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Back Story: 10 最終話 1〜6


● 合い言葉は勇気  ●

第10話『最後のチャンス』<9月7日(木)ヨル10:00〜10:54 フジ系>
脚本:三谷幸喜 演出:田島大輔

<出演>暁仁太郎(41)役所広司/大山忠志(25)香取慎吾/鴨田額蔵(41)金田明夫/川北義助(33)梶原善/琴井悌三(33)池田成志/斎藤礼・八嶋智人/玉塚裁判長・伊藤正之/暁尚子・キムラ緑子/山根房吉・石井康太/林八郎・松谷賢示/宮田音弥・赤坂七恵/蟇田・温水洋一/毛野智光(39)山寺宏一/大山節子(60)白川和子/琴井悌一郎(44)寺尾聰/安西景虎(47)國村隼/網干頼母(55)津川雅彦/犬塚信乃(33)鈴木京香 ほか


 次回裁判に備えて毛野智光(山寺宏一)からレクチャーを受ける暁仁太郎(役所広司)は、全くやる気が起きず状態で、『有害廃棄物』をゴミと認めないフナムシに対して我々がやらねばならぬ事は? との質問にも「急に聞かれても…」と口ごもるばかり。『金属片がゴミだと証明する』と言い当てる大山忠志(香取慎吾)を恨めしそうに眺めつつ、『壊れた洗濯機はゴミか否か』との質問には「ゴミだね」と即答。『壊れているから』では理由にならずと却下して『骨董品ともいえる』と例をあげる毛野に挙手する忠志の『ゴミ屋が引き取ればそれはゴミ』発言をバカにするが、実はそれが大正解。犬塚信乃(鈴木京香)とハイタッチを決める様子に憮然としつつ『ゴミは引き取って貰う方が金を払う』『骨董品は金を払って骨董品屋が引き取って行く』との説明に、めんどくせぇ… とコメントする始末。法廷で説明するのはあんただと呆れる毛野から『値打ちのあるもの』を『有価物』と呼ぶのだと何度も念を押されて、面倒臭そうに横になる仁太郎の様子にに呆れ返った信乃がため息を漏らす一方、富増村に向かって車を走らせていた暁尚子(キムラ緑子)が、突然飛び出して来た川北義助(梶原善)に銃を突き付けられて悲鳴をあげた。
 勉強会を終えた信乃から、仁太郎はいつもああなのか? あれはバカのフリなのか? と聞かれた忠志は、『フリ』ではないと返答。全て毛野の指南だと知って『ずっとああだったのか…』とショックを隠せない様子に、凄くガッカリした? と確認しつつ、あの人は良く言えば『役者バカ』だから… と余裕でフォロー。悪く言えば? と不安げな信乃に『バカ役者』と返した事など知る由もない仁太郎は、ひとり扇風機に向かって『水ようかん』などと無意味に呟いていた…。『バカ役者』ねぇ… 番組開始3分で激しく面白れぇじゃないか!!
 義助に車を奪われて野道をひた走る尚子に助けを求められた琴井悌三(池田成志)が、『何奴だぁ、この女?』と怪訝そうに対応する一方、忠志の命を受けて助役の鴨田額蔵(金田明夫)を尾行した林八郎(松谷賢示)は、フナムシと通じていた事を報告。ショックを隠せない信乃に、鴨田は博打大好きが高じて去年妻にも逃げられたと説明する忠志は金に困っていたのだろうと結べば、これからどうする? と心配顔の琴井悌一郎(寺尾聰)に、とっつかまえて逆さ吊りだぁ! と息巻く仁太郎は無視! 毛野に『どうしたものか?』と意見を求めた。
 なにゆえいちいちこやつの意見を拝聴せねばならぬ? 俺はないがしろかぁ!? と怒る仁太郎はひとり村長室を飛び出して、外で煙草に火を付けようとした時、あんたに会いたい人が来ていると悌一郎が手招きすれば、尚子が登場! 瞬間凍結した仁太郎は場所を『村雨』に移した。災難続きで実に良い気味だ。
 こんなところで何をやってるいるのか? との素朴な疑問に『色々あった』としか言い様もないが、『訴えられているのか?』との弁に、当方が訴えていると返して『村に有害産廃物を持ち込んだ悪徳業者と県を相手取って営業差し止め要求している』と説明。それとあんたとどういう関係があるのか? と実に真っ当な疑問に「ない」とあっさり返す一方、女房が訪ねて来た事を悌三から聞いた信乃は唖然!! 離婚届とペンを突き付けてサインを迫られた仁太郎は、今はそこまで頭が回らないと返答。サインするのに頭の何処を回すのか? 仕事の事で頭が一杯! 仕事などしてないくせに!! 『裁判が…』『関係ないのでは!?』と圧倒的不利な状況下で、俺がここまで真剣に生きる事など滅多にない… と訴えるものの、さりとて状況は変わらず。渋々サインに応じる仁太郎が判は持ち合わせていない旨を訴えると、尚子は用意した三文判を黙って突き付けた。信乃との事を考えればカモがネギ背負ってやって来たのだと思うが?
 一方の村役場では明日の公判はどんな手を使うのだ? とすり寄る鴨田を村長室に連れ込んだ忠志は、あっさり金銭出納帳を提示。八郎たちがフナムシ事務所に忍び込んだのだと手の内を明かして『泳がせる』作戦に出る一方、帰宅した仁太郎は店の看板を取り込む信乃に『隠していた訳ではない』『余計な心配をかけたくなかった』『きっちりカタがついてから…』と弁明していた。
 それら常套句に『別に良い』を繰り返しつつ『とやかく言える立場ではない』と嫌味に返す信乃は、『終わった事』『離婚届けは後で見せる』『俺が信乃ちゃんを思う気持ちに嘘はない』『これはホントだ気を悪くしないで欲しい』と“言い訳実用例”宜しい文句の羅列に、あと幾つ隠し事があるのか? 嘘をつく時は一生つき通して欲しい。でなければ悲しくなるだけだ! と言い放って家に戻った。が、信じられない事に尚子を引き連れた仁太郎は、車が見つかるまでの2〜3日の間だけ泊めてやって欲しいと申し出る始末! 『山賊に襲われた』は凄い話しだ… と呆れる毛野に、義助と踏んでいるのだと話題を逸らしつつ、信乃の気持ち思い図る忠志に、申し訳ないと思っているが今は兎に角警察の連絡待ちなのだ… と仁太郎も為す術がなく。うちは何人増えても… と諦め顔の信乃は先に休ませて戴きます、と部屋を出て行った。『……』
 信乃は明らかに傷ついていると呆れ返る忠志が、『もう終わった関係だ…』との弁明に、なにゆえ既婚者だったとの重大事実を隠すのか? と言い捨てると、仕事は夏休みを取って来たという尚子から近くに海が川はないのか? と聞かれた毛野は『泳ぎたい』のならば近くに良い池があると含みを持たせる一方、村長室に忍び込んだ鴨田は件の出納帳を盗み出してほくそ笑んでいた。
 そして翌日の法廷。フナムシ開発社長・安西景虎(國村隼)を尋問する仁太郎は、親会社の扇谷【おおぎがやつ】工業からどのくらいの金属片が運び込まれるのかと迫った。
 毎月100トン、1トンにつき100円支払って金属片を買い付けていると返す安西は、住人サイドは金属片をゴミ扱いするがするが、何処の世界に金を出してゴミを集める奴が居る? と反撃。我が意を得たり! と張り切る仁太郎はフナムシが金を出した場合は、ゴミではなく『有価物』であり、先方が金を払ってフナムシに引き取らせた場合に限ってそれはゴミと呼ばれる! と芝居を決めれば、傍聴席の毛野たちは『本番になると見違える』と囁き合って、信乃の頬もやや緩む。役者は舞台で通常1.75倍(当社比)は格好良く見えるものです。

 用意したメモを差し出して、今言った事が書いてあるので読み上げて欲しいとの申し出に、県側の弁護士斎藤礼(八嶋智人)が異議を申し立てるが、眼光鋭く制する安西は『先方が金を払いフナムシに引き取って貰った場合に限りそれはゴミと呼ばれる』と余裕で読み上げた。そしてあるルートからフナムシ側の金銭出納帳を入手したと言う仁太郎は、昨日侵入者によって村長のデスクが荒らされたと説明してフナムシサイドをニタッとさせる。が、前もって別の場所に移しておいた為に難を逃れる事が出来た! と出納帳を高らかに掲げると、傍聴席の鴨田は隠し持っていた出納帳を確認。白紙の隅に悌一郎画伯による『気を付けダルマ』のパラパラ漫画が書かれた偽物と気付いて頭を抱え込む様子を確認する安西は、本物かどうか解ったものではないと動揺。金属片を運ぶトラックはフナムシ所有のものか? と確認を取って、出納帳によると運搬費として扇谷工業から毎月500万円が支払われている事をあげて、100トンを1トンにつき100円で買っているとの証言通りに出納帳に記載されていると説明した上で、差し引き1トンにつき5万円の計算になると指摘。帳簿上では金属片が1トン運ばれる度に4万9900円の利益を得ているということになる。つまり扇谷工業は金を支払って金属片を引き取って貰っている事になる! と結ぶ仁太郎は先刻のメモを再度読み上げるよう差し出すが、斎藤弁護士の『異議アリ』を受けて『〜それはゴミと呼ばれる』と決め倒した。
 血相を変える安西は、住民サイドが帳簿を盗んだ事を訴えて、被害届も出している! おまえら全員窃盗罪で逮捕だ!! と声をあげるが、仁太郎は玉塚裁判長(伊藤正之)に、今の発言を聞いていた事を確認して着席。どういう事だ!? と慌てる安西に、網干頼母(津川雅彦)は『あの書類が本物だと認めたのだ』と冷静に言い放った。あらあら…。
 証人は証人席に戻るように言い渡す裁判長に、異議を申し立てる斉藤弁護士は『不法入手した証拠を証拠として採用すべきではない』と訴えるが、傍聴席で立ち上がる毛野は『昭和32年に仙台地裁で開かれたいわゆる“ずんだ裁判”では、原告側が不法に入手した“ずんだ餅”が証拠として採用されている!』と発言。迫力に押されたおバカ裁判長が異議を却下すれば、「良く調べましたね」と感心しきりの忠志に『出任せ出任せ』と囁いた。『入れ歯の歯形』より酷いエピソードだ。
 傍聴席の信乃とVサインを交す仁太郎は、尚子の『この人見違えってない?』視線にビクっと反応しつつ『ちょっとあなた』と呼びかける裁判長から、帳簿は本当に盗んだものなのか? と問われて、『とんでもない』と返答。朝起きたら家の前に置いてあった、心ある人って居るんですね〜 とのクサい芝居に証人席から『異議アリぃい!!』と叫ぶ安西は、網干の咳払いで思わず己の口を押さえる始末! この日は住民サイドの圧倒的有利に終わった。
 裁判長の心象は完全に住民寄りになってしまった、仁太郎の話にいちいち頷いていたと焦りを露わにする安西から『手はあるのか?』と迫られた網干は、『奥の手』という『手』があると返答。もう『奥の手』しかないのか… と驚く安西をよそに含み笑いで受話器をあげると、裁判所からの呼び出したを受けたと言う悌一郎たちから『何でしょうか?』視線を受けた毛野は『???』とリアクション。地裁会議室で“当事者適格”とは何か? と悌一郎から尋ねられた仁太郎は、彼にも解るように説明して貰えますか? と逃げを打った。
 裁判長に促された網干は、原告側が全て南富増の住人で構成されている事を指摘。ゴミ処理場は北富増の方が遥かに近いにも関わらず、北富増の住人が裁判に参加していないとの弁に、それは買収の結果だろう! と声をあげる仁太郎を制する裁判長は『直接被害を被っていない南富増住人は訴えを起こしてはないらい=当事者としての的確がない』と説明。そうなのか? と問う悌一郎、寝耳に水状態の仁太郎に『ぶっちゃけて言えばお宅らに裁判を起こす資格はない』と結ぶが、宜しいでしょうか? と斉藤弁護士が立ち上がった。ほう?
 普通“当事者適格”問題は裁判の初めに片付けておくべきであり、ここまで審議が進んだ段階で言うべき問題ではない。そして環境裁判の場合、例え現時点で被害がなくとも… と発言するものの『立場をわきまえたまえ!』と制する網干には勝てず。憮然と着席する斉藤弁護士のお陰で事情を理解して、『形勢が不利になったので慌ててこんな事を言い出した!!』と吼える仁太郎から網干は視線を反られた。
 今更そんな事言われても… と声をあげる信乃と、それで裁判を辞めるのか? と迫る忠志に、ここまで来て後に引けるか!! と仁太郎が強気で返したところに尚子が帰宅。ダルマ池は泳げたものではない、何とかしなさいよ! と迫り、だから今それをやっている! とのやり取りに信乃は不快感を露わにするわ、『あの女は何者か?』と悌一郎は驚くわ… 後で説明すると忠志がフォローする中、何か手はないものか? と苛つく仁太郎に『手はある』と返す毛野は富増の地図を示した。
 何も北富増住民全員が参加する必要はなく、“当事者適格”を成立させるには処理場に一番近い家の人間が原告団に参加すれば良いと説明。地図を覗き込む忠志は「僕ん家だ…」と呟いた。

