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Back Story: 7〜


● 合い言葉は勇気  ●

第6話<8月10日(木)ヨル10:00〜10:54 フジ系>
脚本:三谷幸喜 演出:田島大輔

<出演>暁仁太郎(41)役所広司/大山忠志(25)香取慎吾/鴨田額蔵(41)金田明夫/川北義助(33)梶原善/琴井悌三(33)池田成志/瀬田浅夫・遠山俊也/山根房吉・石井康太/林八郎・松谷賢示/宮田音弥・赤坂七恵/毛野智光(39)山寺宏一/天馬金吾(63)麿赤児/琴井悌一郎(44)寺尾聰/安西景虎(47)國村隼/網干頼母(55)津川雅彦/犬塚信乃(33)鈴木京香 ほか


 説明会で大見得を切って村民たちを感動させた暁仁太郎(役所広司)は、何であんな事言ったのかなぁ〜 とすぐに弱気になってしまった。プロの弁護士が断ったのにド素人の俺がどうやって… と愚痴るものの、犬塚信乃(鈴木京香)の前では「勝ちますとも!」と言ってしまい、どんどん自分が嫌になって行くとの自己嫌悪に、演説を聞いて感動した大山忠志(香取慎吾)もウンザリ顔だ。
『裁判』と漢字で書けるかどうかも自信がないと仁太郎は落ち込み放題だが、法律には詳しいと言う毛野智光(山寺宏一)は絶対に勝てると豪語。『女弁護士 イカスミジュンコ』シリーズは2本で終わっていると突っ込むものの、その2本を書く為に法廷ドラマを100本見た自分が言うのだからこの裁判は必ず勝つ! と豪語する毛野は、ならば何故弁護士たちは逃げたのだとの問いに「彼らは100本の法廷ドラマは見ていない」と吹き替え洋画の如き台詞を返して、ふたりをガッカリさせた。
 一方のフナムシ陣営では、焦りを隠せない安西景虎(國村隼)に、弁護士資格を持たない者は法廷に立てないと網干頼母(津川雅彦)は余裕の姿勢を崩さないが、富増村の助役ながらもスパイの鴨田額蔵(金田明夫)は仁太郎が偽弁護士と知って仰天! こうなったら偽者である事を村中にバラしてやるかと安西は立ち上がるが、相手の弱味はいざという時の切り札になると制する網干は、この件は内密にするよう言い渡す一方、弁護士を偽る事が罪になるならば、仁太郎はどうやって法廷に立つのか? と忠志は常々の疑問を口にした。
 しかし「手はある!」と自信満々の毛野は、仁太郎の住民票を富増村に移す事で、弁護士としてではなく原告のひとりとして法廷に立てば問題はないと提案。村民には何と説明する? と心配顔の仁太郎に、今更正体は証せないだろうし、騙していた事がバレれば袋叩きだと言う毛野は『村民の前では弁護士、裁判長の前では原告として』裁判を乗り切るのだと提案。面白い! と乗り気の仁太郎は犬塚家に住民票を移すのだと言い出して、風呂が沸いたと告げる信乃の声に明るく返答。忠志を不安にさせた。
 そんな忠志は、風呂上がりの仁太郎に、あの演説を聞いて凄く感動したと漏らした。この村に何の未練も愛情もなかったが、あの演説を聞いて熱いモノを感じた事、村の為に自分も戦ってみようかと思った事、仁太郎が居ればフナムシに勝てるような気がした事を告げて仁太郎のグラスにビールを注ぐ一方、父の仏前に手を合わせる信乃は、古いアルバムを取り出して懐かしそうに頁を捲っていると、チャイムの音に玄関へと向かった。
 ビールを飲みつつの仁太郎は、自分の夢は『仮面の忍者・赤影』をリメイクする事なのだと語り始めた。それもハリウッドで、脚本は毛野に発注済み、監督はスピルバーグの予定で制作費は1500万ドル。ヒットすると思う? と振られて、赤影の知名度次第だろうと返す忠志に完成披露試写会の招待券を50枚程プレゼントすると言う仁太郎は、プレミアチケット故にダフ屋に持って行けば1枚5万で売れるだろうと豪語。スゲェ楽しみにしてると目を輝かせる忠志に、だからこの一件から手を引いても良いか? と申し出る訳だ。往生際の悪い人だ。
 そこに繋がるのかとのリアクションに、はっきり言ってこれは無理だと蒸し返す仁太郎は、冷静に考えて『この俺』が法廷に立てる訳がないと冷静に判断するが、毛野が知恵を絞ったと訴える忠志はさっきまであんなに乗り気だったと指摘。時間が経つと弱気になる傾向があると泣きついた所に、網干が乗り込んで来た! と信乃が駆け込んだ。
 帰って下さい! と鼻息荒い信乃には用がある訳ではなく、仁太郎と忠志に話があると迫る網干は場所を車内に移して、村民たちを説得するとの約束を破った事を指摘。今夜中に警察に電話を入れる事に決めたので、仁太郎は詐欺容疑で逮捕され忠志も同罪だと言いつつ、今のは報告でこれからは質問だとイニシアチブを取り続けた。
 率直に言ってふたりの取った行為は人間界の常識を越えている、後学の為に教えて欲しい、無理だと解って何故村民たちの前で『裁判をやる』と宣言したのか? と迫られて、言っておくが裁判はやると余裕で返す忠志は、弁護士資格のない人間は法廷に立てない事を挙げて、これから司法試験を? と笑う網干に、この人が弁護士になるのを待っていたら村がゴミに埋まってしまうと返答。言っちゃって良いのかな? 言っちゃえ言っちゃえ! と軽いノリで、仁太郎は原告として法廷に立つのだとネタをバラして、村民以外は原告になれないとの弁には、明日一番で住民票を移すのだと説明。村民の了解は? との追求に、勿論了解済みで弁護士を偽った事も許して貰ったと偽る仁太郎は、従って詐欺罪も成立しない! と言い切った。
 誰の入れ知恵だとの追求には答えずに車を降りようとする仁太郎は、何故そこまでやる? 住民票を移してまでどうしてこの村に尽くそうとする? と尋ねる網干に、あんたの顔が嫌いだからだと返答。あんたが地団駄踏んで悔しがる姿が見たい。だから戦う。他に理由が必要か? と続けて「充分だ」との返答に、法廷で会おうぜ! との捨て台詞を残して車を降りた。ほほぉ〜。
『またやってしまった…』と不安そうな仁太郎だが、カッコ良かったじゃないですかぁ! とマジで感動する忠志の言葉にニンマリと頬を緩ませた。

 翌朝。毛野は仁太郎に変わって住民票を取りに東京へ向かうが、村民たちに早く次の村長を決めるように進言。村長が原告団の代表になる訳で、それが決まらなければ裁判は出来ないと説明するが、何の事やら状態の仁太郎に「ちょっと難しかったかな?」と言い残して去って行った。
 村民たちを集めての説明会は忠志が積極的に指揮を執るが、偽弁護士の件を知った鴨田は、網干を真似て爪を磨いている仁太郎を胡散臭そうに見つめている。
 今回の裁判では原告団富増村がフナムシ開発を訴えて、ゴミ処理場営業停止を請求するとの説明に、「金は取れんのか!?」と天馬金吾(麿赤児)が声をあげた。
 欲しい? と軽くリアクションする仁太郎は、営業停止だけでは腹の虫が治まらん! と重い発言を「いいよ」とあっさり受け入れるが、賠償金は無理では? と発言する琴井悌三(池田成志)は、具体的被害が無い事を指摘して、損害もないのに金は取れないだろうと結ぶが、精神的苦痛は実際あったと天馬の側近・瀬田浅夫(遠山俊也)が発言。そんな道理が裁判で通用するのか? と試すような悌三に、「言うだけ言ってみようよ」とあくまで軽いノリの仁太郎は、上手く行ったら儲けモンくらいに考えて「幾ら吹っ掛ける?」と天馬に問い掛ける。「吹っ掛ける?」は戴けないが、原告に決めさせるのは正しい判断だな。
 多いに越した事はない! と当たり前の弁を受けて100億だ! と言われた天馬は、そんなに戴けるんですか!? と天馬が声をあげると、慌てる忠志は相場はいくら? と呑気な仁太郎に即答出来る筈もなく…。取り敢えず1千万! と仕切直す天馬に、随分奥ゆかしいので色を付けて1千万5千円にしておいて、と訳の解らない偽弁護士にこれ以上任せておられず! と立ち上がった鴨田は、次期村長選出の件を持ち出した。
 儂がやるのが順当だろう! とすかさず立ち上がる天馬に、異議なしと踏んだ仁太郎は早速握手を求めるが、忠志や鴨田をはじめその場の空気はすこぶる悪く…。犬塚家でそうめんをすする仁太郎は、本人がやると言っているので良いではないか? と尋ねるが、意外と人望がないと言う忠志&信乃はあからさまに難色を示した。
 取り巻きがいっぱい居るのになにゆえ? との疑問には、そこにやって来た側近・瀬田が「うちの旦那じゃ誰もついて来ない」とフォロー。今年の春に還暦パーティが行われたが、見事に誰も来なかったとネタをばらす忠志は、あの人が村長になればこの村は崩壊すると結んだ。
 他を当たるしかないと言う信乃に、父の後を継いで村長になってはどうか? とふたりは無茶な事を言い出すが、当然無理だと取り合わず…。琴井の長男・悌一郎(寺尾聰)はどうだろうか? と提案する信乃は、『気をつけダルマ』の発案者・悌一郎のお陰で南富増は大きくなれた訳で、みんなもついて来るだろうと説明。元々裁判には反対であり、仕事も忙しいので引き受けはしないだろうと言う忠志に、説明会で拍手をしていたと指摘する信乃は、それをこれから説得するのだ! と促して、先生にこれ以上迷惑をかけないように頑張って来ると告げて琴井の元へ向かった。
 応接スペースで待つふたりの前に『気をつけダルマ』の着ぐるみ姿で現れた悌一郎は、商品宣伝を兼ねたCD『だるまシスターズ』なる4人組のお嬢さんが歌う『気・を・つ・け・Night!!』の衣装合わせなのだと説明。座ろうにも座れない事に気付いて、「着替えて来る」と奥に消えて行った。あんまり面白くないっす。
 そうめんを食い終えた仁太郎は手持ち無沙汰にゴロッと横になると、冷麺くいてぇなぁ〜 と呟く一方、フナムシの赤西社長は、裁判が避けられるのならば金は幾らでも撒くとの覚悟を決めた。
 撒く限りは効果的に、問題は誰に撒くかと言う網干から次期村長の件を問われた鴨田は、天馬が名乗りを上げたが、北富増にも彼を忌み嫌う者が多いのでどうなる事やらと返答。あのじいさんか… と赤西は頭を抱え、網干は何やら思案を巡らせる一方、信乃&忠志は着替えが終わった悌一郎に村長就任の件を切り出した。
 先生以外に考えられない、南富増村の発展は悌一郎あっての事と迫られて、僕はただダルマの絵を描いただけ… と戸惑った所に、引き受ける事はない! と弟・悌三が登場! 村長になる=裁判で原告になる事を何故説明しない! と責められて、それはこれから話そうと思っていた… とバツ悪そうに忠志は返すが、元々勝てる見込みのない裁判で責任をひとり背負い込む事になるのだ! と指摘した所に、『気をつけダルマ』をかたどったサブレの試作品を持った従業員がやって来た。
 席を立つ悌一郎がサブレをチェックする一方、天馬のジジイで良いではないかと言う悌三は、彼では誰もついて来ないと返す信乃に、後で話があると言い残してその場を去って行った。
 サブレの足部分を強化して立つようにしては? との指示を終えた悌一郎は、仁太郎にも告げた通りに裁判には反対だと切り出して、演説に拍手をしていた事を指摘する信乃に「見てた?」と間の抜けた声で返答。確かに演説には感動したが、冷静に考えてみると… と前置いて、裁判にはとてつもなく金がかかる事を知っているか? と投げ掛けた。

