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【出演】遠野李理香(21)菅野美穂/月密【つきみつ】中也(27)伊藤英明/進藤未明(23)原沙知絵/柿崎保(38)筧利夫/長沢基次郎(31)江口洋介/葛井昭子(36)真矢みき/蓮井妙子(45)仁科亜季子/蓮井昭彦・串田和美/長沢杏子・風吹ジュン/葛井昴(45)陣内孝則 ほか

最終話<9月20日(水)ヨル9:10〜10:04 フジ系>
脚本:辻仁成 演出:藤田明二


 テレビの生本番ギリギリにスタジオ入りした“蓮井朱夏”こと遠野李理香(菅野美穂)は、月密【つきみつ】中也(伊藤英明)と共に、『あっという間にミリオンセラー』を記録した大ヒット曲『ZOO』を歌った。
   函館の病室では、その姿を観ながら静かに目を閉じる長沢基次郎(江口洋介)に気づかない母・杏子(風吹ジュン)が、あの娘は本当に歌が上手い。上手だ、良い歌! 戴いたCDを後で聴こう! と中也が乗り移ったかの如くベタ褒め状態!看病疲れか、杏子さん!?
 目を閉じたまま返事のない事に気付いてナースコールボタンを押す一方、スタジオのサブにまでも問い合わせの電話が殺到! 凄い問い合わせでテレフォン室がパニックになっているとの報を受けたディレクターの吉田氏は、人を増やして何とか応対しておけ! と指示を飛ばして曲は無事に終了。
 スタジオ前で『素晴らしい出来だった。明日はCDが売れる!』と拍手で迎える柿崎保(筧利夫)や、『また是非とも御主演を!』と花束を差し出す吉田Dにチヤホヤされる李理香は、いつの間にか中也が姿を消している事に気付くが、番宣用のスチール撮影に呼ばれてしまい…。一足先に楽屋で楽器を撤収しているのだろうと柿崎の読みに反して、中也は帰った後だった。
 ゼブラレコードの社長、専務が直々に足を運んでの打ち上げをパスして下北沢に戻ると掟破りの李理香は電車で帰ると言うが、どれだけの人がテレビ局前に集まっていると思う? と迫る柿崎は、すぐに帰って中也に礼を言いたいとの我が儘ッぷりを快諾。ワゴン車を裏に回すよう指示を飛ばして、どう見積もっても15人くらいのファンを『みんな君の歌で救われたと思った素晴らしいファンだ』と説明。『素晴らしいファン』をかき分けて車に李理香を押し込める一方、函館の病室では、首を横に振る担当医が杏子に一礼。看護婦たちが救命装置等々の撤収を始めていた…。
 下北沢に到着したワゴン車を降りる李理香は、スタッフや『偉い人たち』への我が儘を詫びるが、何も我が儘ではない! と返す柿崎は、君は君の生きたいように生きて『みずみずしい歌』を歌ってくれればそれで良いと返答。堅苦しい打ち上げなど出る必要もない! と言い残して車で引き返して行った。この業界、売れてしまえばやりたい放題なんスねぇ〜。
 寛大な処置にホッと一息ついた李理香は『お前の幸福はお前のすぐそば… 足元にある』と告げた基次郎を回想。取り敢えず礼を述べるべく中也のアパートに向かって、留守を確認。いつものガード下で歌っている姿を発見して『幸福とは気が付かないような、身近なところにあるものだ』と告げる基次郎を回想。歌い終わって、ギターケースに投げ込まれた僅かな100円玉と10円玉をかき集める中也は、礼を述べつつ『何か気に障ったのか?』と遠慮がちに尋ねて、急に居なくなったので淋しかったと漏らす李理香に、羨ましかったのだとかた頬笑いで応えた。
 スポットライトを浴びて堂々と歌っている姿に嫉妬してしまったのだが、『素晴らしかった! 悔しいが認める』と言う中也は、以前にも言ったが俺にもプライドがあって、演奏が終わった後に君に対する『オメデトウ』の気持ちと自分に対する『悔しさ』が同時に押し寄せてあの場に居られなくなったのだと告白。俺は俺で、月密中也という『ロックシンガー』なのだ。それを忘れたくなかったと結んで、その場を立ち去った。自分で『ロックシンガー』などと言い切る勇気が羨ましい…。
 その後を必死で追う李理香は、「私はあなたがいいの」と告白。お前の為にギターを弾くのではなく自分の為に『プレイしたい』、お前にはもっと相応しいバックメンバーが居るとの弁に、それは解っている! そうではなくてあなたが良い…、あなたが良いって言っているのだ… と口ごもる。
 だが、『頭が悪いので言っている意味が良く解らない』と突っ込まれて、『私は中也が…』といよいよ告白だぁ〜 と思った所に携帯が鳴りだした! 早く出ろと言われて不機嫌に応じると、2時間程前に基次郎が息を引き取ったと告げる杏子に、『どうして急に?』と声をあげた。