 親不孝もいい加減にしなさい! と声を震わせる母・節子(白川和子)は、今でさえ近所から『次男坊は社会派ぶっていい気なものだ』と陰口を叩かれているのだと訴えて、社会派って何だ? 意味解らん! と呟く忠志は、これ以上肩身の狭い思いをしたくない! との弁に自分ひとりが原告団に参加すると宣言。部屋を出て行く後ろ姿に『おい、忠志君』とクサい芝居の仁太郎が、彼はこの村が好きなのだと諭して節子のクラスにビールを注ぐ一方、口ではああ言っているが本当は嬉しいのだと語る長男氏は、ようやく打ち込めるものを見つけたのだと喜んでいるのだと説明。弁護士になるだと節子が言っていると聞いて、「妄想膨らんでるよ…」と脱力する忠志は、次回公判の証人席で仁太郎から『原告団参加の理由』を尋ねられた。
 村の将来を自分の手で守ってみたくなった。最初は他人事に思えていたがひとりひとりが問題意識を持ってこそ、初めて富増を守れる事に気付いた。ゴミ処理場がいけないと言う事ではなく、一番許せないのは、ゴミ処理場を隠れ蓑として自分たちの利益追求の為に自然を壊して行くフナムシのやり方なのだ。フナムシが村を出て行くまで、僕は原告団の最後のひとりになっても戦って行くつもりです! との証言に傍聴席の節子が立ち上がってひとり拍手を贈るではないか! やがて法定内は原告たちの拍手に包まれて… 『優等生!』『ヒュー』などの声も飛んだ。
 お前を信用してこんな事になった! と声をあげる安西に、自分は扇谷会長から直々派遣されて来たのだと言う網干は『あなたは私の指示に従う義務がある』『解任したくば会長に直談判を』と威圧。昨晩会長からの電話で、裁判には必ず勝つ事、山の殆どは扇谷の所有地となりダルマ池も程なく埋めたてる事、今の倍の処理場を建設予定である事を確認したと続けて、この段階で営業停止は避けたい故に裁判には負ける訳には行かないと説明。『ダルマ池埋めたて』に鋭く反応した安西は、これ以上規模拡大はしないと聞いていると顔色を変えるが、産廃物は想像を超える勢いで増加中であり、いち社長の思いとは関係なくプロジェクトは進んでいると網干は指摘。今の地位に居られるのは安西が富増村出身との理由以外のなにものでもない事を忘れるなと釘を刺して、社長候補は幾らでも居る! と『会長が言っていた』と結ぶ一方、のどかな大自然に佇む信乃は、今日の忠志は素敵だったとコメントした。
 あの場に立ったらポンポンと言葉が出たと良いムードのふたりに、活躍の場がなかった仁太郎は居場所のなさを感じて食用花を口に運ぶが、将来弁護士になると節子が嬉しそうに言っていたと指摘する信乃に、忠志は呆れ顔だ。弁護士になってお袋さんを喜ばせろ! と無責任発言で花を食べ続ける仁太郎は、時期を過ぎると毒に転じるとの弁に花を吐き出したところに安西が登場! 話しがあるとダルマ池に場所を移して、これから話す事は他言無用と釘を刺した。
 自分は富増出身で、ガキの頃は学校へ行かずダルマ池で泳ぎまくって水泳選手になり、オリンピックに出場したのだと告白! 出場記念に貰ったという懐中時計を見せて、村に帰った時はヒーローだったと言う安西は、こんな田舎で骨を埋めるのはゴメンだとすぐに村を捨てて東京へ。自分が世界の中心に居るとの錯覚から、スポーツ関係事業を始めるもののすぐに行き詰まって気がつけば借金の山。親から貰った土地も売り払って無一文の時に扇谷関係の小さな工場に拾われて一から出直しを計った。がむしゃらに働いて30年目、やっと自分の工場が持てる段に富増に産廃処理場建設話しが持ち上がり、村出身者として責任者に選ばれた。名前を変えて村に戻った安西に村長や村民誰ひとり気付かなかったとは『???』だが、一度捨てた富増村がどうなろうと知った事ではないと思っていたのもこれまでの事。村が裁判に負ければダルマ池はなくなると言う安西は、この池は俺の池だと言い出すではないか! この池で泳ぎを覚えてオリンピックに出場したのは自分ひとり。ここは俺の池だ! と続けて『こんなにしたのはあんただ!』との弁に、ここだけは守り通す覚悟で社長を引き受けたのだと説明。他の奴ならばとうの昔に埋め立てられていた! こんなに汚してしまったが今ならまだ間に合う… と続けて、最低の人生だった、自分が死んでも悲しむ奴は誰も居ないと言い捨てながら、人生の最後に思い出すのは世界の競合と並んでスタート台に立った瞬間に目の前に広がった素面の輝きだ… と言う安西は、ダルマ池がなければその想い出もないと結ぶと、『俺に何をして欲しいか解らない』と困惑する仁太郎の襟を掴んで『裁判に勝つんだよ!』と声をあげた。
 本当は自分が法廷で否を認めれば良いのだが、自分を拾ってくれた会社を裏切る訳にも行かず… と本音を吐露。勝手過ぎる! そこまで言うなら裁判に勝つ有力証拠をちょろっと渡してくれても!! との叫びを背中で受け止める安西は、一度しか言わんので良く聞いておけ! 猿男を見つけだせ。呉々も警察の手に渡すな。鍵を握っているのはあいつだ… と言い残してダルマ池をあとにした。結構泣かせるじゃねぇか…。
 次の法廷の日。忠志に尋問する網干は、フナムシが富増に建設された時期に村に居なかった事を指摘。『村を捨てていた人間にどうしてフナムシのせいだと解るのか?』『誰かに吹聴されただけでは?』と迫って、『うちの息子が何をしたと言うのか?』と傍聴席の節子を制するよう裁判長に促すると、フナムシが村にやって来て『具体的に何が変わったか?』と詰問。山が崩されてそこにゴミが運び込まれたとの弁に『処理所が出来て身体に変調をきたしたか?』『あなたの家族は?』『川に魚が浮いていたのを見た事は?』と迫って、全て『ありません』を確認。では何を持って富増の自然破壊を訴えるのか? と続ければ『うちの子を目の仇にするのか!?』と訴える節子は裁判長の制止を無視! 『弁護士さん』ももっとしっかりやって頂戴!! と当然仁太郎に訴えれば『事情を知る者』は一様に狼狽! 『村民は仁太郎が弁護士ではないと納得済み』が嘘である事に網干が気付いたと知った安西は静かに目を閉じた。

 そして忠志の家で出すゴミが何処に運ばれているか? と迫る網干は、富増村周辺のゴミは県北外れのゴミ集積場に運ばれている事を『知らない』と確認。そのゴミ集積場も山を切り開いて作られた事をも御存知なかった? と迫ったところで『異議アリ』と立ち上がる仁太郎は『今のは誘導尋問だ』と訴えるが、これは誘導尋問ではない! 法廷用語の使い方も解っていない。法律に対してあまりにも無知、法廷のしくみすら解っていないのでは? と畳みかける網干は、裁判長の左右に座っている裁判官を指して、裁判長の次に偉いのはどちらか? 向かって右か左か? と迫った。緊張のうちに『左』と応える仁太郎に『向かって左はこちらですよ』と迫り『向かってならば… 右だ』と言い直す仁太郎に『左』で正解。これが『誘導尋問』なのだと説明して『弁護士気取り』もいい加減したまえ! と声を上げる網干は『いくら本職の俳優』なれど『弁護士になり変わって』法廷で渡り合える筈がないと暴露。凍り付く悌一郎に、本気でこの裁判で勝ちたいのならば今すぐ『本物の弁護士』を雇う事をお薦めしますと進言して『以上』と結んだ。なかなかお見事だ!
『君は… 』と驚く悌一郎や『どういう事だ!?』と傍聴席から声をあげる八郎の御要望に応えて『教えて差し上げよう』と再び立ち上がる網干は、この男は『弁護士ではない』、今やドラマのチョイ役でしかお呼びのない『売れない俳優』の暁仁太郎君! と言い放つと、信乃、毛野、尚子と共に安西もため息を漏らすなかで『終わった…』と証人席でうなだれる忠志の背中をポンと叩いた。
 村民が公民館に集合した事を告げる山根房吉(石井康太)に促された仁太郎を呼び止める悌一郎は『良くやったと思う』と告げた。本物の弁護士でも何人があそこまで村の為に本気で戦ってくれたかと漏らして、この人を連れて来た『君の目は正しかった』と忠志の労をもねぎらう悌一郎は、内心おかしいなと思っていたと告白。しかし法廷で頑張る姿を見ると嬉しくなってしまったと続けて、フナムシに勝てないのは非常に残念だがどんな形で裁判が終わっても、僕はもう後悔などはしていない! と結んでふたりを送り出した。
 会場に入る直前、『お前は知らなかった事にしろ』と囁く仁太郎は、俺が騙した事にする。俺は村を出ればそれで済むがお前はそうはいかんと告げて、村民らと対峙した。
 何故騙した? と迫る八郎たちに『金に決まっている』と言う悌三は、弁護士になりすまして弁護料をふんだくる算段で、住民票を移したのは賠償金をせしめるつもりなのだと説明。そう思いたければそれで良しと仁太郎が呟けば、追求は忠志に及んだ。
『知っていたのか!?』との声に、こいつは関係ない、俺の考えた事だと返す仁太郎に掴みかかる八郎たちに割って入る忠志は『俺がお願いした』と告白。東京で弁護士が全く見つからず、他に手もなく困り果てたところ、テレビで見た仁太郎に弁護士のフリをしてくれと頼み込んだのだと説明。みんな俺が考えた事なんだとの弁に、八郎たちが今度は忠志に掴みかかった!! そこに飛び込んで来た信乃は、村の為を思って連れて来たのだと弁明。父が死ぬ前に仁太郎に村の事を託したのだと説明して、だから本物の弁護士でもないのにここまで戦ってくれたのだと訴えるが、『違う!』と声をあげる悌三は、いくらでも和解のタイミングがあったと指摘! 勝手に断って勝てる筈のない裁判に無理矢理持ち込んだのだとの弁に、『裁判には勝てる!』と訴える仁太郎は、このままでは負けると思った故に網干は俺の事をバラしたのだと指摘。最後までやらせて欲しい! と信乃も土下座するが、弁護士もおらず状態で勝てる筈がない! と声をあげる悌三を制する八郎たちは、『勝つ負ける』ではなく仲間と思っていた奴から騙された事が許せないと訴える。そうとなればそれも良しと乗り換えた悌三は、コイツらを村から叩き出せ! 『ゆけぃ、皆の衆』と悪代官ノリで八郎たちに指示を与えると、ボコボコに殴られる仁太郎と忠志を庇おうと声をあげる信乃を羽交い締めにした。何者なんだろう、悌三って…。
 そんなこんなで車で運ばれたふたりは村外れで放りだされ… 信乃の車で駆け付けた毛野と悌一郎は『村はどうなるのか…』と呟く忠志に、若者たちが暴力に訴えるべく集結していると報告。原告団を降りてしまって裁判続行も困難と聞いた忠志が『村もおしまいか…』とヤケクソ気味で言い捨てると、住民票を差し戻す悌一郎は力になれなかった事を詫びた。もう少しだった… 前村長との約束を守れなかったと無念そうに漏らす仁太郎に、精一杯やってくれたと言う信乃は父も満足しているだろうと慰めた。そしてもう少しで網干の泣きっ面を見れたのによぉ!! と吐き捨てたところに尚子が登場!! だったら最後までやれば良いと言い放つと、状況も解らないで知った口叩くな! との弁に。結局いつもそうだと指摘。何をやっても中途半端で調子が良いのは最初のみ。風向きが悪くなればすぐに諦めるとの弁に、仁太郎は頑張ったと信乃が援護するが、結果が出なければ頑張っても同じとの言葉を、仁太郎は『聞くな聞くな』と制する。一度くらい最後までやり通してはどうか? 悲劇のヒーローぶって彼女に優しい言葉をかけて貰えればそれで良いのか? とまで言われて、『お前はキツイ』と声をあげる仁太郎はどこまで俺を傷つければ気が済むのか!? と迫るが、とことん傷つけないとやる気にならないからと返す尚子は、殴られた傷口に触れた。なかなか凄い元妻だ。
 そして、やる気になってももう手はない! と捨て台詞を吐く仁太郎に「手はあるよ」と言う毛野は、裁判は終わった訳ではなく悌一郎はまだ原告で信乃や忠志も居ると指摘。肝心の仁太郎は村の住人ではなくなり弁護士でもないし原告からも外されてどうやって戦って行くのか? と問う忠志に、ひとつだけ方法があると続ける毛野は、弁護士の資格を持った人間を呼んで来るのだと言う。優秀な弁護士を捜すからダメなのであって、3流で結構。こちらは知恵もあって口も立つが資格がないだけと説明。資格があって能なしの弁護と組めば怖いものなし! 仕事にあぶれた最低の弁護士を呼んで来る、出来るだけ病気がちな老人が良い。そうして仁太郎はその看護人として再び法廷に立つのだ!! との無茶苦茶な構想に『無茶だ…』と忠志は取り合わないが、面白い!! と仁太郎が立ち上がった。
 そんな事は出来る訳がないと忠志、これ以上無理をしないで… と言う信乃に、村の為でもオヤジさんに託されたからでもなく、申し訳ないが信乃の為でもなく自分の為に戦うのだと宣言する仁太郎は、これは俺の為の戦いなのだ! 俺の為にフナムシを倒す!! と言い放って、もう少し付き合って欲しいと懇願。その心意気に「フナムシ、クソ喰らえ!!」と信乃が拳を振り上げるや悌一郎と毛野も拳をあげた。その様子に満足そうな尚子も拳をあげる様子に呆れる忠志は、『しょうげねぇなぁ』と言わんばかりにかた頬に笑みを浮かべて… end。
 かと思えば、東京に戻った仁太郎がメモを片手にとある人物を探している。『弁護士モノのドラマ執筆の際に法律監修についた弁護士が全然使えない奴だった。本職なれどまるで役に立たずだったが当時で相当なお爺さんだったので今はすんごい事になっているのでは? 今回のケースにはまさにうってつけだ』と毛野のモノローグと共に、朽ち果てたようなアパートを訪ねるものの、住人は居るのか夜逃げしたのか? 部屋は荒れ放題。だが、そこに銭湯から戻って来た赤岩一孝(杉村直樹・特別出演)なる人物は、仁太郎の顔を見るなり一目散に逃げ出して… 『合い言葉は勇気』第10話、end。