 その金を何処で工面するつもりか? との問いに村民から集めると信乃は言うが、勝てば良いが負けた場合はその金はどうなる? と続ける悌一郎は「負けません!」との返答に、世の中には絶対は有り得ないので、そんな事を言うものではないと窘める。裁判になれば法廷通いを強いられる村民はその間仕事が出来ず、生活保障はどうする? と続けて、現実的な話で申し訳ない、村を思う気持ちは解るが、と言いつつも熱意や理想だけでは世の中生きて行けないと説明。自分には自分の会社とそこで働く社員を守る義務があるので、勝つ確証のない裁判には参加出来ないし、したくないと結ぶが、このままでは村はなくなると言う忠志から、裁判が駄目ならどうしたら良いのか? と迫られた悌一郎は「申し訳ないが力になれない」と返答。先生がこの村をどんなに愛しているか、私は知っている! と迫る信乃に、わざわざ来てくれた事を済まなく思いながら「ごめんなさい」と頭を下げた。何故信乃は先生と呼ぶんでしょうか?
 信乃を呼び出した悌三は、兄貴はやらないと念を押して、ならば他に誰が居る? との問いよりもあの暁仁太郎なる弁護士は偽物だと指摘。まだそんな事言ってる… と呆れ顔の信乃に、いい加減な事ばかり言うわ賠償金の事も全く解っていないわ、と基本的なポカを挙げるが、『型にはまらないタイプなのよ!』と非論理的な反論に、どうしてバッチを付けていない、これが本物の弁護士バッチだと紙を差し出した。
 顧問弁護士が書いた絵をFAXで送って貰ったと説明して、真ん中の図案は何か? と尋ねる信乃に、『法の平等を現す天秤』らしいと言う悌三は、弁護士ならば持っておらずとも形くらいは知っているだろうから書いて貰えば良いと意地悪く微笑んだ。
 帰宅した信乃は、訴状をプリントアウトする毛野も弁護士である事を確認してバッチは? と迫る。が、『今は』持っていないと返す毛野は、アロハシャツを示してこの服には合わないでしょう? とかわすが、同意を求められた仁太郎から、やたらとバッチに拘ると指摘された信乃は、変わった模様だと聞いたので絵に描いて欲しいと迫った。
 顔色を変える仁太郎が手にしていたラムネをグビグビ流し込む間に訴状が完成。あとは原告側代表名を書き込むだけと言う毛野に、問題はそこだ〜 と頭を抱える忠志は「もういい。お前がやれ」と言う仁太郎の冗談に血相を変えた所に、『天馬のジジイ』が乗り込んで来た!
 自分が名乗りを上げたにも関わらずなにゆえ琴井の兄に話を持ちかけた!? 儂の耳に入らんとでも思ったか!! と怒り心頭の天馬は、この村での噂はマッハのスピードで届くのだ! と息巻くが、悌一郎の『気をつけダルマ』のお陰で今の富増村があると言う信乃は、村長に適任なのだと説明。北も南が潤ったお陰で良い思いをしていると忠志も続くが、あんなものは儂でも考えつく! と返す天馬は悌一郎が村長就任の際はこの件から手を引かせて戴く! 南の人間の指図は受けん!! と居直った所に、「てめぇいい加減にしろぉ!」と仁太郎が登場! 『ハゲジジイ』呼ばわりで、これから村一丸となってフナムシと戦う時に何をちいせぇ事をぬかす! 北も南もねぇんだ、この野郎!! と下品にまくし立てると、肝心な村の連中が一枚岩にならずとあれば『いくら俺が頑張った』所で空回りするばかり。『このチャンス逃してなるものか』と張り切る仁太郎は、ハゲが手を引く前に俺が手を引く。東京に帰る! と奥に引っ込んで行き、謝るものか! と吐き捨てる天馬が犬塚家を出た所に網干の車が忍び寄って来た。
 とは言え住民票も移して後には引けないと指摘する毛野は、ラジオレギュラー7本を抱える売れっ子故に原稿執筆に余念がなく… 弁護士バッチは『どんな格好』してるの? と尋ねる仁太郎に、秤の『格好』だと返答。『格好』ではなく『デザイン』だろう!
 良く知っているなぁと驚く仁太郎は、取材で色々弁護士に会ったからだが、弁護士役の時につけていただろうとの御指摘に、全然覚えていないとボケつつ、『重さを量る秤?』と尋ねるが、気が散るので話しかけてくれるなと言われて、散歩にでも… と部屋を出る一方、ハゲオヤジの事はもう良いだろうと言う信乃は明日もう一度悌一郎に頼みに行こうと意気込んだ所に、役所から忠志宛てに電話が入った。
 水車小屋の側で弁護士バッチらしき絵を書く仁太郎の側に忍び寄る車から顔を出す網干は、10分だけ時間が欲しいと告げてドアを開ける一方、受話器を置いた忠志は「最悪だ…」と言い残して犬塚家を飛び出して行った。
 示談の話を持って来たと言う網干は、裁判になれば途方もない時間と労力、信じられない程のお金がかかり、長引けば長引く程どちらが勝つという問題ではなくなる。訴えた方も訴えられた方もどちらも負けなのだと説明して、その理屈は解るだろうと確認。そこで示談なる方法が生まれた訳で、世の中全てが金で解決するとは思わない。しかし殆どの事が金で解決出来ると言いつつ、慰謝料500万円をド〜ンと積み上げる網干に、何故急に弱気になった? 行ってみろ!! と声をあげる仁太郎は裁判に負けると踏んだからか? と迫る。
 裁判には勝つと言い切る網干は、勝ったところでそれまでに費やした厖大な時間は帰って来ないのだと説明。お互い人生の貴重な時間をこんな田舎町で浪費するのはよそうじゃないか? ともう500万円を積み上げた。使い道はあなた次第で村の連中と分配するも良し、彼らの喜ぶ顔が見たくないか? と迫って、裁判はスポーツではないので参加する事に何の意義もなく、裁判の敗者は人生の敗者であり、そこから得るものは何もない! と言う網干は更にもう500万円、都合1千500万円を提示。むっつり顔の仁太郎は一転笑顔で握手の手を指し出した。だろうな。

 にこやかにサインに応じて『佐藤学』と記す仁太郎は、自分の名前を書かないか! と威圧する網干にこれが本名なのだと説明すると、恥ずかしいからあまり見ないで欲しいと照れ笑いを浮かべた。
 車が走り去って行くと天に向かって「うぉおおお! おぉ〜まい〜がっとぉお!」と絶叫! ジュラルミンケース片手に村で唯一のスナック『村雨』に意気揚々と乗り込んで、真っ昼間からビールをオーダーした。
 どうしたのか? と尋ねる山根房吉(石井康太)らに札束をちらつかせる仁太郎は、宮田音弥(赤坂七恵)に向かって若者たちに何かお腹にたまるものを作るように言うと、牛丼大盛り、ハムエッグ、皿うどん… と慎ましいオーダーの声が飛ぶ。そこに居合わせた川北義助(梶原善)も何か奢ると言われてスパイシーカレー3つとオーダー。先生は? と問われた仁太郎は、『冷麺』と応えた。確かに『彼らの喜ぶ顔が』見られた訳だ。
 腹ごしらえを終えてスッキプしながら犬塚家に戻ると、仏頂面の3人に驚く仁太郎は、役場からの連絡で天馬がフナムシと勝手に和解してしまったと告げる忠志から、FAXで送られて来たという和解調書を突き付けられて顔色を失った。
 2千万で手を打ったと信乃と毛野もウンザリ顔で告げると、『たかが2千万』で村を裏切るなどと信じられるか!? と忠志に胸ぐらを掴まれる訳で…。奴らはこうしてひとりひとり買収するつもりだ! と忠志が吐き捨てると、『たかが2千万で』と言う毛野から手にしたジュラルミンケースは何なのだ? と聞かれた仁太郎は慌てるが、許せない!! と立ち上がる信乃は家を飛び出して行った。
 ジュラルミンケースを手にした天馬を発見した信乃が「裏切り者!」と追いかけ回す一方、全員が買収される前に手を打たねば… と言う毛野に、もうどうでも良いと投げやりな忠志は、本当に皆は村の事を愛しているのか… とため息を漏らした。
 こんな時は歯でも磨くか! と意味不明に立ち上がる毛野は、散歩に行くと言う仁太郎が抱えるジュラルミンケースを指して「それ何よ?」と問う一方、和解調書をチェックして良く受け取った… と驚く赤西に、人を見る目には自信があると網干が自慢げに返した。
『佐藤学』なる人物は? と問う赤西は、仁太郎の本名と聞いて、天馬の2千万は良しとしても弁護士でもなければ代理人でもないこやつに1千5百万は高すぎるのでは? と問う。が、しかし彼が金を受け取った事実が大事であり、それを知った時点で村民の結束は崩れると説明する網干は、価値のある1千5百万であり、彼が話さなくとも我々が情報を流すのだと結んだ。
 落ち込む信乃を見つけ出した仁太郎は、例のバッチの絵だと紙を差し出した。秤をイメージしているらしく、弁護士とは『煎じ詰めれば人を秤にかけるようなもの』だと説明、怪訝そうに絵を見る信乃は、貰って良いか? と確認してポケットに収めると、何と言って謝まれば良いものか… とフナムシの買収に応じた天馬を指して、みんな自分の事しか考えていないのだと吐き捨てた。
 思わずジュラルミンケースを置き直す仁太郎は、弁護を降りても構わない、こんな村はフナムシに食い付くされてしまえ!! と言う信乃を窘めるが、父親の事もあるので嫌になったら手を引いても良いとの弁に、親父は元気だが? と返した。
 殺人罪で起訴されたって… との口から出任せを指摘されて、その事は忘れるようにしていると返す仁太郎は、俺は最後まで戦うがそれは村の為ではなく君の為に戦うのだと説明。例えたったひとりになっても… と続けて裁判が終わった暁には東京に行こう、きっと新しい人生が待っている! と持ちかける一方、放心状態で横たわる忠志を気にしつつ毛野は歯を磨き続けていた。
 そして、まずは村長を決めねばなるまいと言う仁太郎から悌一郎は村長に相応しい男なのか? と聞かれた信乃は、小学校の担任で専門は美術だったと説明。素晴らしい風景が山ほどあるこの村の絵を沢山描いて、この村に産まれた事を誇りに思いなさいと教えていた悌一郎は、誰よりもこの村を愛しているのだとの弁に、そこまで聞けば充分だ! と言う仁太郎は俺が会って説得して来ると立ち上がると、私も行くと信乃がジュラルミンケースに手を伸ばした。
 そのはずみでカチャっとケースのロックが外れ… その間にちょっと寄りたい所があると告げる仁太郎は30分後に落ち合う事を約束して、フナムシに直行! 気が変わった! とケースを差し出して受け取り書=和解調書を取り返した仁太郎は、法廷で会おう!! の決め台詞を残して部屋を飛び出して行くと、和解調書を破り捨てて約束の場所へひた走った。
 頭をかきむしる忠志は何やら決心したらしく「よし!」と立ち上がる傍らでは毛野は歯を磨き続け、現金を確認する赤西は2万30円足りないと呟いた。黙って自分の財布を差し出す網干が、眼光鋭く次なる作戦を思案する一方、約束の場所で待つ信乃はポケットから取りだした2枚の絵を見比べていた。
 悌三から貰った弁護士バッチの図には『天秤』が描かれているが、仁太郎のそれには八百屋等で使用する『計量秤』が描かれていた。ミエミエだったねぇ。
 両方を不思議そうに眺めていると『信乃ちゃ〜ん』と手を振りながら仁太郎が走って来た。
 明らかにおかしいぞ? と『計量秤』バージョンの絵に視線を落としつつも、青春ドラマの主役宜しく走って来る仁太郎に視線を戻す信乃は、頬を強張らせながらも2枚の絵をポケットに戻して笑顔を作った…。そんな信乃に向かって走る仁太郎で… 『合い言葉は勇気』第6話、end。