 何故急に、何故待っていてくれなかった? 一生懸命歌ったのに… と泣き崩れる李理香に、歌を聴いて微笑みながら死んで行ったのだと説明する杏子は、『明日の手術を前に、何故…』との弁に、この病気は希にそういうケースがあるので覚悟は出来ていた。最後はあなたの歌う顔を見て死んだのだと結ぶが、兄はまだ生きているのでしょう? と問い掛ける李理香は、携帯電話を落として路上に崩れ落ちると、泣きながら月に向かって基次郎の名を呼んだ。
『今、あなたは何処にいるのか? 天国か、それともまだそこに向かう大きな階段の途中なのか?』と問い掛けて、地獄から救いだしてくれた事にちゃんと感謝も出来なかったと呟く李理香は、せめて『幸福になる』との約束は絶対に守ると宣言。私は産まれ変わる。拗ねたりひがんだり羨んだりはもうしない。自分に相応しい人と出逢ってきっと幸福になって、天国の基次郎を安心させて見せる… と月を見上げてのモノローグを終えて、黙って傍らに佇む中也の肩にもたれ掛かる一方、病室の撤収が終わった…。
 そして翌日、ふたりは函館に飛んだ。
 喪服姿の中也がぎこちなく受付を手伝う一方、教会の祭壇に安置された基次郎の柩には李理香からの手紙が収められた。葬祭場で煙になって空に登って行く基次郎を『サヨナラ』と見送った李理香は、一度ホテルに戻って行方をくらましてしまった。
 ホテルから長沢家に向かうものの李理香の姿はなく…。心配する杏子に、基次郎の側に居てやって欲しいと言い残した中也は、函館の街をあちこち探し回った挙げ句… 埠頭に佇む李理香を発見!!  乱れる息で『あの野郎、心配させやがって』と呟く中也は、函館中走りまわってすんげぇ探したと告げると、ひとりになりたかったのに… との弁に、解ってはいたが自殺でもするのでは? と心配で落ちつかなかったのだと弁明。そんな事をする訳はない… と漏らす李理香に、負けないで欲しいと訴えて、『苦難が続いたが絶対生きていて良かったと思える時も来る。今すぐ元気になれとは言わない。今は悲しみの中に居て良いが、希望だけは捨てないで欲しい。これからの人生の方が長いのだと心のどこかで考えていて欲しい』と必死で訴えるが、『大丈夫だ』『幸福になる』事を兄と約束したのだと聞いて一安心。お前は俺の分まで幸福になって欲しいとの約束を守らなければ、今日まで兄が励ましてくれた事が全て無になる。それは出来ない。私は兄の分まで生きて幸せな人と必ず出逢ってみせる… と聞いた中也は、『幸福な奴』でなければお前を幸福に出来ない事を確認して、自分に資格がない事が残念だと淋しそうに返すと、俺って“御存知の通り”、不幸だから… と淋しそうに結んだ。いつもお気楽で不幸には見えないぞ。
 だが、昼間にうっすらと浮かぶ月を通して兄に相談していた言う李理香は、『遠くばかりを見ていてはいけない。お前の幸せはお前のすぐそばに、足元にある』と基次郎の言葉を引用。どういう事だ? と問われて、いつか教えてあげると笑顔を向けながら、そんな事よりも相談に乗って欲しいと話題を変えた。
『私、または“蓮井朱夏”は本日をもって引退しようと思う』との弁に、まだ始まったばかりだと驚く中也は、売れたとはいえシングル1枚だと指摘。プロになって大スターになるのが夢に非ずは最初から解っていた事であり、自分は普通に結婚して普通の家族を持ちたい。しかしこのまま歌手を続けてば、普通では居られなくなってしまう。それにあの曲は兄が詩を作ったからヒットしたまでで、自分はあんな詩は作れない。だいだい歌手を続ける気がないのだと決定的問題点に立ち返って、まずは東京に戻って柿崎&『偉い人』に会って引退を宣言して来る。印税は受け取るつもりはなく、兄と同じような病気で苦しむ人に使って貰えれば… との決意表明を聞いて、そこまでの決心ならば信じると言う中也は、俺も相談したい事があると言い出して、『お前に似た問題だ』と投げ掛けた。