▲正直に言って初めて『面白い!!』と膝を打たせて戴いた第10話。だが時既に遅しで来週は最終回。せめて折り返しの5話〜6話くらいからこのペースとクオリティだったら… といち視聴者として残念な事このうえないっス。安西のエピソードも『誰も気付かない』以外は実に良く出来ており、國村隼氏の芝居も『見せ場』のダルマ池は勿論、その後の法廷シーンは本当に素晴らしかったの一言! 長年の國村ファンとして実に嬉しい限りだった。網干こと津川雅彦氏の法廷シーンも圧巻! 音楽の如く台詞を操る技に拍手を贈りたい。余計な事と知りつつひとことお許し戴きたいが、第10話を観て、悌三役に三谷組常連の『オデコ』な俳優氏を重ねてしまった次第だ。
 さて次週最終回は、車椅子に乗せた赤岩弁護士を法廷に運び込む白衣の仁太郎は、こんな茶番聞いた事がないと呆れる網干に、具合が悪いって言っているから仕様がないと反論。あくまでも君は付き添いだからと裁判長に釘を刺される仁太郎に続いて毛野までが白衣で法廷に臨むが、大事な証人ながら逃げ出す義助を追う信乃から「仁太郎と奥さん、凄くお似合いだった」と言われてしまう仁太郎で… 『相当なお爺さん』に見えない赤岩一孝(杉村直樹・特別出演)なる人物には何か秘密があるのか? 64分スペシャルは長丁場だが、期待して待とう!


● 合い言葉は勇気  ●

第9話<8月31日(木)ヨル10:00〜10:54 フジ系>
脚本:三谷幸喜 演出:河毛俊作

<出演>暁仁太郎(41)役所広司/大山忠志(25)香取慎吾/鴨田額蔵(41)金田明夫/川北義助(33)梶原善/琴井悌三(33)池田成志/斎藤礼・八嶋智人/玉塚裁判長・伊藤正之/暁尚子・キムラ緑子/山根房吉・石井康太/林八郎・松谷賢示/宮田音弥・赤坂七恵/蟇田・温水洋一/毛野智光(39)山寺宏一/天馬金吾(63)麿赤児/琴井悌一郎(44)寺尾聰/安西景虎(47)國村隼/網干頼母(55)津川雅彦/犬塚信乃(33)鈴木京香 ほか


 いよいよ県を相手取った富増村の産業廃棄物処理場許可処分取り消し請求の裁判が始まった。
 フナムシ開発は無害の生ゴミをフナムシに喰わせて処分するとの名目で県から営業許可を貰っているが、果たしてその実態はどうだろうか? とアメリカの法廷劇宜しく傍聴席に向かって訴える暁仁太郎(役所広司)を呼びつける玉塚裁判長(伊藤正之)は、裁判長である自分に向かって話すよう注意を促した。
 ポール・ニューマン主演映画のイメージがあったもので… と弁解するものの、あれは陪審員に対する説得であり、傍聴席には一般人しかおらずとの弁に「解った解った」と返す仁太郎は、はてさてどこまでいったのか? と尋ねる始末。原告全員=一般人?
 私に聞くのか!? と裁判長をムカつかせつつも席に戻った仁太郎は、フナムシとは名ばかりでその実大量の廃棄物を山奥のゴミ捨て場に放置しているに過ぎず。しかもそのゴミは無害ところか金属等の有害産業廃棄物だと指摘。産廃処理法に違反しているのは明々白々の事実なのであります! と力が入ったところでまたもや席を離れて『従って富増村は県に対してフナムシ開発の営業許可下の取り消しを要求するものだ!』と裁判長に向かって言い放てば傍聴席から拍手が沸き上がった。そういう事は決起集会で済ませとくべきだ。
 そのわざとらしい盛り上げ方に裁判長は呆れ顔。傍聴席に後ろ手でVサインを送りつつ席に戻る仁太郎を、網干頼母(津川雅彦)は不愉快そうな視線を送った。
 そして県側の弁護士・斎藤礼(八嶋智人)が、富増村の要請でゴミ処理場の抜き打ち立ち入り調査を行ったが、何ら違反とされる事実は見つからなかったと述べると、良く通る声で「異議アリ!」と仁太郎が唱えた。が、「どうぞ」と言われても、別に… と口ごもって「何となく異議がありそうな感じがした」と笑いを取るが、理由もないのに無闇に異議を唱えないように! と厳しく注意を促す裁判長にまたもや手招きされてしまった。
 無理があるのでやはり弁護士を付けるべきとの耳打ちに、これから調子が出て来るので任せて欲しいと返答。不安そうな原告代表・琴井悌一郎(寺尾聰)に、ダメ弁護士を演じるのは骨が折れると囁いて、向こうが油断すればこっちのものだと作戦を匂わせた。
 しかし斎藤弁護士が『フナムシ開発が産廃処理法に違反している事実が現在のところ無い故に、県は営業許可を取り消す必要はないと判断しざるを得ない』と結んで第一回公判は終了した。
 第二回公判前にトイレで『ゴミと言ったら負け作戦』を確認する毛野智光(山寺宏一)は、網干には仁太郎が弁護士ではない事を村民が了解している事になっていると指摘。「ややこしいなぁ〜」と面倒臭そうな仁太郎に、村民に本当の事を言っていない事がバレれば大変な事になる! と念を押すが、ひとたび法廷に立てば役者モードに切り替わって堂々と振る舞う仁太郎は『山に捨てられた金属片がゴミではないと言い張るのか?』と安西景虎(國村隼)に迫った。
 ゴミと認めれば産廃処理法に違反するからでは? との弁に『今の質問は単なる決めつけ』と斉藤弁護士の異議を裁判長は認めた。
『ゴミでなければあれは何か?』『有価物=金になる価値のあるもの』『どうすればあのゴミが金になる?』『ゴミではない』『どうすればあの金属片が金になる?』『加工して業者に売る』『あんなゴミ売れる?』『何回言えば解る、あれはゴミじゃない!!』『金になる金属片を山に捨てるのか?』『あれは保管だ』との激しいやり取りの後に、富増の自然が保管と称して持ち込んだゴミによって大変な事になっている。村民がこよなく愛した風景がゴミによって見る影もなくなってしまった… と訴える仁太郎に、あの土地は俺の土地だ! と興奮する安西は「俺が自分の金で買った土地なんだよ! “ゴミ捨てようが何しようが”俺の勝手だろ!!」と声をあげた。
 今の発言聞きましたね? と傍聴席と裁判長に向かって声をあげる仁太郎は、自分でゴミと認めたのだと勝ち誇ると、大いに盛り上がる村民らの声を受けて「以上です」と余裕で決め倒した。『何しようが』って言ってるのに、そんなに喜んでいいのか?
 斉藤弁護士は「特にありません」とあっさり引き下がるが、裁判長に発言許可を求める網干は“ゴミ捨てようが何しようが”発言を指摘して国語事典を示した。
 接続助詞の“が”は、通常の助動詞“う”と結合した場合に限り仮定を意味すると記述されている事を指摘。ゴミを捨てよ“うが”とは、文法上はあくまでも仮定を意味するのだとの弁に、それは屁理屈だ! と毛野が声をあげる。“が”しかし『何をしようが』とはどういう意味か具体的に… と迫る網干は、凍り付いている安西に『ゴミ捨てようが、歌を歌おうが、昼寝をしようが、金属片を保管の為に持ち込もうが… それは俺の勝手だ』では? と例を示して「そうです」との返事を引き出した。日本語とは難しいものだと結ぶ手腕に、傍聴席の犬塚信乃(鈴木京香)が「凄いこじつけ…」と漏らせば隣の大山忠志(香取慎吾)も唖然! 富増サイドが一様に茫然とする一方、席に戻る網干は『バカ社長めが…』と小さく吐き捨てた。別にこじつけとも思わないが?

 その日、村長室で仁太郎がもの凄く格好良かったと感動する信乃は『テレビドラマを観ている』ような感じだったと例えると、そいつは観たい! と言う鴨田額蔵(金田明夫)は、一緒に来れば良いという忠志のお言葉に甘えて、仕事を休んで行ってみるかと身を乗り出した。
 次なる作戦はと問われた毛野が『こいつのご登場!』とフナムシが収められた金魚鉢を差し出せば、蟇田(温水洋一)も良い所があると言う信乃や、最高の置き土産だ! と仁太郎ら一同は嬉しそうに金魚蜂を覗き込んだ。
 しかしその夜遅くに懐中電灯の灯りを頼りに村長室に忍び込んだ鴨田は、金魚鉢の蓋を開けてフナムシを掴みあげるが、軍手の指をくぐり抜けたフナムシ君はチョロチョロと床を逃げて行った…。
 そして翌朝の村長室。朝刊の記事を見て、これではまるでこっちが悪者だ! と声をあげる信乃に、確かにそうなのだ… と返す忠志は、何て書いてあるのか? とソファーに寝そべっている仁太郎に『要は自分たちが良ければそれで良いのか』との大意を告げる。ゴキブリ『らしき』気配に気付いた信乃がたたんだ新聞紙をバシッと叩き付ける一方、ゴミ処理場が無くなれば余所に作らねばならずと続ける忠志は「作りゃあいいだろう」と脳天気な返答に、となれば別の村が被害者になるのだと説明。確かにゴミ問題の難しいところはその一点だと悌一郎が納得した所に、毛野が登場。金魚鉢を覗いてフナムシ君が居ない! と声をあげた!!
 蓋が開いていたとの弁に、探せ! と一同は床を這うが、「嫌だ、私…」と青ざめる信乃に、どうしたのだ? と忠志が迫ると、視線の先には潰れたフナムシ君の変わり果てた姿が…。合掌…。
 何て事を… と自失茫然の信乃は、「信乃さんが潰したの?」を繰り返す忠志に、ゴキブリかと… とやっとの事で呟くと、涙ながらに仁太郎の胸に飛び込んだ!おやおや?
 大事な証人を思いがけず失いながらも第3回公判に臨んだ仁太郎は、フナムシによる土壌改良として県から営業許可を受けているが、本当にフナムシを使ってゴミ掌理は可能なのか! と歩きながら一同に訴える。またもや手招きの裁判長に、なにゆえいちいち前に出るのか? と咎められて、定位置での発言を命じられつつ、フナムシは雑食性で海草、動物の遺骸、有機残骸を食べると動物図鑑に載っていると説明。確かに理論上ではフナムシは生ゴミを食するが、さて現実問題として考えてみて下さい!? とまたまた席を離れて訴える仁太郎に、そうして縦横無尽に歩きまわるのは止しなさい! と再三の注意を促す裁判長は「弁護士か、あんたは?」と結んだ。来たぞ来たぞ!
 事情を知る者たちに緊張が走るなか、「あんたは弁護士か?」と繰り返しの質問に「ならば応えましょう」と落ち着き払う仁太郎は、私は自分の事を弁護士だとは思っていません! と宣言。そりゃあそうだろうと呆れる裁判長を無視して、弁護士であるより人間で居たい!! と大見得を切って信乃や悌一郎を感動させた仁太郎は、「ここに一匹のフナムシが居ます!」と小さなガラスケースを高々と差し出した。
 我々はこのフナムシを使って実験を試みたと続けて、重さ10グラムのチーズ片をどの位のスピードで食べられるのかを観察した結果、殆ど食べずに舐めるというのが適切だ。このぶんで行けば僅か10グラムのチーズを処理するには10日はかかるという算段だと説明。『舐める』が適切ならばそんなに早く喰えないだろうよ!
 単なる憶測に過ぎず! との異議を無視して、このチーズを一日で処理するには10匹のフナムシが必要だと滅茶苦茶な論理を展開する仁太郎は、一体処理場に何匹のフナムシが居るのか? と迫った所に、処理場と同種のフナムシか? と裁判長が尋ねた。
「そうです」と認めた上で、実は“フナムシ開発”が処理場内で養殖しているフナムシの一匹だと説明。処理場の関係者から譲り受けた事、本物であるとの本人のサイン入り内容証明もある! と蟇田のメモを示す仁太郎は、このフナムシを“証拠物件A”として提出すると結ぶが、それは証拠物件とは言わず“検証物”なのだと指摘する裁判長に、“検証物B”として提出します!! と懲りずに宣言。なにゆえ“B”だ? “A”でいいんだ! と突っ込む裁判長に向かって立ち上がる斉藤弁護士は『フナムシの提出のみでは何ら証明された事にはならず』と反論。実験結果をまとめた書面の提出がなければ… との弁を制する網干は、またもや裁判長から発言を許可された。
 仁太郎に歩み寄って、譲り受けたフナムシは何匹か? と迫る網干は『一匹だけ』との返答に、先刻の計算は一匹のみの観察結果から割り出した推論なのかと指摘。ならばその一匹はたまたま食欲が無かったとは考えられまいか? 環境の変化による食欲減退の可能性もある! と訴えて、そんなにデリケートかぁ? とフナムシ愛好家にとって聞き捨てならぬ発言の仁太郎が容器を小刻みに動かしている手を押さえる網干は「小刻みに動かさない!」と声をあげて、フナムシが死んでいる事を指摘した!!