▲しいて言えば忠志と毛野がやる気になった第6話。仁太郎は時間が経つと自信がなくなる事が判明したので、今回のヤル気がいつ失せるとも解らずだが、取り敢えず忠志&毛野は信乃レベルでヤル気になったと見て良いだろう。俺的には仁太郎、忠志、網干の絡みに俄然魅力を感じるので、以外の話になると途端に集中力が落ちてしまう。特に北だ南だの話は当初から台詞で語られているだけで、村民たちのいがみ合いが全く描かれておらず… 天馬と悌一郎&悌三だけで見せられても正直言ってリアリティに欠ける。会議で悌三が実害がないと訴えるくだりも1話の鳩山一茂(唐沢寿明)が指摘している事なので目新しい展開でもなく、原告ならば法廷に立って尋問可能との事実も一般的かは別として、弁護士=代理人と呼ばれるくらいなので驚く程の新事実とも思えず… 後半は法廷劇になるのだろうが、結局北と南は具体的に描かれずじまいか? 
 さて来週は、村を救うのは裁判しかない、それが出来るのはあんたしか居ないんだよ! と仁太郎が悌一郎を説得すると、この世に裁判に絶対勝てる保証など有り得ない! と網干が声をあげる。4話でフナムシを搬入した蟇田(温水洋一)に忠志が裁判での証言を迫る。裁判に笑う者は最も大きく笑うのです! と網干が続けると、私で良ければお力に、と悌一郎が村長を引き受けるらしく… 大きく話が動くのか? 期待して待とう!


● 合い言葉は勇気  ●

第5話『宣戦布告』
<8月2日(木)ヨル10:20〜11:14(野球放送延長の為20分繰り下げて放送) フジ系>
脚本:三谷幸喜 演出:河毛俊作

<出演>暁仁太郎(41)役所広司/大山忠志(25)香取慎吾/鴨田額蔵(41)金田明夫/川北義助(33)梶原善/琴井悌三(33)池田成志/瀬田浅夫・遠山俊也/山根房吉・石井康太/林八郎・松谷賢示/宮田音弥・赤坂七恵/毛野智光(39)山寺宏一/天馬金吾(63)麿赤児/大山節子(60)白川和子/琴井悌一郎(44)寺尾聰/雪乃・土屋久美子/雪乃の夫・森岡諦/安西景虎(47)國村隼/網干頼母(55)津川雅彦/犬塚信乃(33)鈴木京香 ほか


 敷地内に潜入した村長死亡の報を受けたフナムシ開発社長・安西景虎(國村隼)は、何故あの場所が解ったのか… と狼狽するが、彷徨って偶然辿り着いたであろうとの説明に、他に誰が居なかったのか? と部下に迫った。落ち着き払う弁護士の網干頼母(津川雅彦)は川北義助(梶原善)が逃げ延びたが、警察は彼の言い分など信じる事はなく、本人も迷い込んだ場所の重要性に気付いていない筈だと断言。ある意味これでやり易くなったので、村長の死は吉報と考えて良いと結んで悠然と爪磨きを始めた。
 一方、犬塚守孝(田中邦衛)は事故死として処理されたと告げる大山忠志(香取慎吾)に、フナムシの警備員は崖から落ちた村長を助けようとはしなかったと憤る暁仁太郎(役所広司)は、警察のブラックリストに乗っている義助の証言が無視されたのだと説明にどうにも納得出来ず…。うやむやにせずに弁護士に相談すべきだと犬塚信乃(鈴木京香)に進言。すぐに「俺か…」とボケるが、今は何も考えられないがこれだけは言えると返す信乃は、父は最後まで村の事を心配して村の事だけを考えたと結んで台所に消えてるが、うぉおお〜と叫んで義助はその場を走り去って行き、心中を察する仁太郎と忠志は言葉を失った。
 通夜の台所を手伝う忠志の母・大山節子(白川和子)から少し休んでいるよう言われた信乃は庭に出て煙草を一服。すかさずそこにやって来た仁太郎は、何年振りかで吸うが、はすっぱな女に見えると父に止められていたとの弁に、東京でははすっぱな女は二十歳までに煙草を止めていると返した。
 テレビドラマの通夜シーンで出演者が良く泣くのは嘘で、本当に悲しいのは普段の生活でいつも居るべき場所に居る筈の人が居ない時に初めて悲しくなって涙が出るもの、とため息を漏らす信乃は『お通夜で泣くのは親しくない人だけだ…』と結ぶが、あれはディレクターが泣けと指示するのであって、一概に役者のせいだけにしちゃいけないな〜と仁太郎は余計な事を口走る。
 そして、村や私たちはこれからどうなるんだろう… と不安げに漏らす信乃の肩を抱いて、俺が何とかする、心配するな! と当然言ってしまう訳で… 通りかかった忠志は『良い感じでふたり月を見上げるの図』から一瞬目を逸らしつつも、ふたりの後ろ姿を不安げに見守った…。
 そんなこんなで弔問客が続々とやって来るが、受付を務める忠志は何事もなかったかの如く鞄を手に犬塚家を出て行く仁太郎を発見して後を追った!『俺が何とかする』じゃあ逃げるしかないわな。
 芝居はもう終わりだ! 信乃は俺を弁護士だと信じ込んで頼り切っている! もう俺無しでは生きていけないとさえ言った… と調子付くものの、本当に? との追求に、そうは言わないがそんな感じがちょっと… と訂正しつつ、それが俺には耐えられないとの弁に、格好つけて余計な事ばかり言うからこうなったと指摘する忠志は、大人ならば自分で撒いた種くらい自分で刈り取ったらどうか! と真っ当に迫る。
 本当に済まなかったと心から詫びる仁太郎は、じゃぁ… と更に逃げ出そうとするが、後戻り出来ないのだと引き留めて、自分とてあんたにこれ以上村に居て欲しくはないが、網干との約束で明日の説明会が失敗すれば僕たちはオシマイだと説明。何としても説明会には出るように念を押して、あんたが東京に帰るのはその後だ! と凄む忠志は仁太郎を犬塚家に連れ戻した。
 東京から駆け付けた妹・雪乃(土屋久美子)は大病で寝つかれる事を思えば、ある意味良かったのでは? と慰めの言葉をかけつつ、弁護士・仁太郎を紹介する信乃に遺産相続の件を持ちかけた。
 あとでゆっくりと遮るものの、雪乃の夫(森岡諦)は、何処かでお会いしたか? 足立区に住んでた事は? と『仁太郎に見覚えアリ』視線を浴びせ始める訳で、忠志は明日の準備で… と退散を決め込むが、弁護士先生なら御存知の筈だと言い出す雪乃は、土地半分の権利を主張。店は続けるので今までと何も変わらない! 独り占めか!? 自分ひとりに押しつけて勝手に出て行って! 長女としては当たり前! 長女は幸せになっちゃいけないの!? と醜い争いも自然鎮火して一安心。ひょっとしてテレビとか出てませんでした? と夫氏が核心をつく一方で、父の棺に縋って大泣きする雪乃の姿に『お通夜で泣くのは親しくない人だけだ…』を思ったのか? 信乃は小さくため息を漏らした。
 弔問に訪れた琴井悌一郎(寺尾聰)は紹介された仁太郎と共に天馬金吾(麿赤児)から台所に呼び出されるが、その様子を気にする忠志は琴井悌三(池田成志)に呼び寄せられてしまう。
 仁太郎が弁護士に非ずと迫る悌三は、いくら弁護士が見つからなかったとはいえ、偽物ではフナムシ告訴に至っても法廷には立てない事を指摘。あくまでもしらを切る忠志が、今度は幼馴染みの山根房吉(石井康太)に呼び出される一方、派手なアロハシャツに短パン姿、良い年をして茶髪の放送作家・毛野智光(山寺宏一)が棒付きキャンデーを舐めながら仁太郎を訪ねて来た。いよいよ謎の放送作家が動き出すのか?