 歌を辞める。27年間精一杯やって来て結論が出せなかったのだから、後悔はない! と言い切って、『私と一緒だ』と言う李理香に、『ひとつだけ違う』と返す中也は、ここ函館に残る! と予想通りに宣言した。
 この街が気に入った。ここには俺の等身大の幸せがある。俺が俺らしく生きて行く事が出来る愛が溢れている… と自分の世界に浸り切って、病院前の公園でずっとこの街を見ていたら、この港町が好きになっていたと言う中也は、この街で働いてみようと思っているのだと告白。アテはないが男ひとり、何だってやって行けるとの弁に、『男ひとりか…』と李理香は小さく笑って見せた。
 そして本気を出して『ZOO』を口ずさむ中也と、ハミングで後に続く李理香のデュエットが真昼の月が浮かぶ埠頭に流れた…。デュエットバージョンも発売か!?
 ゼブラレコード本社を出た李理香を追って来た柿崎は、『また君がこの世界に舞い戻って来る事を待っている!』とシリアスに決めるが、“蓮井朱夏”ではなく、遠野李理香として頑張るとの弁に『しっかりな』とばかりに笑顔で敬礼を送ると、その後ろ姿を真剣な眼差しで見送った。
 そしてとある神社に赴いた李理香の前に、園児の葛井“きょん”が飛び出して来た! りりかせんせいだぁ〜 みんなせんせいがいなくなってさびしいって〜 たまにはあそびにきてほしい! あしたからハワイにいくのぉ〜 とかろうじて聞き取れたところに、『忙しかったので家族でのんびりしようと思って』とフォローする葛井昴(陣内孝則)が妻の昭子(真矢みき)を引き連れて登場! 遅い夏休みだが“きょん”が楽しみにしていると威嚇? する昭子が一足先にその場を去るや、君の中で何か変化が起こったみたいだね? と性懲りもなく昴が近づいて来た。まぁ、最後だ。ウンチクでも何でも垂れてくれ!
 少し顔が違って見えるとの御指摘に、色々あったのだと返す李理香は、兄が死んだ事を告げるが、胸に手を置いて『兄はここに居る』と説明。これからは兄の為に、自分自身の為に生まれ変わろうと思うと続けて、『君は輝いている。今の君はどんな事も乗り越えられる明るさがある』と評する昴に、礼を述べた李理香は笑顔でその場を去って、病院へ向かった。
『蓮井昭彦』の病室前で、『人を許す事が出来ると、お前もまた許される』と告げた基次郎を回想。意を決してドアをノックすると、妻・妙子(仁科亜季子)に促された李理香は、恐る恐るベットに向かった。
 事故の日も朝までずっと付き添っていたのだと妙子から聞いて、苦しい息で『大変迷惑をかけました』と絞り出す昭彦に、『早く良くなって欲しい』と言葉をかける李理香は、『許してくれるのか…』と、妙子と共に涙を流す姿を確認。妹と弟に、『今日から私がお姉さんという事になるが、どうか宜しく』とぎこちなく告げた。それはそうだが、堂々としたものだ…。
 すかさず“蓮井朱夏”のCDを持っていると言う弟氏は、バックから取り出して見せるが、引退したとの弁に、ラジオで聞いたと言う妹嬢は『あんなにファンが居たのに』なにゆえ辞めてしまうのか? と疑問を投げ掛ける。
 自分にとってもっと大切なものがあったのだと応える李理香は、それは『幸福』であり、どんなお金や名声よりも『私だけの幸せ』が欲しかった。普通の温もりのある幸福が欲しかったのだと説明して、この歌詞はあなたの息子が作ったが、兄は少し前に病死したと告げるやいなや、基次郎の名を連呼する昭彦に、覚えていたのか… と驚きの声を上げた。