 残念ながら今朝ほど不慮の事故でこの世を去ったと裁判長に訴えるものの、満足に食事を摂れなかったので餓死したのでは? 死にかけていたから食べられなかったのでは? との鋭い突っ込みに「生前は元気だった!」と狼狽える仁太郎は、ならば何故死んだのだ! と問い詰められて、ゴキブリと間違えて叩き潰された! とやむなく真実を告げるや、傍聴席の信乃は顔を隠してその場にうずくまった。
 フナムシ開発が許可申請の為に県に提出した資料コピーを示す網干は、多岐に渡る実験と調査の結果、フナムシが如何にゴミ処理に適しているかを証明して来たと説明。インチキに決まっている! と傍聴席の声を無視して、フナムシが生ゴミを食する事は生物学的にも証明されている。今更たった一匹のフナムシから割り出した推論にそれを覆すだけの意味が含まれているとは思えない。しかも当のフナムシは死んでいる!! と結ぶ網干が席に戻ると、同じく席に戻るように命じられた失意の仁太郎は、もう一度調査をして欲しいと裁判長に泣きついた。
 処理場に行ってフナムシを採取して「ちゃんとしたところ」で調べれば「解る事じゃねぇか〜」と迫るものの、「教えてあげよう」と口を挟む網干は、その場合は村民サイドが自費で調査した結果を証拠として提出するのだと進言。裁判所にその義務はない! と指摘されるわ裁判長から席に戻るようにきつく命じられわで、仁太郎はガックリと肩を落とすが、ガラスケースの上に『気をつけダルマ』のキーホルダーをそっと乗せる悌一郎は、穏やかな微笑みを向けた。そういう意味でも裁判は金がかかるのだ。
 外で待ち受けていたマスコミから『処理場は何処へ行けば良いのか!?』と迫れた悌一郎は、その問題に関しては時間をかけて検討する必要があると返答。テレビカメラを向けられても何も言えずに俯くしか術のない仁太郎は、犬塚宅の縁側で弁護士のフリなど出来る訳がない… と呟いた。
 折角ここまで来たと返す忠志は、もっと証拠を集めなければ… と励ますものの、失意の仁太郎が飲みに行って来るとその場を去って行けば、先生は大丈夫か? と心配顔の信乃は『元気がない』と聞いて、好物で力つけて貰おうと思い立って毛野の部屋を訪れた。
 自分は良くやってくれたと思っているが、裁判で調子が出なかったので落ち込んでいる。元気を出して貰いたい! と訴えて、メロンが『比較的』好き。『結構お子ちゃま』故にお城のプラモデルも大好きだとの貴重な情報をゲット。即刻信乃が調達に向かう一方、スナック『村雨』で昼間からビールを煽っている仁太郎を訪ねて、琴井悌三(池田成志)がやって来た。
 顔色がすぐれない悌一郎を引き連れて『お話したい事が』と言う悌三は、山根房吉(石井康太)らの若い衆もやって来た事を考慮して、場所を変えようと提案。あまり人に聞かれたくない話だと続けて「特にあんたにとってはね」と凄んでみせる一方、ノートパソコンで調べものをしている毛野は忠志にフナムシ開発の親会社が何処か知っているか? と尋ねた。
 電化製品なら何でも扱う“宇宙ロケットから電動ハブラシまで”なるキャッチコピーの扇谷グループだと明かす毛野は、自分のパソコンや忠志が使っていた携帯用小型扇風機もそうだと指摘して、バックにはとてつもない大企業がついている事を臭わす一方、川北義助(梶原善)と共にメロンと姫路城のプラモデルを調達した信乃は車で帰路を急いでいた。
 正直言って仁太郎は大したものだと感心する義助は、この村の事など何の関係もないのに良くやっていると指摘。私もそう思うとニコニコする信乃に、あの人に賭けてみても良いと続けて、好きで暴れている訳ではない。年々身体も重くなっているし… と情けなく訴えた。
 そして信乃の店先に場所を移した仁太郎に、原告が全員毎回裁判に出なければならないと聞いておかしいと思った、と切り出す悌三は会社の弁護士に言わせれば『代理人を立てれば済む事』だそうだと迫った。
 そう言われて裁判所に行って訴状のコピーを見せて貰ったと説明。どうして代理人が居ない? どうして弁護士・暁仁太郎の名前が載っていないのだ!! と声をあげる悌三が納得出来る説明を迫れば、弁護士が原告のひとりとして名を連ねている理由を聞かせて欲しいと悌一郎が遠慮がちに続いた。
 更に現住所は信乃の家になっている事を指摘。念の為役場で調べれば住民票を移している事が判明する訳で、一体何を企んでいるんだ!? と悌三が声をあげた所に「御説明しよう!」と毛野が登場! 仁太郎が信乃と所帯をもつと宣言して、ふたりは結婚して此処に住むので住民票を移して何が悪い!? との応急処置に「隠していてスマン…」と仁太郎も素早く反応。籍も近々入れる事になっていると聞いて悌一郎はお祝いの言葉を告げるが、代理人問題はどうなる!? と迫られた仁太郎は「教えてあげなさい」と毛野に印籠を渡した。どうしようもない男だな、仁太郎って。

 まだ解らないのか? 暁先生は全身全霊を賭けてこの裁判を戦うつもりでいる。何故ならば先生はこの村を大変愛している。第二の故郷とまで思うと同時に信乃との新しい生活もあり… その思いはもはや代理人の域を越えた!! とブチあげる毛野は、先生は代理人と呼ばれるのが嫌だった。だから敢えて当事者のひとりとしてこの裁判に臨む道を選んだ! と持ち上げきった所で「そんな弁護士居る訳ない!!」と悌三の叫びが視聴者を現実世界に引き戻す。そうだそうだ!
 が、しかしギャラの確約もないままに首を突っ込み続ける謎の放送作家も負けてはおらず。「型破りと言われる由縁です!」と無茶を締め括る毛野智光39歳はクサイ芝居で仁太郎の肩に手をかけた。『……』
 そんな型破り弁護士から「解って戴けましたか?」と静かに問われた悌一郎が「納得しました」と返せば、兄のリアクションに呆れる悌三がのけぞった所にメロンを下げた信乃が帰って来た。
 元気を出して貰おうと思ってとの心使いに「悪いな、信乃っぺ」と返す仁太郎は、いきなり信乃を抱き寄せて膝に座らせるではないか!! 「みんなが見てるわ」「関係ないよ、ありがとう」とのアツアツッぷりにショック駄目押し状態の悌三は、声にならない悲鳴をあげて店を飛び出して行った。
 あいつは信乃ちゃんに惚れていたと呟く悌一郎は、「悪かったねぇ」と口とは裏腹に悪びれた様子のない仁太郎に「もしあなたが仮に…」と告げながらも、言葉を飲み込んで店をあとにした。
 そんな事は知る由もない忠志は『村雨』に赴いて房吉たちを前に、裁判に勝つにはフナムシに関する情報が何でも良いから欲しいのだと頭を下げるが、やけ酒をあおる悌三に着目。何かあったのか? と声をかけて店の外へ連れ出されると、信乃&仁太郎の結婚話を聞かされた。
 まさかぁ〜 と呑気に返すものの、籍を入れるとか入れないとか? 子供でも出来たのでは? と苦悩する姿に、そんなバカなぁ… と萩本欽一氏の如くリアクション! 血相を変えて犬塚家に駆け込んだ。
 玄関でひとりで姫路城のプラモデル作りに勤しむ義助を無視して家に上がり込んだ忠志は、縁側で「あ〜ん」「あ〜ん」と互いの口にメロンを運ぶ入籍間近カップルの姿に唖然! 鴨居に頭をぶつけつつ信乃に歩み寄って「焦っちゃダメだ。違うんだよ」と訴える忠志は、この人は信乃さんの思っているような人ではない。この人は本当は弁護士なんかじゃないんだ! と告白。弁護士なんかじゃ… を繰り返して、意味が解らないとの弁に、東京に行った際に見つけた俳優だ。全然弁護士が見つからずに、弁護士のフリをして貰ったのだと激白。何を言っているのだと笑う仁太郎を無視して、尊敬が愛に変わったのだろうが、そもそもこの人は尊敬出来るような人ではないと訴えて、この人はお金に雇われた落ち目の俳優なんです! とキッパリと宣告。『落ち目』は余計だ! と頭を殴る仁太郎を更に無視して「騙して申し訳ない!」と頭を下げる忠志は、毛野は? との問いに「あんな弁護士居る訳ないじゃないですか?」と返答。裁判は? と問われて「あまり期待しない方が」と返した所に、プラモデル作成用のカッターを手に飛び込んで来た義助は、今の話は本当なのか!? と迫るが、「はい」と正直な返答に逆上。血相を変えて外へ飛び出して行った。年々重くなる身体でまた暴れるか?
 騙すつもりはなかった、とようやく本人も認めた所で、もう一度良く考えようと訴えて、それでもこの人が好き? と尋ねる忠志の頬を張る信乃は「俺も辛かった…」と言う仁太郎の頬も張って部屋を飛び出して行った。
 義助の騒ぎを聞いて、廊下に出て来た毛野の頬も張った信乃が家を飛び出して行くと、『ダルマ兄弟』を騙す為の芝居だったと聞かされた忠志が「やっば〜」と頭を抱える一方、房吉ら若者トリオは聞き込みなど面倒な事はやめて事務所に忍び込むべくフナムシを訪れていた。
 戻って来た信乃は「誤解があったようだ…」と弁解しようとする忠志を無視して部屋に籠もりつつ、自分の信頼していた人に裏切られた事だけは確かだと訴えて「俺がいつ裏切った?」と言う仁太郎の声に、村人全員を騙していたと漏らした。
 俺は精一杯偽弁護士をやって来てつもりだ! 裁判もこうなったからにはもう少し頑張ってみるつもりだとの弁に、もう顔も見たくない! と返す信乃は、この家から、この村から今すぐ出て行って!! と涙声で言い放った。
 火炎瓶を片手の義助がフナムシ前に到着する一方、事務所に押し入った3人組は巡回警備員の足音に身を潜めるが、そこにサイレンが鳴り響いた!! 警備員が飛び出してった事を確認して外を覗く3人組はまた義助の仕業と確信。シュレッダー処理と記された書類の段ボールを運び出す一方、火炎瓶を投げつけようとした義助は、可愛い仔猫を発見。どいてくれ! と訴えている間に警備員に取り押さえられてしまった!!
 今警察が到着したと告げる安西に、素晴らしい展開です! と声をあげる網干は、この時期逮捕者が出た事で、原告側の裁判官に与える印象は最悪となったと説明。「勝ちましたね」との弁に、鬼の如き形相の安西はニコリともせずにVサインを出した。怖ろしい…。