 台所では、「これからは北も南も関係ない」と悌一郎に凄む金吾が、富増村一丸となってフナムシとの裁判に挑む事が村長の意志を継ぐ事なのだと迫っていた。
 しかし現実問題として裁判には厖大な時間と金がかかると渋い顔の悌一郎から、費用はどれくらいなのかと問われた仁太郎は、「俺はいいよ」と面倒臭そうに返答。おい!
 勿論先生への謝礼も大切だがとの追求に、あとは別にいらないんじゃねぇか? とボケ続けて「盆暮れに裁判長に付け届けを送っておくのも悪くないね」と言いつつ、金吾らのリアクションにそういう事じゃないね… と仁太郎は頭を抱える。が、完全に気分を害したと取った悌一郎は、今相談すべき事ではなかったと話を纏めると、明日の説明会には参加する事を約束した所に、客人が訪ねて来た旨を耳打ちする信乃と共に、仁太郎は玄関へ向かった。
 この派手な男は何者か? と怪訝そうな信乃に、弁護士仲間! の毛野だと紹介する仁太郎は、早く来いと言うからタクシーで駆け付けたのだと聞いて『シィタク』で!? と思わず業界用語を漏らしてしまう。いい歳して、やぁねぇ…。
 立て替えたからと言う毛野から金6万3千220円也の領収書を突き付けられた仁太郎が困惑する一方、「これから村はどうなる?」と不安そうな仲間に取り囲まれた忠志は、取り敢えずは暁先生に任せようと返答。だが、村長はフナムシに殺されたのか? と迫る房吉らは、警察も事故だと認めたのだとの弁に、例え事故でも結局はフナムシに殺されたと同じだ! と怒りを露わにするばかりだった。
 自室に毛野を招き入れて、今夜中に説明会用原稿執筆を依頼する仁太郎は、忠志の原稿を差し出して箸にも棒にもかからないと説明。最悪だね、と一瞥しただけで原稿を丸めて屑籠に投げ入れる毛野は、早速ノートパソコンを取りだす一方、フナムシの安西社長と弁護士の網干が焼香にやって来るではないか!!
 お悔やみの言葉と共に差し出された香典を受け取ろうとはしない信乃の横を通り抜けて上がり込むや、祭壇が小さすぎると文句を垂れる安西は、富増村村長の通夜がこんな祭壇ではイカン、故人が『可哀相だ』と、早速部下に手配を命じる始末で… 先生を呼んで来い! と金吾の命を受けた瀬田浅夫(遠山俊也)は血相を変えて仁太郎の部屋に駆け込むが、けったいなオッサンがひとりノートパソコンに向かっている訳で…。
 焼香を終えた安西は、固唾を飲んで見守る村民一同に、故人は偉大な人だったと肩通りのお悔やみを述べると、これを機会にフナムシと富増村の関係が新しい時代に入る事を切に望むと本題を切り出すが、遠慮がちに「出てけ!」と叫ぶ房吉らを一瞥。そして一転強気で、今ならばこれまでの振る舞いを『村長命令』として水に流す事も出来ると提案。何とか言ってやろうぜとばかりにせっつく仲間に『お前が言え』と背中を押された房吉は「やめろよ!」と仲間に向かって声をあげた!
 即座に網干に駆け寄る忠志は、黙って深々と頭を垂れるが、房吉ににじり寄る安西は、言いたい事があるなら正々堂々と言ったらどうなんだ!! と胸ぐらを掴んで大声を上げた!
 通夜の席なのでご静粛に… と網干がたしなめると、手を離した安西は笑い声をあげて何事もなかったかの如くにビールを煽るが、その足元に香典袋を投げつける信乃は、帰りなさい! ここはあなたたちの来る場所じゃありません! 帰りなさい。早く出て行って!! と果敢に叫び声をあげる。
 緊張した空気の中で網干を伺う忠志は、『拾いなさい』とのサインに従って香典袋を拾い上げた。そして受け取ってはいけない! と信乃の声を聞きながら、苦渋の思いで網干に差し戻すと、安西は真吾を殴って退散を決め込んだ。
 あとに続く網干は、殴られた真吾に美味いものでも喰うようにと香典袋を握らせて行き… 様子を伺っていた毛野が、部屋に戻って「帰ったみたいだ」とひと声かけると、押入に隠れていた仁太郎が「暑かった〜」と這い出して来るではないか!サイテーだな、こいつ…。
 汗びっしょりで廊下に出た仁太郎は、果敢に敵を追い払った信乃が頬を強張らせる姿を目撃しつつ、忠志を部屋に呼び寄せた。
 古い友人で、今はラジオの構成作家だが昔はテレビドラマを書いていたと仁太郎に紹介された毛野から、『女弁護士・イカスミジュンコ』なるドラマを知っているか? と振られた忠志はスミマセン… と返答。この話を持ちかけた張本人=プロデューサーと紹介されて、そんな大それたものでは… と恐縮するものの、ゴミ箱行きの原稿作者だと聞かされた毛野は、書き終えた原稿を仁太郎に渡した。

 さっすが仕事がはやいね〜 と仁太郎は感心しきりだが、忠志に「文章ヘタ」と言い渡す毛野は、悪い事言わないから脚本家は諦めた方が良いと偉そうに進言。別になるつもりもない… と忠志はこぼすが、この原稿ではまずい! と声をあげる仁太郎は、最後に『俺に任せろ』と言っていると指摘。それでは裁判をやる事になってしまうとの弁に、話の流れからいえば引き受けるしかない、連ドラならそうなる、というか視聴者は承知しないと続ける毛野は、これはドラマではなく弁護士を装う事は犯罪だとの御指摘にも、ドラマ作家としてはここで断るのは納得行かず… ドラマにはドラマのセオリーがあるから、と主張。時間がないのに… と仁太郎は頭を抱えるが、一応断るバージョンも書いたと、すかさず『タイプB』なる原稿を差し出す毛野は、引き受けるバージョンは『タイプA』と説明。書きたくないから書かないというのはプロではないとの弁に、『タイプB』に目を通す仁太郎は「天才だよ、毛野ちゃん」と褒めちぎるや、練習して来ると言い残して外に出ると、原稿片手に『裁判は結果が勝負です。勝たなければ意味がありません』と自主トレーニングに励んだ。
 明日の説明会を楽しみにしている信乃に、大変だったら来なくても良いと忠志は心を痛めるが、そりゃあ何があっても駆け付けるに決まっている訳で…。勝手に風呂を沸かしてお先に戴きます… と図々しい毛野はうちに泊まるのか? と首を傾げる信乃は台所仕事を終えて父の遺影に手を合わせた。
 自主トレから戻って『台詞はバッチリ入った』と忠志にサインを送る仁太郎に気付いた信乃は、村民を纏め上げるのは大変な仕事だがどうか宜しくお願いします、と頭を下げた。
 出来る限りお手伝いをさせて戴く、明日は父も天国から見守っている… と続ける信乃の気持ちに耐えられないなった仁太郎は、あんたにだけは言っておきたい事があると切り出して、忠志に了解を求めた!
 内容にもよる、もう我慢出来ない、良く考えてから発言して下さい! とやり合った末に、明日の説明会で裁判は諦めるように言おうと思っている、と仁太郎は切り出した。
『裁判は結果が勝負だ、勝たなければ意味がない。しかしながら残念な事に今回のケースでは勝つ可能性が99.9%ない、俺は勝てる試合しかやらんのだ』と自主トレの成果披露に、驚く信乃はもう決まった事なのか? 忠志も知っていたのか? と驚きを隠せる訳がなく…。
『先生』に現地調査して貰った末の結論だと忠志の言い訳に、『必ず勝てる』と言った仁太郎も、俺も辛いんだ… と続くが、そんなのダメよ! と声をあげる信乃は、村人も裁判に勝てると思っているから今は大人しくしているが、そうと知っては黙っていないだろうと訴える。
 そして、『先生』が『責任を持って』みんなを説得するからと忠志の弁に、村中の人を説得出来ても私は納得しない! 99%負けると解っていても残りの1%に賭けたい、先生の力で奇跡を起こしたい! と訴える信乃は、見せたいものがあるのでつき合って欲しいと仁太郎の手を取って、車で義助の山小屋を目指した。
 そこから更に山道を歩く事しばしで、不気味なダルマ池に到着。村民はみんな子供の時にこの池で泳ぎを覚えると説明する信乃は、その昔富増出身の水泳選手がオリンピックに出場した事もあったと告げるが、自分が産まれるずっと前なので名前は知らないと言う。嘘なんじゃないか?
 その人もこの池で練習した事がたったひとつの村の自慢であり、自分も子供頃はここで泳いでいたが今は泳げなくなったと続けて、義助が汲み上げて来た濁り水を手ですくい上げた。
 確かにフナムシは私有地のみにゴミを廃棄しているが、埋めた廃棄物からしみ出した油は全てダルマ池に流れ込んでくるのだと説明。村長は何度も抗議したが相手にはされず、県に訴えても汚染原因がフナムシとの証明は難しいと言われて今日に至ると言う。
 そして、村長は最後までこの池を心配していたのだと訴える信乃から、この池で子供たちが泳げるようにしたいので力を貸して欲しい、それが出来るのは先生だけなの! と迫られた仁太郎は、俺が産まれた場所もこんな風景だった… とシリアスに決めた瞬間足を滑らせた!ベタだけど面白いぞ!
 そこにやって来て「だから見せたくなかった」と言う忠志は、俺はどうすれば良い? と動揺する仁太郎に、やるべき事はただひとつ! 明日の説明会で裁判は無理だとはっきり言う事だと返答。忠志もここで泳いだ筈だと説得する信乃に、自分も村が元に戻れば良いと思っているが、現実はそんなに甘くないと返答。やってみなければ解らないとの追求に、自分は一度夢を見てその夢に破れて村に戻って来た人間だと説明して、嫌と言う程現実の厳しさを知っている、もうどんなに頑張っても裁判には勝てない、悔しいがそれが現実なのだと結んだ。
   先生が引き受けてくれても? と信乃は食い下がるが、むしろ引き受けたらもっと大変な事になると返す忠志は、どういう事? との問いには答えずに、俺に出来る事はないのか? との問いには、「ない。全然ない。全くない」とキッパリ返答。俺は村長に村の未来を託されたのだと仁太郎も食い下がるが、これはドラマではない。全部現実の話で、あんたはドラマの主人公じゃない、それを忘れないで下さい、とトドメを刺して、そんなにきつく言わずとも… と信乃を驚かせた。

