、私は君の冷たい悪意に欲情してしまうんだ… と言われた李理香は怒りに肩を振るわせながら、ちょっと言い過ぎた詫びる昴に向かって「何て事言うの!」と声を上げると、
「家族の写真の前でして…」とその背中に抱きつきながら、『復讐心こそ、一番醜い心だよ』と基次郎の記した言葉を回想。
 昴の仕事場を出てた李理香が、雨の下北沢をヨロヨロ彷徨う姿を雨宿りしていた中也が発見! 人気のない路地にしゃがみ込んだ李理香は、『追伸:函館の空の色は澄み渡った青色です』と記させた基次郎の手紙を回想。排気ガスや公害がないせいで宇宙が透けて見えそうなくらい美しい空が広がるなか、真面目に地道に生きていれば、いつかきっと神様がご褒美をくれるのだと思う。地味ながらも、穏やかで静かな暖かい一生を送って行きたいと思います。負けないで、負けないで、君自身の心に…。と結ばれた手紙を心に刻みながら、中也が見守る事に気付かないまま嗚咽をもらす李理香で… 『愛をください』第2話、end。

▲葛井昴45歳も難無く仕留めた第2話。以外は未明が本性を現したくらいでさしたる動きがなかったが、バイクで乱入して来る幼なじみには「どうしたものか…」と首を捻ってしまった。北海道←→東京普通郵便のやり取りを考えれば、中也がからかった夜から数日経っている筈だが… 本人にとっては『昨日の事のように気に病んでいた』という事だろうか? 人気脚本家・昴が吐く仰々しい台詞が良い味を出しているので、この路線に拍車をかけて戴きたい。なんせ娘に“きゃん”と名付けるくらいだから、ただ者だと思ったら大間違いだぞ!
 さて来週は中也との帰宅現場を目撃した源太が「そういう恋人が居ながら影で俺とも付き合ってたのか?」と嫉妬に狂えば、お姫様になったみたい… と昴とのデートで李理香がウットリ。プロデューサーの柿崎保(筧利夫)から名刺を渡されて「CD?」と驚く李理香は、中也と仲良く路上デュエット。だがやはり昴に抱きついて救いを求める李理香で… 『愛をください〜 うおぅおう♪』がCD発売されるのか? その前に柿崎とも『…』なのか? 楽しみに待とう!


● 愛をください ●

第1話『カメレオン』
<7月6日(水)ヨル9:30〜10:24(野球放送延長の為30分繰り下げて放送)フジ系>
脚本:高橋留美 演出:鈴木雅之

<出演>遠野李理香(21)菅野美穂/長沢基次郎(31)江口洋介/月密【つきみつ】中也(27)伊藤英明/葛井昴(45)陣内孝則/進藤未明(23)原沙知絵/葛井昭子(36)真矢みき/木場静江(28)黒谷友香/美智子・深浦加奈子/園長・石井苗子/三原・銀粉蝶/木場源太(35)杉本哲太/葛井昴(45)陣内孝則 ほか