 現場に駆け付けた信乃と忠志は、押し寄せるマスコミの前でボコボコに殴られた義助が連行される様子を目撃。村は益々悪者扱いだと言う悌三は、裁判に勝つ見込みは、ない!と断言。村はオシマイだ〜 と聞いて顔色を失う信乃は急ぎ家に引き返すと、薬箱を漁った。思い詰めた表情で車を走らせる信乃と入れ違いに戻って来た忠志は、部屋に散乱する薬箱の中身に唖然!
 毛野と共に駅で最終電車を待つ仁太郎に、信乃が飛び出して行った! と告げる忠志は、死ぬ気なのか!? と迫られて薬箱の件を報告。義助も逮捕されて裁判もアテにならないと解って何もかもイヤになったのでは? と続けて、悔しいが信乃を止められるのは「あんたしかいないんだ!」と訴える忠志は自転車に仁太郎を乗せて、あてのないままダルマ池方面に向かった。
 車が停まっている事を確認してダルマ池に近づけば、白いバスローブをまとった信乃を発見した仁太郎は「白装束じゃねぇか!」と驚いて、早まった事をするな!! と声をかけた。
 確かに俺は偽弁護士だが、あんたに対する気持ちに嘘はなかった! あんたの為に裁判に勝ってみせると約束したと迫る仁太郎は、嘘は言うが約束を破った事はないと宣言。もう一度だけチャンスが欲しい。きっと村を救ってみせる! あんたとオヤジさんの為に俺は裁判に勝つ! 信じてくれ、頼む!! との訴えに振り向く信乃は、耳栓をしていたので聞こえなかったと言うではないか! ひと泳ぎしようと思ったと続ける信乃は、死ぬつもりだったのでは? との弁に、ムシャクシャするのでひと泳ぎで気分を変えようと思ったのだと、バスローブの胸元を開けてほんの少しだけ水着をのぞかせた。もっと見せてくれないと解らないぞぃ!
 子供の頃は悩んだり落ち込んだ時にここに来て泳いでいたと説明。奥に行けばまだ泳げる所があったと言いつつ、もう落ちついたので泳ぎは辞めたと言う。さっきは何を話していた? と迫りながらも聞こえていたと微笑む信乃は、我々はあなたに感謝するべきだと仁太郎に告げた。
 本物の弁護士でもないのに良く頑張ってくれた、本物でないだけに余計に有り難い、偽物のクセに裁判を起こして向こうの弁護士とやりあっている事を認めて、あなたが居なければここまでやってこられなかったと言いつつ「偽物のクセに… ありがとう」と告げる信乃は、ここまで来たら最後まで付き合って貰いますと迫りつつ、お願いします! と頭を下げた。そして薬箱の件は虫よけスプレーを探していたのだと説明。ふたりとも大丈夫か? と言われた忠志と仁太郎が顎や喉をポリポリする一方、義助は山道で脱輪した警察車から逃亡! 崖をダイブする義助のシルエットが満月の月にゆっくりと浮かんだ。
 そして、何故今まで気付かなかったのだろう? との疑問に、村はNHKしか写らない事を指摘する仁太郎は、NHKには出た事がないと告白して信乃の肩をぎこちなく抱くが、恋愛ドラマの経験は? と鋭い御指摘に「あまりない」と正直に申告。ぎこちなかったのかと納得して、普段は気軽にオケツなど触れるがここ一番はダメだと言う仁太郎は、富増の住人になった事、住民票を信乃の家にこっそり移した事を告白。全てに「いいんじゃない?」と返して、琴井兄弟にバレたので信乃と所帯を持つ事にした。近々入籍する事になっている… との弁にも「いいんじゃない?」との答えを聞いた忠志は、肩を落としてふたりの前から遠ざかった。
 そして、油にまみれたダルマ池が月の光を受ける光景を綺麗と思うのは不謹慎か? との問いに、そんな事はないと応える仁太郎は、どんなものでも見方によっては全然違うものに見える事もあると説明。肩を寄せるふたりを見守る忠志は池に足を突っ込むものの、自分たちの世界に浸るふたりに無視されてしまい…。「落ちた、濡れた、見てね〜」とひとりおどけてみせた。残念だったね。
 翌日。東京某所でテレビのワイドショーを見ていた暁尚子(キムラ緑子)は、悌一郎に続いてカメラを向けられた夫の姿に目を止めて「見つけたわ〜」と呟いた。そしてテレビ画面にはマスコミにコメントも出来ずうつむくばかりの仁太郎のアップが映し出されて… 『合い言葉は勇気』第9話、end。

▲偽弁護士がバレたお陰で入籍が決まった第9話。そんなに努力しているとも思えない仁太郎ばかりが幸せになって良いものか!? と思いつつ、信乃のキャラが素晴らしく良い女性とも思えないので「ま、いっか!」てな感じ。似た者夫婦じゃないでしょうか? 悌三も含めての信乃争奪戦だったらしいが、「ふたりで八王子に行こう」発言以降は仁太郎を疑うばかりの悌三では、やはり忠志にしか同情出来ないよなぁ…。が、しかし法廷での網干の活躍は文句無しに面白かったので今後も期待したい。
 さて来週は、こんなところで何をやってるのか? と言う妻・尚子の姿を傍聴人席に発見した仁太郎は唖然とするが、嘘をつく時は一生つき通して! と信乃が迫る。再び和解勧告の席が設けられるのか? お宅らには裁判を起こす資格がないと裁判長に言われて狼狽える仁太郎に、法廷の場で「この男は弁護士ではない! 売れない俳優の暁仁太郎君です!」と網干が指摘! 終わった… と天を仰ぐ忠志は仁太郎と共に村の青年に殴られてしまう。鍵を握っているのはあいつだ… と安西が言い残せば、俺の為にフナムシを倒す! と息巻く仁太郎で… 早いものでラス前10話か、楽しみに待つぞ!!


● 合い言葉は勇気  ●

第8話<8月24日(木)ヨル10:00〜10:54 フジ系>
脚本:三谷幸喜 演出:田島大輔

<出演>暁仁太郎(41)役所広司/大山忠志(25)香取慎吾/鴨田額蔵(41)金田明夫/川北義助(33)梶原善/琴井悌三(33)池田成志/斎藤礼・八嶋智人/玉塚裁判長・伊藤正之/山根房吉・石井康太/林八郎・松谷賢示/宮田音弥・赤坂七恵/蟇田・温水洋一/毛野智光(39)山寺宏一/天馬金吾(63)麿赤児/琴井悌一郎(44)寺尾聰/安西景虎(47)國村隼/網干頼母(55)津川雅彦/犬塚信乃(33)鈴木京香 ほか


 裁判所に訴状を提出した暁仁太郎(役所広司)たちが万歳三唱で浮かれまくる一方、網干頼母(津川雅彦)は村民側重要証人の蟇田(温水洋一)を社長室に呼び寄せた。
 村民に付いたと見せかけてフナムシ開発に有利な証言をさせるのか? と声を潜める安西景虎(國村隼)に、もっと有効な利用法があると網干が自信たっぷりに返す一方、村役場に戻った一同は蟇田が証言する事をフナムシ側にはギリギリまで隠しておくべきとの統一見解を確認していた。
 昨日から蟇田は犬塚信乃(鈴木京香)の元に身を寄せているので安心だと言う仁太郎は、土壇場での裏切りを心配する琴井悌一郎(寺尾聰)に、一度は村を裏切った男だけに自分も心配だったが今回は本気と見抜いたのだと断言。仕事を辞めて今の生活を全て捨てて逃げ込んで来た事から『それなりの覚悟』を決めているのだと結べば、一同は言い知れぬ不安に襲われた。
 この時期会社を辞めれば絶対不審に思うだろと言う大山忠志(香取慎吾)は、よくフナムシも辞めさせたものだと鴨田“実はスパイ”額蔵(金田明夫)に同意を求める。が、信乃の家に居る限りは安心だと意に返さない仁太郎は悌一郎に向かって、もう引き返せない! 目標はひとつ。フナムシをブッ潰す! 合い言葉は… 勇気だ! と拳をあげるが、『弁護士仲間』の毛野智光(山寺宏一)、証人の蟇田と居候を抱える信乃は「どんどん人が増えてく…」とカメラ目線でため息を漏らした。
 後日。裁判所から悌一郎宛に、訴状の書き方に不備があったと呼び出しがかかる。午前中はあまり動きたくないと腰をあげようとはしない仁太郎を別室に呼び出す忠志は、悌一郎をひとりにしてはいけないと忠告。裁判所は仁太郎の事を村民だと思っている事を挙げて、何かの拍子にバレたらどうする!? と迫って三人は裁判所に出向いた。
 提出した訴状には、原告側氏名が『村長・琴井悌一郎並びに富増村村民一同』と記されているが、原告ひとりひとりの名前を書かなければいけないと受付事務員が指摘。お茶菓子として出された缶入水ようかんを食べつつ、勿論知っていたが『杓子定規なやり方』が嫌いだと誤魔化す仁太郎は、何百人もいる村民の名を記入するとなれば字を小さくしなければならないのでは? と言い出す始末だ。ボケ過ぎだ…。
 別紙に記入にて提出しますとフォローを入れる忠志が、他に何か問題点は? と尋ねれば、水ようかんを『遠慮なく』どうぞと勧める事務員氏は、やはり弁護士にお願いした方が良いと進言!! 何の事やら状態で唖然とする悌一郎。最大級と言っても過言ではないピンチで顔色を失いつつも忠志は水ようかんの缶を『仁太郎先生』に差し出して、蓋を開けて戴くように『お願い』すれば、『そういう事か』と納得する悌一郎も缶を差し出した。お茶菓子などと気前が良い裁判所だと思ったらこういう事か。
 パッカンパッカンと蓋を開ける『先生』に「有り難う御座います」と忠志が礼を述べる異様なさまを怪訝に見ながら、原告に名を連ねた人間は必ず裁判に出席しなければならない事を知っているのか? と続ける事務員氏は、500名なら500名全員が出席しなければならずと説明。人で溢れかえってしまうと仁太郎は呑気に返すが、環境裁判とは常にそうしたものなのか? と問う忠志は、だからこそ弁護士にお願いすべき言う事務員氏の弁に、ここに弁護士が居る… と言いかけた悌一郎には申し訳ないがお茶を浴びせかけると、トイレに追いやって難を逃れた。
 そして、弁護士=代理人が居れば全員出席する必要がないのに、なにゆえ村民だけでやろうとするのかと不思議がる事務員氏は、「そうしてぇのは山々だども引き受け手がねぇんだわ」と突然方言を操る仁太郎を何者なのか? と尋ねた。
 帰りの車中で、本職の弁護士がどうして気付かなかったのか? と不思議がる悌一郎に、先週国会で決まったらしいと怖ろしい言い訳をひねり出す仁太郎は、葬式等々の慌ただしさで新聞も読んでおらずと、多忙を理由にした怠慢を反省して見せた。おいおい。
 それで納得してしまう人物が村長とはどうしたものだろうとも思うが、その言い訳に納得した悌一郎は早速南富増の村民に事情を説明。名前が載れば裁判への出席を強いられる事を告げて、仕事が忙しいのは重々承知の上ながらも村の為に力を貸して欲しい。今回の裁判は南の人間の団結が必要なのだと頭を下げた。
 一方、村長になれなかった腹いせにフナムシから賄賂を受託した北の首領・天馬金吾(麿赤児)は、今回の裁判は、南の連中が東京から来た弁護士にそそのかされて勝手にやっている事。我々には何の関わりもなく、原告に名を連ねる事など断じて無いように、北富増の人間は今回の裁判に一切関わらないようにと厳しく結んだ。
 帰宅した忠志を待ち受けていた母・節子(白川和子)は、天馬に言われた通りに裁判への協力を拒否! 北や南の問題ではない、天馬は金を貰って和解した裏切り者だと弁にも耳を貸さず状態。難しい事は解らないが、少しは近所の目も考えて欲しいと言われた忠志は説得を諦めるが、出来ればあんたも辞めて欲しいとまで言われる始末だ。兄・道夫が折角忠志が珍しくやる気になっていると仲裁すると、あんたの人生だから好きにして良いと次男坊に甘いところをみせる節子は、それでも本音は辞めて欲しいと結んだ。