 そして会場には村民が続々と詰めかけて…。本番を前にゴロゴロとうがいをする仁太郎に、どう転んでも法廷に立つ事は出来ない、弁護士と偽れば凄い罪になると執拗に釘を刺す忠志は、人前に立つとすぐに良い顔をするからだと続けるが、少しは信用しろとの弁に、信用できないから言っているのだと返した所に、準備が整ったと鴨田額蔵(金田明夫)が呼びにやって来る。
 忠志を廊下に呼び出す鴨田が、先生は本気でフナムシを告訴するのか? 勝ち目があると思っているのか? と執拗に尋ねる一方、本当に村民を説得出来るのか? と心配顔の赤西に、自分の身が危ないとあらば必死にならざるを得ないだろうと網干は落ちいて返答。
 村民に同情して、土壇場で寝返るような事にならないか? と更らなるに心配に、その場合は最も困る事になる忠志が役に立つと言う網干は、彼もまた村の育成よりも我が身の可愛さが先に立つ気の小さい男だと指摘。そして何よりはっきりしている事は、村民にはフナムシに刃向かう勇気も、知恵も持ち合わせていないのだと評する網干は、それでも不安そうな赤西に取り敢えず鴨田からの連絡を待とうと結んだ。
 控え室でひとりクリアファイルに挟んである原稿をチェックする仁太郎は、『タイプA』に目を止めるが、クシャクシャと丸めて会場に向かった。
 いよいよ壇上に立って原稿を取りだすと、大勢の村人の中から『信じている』と目で訴える信乃と見つめ合って暫し沈黙。忠志や村民たちが『どうした事か!?』と慌てる中、『Bタイプ』の下からクシャクシャを伸ばした『Aタイプ』を取りだすと、2枚並べた状態でぎこちなく原稿を読み始めた。
 実際に村を訪れてから、フナムシの現場を訪れて自分の目や耳で彼らが引き起こした環境破壊の実態を調査して来たが、彼らを提訴する事が本当に最善の方法なのか、裁判に持ち込んで勝てる見込みが本当にあるのか… と読み上げて一息ついた仁太郎は、『ひとつの結論に達した』と顔を上げずに原稿を読み進んだ。
 村長の死という悲しい事件を出来事を乗り越え、今ここに高らかに宣言致します! と何やら雲行きが怪しいなぁ… と思う間もなく、今皆さんが為すべき事は原告団を結成し、フナムシ開発を法廷の場に引きずり出すべきです! 直ちに提訴すべきです! と顔を上げるではないか!!あ〜あ…。
 しかも『裁判になれば必ず勝てる』とブチあげて、何故ならば! こっちには私がついているからだ!! とまで言い切る訳で、信乃は『うんうん』と満足そうだが、顔色を失う忠志は絶句! あまりにドラマがかった原稿を書いた毛野は、やっぱこっちの方が良いよと満足げに呟いた。
 そして壇上から降りる仁太郎は、昨日ダルマ池を見た際の信乃の言葉を引用して、あの池で子供たちがもう一度泳ぐ日が来る事を私は約束しましょう! それが最後まで村の事を考えて倒れていった村長への何よりの供養だと続けて、フナムシの奴らに道で会ったらこう言ってやって下さい。次は法廷で会おう!! 今こそフナムシの奴らに正義の鉄槌を加える時なのです! と拳をあげると『どうすんだよ!?』といわんばかりに迫る忠志に、『どうしよう、言っちゃったよ…』と視線を泳がせるが、涙を浮かべた信乃が立ち上がって拍手の口火を切った。
 反対していた悌一郎も立ち上がって手を打つと、水を打ったように静まりかえっていた会場には、あっと言う間に村民一同の拍手で包まれる訳で… 『この瞬間から僕と仁太郎さんと富増の人々とフナムシの本当の戦いが始まった…』とモノローグする忠志を壇上に呼び寄せて肩を抱く仁太郎が送るVサインに、信乃もVサインを返した。
 そして鴨田をも壇上に呼び寄せる仁太郎が再びVサインを送ると、観念した忠志もVを送った。
 そして村民一同が送るVサインに笑顔でVサインを返す仁太郎にカメラがグッと寄って… 『合い言葉は勇気』第5話、end。

▲やっとここまで来たか… の第5話。『仁太郎の勝利宣言にしばし茫然の村人一同の図』は、【1】迫力に押されたとの演出。【2】ただ感動していた。【3】村人も裁判を諦めかけていた。【4】仁太郎を偽物と疑い始めていた。【5】ウソ臭過ぎる台詞に驚いた。【6】それら全て。と、考えられるが一体どれが演出意図だったのか、俺は少々理解に苦しんでしまった。こうなる事は視聴者の全てが解っていただろうが、気が付けば第5話… やはり随分長かった感は否めない。後半戦はスピードアップするのか? より丁重に話が進むのか? 興味深いところだ。村長が亡くなったせいか、通夜シーンを始めとして忠志が丁重に描かれ始めて来たのは誠に結構な事だが、『ダルマ池』のCGは… 悪魔が住む沼か? と見まごう程にオカルトチックで、信乃の説明が始まるまではとても公害に蝕まれた池には見えなかったぞぉ!
 さて来週は、世の中全てが金で解決するとは思わない。しかし殆どの事が金で解決出来る… と網干の説明通り、フナムシは金をばらまき始めるらしく… たかが2千万で村を裏切るなんて信じられますか? と忠志は仁太郎に詰め寄るぞ!「許せない!」と信乃も怒り心頭の様子だが、札束を手にした仁太郎は空に向かって吼えているわ金吾が信乃に追いかけるわ… と思えば、村人の前では弁護士として裁判長の前では原告として法廷に立てば良いらしき事を毛野から忠告された仁太郎が、君の為に僕は戦う! と立ち上がって… どうなる事やら期待して待とう!


● 合い言葉は勇気  ●

第4話『村長は殺された!』<7月27日(木)ヨル10:00〜10:54 フジ系>
脚本:三谷幸喜 演出:中山高嘉

<出演>暁仁太郎(41)役所広司/大山忠志(25)香取慎吾/鴨田額蔵(41)金田明夫/川北義助(33)梶原善/琴井悌三(33)池田成志/毛野智光(39)山寺宏一/天馬金吾(63)麿赤児/犬塚守孝(63)田中邦衛/瀬田・遠山俊也/山根房吉・石井康太/林八郎・松谷賢示/安西景虎(47)國村隼/網干頼母(55)津川雅彦/犬塚信乃(33)鈴木京香 ほか ゲスト:田島調査員・半海一晃/医師・伊藤俊一/蟇田蟇田・温水洋一 ほか


 暁仁太郎(役所広司)が偽弁護士だと聞かされたフナムシ開発の社長・安西景虎(國村隼)は、村民サイドは本気で裁判を起こすつもりなのか? と顧問弁護士・網干頼母(津川雅彦)に尋ねた。言うまでもなく弁護士資格を持たない人間が法廷に立つ事は出来ないとの返答に、敵の目的が理解出来ないと頭を抱える一方、大山忠志(香取慎吾)も村民たちが裁判に勝てると思い込んでしまったと頭を抱えていた。
 呑気に構える仁太郎に裁判を諦めるよう説得出来るのかと迫るものの、その為に俺はこの村に来たんだろう? と根拠のない余裕の弁に、あなたは確かに説得力のある良い芝居をする良い俳優だ。しかしそとづら良すぎると苦言を呈するが、それは信頼を勝ち取る為の芝居であり、信頼している人間から説得されて始めて人は首を立てに振るのだとの返答に、そのエエ格好しぃがいつか最悪の事態を招く気がするのだと迫ったところで、ふたりは村長の犬塚守孝(田中邦衛)から呼び出された。
 守孝には全て話してある事を告げて村長室を訪れると、県がようやく重い腰を上げてフナムシのゴミ処理場に立ち入り調査が入る事になったとの朗報が! どういう事? と状況が理解できない仁太郎に、調査が入れば不当投棄が明らかになる訳で、処理場は確実に閉鎖と忠志が説明。裁判は不要=あなたの出番はもうないと続く守孝は、この偽物がぁ… とニタつく訳で、日曜の説明会用原稿も不要になったと涼しい顔で、俺はどうなるのだ!? と慌てる仁太郎に「御苦労様でした」とあっさりお払い箱を告げる。だが、偽物先生にはせっかくだからもう少し居て貰おうとデンジャラスな事を言い出す守孝は、急に帰京しては信じ切っている村民たちが不思議に思うだろうと説明。そこはそれ死んだ事にしても良いと返す忠志に、今は村民一丸となって裁判準備を進めた方が敵も油断して抜き打ち調査が入るとも思わんだろうと言う守孝は、調査が終わるまで居て貰ってきっちりギャラを支払うと話を纏めた。凄く嫌な予感がする…。
 それなら良かろうと納得する仁太郎は、この件は絶対に他言無用であり、抜き打ちに意味があるのだと釘を刺されるものの、富増村の歴史を説明する助役の鴨田額蔵(金田明夫)にあっさりと調査の件をバラしてしまうではないか! 立ち入り調査が入ってクロと出れば裁判前にフナムシ開発は自滅だと説明。県の調査員が来るらしいと同意を求められた忠志は「あんた口が軽すぎる」と苦虫を噛みつぶすが、この件はトップシークレットで『抜き打ちに意味がある』と続ける仁太郎が誰かに電話などしないようにと念を押すが… 鴨田は早速フナムシに電話を入れた。『…』
 すぐに時期を調べろ! と命じる安西社長は、むしろ遅かったぐらいだと言う網干を一瞥して従業員の蟇田(温水洋一)を呼ぶべく指示を出した。
 そんな事は知る由もない仁太郎は村民主宰の宴会で、裁判に必ず勝つとっておきの方法を伝授しようなどと大風呂敷を広げる始末。詳しくは日曜の説明会に譲ると前置いて、裁判とは村民ひとりひとりの協力が必要だと前に告げたが、具体的に何をすればよいのか? まずは盛り塩です! との弁に守孝は一同にメモを勧める始末。村長、抜き打ち調査決定で浮かれるの図だ!
「これ、絶対お願いします」と調子づく仁太郎は、これで悪い気を吹き飛ばして、盛った塩はトイレに流す! と続けるが、村は水洗に非ずと気付いて、水洗の人? などと挙手を求める有様に、忠志はウンザリ視線をカメラに向けた…。
 翌朝。朝10時に目覚めた仁太郎は完全に二日酔い状態だが、御自分ひとりの身体ではないなどと気遣う犬塚信乃(鈴木京香)とのツーショットを、イイ感じだと冷やかす琴井悌三(池田成志)はちょっと老けた若夫婦だと評した。
 町に仕入れに行くと言い残して悌三の車に乗り込んだ信乃は、あいつは相当の曲者だとの弁に、フナムシの社長と堂々渡り合ったシーンを見ただろうと反論。しかし、弁護士バッジをつけた所を見た事があるか? との鋭い突っ込みに、これ見よがしに付けている人よりも好きだと返すが、惚れたのか? と更に突っ込む悌三から今度見せて貰うべきだと言われて、少々不安を覚えた…。
 一方、村長室に押しかけた天馬金吾(麿赤児)から、「間違いないのか?」と迫られた守孝は、なにゆえ知っているのか… と困惑。調査=フナムシ自滅を確認する金吾から、良くやった! と手を握られて、始めて褒められたよ… と感動するが、呆れ顔の忠志は村中その話で持ちきりでフナムシに知られるのも時間の問題だと言い捨てる。しかしその心配はないと返す守孝が、環境整備課からの連絡で立ち入り調査は今日になると告げるや、鴨田助役は即安西社長に電話を入れる訳で、調査員は先に役場を訪ねるであろうと予測する網干は役場での時間稼ぎを命じると、村長室に調査員の田島(半海一晃)がやって来た。