 新米保育士・遠野李理香(菅野美穂)は、保育園で遊ぶ子供たちを眺めつつ、
『拝啓 遠野李理香様 毎日元気で子供たちと向き合っていますか。保育士になって三ヶ月、新しい職場には慣れましたか』と問い掛ける手紙を読んでいた。
 アルバイトをしながらの通信教育で保育士の資格を取得した事を讃え、自分の職場であるロープーウェイの山頂駅から見た函館の町の様子を伝えて、
『僕はいつも、ここから君が居る東京の方を見ては祈っています。君が今日も元気でいて欲しいと。 長沢基次郎』と結ばれた手紙を読み終えて、ラブレター? と問う同僚の進藤未明(原沙知絵)に、
「文通…」と返して、古臭い、メールではダメなのか? と笑われても、手触りや匂い、文字の温もりが伝わる手紙がいいと説明。面倒臭いと言われても、手間がかかればかかる程差出人と繋がってる所が良いのだと続ける李理香は、園児が泣いている! と注意不足を指摘する先輩保育士・美智子(深浦加奈子)から、自分が孤児で愛情を傾けられた事がない為に子供たちに冷たいのでは? と言われて、児童養護施設で虐待を受けていた辛い幼児時代を回想した。
 その夜。園児の父・木場源太(杉本哲太)と堂々と待ち合わせた李理香は、ホテルで情事を終えた後に、昼と夜では別人のようで、抱き合っているのではなく溺れそうな人を助けているみたいだったと言われて、飛び込み自殺を止められたシーンを回想。
 先生と呼ばれて、カズちゃんのお父さん、明日の夏祭り会にはいらっしゃいますか? とわざと返す李理香は、行くには行くが勘の鋭い女房には絶対ばれないようにして欲しいと言われて、
「木場さんの幸福を壊したりしない」と返して、宙を見つめた。おぉ怖っ…。
 翌日。『盆踊り大会』と銘打った保育園の夏祭会場に妻・静江(黒谷友香)と共にやって来た原太に意味深な視線を送る浴衣姿の李理香は、模擬店の金魚すくいに手を突っ込んではしゃぐ園児・きょん(注:女児の名前)に注意を促すが、そこに現れた母親の葛井昭子(真矢みき)は、事情を聞いた上で、保育士が付いていながら何故そんなに腕を濡らしているのか? と責め立てる。
 風邪を引いたらどうする? と更に責任を追及された李理香の前に現れた父親・葛井昴(陣内孝則)は、
「大丈夫だよこれくらい。子供は風の子だもんな」ときょんを抱き上げて盆踊りの輪に向かった。『子供は風の子』… 久々に聞くフレーズだ。
 葛井夫妻をこなして、夫は有名な脚本家で妻はタレント派遣会社を経営していると説明する未明は「おっしゃれよね」と結び、李理香は昴の姿をじっと見つめた…。次なるターゲットはこいつか。
 そんな李理香は、ギターを背負って夜の街角で自作の歌を歌っているらしいのだが、その日は定位置に見知らぬ男・月密中也(伊藤英明)が陣取っていた。
 昔からここで歌っている、東京は広いんだから余所で歌えと揉めるものの、渋々離れた場所でオリジナル曲を披露する李理香の歌声に耳を傾ける中也は、
「良い歌だな〜 っと思って、何て歌?」と掌を返して馴れ馴れしく声をかける。
 パクらないでと釘を刺しつつ『ZOO』と曲名を告げる李理香は、名を告げて明日もここで待っていると言う中也に、明日は他の場所に行ってくれ! と冷たく言い放ってその場を去って行った。お約束のバッドな出会いですなぁ。
 後日。自分が育った児童養護施設を訪れて金網の外から様子を伺う李理香は、仲間の少年(三觜洋介)が脱走を提案したシーンを回想。院長の暴行を暴くべく教育委員会に助けを求めるのだとの意見に反対する幼い李理香は、逃げた子供は助かるが残された幼い子を守る為に残ると告げて、「成功を祈る」と、逃げて行く少年たちを見送った。
 そこで保育士の三原(銀粉蝶)から遊びに来たのか? と声を掛けられた李理香は、自然に足が向いたのだと説明。お茶でも… との申し出にためらいを見せつつ脱走に失敗した少年らが折檻を受けるシーンを回想。最近丸くなったと言う園長の不在を確認して、ようやく上がり込む事を決めた。