 一方の犬塚家では風呂上がりの毛野が、石鹸を持ってきていないと言う蟇田に快く青い石鹸箱を渡して、居候同士協力し合おう! と士気を高めて部屋に戻った。早々に寝こけている仁太郎の足にけつまずきつつ、毛野の枕元に置かれた手荷物に着目。何やら不穏な気配に眉をひそめた…。まともなのは毛野だけだな。
 結局南富増で原告署名に応じたのはたったの15名と知った仁太郎は失望の声をあげるが、仕事を休む訳にはいかないのだと忠志は納得。15人でも集まった事で良しとしようと言う悌一郎はこの人たちの為にも絶対に勝たねばと結ぶが、忠志の名前が無い事に気付いた仁太郎は、なめるな!! と胸ぐらに掴みかかった!
 家庭の事情が… と弁解する忠志に、そもそも自分を引きずり込んだ張本人だと仁太郎の怒り心頭はごもっともだが、実家が北富増だと取りなす悌一郎は、母に反対されたのだろう? あの世代がそういうところに拘るのだ。近所の事もあっては仕方のない事だと理解を示めせば、原告に名前が無くとも裁判の傍聴を約束する忠志に、だったら原告になれ! と仁太郎は再び掴みかかった。仁太郎が納得出来なくて当たり前だろう。
 フナムシ陣営では、県の弁護士・斎藤礼(八嶋智人)を紹介する網干が、環境裁判経験がない事を確認して、100%こちらが勝つと説明。企業弁護士としては大した勉強にはならないだろうが楽しくやろうとお気軽に挨拶を済ませた。
 そこに待ったをかける安西は、県サイドはなにゆえこんな小僧ごときを? と疑問をぶつけるが、わざわざ経験の浅い人物を指名したと言う網干は、我々は補助参加人として法廷に立つ事、法廷での一切のイニシアチブは全て自分が取ると宣言。余計な口は挟まない。余計な詮索はしない。余計な物音は立てないとの3点を守るように言い渡された斉藤が、神妙な面持ちで打ち合わせの席につく一方、蟇田が荷物をほどいていない事が気になると言う毛野は、すぐに旅立てるように準備しているでは? と信乃に進言。暫くは目を離さない方が良いと結んだ。
 そんなこんなで裁判準備が着々? と進むが、両者は事前和解勧告の為に裁判所に呼び出された。
 時間が過ぎても現れない玉塚なる裁判長は古い友人で、多忙を極める人物だと説明する網干は余裕で待っているが、仁太郎が遅い!! といらつき始めると、『気をつけダルマ』のキーホルダーを買ったのだと言う安西は、『気をつけ』をしないで倒れてしまうと指摘。それは『立てる』ものではなく『ぶらさげる』ものだと忠志の弁を無視する安西は、この足が邪魔なのだ声をあげてとキーホルダーをへし折ると忠志に投げつけた! 『気をつけダルマ』産みの親・悌一郎は慌てず騒がずで、安西の似顔絵を忠志に見せて和ませたところに、玉塚裁判長(伊藤正之)が登場した。
 今日だけで7件の裁判を抱えていると遅刻を詫びつつ、両者を紹介。早速本題に入ろうとしたところに携帯が鳴って玉塚が応じるが、同時に携帯を耳に当てた安西が怒鳴り声をあげた!! 『警察を呼べ』だの『とっつかまえろ』や『バカ!』等々物騒な声が響く中、悌一郎から『先生』と呼ばれる仁太郎は何者なのか? と尋ねる玉塚裁判長に、学校の先生だと耳打ちする忠志は『村のご意見番』的存在だと説明して難を逃れた。
『俺が帰るまで生け捕りにしとけ!』と怒鳴って電話を終えた安西は、川北義助(梶原善)が暴れ出したのだと説明。裏門の壁にスプレーでイタズラ描きをする義助がフナムシの従業員を相手に大立ち回りを演じるの図…。を一同が想い描いたところで、自分が遅れておきながら『時間がない』ので始めたいと言う玉塚は『ぶっちゃけた話』本当に裁判をやるのか? と本題に入った。
 証人を得て負ける気が全くしない仁太郎は、当方はそのつもり! と力強く応えるが、環境裁判は原告・被告共に『地獄』なので和解で済むならそっちを勧めるとの弁に、安西は何度も和解を持ちかけていると反論。『いいねぇ』と乗り気で見解を求められた斉藤は、両者折り合いが付けば県としても和解に異議なしと返答。普段は公判の前にこんな場を持つ事はない、それ程環境裁判はしんどいので… と強く和解を勧める裁判長に「和解はない!」と仁太郎が言い放てば、余程勝つ自信があるようだと続く安西も和解はなして良しと同調。意見を求められた悌一郎は、富増が県に対する要求はただひとつ! フナムシ開発の営業許可の取り消しであり、和解は有り得ない! と言い切れば「よく言った!」と仁太郎が満足そうに結束の固さを誇示した。
 その強気な姿勢に『有力な証人』でも抱えているのか? と言う安西に続いて、これ以上議論の余地ナシでは? と網干の弁を受けた裁判長は、両者とも裁判でとことん決着をつけて下さいと宣言。その為の裁判ですから! と言いつつも「本当に和解はないね?」と食い下がるものの「くどい!!」と仁太郎に言われた裁判長は、第一回口頭弁論は来週月曜午前11時からだと告げて、場を締め括った。
 蟇田という強い味方が居るのだと強気の仁太郎に、敵にバレているのでは? と忠志&悌一郎は不安そうに漏らしたところに、斉藤が通りかかった。
 敵だぞ。口きくな、息止めろと仁太郎は子供のように命じて、三人に『斉藤礼』と記された名刺を渡しただけの『敵』が去って行くと『おえぇ』と大きく息をついた。そんなアホな…。

 奴らが度肝を抜かす顔が早く見たいと言う安西と共に車に乗り込んだ網干は、鴨田に交渉決裂を告げて「例の手筈で」と告げた。電話を切った鴨田が再び受話器をあげると、荷物を抱えた蟇田がコソコソと犬塚家を後にする姿を発見した信乃は、何処に行くのか? と声をかける。が、脱兎の如く逃げ出す蟇田を追うものの… 見失った信乃は山根房吉(石井康太)たちに協力を要請。しかし、巧に身を隠す蟇田は、軽トラックでやって来た鴨田の手引きでまんまと一同の前から姿を消してしまった。
 一体どうした事か!? と困惑する仁太郎に、蟇田は村を出たのだと言う忠志は最初から証言する気などなかったのだと言い捨てると、その意見に賛成だと毛野が続いた。
 これは罠だったと指摘して、全てはフナムシの計画通りに、蟇田に証言させると言わせる事で村民サイドをその気にさせて土壇場で梯子を外したのだと説明。俺の説得でやる気になったのではなかったのか!? と声をあげる仁太郎は、あんたには残酷な話しだが… と言われて、俺の『感動的な話』は何だったのだ!? と情けないやら腹が立つやら…。自分の不注意だと詫びる信乃には多忙を理由に「悪くない」と言いつつ、証人無しでどうするんだ!? と忠志の胸ぐらを掴むものの答えは見つからず…。どうするんだよぉ!! と叫んで家を飛び出した仁太郎はあちこち探しまわるものの、どこにも姿は見あたらず。「せんべい〜!!」と叫ぶ仁太郎の声が富増の大自然に虚しくこだまするばかり…。やはり『煎餅屋だけに裏表』があった訳だ。
 そんな声が蟇田の耳に届く筈もなく、当座の資金を渡す網干はしばらく海外に出るように促して「半年は帰ってこないように」と結べば、運が巡って来たなと続く安西は悌一郎に電話を繋いだ。
 元社員だった蟇田が村を車で出てどこぞに消えたとの情報が入ったと告げて、おたくらが『もし』奴の事を『今でも』重要な証人だとお考えならば一大事だと、お電話した次第ですよ。では、ごきげんよう! と受話器を置くや、高笑いで祝杯をあげる安西が終始オドオドする蟇田カップに乾杯のグラスを鳴らして肩を抱く一方、ワナワナと肩を振るわせる悌一郎は椅子から立ち上がった。
 裁判所に急行した仁太郎は、相変わらず忙しそうな玉塚裁判長に、来週からの裁判延期を申し出るが、予定を組んでしまったとの弁に大事な証人が居なくなったのでもう少し準備に時間をかけたいのだと説明。和解の可能性も含めて検討したいのだと訴えるが、昼間の席で言って欲しかったと取り合う様子のない裁判長から、取り敢えず裁判をやってみて、それでダメならまた考える。とざっくり言われてしまうとフナムシ開発の表門前に乗り込んだ!
 電話を受けた安西から『話がある』と聞いた網干は『伺いましょう』と余裕で返答する一方、仁太郎は何処に行ってしまったのだろう… と漏らす信乃は、元々裁判など無理なのだと言う忠志に、また証人を見つければ良いと提案。裁判は来週から始まる故にもう手遅れだとの弁に、裁判がダメなんらどうなるのか? 私はこのまま諦めない、ひとりになっても最後まで戦うと宣言。付き合うよ…  と漏らす忠志に小さく微笑んで見せる一方、まんまといっぱい喰わされたとヘラヘラ笑う仁太郎は蟇田の件にすっかり騙されてしまったと告げた。
 ご用件は? とそっけなく尋ねる網干に、裁判を辞める、勝てない喧嘩をしても意味がないので訴えを取り下げる代わりに『例の1千5百万…』と持ちかける仁太郎は、例のとは? との弁に、「このおとぼけ上手!」と下品に笑った。
 正確には『私が君に渡し君が私に無礼にも突き返した』と言う網干は、無礼だった? ごめんねと事の重大さに全く気付いていない仁太郎に、しかも微妙に足りなかったと指摘。細かい金額を提示されて全額などと図太い神経はしておらずだが、要は和解したいのだとの意向を聞いて「そのお言葉をお待ち申し上げておりました」と態度を一変! 1千万でどうか? 800万… との金額を猫ババするのか? と迫るが、村民に全額お渡しするとの心意気を買って、手を打ちましょう! 和解を『させて』戴きますと言うが早いか、握り拳を突き出して数枚の硬貨を仁太郎の手に落とした。
 幾らあるのか? と尋ねて850円だと確認。お受け取り下さい、和解金ですよ! と言い出す網干にさすがの安西も顔色を変えた。
 冗談じゃない! 勝てる裁判なのに和解でケリをつけるには850円でも多すぎるぐらいだ。不服か? とたたみかけて、1千500万がいきなり850円とは… と呆れる仁太郎に、では和解は不成立、帰りたまえ! と声をあげる網干は、この段階での和解はそのくらいの価値しかない、あの時受け取っていればキャッシュで1千500万が手に入っていたのにほとほと君は運のない男だ。人生成功か否かは流れを読めるかどうか。それを完全に読み違えた君は、ふたつの間違いを犯した。金を突き返した事と私を怒らせた事だ! 君は状況把握能力が欠如している。だからいつまでたっても同じところをウロウロしている。人生の節目で『成功』の二文字を前にして何も出来ずにただ鼻を鳴らして行ったり来たりする落ちぶれた野良犬に過ぎない! 君はどうしようもないクズだ! 帰りなさい!! 君に残された道はふたつで、訴えを取り下げるか、勝ち目のない裁判にしがみついて身も心もボロボロになるか!! と一気にまくし立てて安西を唖然とさせた。

 負けると決まっているのか!? と吐き捨てる仁太郎に、この期に及んでまだ減らず口を… と益々興奮する網干は、お前たちに勝つ目は一体何処にある? 私と渡り合えると本気で思っていたのか? 身の程を知り給え!! それでも戦うと言うのなら良いだろう。君に経緯を示して君自身の決め台詞をそっくりお返ししよう。法廷でぇ! 会おうぅ〜!! と絶叫。安西は自失茫然、フラフラと立ち上がって部屋を出ようとした仁太郎は、酒宴のグラスふたつの隣に来客用のティーカップを発見! 隣室で様子を伺っていた蟇田は息を飲んだ。
 まだ何か? と声をあげる網干は、「いや、いい」との返答を受けて台本がなければ自分の言葉では何も喋れないのか、呆れた三文役者だ! とたたみかけるが、こんな小さな村はどうなっても構わないとの弁を繰り返す仁太郎は、そんな村にもそこに住んでいる人間が居る事を忘れるなと言い放った。
 この村の連中は確かにどうしようもない奴らだが、そいつらが俺に助けを求めてきた。俺もどうしようないが、そんな奴らがあつまってとてつもない力になる事があると続けるが、ない! と言う網干は、それはフィクションの世界だと反論。マイナスはいくら足してもマイナスに過ぎない! と言い放つが、蟇田に会ったら伝えてくれと切り出す仁太郎は、人がお前を頼って来た時に応えなかった事、それどころか後ろ足で泥をかけた事を指摘しながら、俺はどんなに辛くても最後まで諦めないがその訳が解るか? この村に愛着などはないが、ここには俺にとって何よりも大切な人が居る。そいつは人生のどん底に居る俺を引き上げてくれた。そいつが声をかけてくれなければどうなっていたか… 本当の負け犬になるところをそいつは救ってくれた。俺みたいな男でも人の役に立つ事を教えてくれたのだと続ける仁太郎は、だから俺は戦う。今度は俺が救う番だ。そいつが俺を必要とする限り、俺は全力を尽くすのだと説明。恩を返すとはそういう事だ、俺はお前とは違う! と宣言して850円を投げ返す音を聞いた蟇田は、ヘナヘナとその場に崩れ落ちた。網干を指さす仁太郎が「法廷で会おう」と言い残して去って行くと、何故和解しない? と尋ねる安西は、断ったのは向こうだとの弁に、850円では誰だって断る訳で、まるで裁判を望んでいる風に見えると指摘。どういうつもりだ? と本当に不思議そうな安西に、私は冷静なように見えてその実非常に熱しやすい正確だと説明する網干は、どうやらあの男が火をつけたようだと返答。あんたがどういうタイプの男か知らんが、あまり勝手な事はしないでくれるかなぁ… と弱気発言に、まず裁判にはならないと言い切って、彼らが余程のバカでない限り、明日にでも訴えを取り下げる筈だと網干が結ぶ一方、仁王立ちで暫し思案の仁太郎は「やっぱ無理だ」との結論に至って悌一郎の事務所を訪れた。
 まんまと向こうの罠にはまったと冷笑する琴井悌三(池田成志)は、兄がてめえらにハメられて頭を抱えていると追い返そうとするが、悌一郎の部屋に押し掛けた仁太郎は、状況を報告。裁判に勝つ保証が欲しいと言われて連れて来た蟇田だが、今は証言の可能性もなくなってしまったので、代表を続ける義務が無い事を伝えに来たと説明。裁判は? と問う悌一郎は、蟇田の証言がなければ勝つ見込みはないので訴えを取り下げるとの弁に、それはダメだと言うではないか!! ここまでコケにされたのだ、何でここで諦める? こうなったら最後まで戦おうじゃないかと力を込める悌一郎は、僕は最初からそのつもりだったと告白。村長がやる気になっているので、まさか逃げたりはしないだろう? と続けて、証拠や初任はまた探せば良いと力付ける一方、イライラと仁太郎の帰りを待つ毛野は蟇田の気配を感じて表に飛び出した。
 人影は消えていたが、バス停に置かれた『青い石鹸箱』を発見。中の『何やら』に驚いて即蓋を閉めると注意深く取りだしたメモに視線を走らせる様子を、蟇田が物陰から見守っていた。
 意気揚々と戻って来た仁太郎は「やるぞ、裁判」と宣言! 証人は!? と尋ねる信乃に「これからよぉ!」と何の根拠もないが力強く返した。
 そして翌日。『そういう訳で』訴えは取り下げないので裁判は予定通り行う事安西に告げる悌一郎から仁太郎が受話器を奪った。
 証人も見つけた事を告げて「法廷で会いましょう。バ〜イ」と脳天気に締め括れば、「また当てが外れた」と漏らす安西は「人間界の常識をはみ出している」と言う網干の弁に、どうなってるんだよ!! と声をあげて受話器を叩き付けた! 一方、石鹸箱の中でうごめく一匹のフナムシを覗き込んで、本当にこの証人で戦えるのか? と問う信乃に、やるしかないだろう! と仁太郎が応えれば、勝てます? と不安そうな悌一郎に、毛野が「はい!」と力強く返答。呆れる忠志に「俺に任せろ〜〜」と仁太郎がじゃれついた。そして裁判当日。富増村一同と、県&フナムシ陣営が法廷に続々と入場。『『気をつけダルマ』のキーホルダーを資料に立てかける悌一郎は、鼻でせせら笑う安西に余裕の笑みを返すと、傍聴席の忠志も小さく微笑んだ。著名メンバーの房吉ら3人衆と宮田音弥(赤坂七恵)らが傍聴席で固唾を飲むなか、信乃に視線を送る仁太郎が緊張の面持ちで網干を見据えると第一回公判がようやく開廷で… 『合い言葉は勇気』第8話、end。