『私、栄養失調です』と言わんばかりの精彩欠ける風貌に『大丈夫か、この人で』と守孝は不安を隠せないが、フナムシ陣営は大量の“フナムシ”を運び込んでいる訳で、時間稼ぎを命じられた鴨田は、現場に向かうべく外に出た守孝らに車が故障してしまった偽った。歩いて行くか、と聞いて体力に自信のなさそうな田島は露骨に反応! ハイヤーを呼びましょうか、と更に時間を稼ぐ一方、呑気に二日酔いの薬を飲んでいる仁太郎は立ち入り調査の件を信乃に告げた。
 先生の手配なのか? と問われて、守孝の手柄だが影ながら応援させて戴いたなどと抜かしつつ、弁護士はバッチを持っているものなのか? との御質問に、寒い時は必ず履くようにしていると返答。ズボンだけでは表の仕事時に冷えてしまうとボケ続けるが、『パッチではなくてバッチ』との突っ込みに、その存在すらも知らぬらしく…。弁護士になると貰えると聞いたとの御指摘を受けて、あれは別に付けろとの決まりはなく、魚屋の帽子に付いているナンバープレートの如く、付ける奴もいれば付けない奴もいる。権威はどうも性に合わず、偉そうに見えて嫌いだと結んだ。しかも今度見せてあげるね、などと鼻の下を伸ばしつつ、安堵の笑みを浮かべて仕入れに行くと言う信乃に、手伝う事があれば… と呑気にその後を追った。やはり死んだ事にして帰って貰うべきだったな。
 ゴミ処理場に到着した一同に、無害の産業廃棄物を“フナムシ”に喰わせるのだと説明する安西は、県には“フナムシによる土壌改良材化処分”として申請して許可を貰っていると結んだ。
 確かに許可は降りているとすかさず返す田島調査員に、大嘘だと言う守孝は“フナムシ”など居る訳がないとせせら笑う。だが、小さな“フナムシ”はしっかりと運び込まれている訳で、何度も訪れているがかつて一匹も見た事がないと言う守孝から、調査が入ると知って慌てて搬入したのだと指摘された安西社長は、いい加減な事を言われては名誉毀損で訴えると余裕で返答。取り敢えずここは終えて次に行こうと相成る訳だが、言葉を失う守孝と顔を見合わせる忠志は、その場に居合わせた蟇田を『お前が運んだか』と言わんばかりに睨み付けた。
 一方仕入れに向かう道すがら、本当に村を出た事もなく東京に出るつもりも無い事を確認する仁太郎は、もっと人生を楽しむべきだと進言するが、楽しむ事がそんなに大切なのか? と返す信乃は人生に於いて楽しむ事は大事な事の3番目ではと言う。1番は継続=親から受け継いだものを守る事だと説明して、八王子はどんな所かと質問。どんなと言われても普通の町だとの御回答に、サンリオピューロランドに行った事は? NHKのスタジオ見学コースは? と続ける信乃は、聞いてみただけで自分には一生縁のないところだと結んだ。
 産業廃棄物を運ぶトラックからこぼれ落ちた破片を拾い上げて、冷蔵庫の破片では? と言う守孝は、金属破片は有害産業廃棄物である事を田島調査員に確認。ここに持ち込み可能なのは無害の産廃物だけだと指摘して、これでも不法投棄ではないと言い張るつもりか? と迫るが、これはゴミではないと返す安西は、企業から金を出して買い取ったものだと言う。集めたガラクタを焼却炉で焼いて余計な物を取り除き、残った金属片を再加工して業者に売るというサイドビジネスだと説明して大事な原料だと主張。その言い分では山を崩して原料をどんどん捨てている事になると言う守孝に、捨てているのではなく保管だと返す訳で、何か間違った事をしているのか? と迫られた田島は「いいえ」と気弱に答えた…。
 弁護士さんって人生相談にも乗ってくれるのか? と言う信乃は、何でもござれと安請け合いの仁太郎に、今朝店に来ていた悌三との恋の悩みだと言い当てられてしまう。そういう事だけは気が回りそうだよな。
 結婚して一緒に東京に出ようと言うのだが、この村を捨てる気になれないと告白する信乃は、『村を出る』=『村を捨てる』ではないとの御指摘に、流石弁護士だけあって深みのある事を言うと感心しつつ、因みに忠志の事はどう思っているのか? との問いに、彼は弟みたいなものだと返答。本人が聞けばさぞかし悲しむだろうと愉快そうに笑う仁太郎に、向こうもお姉ちゃんと思っている筈だと返す信乃は、一本松の影が向こうの岩に届くと丁度4時なのだと説明して店に帰ろうと結んだ。弟&お姉ちゃんねぇ…。気の毒だが俺も仁太郎と共に笑かせて戴いた。
 調査の結果何の問題もないと結論付ける田島に、それは何ら違法ではなくこれからも営業を続けて良いのだと確認する安西は、県のお墨付きを貰って心強い。これで根拠のない反対運動も沈静化する事だろうと満足顔で結び、ゴミ捨て場を見て欲しいと訴える守孝に、あそこは私有地なので何をしようが文句は言わせないと迫りつつ、困った事になったものよと同情して、あの弁護士にお願いして裁判に持ち込むのならばいつでも受けて立つと不敵に結んだ。

 事情を聞いて「話が違う」と声をあげる仁太郎は、立ち入り調査が入れば絶対に営業停止になると言うから村民の前で、好き勝手に裁判には絶対に勝つと言ってしまったと困惑。そればかりか、負ける気がしないとか、塩を盛れとか言い放題だったと呆れる忠志は、明日の説明会で村民を説得してくれ、と再び原稿を差し出した。
 昨日まで「俺に任せろ」などと言た手前、今更どの面下げて! と声を荒げるものの、あんたの撒いた種だと返す忠志から、立ち入り調査の件をみんなに話したからこうなったのだと言われた仁太郎は思わず言葉を失った。やはり死んで貰うべきでしたね。
 しかも思い詰めた表情の守孝は、総理大臣に直接訴えると言い出す始末で、総理もあの山のゴミを見ればきっと何とかしてくれるとの弁に、「してくれる訳がないですよ」と忠志は呆れ顔で返した。
 公衆電話に駆け込んだ仁太郎は、渋谷スタジオの喫茶コーナーで脚本家の友人・毛野智光(山寺宏一)を呼び出して、明日までの台本直しを頼まれて欲しいと懇願。今何処に居るのか? と尋ねる毛野に、長台詞があるのだが作家がバカでロクなホンではなく、全然覚えられないと訴えた所に高級車が接近。中に入るよう網干が声をかけた…。毛野って携帯電話持ってないのか?
 調査の結果は残念だったと言う網干は、常々思う事ととして我々の世界に一番似ているものは何だろうか? と投げ掛けて、考えた事もないと言う仁太郎に、最近その答えが見つかったのだが、それは役者だと言うではないか! 弁護士と役者は非常に良く似ている。法廷は劇場、裁判官は観客。最終弁論では如何に聞く者の心を捉えるかが勝負となる。良い役者は良い弁護士になる、そうは思わないか? とたたみかけて、自分は殆どテレビドラマは見ないのだが、妻は大好きでしかもサスペンスものは… と続ける網干は、カーテレビのリモコンをオンにすると、件の弁護士ドラマが映し出される訳だ。良く見つけだしたもんだ!
 テープは妻が送ってくれたと説明。『正義はどんな場合に於いても勝利を収めなければならい!』との決め台詞を、何度聞いても良い台詞だと言ったところで慌ててスイッチをオフにする仁太郎に、如何なる事情で売れない俳優がこの村にやって来たのか知る気もない。どうせ引き受ける弁護士が居なかったので村長あたりが考えた苦肉の策だろうとほぼ正解を言い当てる網干は、弁護士を偽る事はどれだけの罪になるのか知っているのかと迫り、既に金を受け取っているのならば直ぐに返して村を立ち去る事をお勧めしますと進言。「はい」とビビる仁太郎に、ごきげんようと締め括る網干は、この村はどうなるのかとの問いに、残念ながらこの村に未来はないと返して、既に土地の買い占めが始まっていて、巨大なゴミ処理場が建設されると説明。だが気に病む事はなく、たかだか小さな村がひとつなくなるだけでこんな景色はこの国をちょっと捜せば何処にでもあると結んだ。
 役場に乗り込んで「俺は騙された」と訴える仁太郎は、網干に全てばれていると吐き捨てて、驚く忠志に弁護士を装う事が罪に問われる事を知っていたのか!? と詰め寄った。犯罪の片棒を担ぐなど冗談ではない! 東京に帰るとの弁に、明日の説明会はどうする? あいつらの脅迫に屈するのか!? と迫るものの、屈して何が悪い? この村とは関係ないとの発言に「無責任野郎!」と吐き捨てた後に、何やら思いついて1時間だけ待って欲しいと申し出てる忠志は、網干に会って話し合って来ると言う。
 裁判にならないよう村民達を説得するのが僕らの役目ならば、多少の違いはあれども網干と立場は同じだと説明。手を組むのか? と驚く仁太郎に、てめぇこそ村民に申し訳ないと思わないのか!? と詰め寄られて返す言葉を失うものの、背に腹はかえられず… あんたに言われたくないよ!! との捨て台詞を残して部屋を飛び出して行った。
 冗談じゃない! と吐き捨てる仁太郎が犬塚家で荷物をまとめる一方、一大決心で網干に事情を説明した忠志は、説明会で村民を説得する自信があるのか? との問いに、あの男は台詞を言わせればもの凄い説得力だと返答。網干の手を握ってあの人の誇れるところはそれだけ! と言い切る忠志は絶対に裁判に持ち込まないと約束するか? との問いかけに、約束が守れなかった時にはあいつを偽弁護士の罪で告発してくれと申し出た!やるな、忠志!
 その時は君も共犯になるがそれも承知のうえか? との問いにも「はい」と応えて、明日の説明会を期待していると手を握る網干に、感謝の言葉を述べた。