 下北沢の保育園の仕事は順調だと報告すると、自分の頑張り次第で後輩も雇って貰えるかも知れないと言われて頬を強張らせる李理香は、歌は? と問われて、仕事を始めて時間は少なくなったがも続けている事、園児の親に見つからないようこっそり深夜に歌っていると漏らした。
 歌が一番の友達だったと懐かしそうに続ける三原に、
「歌は裏切らないし、私を見放さないから」と返す李理香は、父に関して良い知らせがないが、いつか見つかるだろうとの励ましに、どうせ捨てて行った父などに今更会いたいとは思っていない事、命を救ってくれた人との文通は続けている事を告げて、自殺を試みた夜を回想した。
 18歳の李理香は、陸橋から眼下の電車に向けて飛び降りとした所を、たまたま通りかかったと言う長沢基次郎(江口洋介)に命を救われた。
「ちくしょう!」「いつか死んでやる」とそこいらのドラム缶を蹴りまくって、助け甲斐のない奴だと言う基次郎から自殺の訳を尋ねられると、説明したくないと言いつつも、親が居ないので欲しいものが手に入らないのだと、重い口を開いた。
 大学を諦め、差別も虐待も受けたと言う李理香は、みんなの幸福が羨ましいと泣きながら訴えて、
「死ぬに値するでしょう?」と言い捨てるが、でも生きている! とすかさず返す基次郎は、健康な肉体を持って世界に存在している事だけでも感謝にすべきだと諭した。
 名前と職業を尋ねられて、「長沢基次郎」「詩人」と答えると、笑って嘘だと言う李理香に手書きの『ZOO』なる詩集を差し出して『僕たちはこの街じゃ 夜更かしの好きなフクロウ 本当の気持ち隠している そう、カメレオン 朝寝坊のニワトリ 徹夜明けの赤目のウサギ 失恋しても片足で踏ん張るフラミンゴ ほらごらん 吼えてばかりいる素直な君を 愛を下さい 愛を』と読み上げる側から、良い詩だなぁ… と自画自賛。変な詩だと笑う李理香に、
「あげるよ、これは君の詩だ」と続ける基次郎は、苦しくなったらこの詩を口ずさめ、俺と文通しようと、死にたくなったら俺に手紙を出せと、どんどん仕切始める。
 気持ちを打ち明けられる友達が居れば自殺を考える訳がなく、友達が居ないから安易な道を選ぼうとするのだと指摘して、文通でなくとも… と言う李理香に、今日函館に帰ってしまうのだと返す基次郎は、本職はロープーウェイの運転手であり、休暇で遊びに来てたまたま命を救ったのだと明かして、自分も君だけに真実を話すが、口説こうなどとは思っておらず、その証拠としてルールを作ろうと提案。自分勝手な奴だなぁ…。
 決してお互いを訪ね合わない、絶対に恋の対象にはしない、会うのはこれが最後だと勝手に話を進めて、自分は文通を通じて真実の付き合いをしたい、君の世界をもっと知りたいと言う基次郎は、自分の助けた女の娘が、これからどんな人生を歩んで行くのかを手紙を通じて知って行くのだと説明して「約束だよ」と結ぶが、文通などしないと言う李理香は、
「ひとりで盛り上がって、正義の使者を気取って、バッカみたい…」とあしらった。
 後日の朝。出勤前に基次郎宛の手紙を投函した李理香は、『今日もまた、目が醒めたら生きていました』との書きだしで、死んで始めからやり直せる訳でもないので、昔のように自殺をしようとは思わなくなったが、何故不幸に産まれたのかを見極めたいと続く手紙は、何故最初から人間には不平等があり、こんなに裕福で幸福な時代にどうして自分だけが最初から不幸だったのか? と問い掛けながら、幸福が何なのか、幸せという甘い蜜の味を知ってみたいとの心情が綴られていた。
 そして息子を送って来た原太に視線を送りつつ、車で連れて来て貰ったという“カズくん”に、先生もパパの車に乗ってみたいなぁとこれ見よがしに声を上げる李理香は、バイトしながら通信教育で資格を取得した努力を讃える未明から、『聞き難い事』との前置きで孤児院ってどんなところ? と尋ねられて一瞬言葉を詰まらせた。
 美智子たちの話を聞いてしまったが、気に障ったのなら謝ると言う未明は、そういうところが鈍感なのだと恐縮するが、別に隠す事ではないと言う李理香は、今は孤児院ではなく児童養護施設と呼ばれている事、基本的には保育園と変わらないが、ただ帰る家がなく迎えに来てくれる親も居なかった事を説明。誰かに頼る事も出来ず、甘えられる親もおらず、贅沢は敵だったと結んだその日、李理香は園長室に呼び出された。