 彼は立派な人だったと続けて、自分は不治の病に犯されながらも妹を捜し出した事、兄とは名乗らずに文通を通して励まし続けてくれた事を告げて、『何もしてやれなかった。親の資格もない…』と嘆く昭彦に、妹や弟を立派に育てて来た事を讃える李理香は、私も彼らの姉になるつもりだと宣言。『済まない…』を繰り返す昭彦の病室を出ると、許して貰ったお陰できっと回復するだろうと妙子が頭を下げた。
『私が父に酷い事を言った故の事故であり、責任は自分にある』との弁に、昭彦はしょっちゅうひとりでぼんやり星を見ては泣いていたのだと説明。きっと手放してしまった基次郎と李理香の事を考えていたのだろう、その事がいつも彼の心に暗い影を落としていたと続けて、この事故のお陰と言うのははばかれるが、自分を傷つける事で幾らか精神的に楽になったのだと思うと述べる妙子は、李理香が許した事が一層昭彦の魂の救いになったのだと結んで、心からの礼で締め括った。暗い影の微塵もなく笑ってたよなぁ…。
 保育園を訪れて、先週見事な啖呵を切った進藤未明(原沙知絵)の後ろ姿に『あなたの孤独を理解してあげられなかった』と詫びる李理香は、いつかここに遊びに来ても良いだろうか? と投げ掛けた。
 声を殺して涙する未明が、頷いた事を確認。園児の顔を見るべく『そのうち遊びに来るね』と告げてその場を後にした李理香は、飛行機に乗り込んで『今までの私、サヨウナラ。そしてこれからの私、コンニチワ』などと芸のないセリフを呟いた後、函館の地に降り立った。こんなセンスで作詞は… やはり引退が正解だったようだ。
 見事なカニやらウニやらを売り捌くべく、市場で大声をあげている中也を不意打ちで襲った李理香は、なかなか板についていると評価。仕事を終えた中也と基次郎の墓に赴いて手を合わせ終えると、『この人私の恋人でぇ〜す』と恥ずかしそうに報告するではないか!!
 貧乏でも良いが私の事を幸福にしてくれなければ『だぁ〜め』と続けて、『愛をください』と迫る李理香は、やっと誰が自分を幸福にしてくれるのかが解ってきたところなのだと告白。今まで本当の愛を知らずに来た。でも今は解る。自分の足元をちゃんと見つめて進む事が出来るようになりたいと宣言して、中也の名を改めて呼ぶと、『愛をください』と改めて申し出た。  そして、ずっとお前が好きだったが、お前を幸せに出来るかどうか自信がなかった… と返す中也は、『でも今は違う。俺なりのやり方でお目を絶対幸せにしてみせる。運もないし才能無いけど、お前を一生懸命支えて行く気力と愛はある』と宣言。エコーズ版『ZOO』をバックに、『それがあれば充分! 幸福にしてね』と胸に飛び込む李理香と中也が目出度くキスして… 『愛をください』最終話、The End。
 
▲無難にまとまった最終回。“蓮井朱夏”版『愛をください』もオリコン初登場3位の大ヒットだが、ドラマの朱夏もあっけなく引退。見事な『やり逃げ』ッぷりには謹んで拍手を贈ろう! 先週、函館を褒めちぎっていた付箋通りに住み着いてしまった中也に成り代わって、番組冒頭で李理香の歌を褒めちぎった杏子ママこと風吹ジュン女史には、弱冠のテレが感じられて微笑ましく… 何のてらいもなく褒めちぎり役に徹した伊藤英明氏の偉業を改めて讃えさせて戴こう。『リミット』と同じ芝居の陣内孝則氏、『フードファイト』と以下同文の筧利夫氏にも結構笑かせて貰いました。掛け持ち御苦労様です。今更内容にツッコミも野暮だが、虐待が今も続く施設の事は触れずじまい。それも『許せ』と、基次郎の教訓なんでしょうか? 因みにエンドタイトルの『テレビ画面に浮き出る“愛”の文字が微妙に変化』は映画版『リング』の“呪いのビデオ”を彷彿させるが、『カルトなドラマだよ』とのメッセージだったのかと至極納得した次第だ。
 そんなこんなで『萬年テレビ亭・愛をください』にお運び戴いた皆様には、本当に有り難う御座いました。次期クールラインナップは『萬年テレビ亭・トップ頁』にアップ致しました。皆様のまたのお越しを心からお待ちしております!!

制作:フジテレビ・共同テレビ /脚本:辻仁成/演出:藤田明二(共同テレビ)・松田秀知(共同テレビ)/プロデューサー:中山和記(共同テレビ)・梨本みゆき(共同テレビ)/協力プロデュース:河合徹(フジテレビ)/音楽:Arico/主題歌:「ZOO」(ECHOES)

構成・文/阪本 悠

【「愛をください」バックナンバー(第1話〜第6話)
【「愛をください」バックナンバー(第7話〜)




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