▲網干頼母55歳が大暴れの第8話。何とか周囲に助けられて裁判に踏み切った次第だが、『人間界の常識をはみ出し』過ぎたいい加減さと幼過ぎる仁太郎のキャラにはどうにもこうにも…。いくら法廷出頭を義務付けられるとは言え、著名15人の中心メンバーが『川に海魚』のヤラセ3人衆とスナック『村雨』のお姉ちゃん・宮田音弥(赤坂七恵)とは、どうしたものでしょう。あの歓迎パレードは一体何だったのだろうかと思いつつ、本当にいい加減な村民たちの為の裁判なのか? と頭を抱える次第だ。
 さて来週は、このフナムシは死んでいると網干が余裕で迫れば、あの土地は俺の土地だ!! と安西は興奮気味でボロでも出してくれるのか? あんたは弁護士か? と裁判長の突っ込みが仁太郎に入る。マスコミも駆け付ける中、仁太郎を追って妻も富増村にやって来る。が仁太郎は信乃と結婚すると言い出すではないか! 「そんなバカなぁ〜」と頭を抱える忠志は信乃の前で、この人は弁護士なんかじゃないと暴露! ショックで何故か毛野の頬を張る信乃の肩を抱くいて、近々入籍する事になっていますと仁太郎の声で… 裁判は一体どうなるんでしょうか? 期待して待とう。


● 合い言葉は勇気 ●

第7話『仕掛けられた罠』<8月17日(木) ヨル10:00〜10:54 フジ系>
脚本:三谷幸喜 演出:中山高嘉

<出演>暁仁太郎(41)役所広司/大山忠志(25)香取慎吾/鴨田額蔵(41)金田明夫/川北義助(33)梶原善/琴井悌三(33)池田成志/山根房吉・石井康太/林八郎・松谷賢示/宮田音弥・赤坂七恵/蟇田・温水洋一/毛野智光(39)山寺宏一/天馬金吾(63)麿赤児/大山節子(60)白川和子/琴井悌一郎(44)寺尾聰/安西景虎(47)國村隼/網干頼母(55)津川雅彦/犬塚信乃(33)鈴木京香 ほか


 フナムシ開発に金を突き返した暁仁太郎(役所広司)は、琴井悌一郎(寺尾聰)を説得するべく、犬塚信乃(鈴木京香)と共に琴井事務所を訪れた。
 待つ間に『出身』を聞かれて葛飾区と返すが、学校の事だとの突っ込みに『ジャパン・アクション・クラブ』=通称『JAC(ジャック)』を2年で辞めたと正直に申告。そこで法律を? と問われて『良い弁護士は良いアクションスターであれ』がその学校の教えだったと誤魔化した所に、琴井悌三(池田成志)がやってきて信乃を呼びだした。『JAC』出身で弁護士役?
 いつもまであの偽弁護士とつるんでいるのか、バッチの絵はどうした? との追求に、何の問題もなくちゃんと『秤』のマークも描いてもらったと返す信乃が、人を疑うのもいい加減にして! と強気で返す一方、代表の件を引き受けて貰えるまで戻らないと大山忠志(香取慎吾)に連絡を入れる仁太郎は、自分も駆け付けるとの申し出に、信乃の声真似までして『来なくて良い』と返答。軽いノリで悌一郎への説得を始めた。
 原告団代表と言えば大袈裟に聞こえるが、忘年会の幹事に毛が生えたようなもの。裁判はあくまでも村とフナムシの戦いで、代表は形だけのものだと無責任に言うが、代表=村長であり信乃の父の後を引き継ぐという事で忘年会の幹事とは違うのでは? と悌一郎の弁に、信乃も同調。今のは素人さんにも解るように噛み砕いて説明したのだ、と仕切直すものの、忘年会の幹事をバカにしてはいまいか? と迫る仁太郎は、店を決め、予算を決めて誰と誰が並んで座れば良いか… そこまで気を使う事が幹事の仕事であり、これはもうひじょう〜に骨の折れる仕事なのだ! とのこだわりように、悌一郎は『それはそうですが…』と困惑する一方、渋々帰宅した忠志の部屋に銃を構えた川北義助(梶原善)が飛び込んできた!
 裁判を起こす事を信じて大人しくしていたが、話が違う! 和解する気は更々ない!! と興奮する義助に、天馬金吾(麿赤児)が勝手に金を受け取ったのだと説明する忠志は、取り敢えず銃口を下げて欲しいと懇願。もう誰も信じない! と興奮醒めらやぬ義助は、たった今むしり取ってきたフナムシ開発の看板を示して、『おれの戦いパート2』が始まったのだと公言。村長が亡くなった際に現場で拾った『ボルト』をお守り代わりのペンダントにして、あの時『これ】に村長の仇を取ると誓ったのだと説明。言うだけ言って窓から颯爽と飛び出して行くが、『看板なんか置いて行かれてもなぁ』と困惑する忠志は、これ持って行ってよ〜 と闇に向かって声をあげた。
 一方、忘年会幹事の大変さは理解しても、そんな例で簡単に引き受けられる訳もなく… 申し訳ないが前回と同じ事しか言えないと頭を下げて立ち去ろうとする悌一郎を『足かけ』でコケさせる仁太郎は、つべこべ抜かすなこの野郎! とチンピラまがいに胸ぐらを掴んだ。
 この人は本当に弁護士なのか? と脅える悌一郎は、てめぇしか居ないからてめぇがやりゃあ良い! これ以上村の自然が破壊されてもあんたは平気なのか!? 等々柄悪く迫って「変わっちまったなぁ、琴井先生もよぉ」と旧知の仲然とした言われように、話は良く解ったと、条件付きで代表を引き受けると言い出した。
 負けた時の損害が大き過ぎる裁判にはやはり反対だが、裁判に必ず勝てると言う確実な証拠がひとつでもあれば協力しよう! との弁に信乃と仁太郎が大喜びする一方、寝ながら咳き込んでいる母・節子(白川和子)の様子を気にかける忠志は鳴りだした電話を取った。
『条件付きだが前向きに検討する』との結果を伝える信乃が、スナック『村雨』で仁太郎と飲んでいると知った忠志は、早速自転車で現地に急行する一方、いい気になって生ビールをグビグビ流し込む仁太郎は、以前に何度かやったチンピラ役が入ってしまったと弁明。チンピラを『おやりになってらした!?』と驚く信乃に、若い頃に少々… と誤魔化した所に忠志が到着! 確証とは言っても難しいのでは? との弁を無視して『元チンピラ弁護士』は煩わしそうに飲み続けるが、何故かパジャマ姿でシェーカーを振っている放送作家・毛野智光(山寺宏一)が「青年の言う通りだ」と口を挟んだ。
『カクテルしか飲めない人』なので宮田音弥(赤坂七恵)の承諾を得て勝手にやらせて貰っているのだと説明。『確実な証拠』とは? と尋ねる信乃に、処理場から流れ出た廃液で川魚が死んだとか、煙を吸って誰かが身体を壊した等が立証出来れば間違いなくフナムシは営業停止だと返答。『咳き込む母』を回想する忠志は、この裁判の困難な所は『これといった被害が出ていない事』と続ける毛野に、同じ事を東京の弁護士に言われたと漏らした。毛野も仁太郎も『東京の弁護士』って設定だぞ!
 難しい話は辞めて今日のところは飲もう! と酔いがまわっている仁太郎を無視して「気になっている事がある」と続ける忠志は、母が最近よく咳き込んでいる。うちは処理場の煙突が近いと打ち明けると、一転身を乗り出す仁太郎は「これで勝てる!」と顔を輝かせるが、心配顔の信乃や毛野は親身になって精密検査を勧めた。
 それでも上機嫌で「前祝いで乾杯だぁ!!」と飲み続けた人非人弁護士が酔い潰れると、本気で節子の身体を心配する信乃は、仁太郎をつくづく『凄い人』だと評価。庶民的なれどやる時はやってくれる、そしてどんな時もジョークを忘れない『大人』だ、これからは『私の為に戦う』等々の『大人なジョーク』を挙げ連ねると、件の『仁太郎作画・弁護士バッチ』の絵を取り出した!!

  『琴井事務所顧問弁護士作画』の本物バージョンと比べて、全然違う事を指摘。悌三が仁太郎を『偽弁護士』と疑うが、この絵も『先生一流のジョーク』だろう? と不安ながらも同意を求めるが、
「ジョークじゃないと思うよ」と返す忠志は、東京で何人もの弁護士に会ったが、各々皆色々なバッチをつけていた。西関東と東関東でも違うらしく「これは確か東だね」と余裕で返答。「良かった〜」と顔を輝かせる信乃は、嬉しそうに絵を破った。どうした忠志!? 仁太郎のいい加減さに染まったかぁ?
 そんな大嘘をついて帰宅した忠志を待っていたのは、玄関で元気に準備運動をしている節子だった! 最近身体が重くなってきたので走っているのだとの弁に、最近よく咳き込んでいるが… と遠慮がちに尋ねるものの、「見てたの?」と笑い飛ばす節子は、寝ながらクラッカーを食べて喉に詰まらせていたのだとネタをばらすではないか! 毎晩食べていたのか… と忠志は茫然。サワークリームをつけて食べるとうんまいのだと説明する節子が、元気に深夜のジョギングへと繰り出して行くと、忠志はガックリと肩を落とした。かなり無理があるぞ…。
 翌日。申し訳なかったと素直に事情を説明する忠志に、仁太郎は不快感を露わにするが、悪い病気でなくて良かったと信乃が取りなした。さりとて裁判に勝つ保証がなければ悌一郎は代表を引き受けず状態だと愚痴る仁太郎にどうするんだ!? と迫られた忠志は、口約束をしたのはあんただ… と漏らせば「何だとこの野郎!」と『元チンピラ弁護士』は柄悪く胸ぐらに掴みかかるが、取り敢えず被害の調査に乗り出そうと冷静に提案する毛野は、信乃に車を出すように要請した。
 一方のフナムシでは、将棋に興じる社長・安西景虎(國村隼)と顧問弁護士・網干頼母(津川雅彦)に、悌一郎が原告団代表を渋っている旨を鴨田額蔵(金田明夫)が報告。裁判に勝つ保証がなければ立つ気がないようだとの説明に、この村にも常識人が居たと言う事だと返す網干は、裏を返せば保証さえあれば村長になる事だと不安を隠せない安西に、説明を始めた。
 村民側が裁判に勝つには不法投棄による被害実態を明らかにする必要があるが、3点をもってそれが不可能である。
その1:魚が死んでいない。
その2:仮に1000匹の魚が死んだとしても、その死因が処理場の廃液に結びつける事は出来ない。
その3:仮に結びつける事が出来たとしても、村民にはその証明に有する金も時間もない。
 つまりは、この世に裁判に絶対勝てるとの保証など有り得ない。琴井が自分の見込んだ人物ならば彼が代表になる事はない!! と網干が断言する一方、仁太郎たちは川に到着。
 確かに水は汚れているが、魚は死んでいないし草木は枯れておらずを確認した毛野は、直接的被害が出ていない=ひじょうにマズイ=この感じでは裁判には勝てないと判断。何か手はないのか? と食い下がる信乃に、フナムシの内情を知る人間が当方に有利な証言をすれば… と建設的意見を述べるが、青々と生い茂る樹の葉をむしる仁太郎は、フナムシのせいで枯れたと思うだろうと本気らしく…。バカな事を! と制する忠志を無視して「さぁ、みんなも手伝え!!」と声をあげて一同を呆れさせた。これも『先生一流のジョーク』なのか?
 そんなこんなで『村雨』にて昼間からひとりでヤケビールを煽る仁太郎に、山根房吉(石井康太)、林八郎(松谷賢示)らが、本当に裁判をやるんだろうな!? と迫った。
 裁判に必ず勝つと言った仁太郎を信じて大人しくしているが、メドがたたずとあれば俺たちにも考えがある! と血気盛んな八郎に仁太郎はまたまた暴力に訴えるが、彼らはじっと待っている事に耐えられないのだと言う音弥は、先生の手伝いがしたいのだと説明。『おうよ』と頷く一同に仁太郎が振り返る一方、犬塚宅に戻った忠志は、村出身で唯一フナムシで働いている人間が居ると毛野に告げていた。
 信乃の小学校時代の同級生・蟇田(温水洋一)は、その昔北富増で煎餅屋を営んでいた家が土地ごと洪水で流されてフナムシに拾われたのだと説明。立ち入り調査時に見かけた際に『フナムシの飼育係』だったと続けると、裏を知っていそうだと毛野が進言。お願いすれば証言してくれそうだと考えた忠志は、仁太郎を待とうと言う信乃を制して、僕が何とかする! とフナムシ開発に向かった。
 村民とあまり関わらないよう言われている… と迷惑そうな蟇田に、立ち入り検査を事前に知って慌ててフナムシを投入したのでは? 裁判で証言してください、と単刀直入に申し出る忠志は、村の危機を訴える。しかし、村に何の愛着もないと返す蟇田は、村民たちは皆勝手で自分の事しか考えていないとは思わないか? 家が流された際に誰も助けてくれなかったと反撃。こんな村はなくなってしまえば良いと言い残して立ち去る一方、犬塚宅で食卓を囲む仁太郎は『夜は』目玉焼きにマヨネーズだと説明。醤油かソースだろうと言う毛野に『醤油は朝』と返して信乃に意見を求めるが、ラー油かな? と意外な応えに驚いた所に来客のベルが鳴った。
 同時に手を伸ばした毛野にラー油を譲る仁太郎も玄関に向かへば、八郎が「早く来てくれ!」と緊急事態発生を告げる一方で、「辛〜い!!」と食卓から毛野の声が響いた。『……』
 川に到着するとそこには魚の死骸が!! 房吉らがインスタントカメラに収める傍らで「信乃ちゃん、とうとう始まったな」と呟く仁太郎は犬塚宅に戻って、処理場が流し出した廃液が川の水を汚しその水を魚が飲み、その魚を人間が喰う! 今のうちにくい止めないと被害は拡大するばかりだと説明。写真を見て「やばいよこれは」と漏らす毛野は、「最悪のシナリオだ」と続ける仁太郎に、そうではなくて「まずいでしょう、ヤラセは」と指摘して信乃を驚かせた。フムフム。