 “きょん”の母・昭子から、夏祭り会の後に風邪を引いてしまったのは自分の不注意だとの抗議があったと言われた李理香は、手が濡れたくらいで… と反論するが、「言い訳が多い!」と美智子が机を叩く。
 園児の父親に色目を使っているらしいが、風紀が乱れる振る舞いは謹んで欲しい。問題が起きてからでは遅いのだと続ける美智子を制する園長(石井苗子)は、若くて可愛いから父親達に人気があっても仕方のない事だが、ここは保育園である事を忘れないようにと釘を刺した。
 そして、自分が見た限りでは園児に関して手抜き=愛情が薄いと感じられると続ける美智子は、親の温もりを知らずに育ったので親の愛情を理解出来ないのだろうと指摘。だが、子供たちは子供たちないのSOSを発信しているので、鈍感では許されないのだと注意を促した。いつも未明と話してるし、正直言って仕事熱心には見えないわな。
 その夜。『先生も乗りたいなぁ〜』と言っていた源太の車で、欲しいものはないのか? と問われた李理香は、「幸せを下さい」と返答。妻や子供に負けないくらい幸せにしてくれたらそれで良いと続けて、
「木場さんは愛妻家だから、こっちにも向こうにも良い顔してるんでしょうね」と言いつつ、
「うそぉ。困らせてゴメンなさい」と前言撤回。欲しいものなど無く今のままで充分だと笑顔で締め括った…。お、恐ろし過ぎる… 勇気あるなぁ、原太って。
 そんなこんなのある朝。で受け取った手紙を保存している箱から詩集『ZOO』を取り出して頁を括りつつ、
『基次郎 助けて貰ってから3年が経ちました』と綴った手紙をモノローグする李理香は、励ましの手紙を何通貰ったのだろうか? と投げかけつつ、まずは自分の筆無精を詫びた。毎日のように届く手紙のおかげで、何とか持ちこたえて来たと感謝しつつ、本当にあの時死ななくて良かったのだろうか? との疑問も投げ掛ける。
『基次郎 李理香ね、生きていると人の幸福が欲しくなる』と続けて、園児の父親と寝た事を告白して、その人の幸福さを羨んでその温もりを分けて欲しくなったのだが、その人と抱き合っていると自分にも居たであろう親の温もりを感じられると報告。これはいけない事ですか? とのモノローグを終えた李理香は、その夜遅くギターを背負って件の定位置に赴いた。21歳で『李理香ね』か… 結構痛いなぁ。
 やはり先に場所を占領していた中也は、孤独な者同士で自分と付き合ってくれたら場所を譲っても良いと言い出す訳で、なにゆえお主如きと付き合わねばならんのか!? と驚く李理香に、淋しいと顔に書いてあるし、だからこそ『愛をください』などと歌っているのだ、と言い当てる。図星だぁなぁ。
   しかしそんな幼稚なナンパに応じなくとも歌はどこでも歌える訳で、離れた場所で『愛をください〜 うぉうおぅ♪』と歌い終わって深夜に帰宅した李理香は、郵便受けに手紙を発見! 部屋に駆け込むとギターを背負ったまま、慌てて封を切った。
『すぐに返事を思ったんだけれど…』と読み上げるうちに色とりどりの宝石ように輝く小さな玉が部屋中に溢れ出すと、そこに基次郎が現れた。…ハートじゃないだけ良いか?
 君は幸福を捜しているのか? と問いつつ、幸福は人それぞれ違った形をしているものであり、他人の幸福がイコール君の幸福に繋がるとは限らない。だから幸福そうな人と関係を持ってもその幸せは君には伝染しないし、それは幸せそうな匂いを嗅いだに過ぎないと断定する基次郎は、ならばどうしたら良いのか? と尋ねる李理香に、それは自分がどうしろとお節介を焼ける類のものではなく、君が自分で捜さなければいけないものだろうと返答。ただ言えるのは、幸福は沢山はない。人の幸福を横取りする事も出来ない。幸福の形はとはつまり、君自身のこころの形でもある… と詩人らしい結論を結んで音もなく消えて行った…。回想だけじゃマズイって感じだな、基次郎!