 どういう事か!? と血相を変える信乃に、急に東京に帰らなければいけなくなったと告げる仁太郎は、明日の説明会はどうするのだと迫られて、実はここだけの話だが親父が殺人罪で起訴されたのだと説明! これだけは信じてくれ。親父は人を殺すような奴じゃないんだ! 親父を救えるのは俺しか居ない!! と馬鹿馬鹿しい芝居を打って逃げ出す仁太郎を自転車で追う忠志は、網干と話し合って説明会が終わるまでは絶対に告発しないとの約束を取り付けて来たと説明。そして、この件からは手を引く、ヤバイ仕事は御免だと逃げの一手に、今逃げたら詐欺罪で訴えると迫る忠志はあんたが弁護士のふりをして自分たちを騙したと迫るが、てめぇの方から持って来た話だとの弁に証明出来るのか!? と迫るではないか!!そうだそうだ!!
 俺を脅そうってのかこの野郎! ああそうだよ!! と掴みあった所に信乃がやって来て、先生のお父さんも大事だが、どうかこの村を救って下さい! と懇願。この村は私が産まれて、私が育って死ぬ村なのだと迫った所に、大変だぁ〜〜! と川北義助(梶原善)までもがやって来るではないか!!
 必死の制止を振り切って守孝が山に入って行ったと言う義助は、目が座っていて思い詰めた様子だっと説明。最も気になる事は行く先にはフナムシのゴミ捨て場しかない所なのだ聞いた仁太郎は、腹いせに火でも付けに行ったのでは… と立ち入り調査の失敗を告げると、血相を変えて探しに行くと言う信乃に、一同も続いた。
 4人手分けして捜すうちにシャッター音とフラッシュの光りに気付いた義助は、取り憑かれたように証拠写真を撮り続ける守孝を発見! この様子を写真に撮って総理大臣に送るのだと聞いて、役に立つのか? と疑ってもみたくなるが、解らないがやるしかないとの決意に打たれてこの先にもっと良い場所があるのだと指南。だが、守孝は包囲線に触れてしまい、照明が焚かれるわサイレンが鳴るわ犬を連れた警備員たちが一斉に飛び出して来るわの大騒動!! 仁太郎たちもその騒ぎに気付くが、犬に追われた守孝は、崖から足を滑らせて転倒! 物陰に隠れる義助は、その様子を見届けてきびすを返す警備員たちに投げつけるべく石を拾って構えるが、その手にはナットが握られていた…。このナット、何かの付箋なのか!?
 救急車で病院に運ばれるものの程なく信乃が手術室に呼ばれて行くと、ナットを握ったままで村長はあいつらに殺されたんだ! と吐き捨てる義助に、死んだ訳ではない! と忠志は怒りで声を震わせるが、もうダメだろうと続ける仁太郎は肉親を呼んだのはそういう事だろうと結ぶ。
 様態を説明する看護婦は、全身打撲自体は大した事はないのだが元々心臓が悪い事を指摘。患者が呼んでいると言う仁太郎を追って忠志も手術室に向かった。
 薄れ行く意識の中で、後の事は宜しくお願いしますと言う守孝に村の事はたのむ、村を救えるのはあんたしかいない。裁判は… と言われた仁太郎は、俺が何者か知っているのだろう? 俺は弁護士ではないと耳元で訴えた。
「あんたなら勝てる…」と苦しい息で続ける様子に、解ったと言ってやれと業を煮やす医師(伊藤俊一)は、そうは行くか! と返す仁太郎に強情な人だと不快感を露わにする。事情も知らないで何を言うか、と仁太郎は意に介さないが、信乃から懇願されて返す言葉を失った隙に「引き受けてくれるそうですよ〜」と勝手に医師が返事をしてしまう。
 ありがとう… との言葉に、ちょっと待ってと焦る仁太郎は、再びありがとう… と振り絞る気持ちに応えるべく「どういたしまして」と返してしまうが、その言葉を聞いた守孝は静かに目を閉じた…。
 医師の蘇生措置も虚しく息を引き取った事を確認。自失茫然で手術室を出ると頭を抱える仁太郎で… 『合い言葉は勇気』第4話、end。

▲村長の死で急展開か!? と期待を持たせてくれた第4話。個人的には、良い歳をしていい加減野郎なキャラクターには感情移入出来ないタチなので、2話以降は『村の事などどうでも良い』とのスタンスを一掃した忠志の方に自然と共感してしまう訳だが、網干との取引や詐欺罪で訴える! と迫った今回は、特に忠志のキャラが立っていて更に好感が持てた。相変わらず着地点が見えそうで見えない歯がゆさが快感に変わりつつあるが、村長の事故死で村民の裁判に対する期待が高まる事だけは確かなんでしょうなぁ。いずれにしても、本人は知らないながらも『弟宣言』も飛び出した事なので、益々忠志を応援したくなったぞ!
 さて来週は、守孝の葬儀に訪れた安西らを信乃が果敢に追い返すと、『裁判は結果が勝負です!』と原稿片手の仁太郎が自主稽古に励む。先生の力で奇跡を起こしたいんです! と信乃から絶大な信頼を得ている仁太郎だが、弔問客からテレビとかに出ていませんでした? と突っ込まれるみたいだぞ!! 脚本家・毛野が富増村にやって来て忠志と共にホン直しに入るらしいが、信乃の肩を抱いて「俺が何とかする。心配するな!」とまたまた無責任な仁太郎で… 謎の脚本家・毛野のキャラに期待して待つぞ!


● 合い言葉は勇気  ●

第3話『はじめての勝利』<7月21日(木)ヨル10:00〜10:54 フジ系>
脚本:三谷幸喜 演出:田島大輔

<出演>暁仁太郎(41)役所広司/大山忠志(25)香取慎吾/鴨田額蔵(41)金田明夫/川北義助(33)梶原善/琴井悌三(33)池田成志/毛野智光(39)山寺宏一/天馬金吾(63)麿赤児/大山節子(60)白川和子/犬塚守孝(63)田中邦衛/暁尚子・キムラ緑子/瀬田・遠山俊也/山根房吉・石井康太/林八郎・松谷賢示/安西景虎(47)國村隼/琴井悌一郎(44)寺尾聰/網干頼母(55)津川雅彦/犬塚信乃(33)鈴木京香 ほか ゲスト:つまみ枝豆 ほか


 富増村民総出の盛大な歓迎に「何年振りだ… 人に拍手で迎えられたのは」と感激しきりの暁仁太郎(役所広司)は、応接室で偉そうにふんぞり返って、自分を必要としてくれてる人が居る事は素晴らしい事だと噛みしめつつ「大山君は人に頼りにされた事ある?」と尋ねる。
「ないです」とあっさり応える大山忠志(香取慎吾)は、あなたは偽物ですと釘を刺して、本物の弁護士ではない事を見失ってくれるな、呉々も村人を期待させる事は言ってくれるな、本当の裁判になれば取り返しがつかないのだと念を押した後に、強面の過激派・天馬金吾(麿赤児)らの前で今後のスケジュールを発表した。
 先生にはこれから4日間ほど村に滞在して戴き、被害実態を調査のうえで一体どういった形で裁判に持ち込むのが良いのか、あるいは持ち込まない方が良いのか… を判断して戴いて今後の方針を決定。その説明会は日曜の午後1時に公民館で行う予定だと告げて、ボロが出ないうちに… と立ち去ろうとするが、ツカツカと歩み寄る天馬は、この村の行く末は先生の肩にかかっている、どうか救って下さい! と頭を下げると一同もそれに習って声を揃える。
 村長の犬塚守孝(田中邦衛)が解散を告げるが、助役で実は内通者の鴨田額蔵(金田明夫)が、役場の壁新聞用にとコメントを求める訳で、『マズイ』と顔を見合わせつつも「どうも! お百姓の皆さんこんにちは」と仁太郎はギャグに走った。
 しかし、ピクリともしない一同にそんな手は通用しないと知って俳優モードに戻ると、自分が産まれた村とよく似ているので、こんな村を破壊しようとする奴らは断じて許さん! と決めて拍手を頂戴すると、「その辺でもう…」との制止もなんその! 名匠・黒澤明監督の『七人の侍』を引き合いに出して、皆さんひとりひとりの士気が大切、勝つか負けるかはあなた方次第! 裁判も同じだと説明。約束しましょう、いつの日か裁判で勝利を収めた時に同映画の名台詞を捧げる、「勝ったのは百姓たちだ。儂らではない」と決めて、ご静聴有り難う御座いました! と言い終わるや、一同は感動の拍手を惜しまず状態!!まぁ、裁判の基本かもね。
 先生が来てくれたからには、必ず裁判には勝つ! と確信する守孝の『フナムシ、クソ喰らえだ』コールで村人たちの仁太郎に対する信頼感は一気に高まった。
『余計な事を』と頭を抱える忠志は、あの場合は仕様がなかったと居直る仁太郎に、あんなに盛り上げる事はないと不満顔で返して、良く聞けば解ると思うが『裁判に勝つ』とは一言も言っていないので勘違いした奴が悪いとの弁明に、「みんなにそう言って下さい」と強気で返した。そして、解っているとは思うが3日後の説明会では、裁判には勝てないので諦めろと村民に説明するのだと念を押すして、早く台本をくれ! 台詞を覚えるにも時間がかかると俳優モードの仁太郎に、今書いていると返したところに、守孝が登場して村民一同大喜びで帰って行ったと報告。先生はユニークな方で、来て戴いて本当に感謝しているとのお言葉に、「じゃあ飲みに行こう、取り敢えず」と一仕事終えただけで日も高いうちから綺麗所のオネエチャンの居るところを指定する仁太郎は、その手の施設や宿泊施設もないと聞いて一転機嫌を損ねる訳だ。俳優ってこんなもんなのかぁ?
 村長宅に泊まる手筈と聞いて忠志の心は穏やかではないが、来るんじゃなかったとゴネる仁太郎はその場に横になってここで寝ると言い出す始末! 守孝が「型破りだ…」と漏らせば、「子供だ」と忠志が呆れる一方、フナムシ開発では顧問弁護士の網干頼母(津川雅彦)が鳩山事務所には暁なる弁護士など所属していない事を確認していた。
 一応弁護士会に問い合わせると受話器を取る傍らで、一体何者だ? と焦りを隠せない社長の安西景虎(國村隼)に、アッという間に村民の心を掴んでしまったと報告する鴨田助役は、弁護士特有の鼻にかけた感じがなくて… と口を滑らせてしまう。『俺の事かいね』と一瞥をくれる網干からどんな話を? と聞かれて『七人の侍』の名を挙げて黒澤明の名作と補足。そんな事は知っておる! と安西が苛つく一方の村長宅では、信乃(鈴木京香)が守孝の娘で滞在中の身の回りの世話係と知った仁太郎が上機嫌で杯を重ねていた。お約束の展開だな。