 うつむく八郎たちに、魚屋で仕入れたのか? と迫って「どう見てもカツオで鯖の姿も見える」と毛野が手にする写真を覗き込んだ信乃は「何で川にカツオがいるの、そして鯖も!?」と声をあげれば、こんな事をやっても何の意味もない事が解らないのか!? と仁太郎に胸ぐらを掴まれた房吉は、驚きの声をあげる。
 偽の証拠をでっちあげて、そんなものが法廷で通用すると思っているのか? 日本の裁判をなめるんじゃない!! との弁に、『あんたがやれ』と言ったではないか! と房吉がネタをばらすと信乃は更に驚きの声をあげる。この人が死んだ魚を川に浮かべて写真に撮れと言い出したと訴える房吉を八郎が制するが、「こういう事じゃないんだよ!」と毛野も怒りを露わにする。
 そんな展開に「もっと旨くやれよ」とヘラヘラ笑う仁太郎は、こういう場合は常識的に考えて川魚だろう? と取り繕うが、鯖の方が写真うつりが良いと言った事までがバレてしまい… さすがの信乃も呆れ果てる始末。最大のピンチを迎えて、自分もこんな小細工が裁判で通用すると思っていないが、どんな事でも良いから村の為になる事をやりたい! と思った彼らの気持ちを「俺は責める事は出来ない」と仁太郎が取り繕って見せると、みんなの気持ちは良く解るが二度とこんな事はしないで!! と信乃が声を荒げた。
 しかし、じっとしている事が我慢出来ないと言う八郎は、こうしている間も村はどんどん汚れて行き、いつか取り返しのつかない事になってしまうと思うと… と涙で言葉を詰まらせるや、三人は返す言葉を失った…。
 蟇田の件を報告して肩を落とす忠志に、村に未練がなければ仕方がないと慰める信乃は、そうでなければフナムシに就職する訳もない… と諦めるように促すが、説得の仕方が下手なのだと仁太郎が口を挟む。バカな『ヤラセ』を敢行させた『説得力』がそう言わせるのか?
 多分立ち入り調査がイカサマだと知っている筈で、その法廷証言があればフナムシを倒せるとの弁に、明日自分が話してくると言う仁太郎は「俺の仕事は何だ?」と迫って、弁護=説得はお手のものだと自信たっぷりに言い放った翌日、忠志と共に蟇田を訪れた。
 何とか証言しては貰えないか、あんたの一言で村が救われる… と紳士的に説得するものの、だんまりを決め込む蟇田に、「てめぇが証言すりゃ、こっちは勝てるんだよ!」とチンピラモードに切り替える仁太郎は、忠志の制止を無視。この村で育ちながら今はフナムシの手先になりやがって!! 胸が痛くないのか? てめえは人間のクズだ!! と暴力に訴えるが、無言を通して意志表示する蟇田がその場を去る事を忠志が認めた。
 その後ろ姿に、過去に何があった俺には解らないと言う仁太郎は、村を捨ててフナムシに拾われたとは余程の事だろうと理解を示して、人間どん底に居る時に何が一番の救いになるのかを教えてやる、それはこの世に自分を必要としている人間が居る事に気が付いた時だと語りかけた。
 その時人間はこの世に産まれてきた事の意味を初めて知る。今まで生きて来た事の大切さにやっと気付く。そして自分が決してひとりではない事を悟る、自分には自分を頼る仲間が居る、そしてその期待に応える事が自分の使命だと、生きている証なのだと知る。俺に言える事はあんたを必要としている人間がここに確実に居るという事だと続けて、今までの人生でこんなに人に必要とされた事があったか? と尋ねる仁太郎の、この為にお前は産まれてきた、ここで逃げたらあんたは最後までクズだ! との訴えに蟇田の心が動いた!!
 場所を『村雨』に移して、実家が北富増で代々煎餅屋を営んでいた事から家と土地が流されて、食べて行く為にはフナムシに雇ってもらしか術がなかった事を告白。当時は裏切り者と後ろ指をさされ、煎餅屋だけに『裏表があった』などと酷い事を言う奴もいたが生きて行く為には… との弁に、あまり自分を責めないようにと忠志が助言。立ち入り検査は環境整備課の役人が来る前に情報が流れていた事、普段使っていない泥に慌ててフナムシを流した事、そのフナムシは検査に備えて自分がこっそり飼育してた事を告白。裁判で証言してくれますか? と迫る仁太郎に頷く蟇田は固く手を握り合うと、一度は村に背を向けたが、自分を育ててくれた村を愛している。富増の大自然を喰い潰すフナムシの連中をこれ以上許す事は出来ない、一緒に戦いましょう! と力強く結ぶと、信乃と野毛も合流しての一同は琴井事務所に乗り込んだ。

   兄貴、早まるな! と口を挟む悌三は、こいつの言葉を信じるのか? と一同に矛先を向けて、こいつは『煎餅屋だけに裏表のある人間だ』と迫れば、お前がそんな事を言ったのかと仁太郎は納得。自分とて富増の人間であり一生裏切り者では終わりたくない! と訴える蟇田が、仕事を捨てても証言してくれる覚悟だと忠志が続けば、これが先生の言う保証だと信乃が結ぶ。
 そして、更に悌一郎にストップをかける悌三は、環境裁判は莫大な資金がかかるが自分たちが負担出来る程の時間も余裕もない! と言い放つが、金は一銭もかからない手を打ってあると言う毛野は、フナムシではなく県を訴えるのだと返答。フナムシに営業許可を出している県を訴えて、許可の差し止めを請求。裁判の争点は処理場が違法かだけの一点に絞られる訳で、村民サイドは処理場が産業廃棄物処理法に反している事だけを証明すれば良い。だからこそ蟇田の証言が重要になってくるのだと説明して「遅くなりました、弁護士の毛野です」と一気にまくし立てた。
 たいして法律の事も知らずにデカイ口叩くな、このドシロウトが! と悌三に言いたい放題の後に「力を貸してくださいますか?」と紳士的に迫る仁太郎と、私で良ければお力に… と申し出る悌一郎は固く握手! 信乃と忠志もガッチリ握手でメデタシメデタシ。
 翌朝のフナムシ社長室では、烈火の如くに怒る安西が、仁太郎が村民を説得すると言った! 裁判にならないと断言した! 琴井は村長にならないと約束した! と叫ぶが、いちいち全てを認める網干は「だから人生は面白い」と余裕発言で、しかも我々ではなく県を訴えるとは、彼らもなかなかやるものだと感心。果たして誰の入れ知恵なのか? 向こうには相当な切れ者がついているようだと爪を磨けば、歯を磨きながらくしゃみ一発! の毛野が切れ者らしく? 厳しい目を空に向けた。
 しかしなにゆえ悌一郎は村長を引き受けたのか? と落ち着きを取り戻す安西は、裁判に勝てる保証を手に入れたという事か? と尋ねれば、「おそらく」と認める網干は「鋭意調査中です」と返答。裁判で負ける事はないのか? との問いに、最後に笑う者は最も大きく笑うのですと返す網干はカカカと大口を開けるが… その日の夕刻に安西は電話で悌一郎を呼びだした。
 丁重に村長就任を祝った後に、単刀直入に「訴えを取り下げて戴きたい」と申し出る安西は、正確に申すならば明日提出予定の訴状を今夜中に私の目の前で破り捨てて欲しいと告げると「答えは簡単だ、出来ません」と言われて、白紙の小切手を差し出した。
 お好きな金額をどうぞ… と差し出されたペンを迷った末に受け取った悌一郎が、記入を終えて押し戻した小切手には『気をつけダルマ』の絵が描かれており…。もう帰っても良いか? と尋ねる悌一郎を、夜遅くにお呼びだてして、と丁重に送り出す網干は「後悔なさる事がない事をお祈り申し上げております」と声をかけると、「後悔? もうしてるよ」との弁に安西は苦虫を噛みつぶした。フナムシがニガムシ、なんてね。
 翌日。信乃が運転する車で裁判所に到着した仁太郎は悌一郎を暫し待たせて、係員に訴状の提出場所をこっそりと尋ねると、提出された旨の電話連絡を受けた安西は「とうとう裁判か」とため息を漏らすが… 社長室にやって来た蟇田は『原告側の』重要証人と網干に紹介されて、悔しそうに唇を噛んだ。
 そして切り札の重要証人が敵にばれてしまった事など知る由もない忠志と信乃に拍手で迎えられた仁太郎は、やっと俺の出番だと宣言。新しい村長と富増村のために… とバンザイを繰り返す仁太郎の無邪気な笑顔で… 『合い言葉は勇気』第7話、end。

▲やっと訴状提出に漕ぎ着けた第7話。現実的には思い立ってからこのくらいの期間で提出されれば早い方だと想像するが、ドラマ的には「長かった〜」というのが正直な感想だ。『JAC』出身、目玉焼きにラー油、川に鰹や鯖、『煎餅屋だけに裏表がある』と、急に三谷幸喜氏らしいギャグが炸裂したので、ファンの方は大喜びか? 八郎役のいきなりフィーチャーには唐突感が否めなかったが、山に囲まれた田舎町で鰹を丸一本仕入れてた努力に免じて良しとするか…。節子は第1話から咳き込んでいたが、長期に渡って毎晩寝ながらクラッカーを喰らうわ、平和な村とはいえ深夜にジョギングに出るわ、原稿では割愛したが忠志の兄がいきなり登場するわ… 結構大山家も胡散臭い家だ。
 さて来週は、どんどん人が増えてく… とカメラ目線で信乃が訴えると、これは罠だ! と毛野の説明で、荷物を持った蟇田が脱兎の如く逃げ出す訳だ。証人もなしに裁判に勝てる訳無いだろうが!どうすんだよ!? と仁太郎は忠志の胸ぐらを掴むが、私はひとりになっても戦うわと信乃は毅然と立ち向かう。そして「最後まで戦おうじゃないか」と網干の声に、野原で仁王立ちの仁太郎で… どうなる事やら、期待して待つぞ!


制作:フジテレビ・イースト/企画:石原隆/プロデュース:波多野健(イースト)・下山潤(イースト)/脚本:三谷幸喜/演出:河毛俊作・田島大輔・中山高嘉/音楽:服部隆之/主題曲:エルガー『威風堂々』第1番(希望と栄光の国)終結部(コーラス入り)

構成・文/阪本 悠


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