 そんなある日の午後。保育園で“きょん”が日射病で倒れるというアクシデントが発生! まずは昴が駆け付けて、程度も軽く連れて帰っても平気だと医務室の担当医は告げるが、そこに現れた昭子は、と開口一番に医師から日射病と聞いたが帽子を被らせていたのか? と責任を追及。
「どうせ遠野先生でしょ? あなた私の子供を殺すつもり?」と詰め寄りつつ、育児経験のない若者が保母をするのが大体の間違いだと言い放つ昭子を、“きょん”が驚くと昴が制した。それじゃ全国の保母は激減しないか?
 りりかせんせいはわるくないと“きょん”にまで言われて、
「人を庇う優しさがあるのね、きょんには」と冷ややかに言い捨てる昭子が医務室を出て行くと、大した事ではないので気にしないように言い残して、昴は去って行った。秒読み開始って感じだな。
 そんな李理香を励ますべく飲み屋に誘い出した未明は、みんながいつもいびるのは女のヤキモチだと告げる。
 可愛いいだけではなく同性に嫌われる匂いを発していると続けて、対抗意識と自己主張が強い事を指摘。誤解されやすいのだと指摘されて、別に好かれようとは思っていないと返す李理香は、
「それがいけないの」とまたまた指摘されつつ、逆に男には可愛らしく健気にも写る。するとまた女がヤキモチを焼く… と分析を続ける未明は、媚びを売れば良いと言うのか? との問いに、そのまま突き抜けるしかないと返答。店を出て、兎に角自分は李理香の味方なので先輩の美智子や“きょん”ママ照子に負けるな! 頑張ろうね! と妙に物分かりの良い未明はその場を去って行った。進藤未明23歳。結構怪しいんじゃねぇか!?
 ひとりになってぷらぷらと下北沢の繁華街をウロつく李理香は、案の定昴と出会う訳で、
「君は保育園の… 下北は狭いな」と言われて、昼間の不祥事を丁重に詫びて“きょん”の具合を尋ねた。
 全然平気で大騒ぎする程ではなく、かえって心配かけてしまったと言う昴は、照子は遅くに“きょん”を産んだ為に神経質が過ぎるのだと説明。自分の愛情不足だと謝る李理香は、そんな事はないとあくまで庇ってくれる昴に恐縮しつつ、仕事の帰りなのか? と尋ねた。
 仕事の途中だと返す昴は、近くに仕事場があって疲れた気分転換でフラリと飲みに出た所だと説明。すぐ側に行きつけのバーがある。昼間のお詫びにどうですか? と言わない訳がなく… 園児の親に見つかるのでは… と躊躇しつつもまんまと同行する李理香は、大口を開けて笑いながらグラスを重ねる訳だ。こりゃ、同性から嫌われるわなぁ。
 心地良く酔ってトイレに立つものの、『君が幸福そうな人と関係を持っても、その幸せは君には伝染しない。君はただ、幸せそうな匂いを嗅いだに過ぎない』との基次郎の言葉を回想。その場に崩れて鳴き声を上げた…。
 店を出て駅に向かう道すがら、今度は一緒にディナーを… と誘う昴は教えて貰った携帯に電話すると告げて、待っているとソノ気充分の返事を聞いて、昼と夜の顔が違って見えるとコメント。
「酔ってるぅ〜」と挑発的に返す李理香は、『追伸 基次郎 私自分が怖いんです。生き残った李理香は、周りの人間を誰ひとり信じる事が出来ず… そして恐ろしい事に、復讐の中に幸福を見始めている。復讐しか、私の存在理由がないような気がします。魂が引き裂かれそう、孤独に押し潰されそう、だから… 必死で、他人の幸福にしがみついてしまうんです。基次郎… 助けて』とモノローグしつつ、腕を掴もうとする昴をするりとかわして、小悪魔の様相で虚空をにらみつけて… 『愛をください』第1話、end。

▲レトロな文芸色が濃ゆい第1話。久々に女性視聴者の反感を買いそうなヒロイン像に期待が持てそうだが、親に捨てられて世間を恨む女性の敵で男性キラーと言えば、テレ朝『恋の奇跡』で菅野美穂扮する雪乃とキャラ被りでは? 男性キャストの職業が詩人、ボーカリスト、脚本家とこちらは辻仁成氏と被るが、となれば良き家庭人ながら李理香に入れあげる源太は、後に離婚と相成るのかどうか、実に興味深い。因みに“きょん”と聞く度に『がき刑事』の名ギャグ“八丈島のきょん”を思い出してして苦笑してしまった。沖縄には喜屋武(きゃん)という姓が多いが、是非とも“きょん”ちゃんに嫁いで欲しいものだ。
 さて来週は、「君みたいな人間の愛もいらない」と中也に言い捨てる李理香に「携帯に電話したけど、どうして切ってた?」と源太が迫る。「すぐに解雇して下さい」と美智子に迫られた園長は、李理香にクビを言い渡す。そして昴に「家族の写真の前でして」と迫る李理香は無事関係を済ませた昴に「何て事言うのよ!!」と吼えて… 2人めあっさりゲットか、この先が楽しみだなぁ…。


制作:フジテレビ・共同テレビ /脚本:辻仁成/演出:藤田明二(共同テレビ)・松田秀知(共同テレビ)/プロデューサー:中山和記(共同テレビ)・梨本みゆき(共同テレビ)/協力プロデュース:河合徹(フジテレビ)/音楽:Arico/主題歌:「ZOO」(ECHOES)

構成・文/阪本 悠


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