 甲斐甲斐しく料理を運んで、富増村の未来は先生にかかっていると言っても良いと思うと告げる信乃は「そうね」と返す仁太郎に、宜しくお願いしますと頭を下げるの図を、忠志は不安そうに見守っている訳だ。
 上機嫌で酒を勧めるものの、酒乱の気があると守孝に暴露された信乃がお風呂を見て来ると席を立つと、すかさず独身? と確認して上機嫌の仁太郎が空けた徳利を補充すべく守孝も席を外した。
 その隙に、信乃には大きな事を言うなと釘を刺す忠志は、説明会用の原稿を手渡すが、ロクに目を通さずに「使えない。長過ぎる。覚えられない」と突き返す仁太郎は、覚えずに読むだけで良いとの御指摘に、解っていない、やる気がなくなると返答。読み上げるにしても一度覚えなければ、言葉が浮いてしまうので、そんなんで人は説得出来ない、役者の生理も考えろ! バカヤロウ… と、明日までの書き直しを命じるわ、明日の予定を確認する守孝の前でも、明日は休み! 毎日働けるかよ〜 とわがままッぷりを発揮するが、信乃に言われてあっさりお風呂に直行した。大丈夫なんだろうか、この人…。
 あの弁護士さんが見つかったおかげで、富増の人間は忠志の家に足を向けて寝られないと言う信乃は、あの人ならきっと『村の為に命懸け』で頑張ってくれると思うとまで言い出す心酔ッぷり。『……』
 何故そう思うのか? との問いに、「私、見ちゃったの」とうっとりモードで、拍手する村民の姿を見て目に涙を浮かべていたと説明。この人、『真剣に村の事を考えていてくれる』のだと思った、暁先生なら『きっとやってくれる』と思うと同意を求められた忠志は、適当に返答の後に東京のお土産を手渡した。
 あんまり期待されると困るけど… と前置いて、東京でしか手に入らないものだとの土産を開けるものの、東京タワーの置物にガッカリする信乃が「欲しかったの〜」と無理に喜んだ所に、村一番の偏屈者・川北義助(梶原善)が戸を叩いた。
 どうしても今夜中に花火が欲しいと言う義助は、親戚の子供が来ていると説明。在庫を調べに信乃が引っ込んだ所に、弁護士を連れて来たらしいが東京の奴が本気でこの村を救ってくれると思っているのか? と問われた忠志は、「うん」と返答して義助も無茶な事は止めるように進言。俺は俺のやり方を通すと返す義助は、花火の代金替わりに川で釣った魚を置いて行った…。やり方を通しているな、確かに。
 風呂上がりのビールを旨そうに流し込む仁太郎は、布団を敷いている信乃から『暁』姓が珍しいと言われて、暁=朝焼け、と昇る朝日をイメージして自分で付けた名前で、本名はサトウマナブだと説明。良い芸名だろ? と自慢するものの、驚く信乃に慌てて『弁護士ネーム』だと補足。法廷に立つ時はだいたい使っているのだと訳の解らないフォローをしつつ、東京に出て来る気があるのならば力になりますよ… などと話題を逸らした。だが、明日の予定を尋ねる信乃はゴミ処理場の視察だと聞いて、フナムシ開発の違法行為を激しく訴えて、「勝てますよね、裁判?」と尋ねると、「俺に任せろ!」と弁護士ならばおおよそ言わないであろう台詞に、頼もしいわぁ〜!! と声をあげると、一杯飲んでみない? との言葉も耳に入らぬ程喜んで部屋を飛び出して行った。
 翌朝。フナムシのゴミ処理場視察に行くべく仁太郎を迎えに行った忠志が見たものは、「メシが多い。半分にしてくれ」「はい」… と、まるで新婚夫婦のように仲むつまじげな朝食の光景だった!かなり痛いな、忠志!
 村唯一のカラオケスナックに場所を移して必死で直した説明会用の原稿を手渡すものの、一瞥しただけで差し戻す仁太郎は、台詞が固い、喋るように書け、人間がこんな喋り方するか? と書き直しを命じる訳だ。しかも役場への連絡で忠志が席を立てば店の女の娘に、東京で大ブームの野菜占いを知っているか? 僕はブロッコリーだけど… と誕生日を聞き出す始末。
 一応やり手の弁護士なのだとたしなめられて、そういう当たり前の役作りは嫌いだと返す仁太郎は、やり手ながらも女好きな弁護士も居るだろう… と言いつつ呆れて席を立つ忠志に続いて店を出る一方、東京のラジオスタジオでは『野菜占い』はもう古いと言うつまみ枝豆氏がこれからは『明太子占い』だと力説していた。
 スタジオサブで軽いノリを見せる放送作家・毛野智光(山寺宏一)を訪ねた暁尚子(キムラ緑子)は、突然消えた仁太郎の居場所を本当に知らないのか? と詰め寄って、事務所も解らないと言うし、家にも帰った形跡はなし… 参ったなぁ〜 と溜め息を漏らすが、ヨリを戻すのか? との質問を一笑。相手が居なければ離婚が出来ないのだと忌々しそうに返した。

 自転車で村を案内するもののすぐに帰ろうと言い出す仁太郎に、部屋に閉じこもっていれば噂がすぐに広がって、あの弁護士はロクに調査もせずに結論を出したと言われてしまうと忠志が説得。面倒臭ぇなぁ〜 とゴネるわ、話が違うと言い出すわ、マネージャーが居れば一騒動起きてるぞ〜 と言いつつも、仁太郎は渋々自転車を走らせた…。
 富増村の人工は約600人。主な産業は桃とダルマ人形で、富増川を挟んで村は南北に別れている。桃農園が広がる北富増の中心人物は、村一番の桃農園を経営する天馬金吾でかなり血の気の多い老人である。桃が根付かなかった南は長年さびれていたが、テレビで紹介された民芸品の『きをつけダルマ』がちょっとしたブームになって地元名産品となり、その生産に勤しむ、通称人柄の兄・琴井悌一郎(寺尾聰)と切れ者の弟・悌三(池田成志)兄弟が南の有力者だ… と説明。
 フナムシ開発は2年前に村に進出。フナムシにゴミを喰わせて肥料にするの話をすっかり信じ込んだ村長が地主達を説得して回った結果、村おこしになると思い込んだ地主たちは喜んで山を売った訳で、反対運動の中心は北富増の連中。南の連中は処理場とも地理的に離れていて危機感がない… と話を終えるが、当の仁太郎は川に入り込んで何やら佃煮の材料を採取しているではないか!何なんでしょ、この人。
 信乃ちゃんに調理して貰うと言う仁太郎に、実は… と忠志は思いを寄せている事を告白。思いを伝えていないと知って「じゃあダメだ」と言う仁太郎に、おかしな事になったら許さないと釘を刺すものの、向こうは俺に惚れてるとの弁に、本物の弁護士だと信じて尊敬しているだけだと断言。尊敬が愛に変わる事は良くあるのだと不吉な事を言われた所に、琴井『南の切れ者弟』悌三がバイクでやって来た。こいつも信乃と訳アリじゃないか!
 あれが噂の弁護士先生か? 何処で見つけて来た? との突っ込みに「東京です」とざっくり返す忠志は、琴井悌三と耳打ちするものの、何者ぞ? と何も聞いておらず状態の仁太郎は軽く挨拶をしただけで川に戻って行った。子供なのか、童心に戻ったのか…。
 そんなこんなで川で遊んだ後は、天馬たちと共にゴミ処理場前を訪れて、産廃物を積んだトラックの出入りを見学。奴らは荷台のゴミを産廃物ではないと言い張っていると聞いて「成る程… 解りました」と頷く仁太郎はさっさとその場を去ろうとする。
 係員に話を聞いたりはしないのか? との問いに、聞いても本当の事は言わないだろうとのパーフェクトな答えに、忠志もその通り! とボロが出る前の退散に大賛成。だが、恐ろしい形相で「どういう事かな!?」と迫る天馬に、ちょっと行って話だけでも聞いてきましょう… と言う仁太郎は一同を待たせて、警備員に向かって行った。
 が、いきなり謎の東洋人に扮して時間を稼ぎ、フナムシサイドを煙に巻いて戻って来た仁太郎は、話にならない! 何を聞いても解らないの一点張り、もう少しで殴るところだった!! と憤りの芝居で、これ以上何の収穫もない! と天馬らを納得させてその場を去る事を決め込む一方、信乃の店を訪れた悌三は、あの弁護士は怪しい! と鋭く指摘。まともな弁護士なら勝ち目のない裁判を引き受ける筈がないと『南の切れ者』らしく説明するが、それだけ立派な人なのだと信乃が返した所に「大変だ〜!!」と村人が駆け込んで来た!
 一方、産廃場の煙が直撃するという地点を訪れた仁太郎は、ハンカチで風を集めるように忠志に指示を与えると、科学研究所で空気の成分を調べるのだと無茶苦茶な事をしたり顔で説明した所に、信乃たちが駆け込んで来て、義助がまた暴れているのだと報告! 昨晩からフナムシのやぐらに立てこもっての大騒ぎだと説明して、説得して欲しいと懇願された仁太郎は「よっしゃぁ!」と現場に向かった。
 やぐらを占拠して、仕入れた花火やらパチンコを撃ち込んでのプリミティブな攻撃に村民とフナムシサイドは騒然! 何でも昨晩ひとりで処理場に忍び込んで、処理場に火をつけようとしたがガードマンに見つかってやぐらに逃げ込んだとの事。報を受けて乗り込んで来た安西社長は、やぐらごとブッ壊せ! と命令するとパワーショベルが発進!! 「やめなさい!」と果敢に叫ぶ信乃を一瞥する安西は、構わず突っ込め! てな訳で、やぐらをガンガン揺すぶられた義助は、あわや転落か!? と相成る訳で、こうなったら弁護士さんが出て行くしかない、と悌三に焚き付けられても仁太郎は尻込みするばかり…。一体どうした事ぞ!? と物陰で詰め寄る守孝に、実は彼は弁護士ではなくて役者なのだと自白する忠志は、結局弁護士など見つからなかったのだと正直に告げた。結構早いネタばらしだな、忠志!?

 現場は益々混乱を極め、一同掴み合いの大騒動に「弁護士さんなら何とかしてくれてもいいだろう」と天馬に迫られた仁太郎は、俺が出てくしかないだろう! とヤケクソで立ち上がった!
 どきたまえ! 上の男は俺が説得する!! と歩み出る仁太郎は、誰だ? と問う安西社長に「通りすがりの弁護士だぁ」と名乗ってやぐらに向かった。
「三郎! バカな真似はやめるんだ!!」と呼び掛けて、『義助』だと指摘する忠志はウンザリ顔だが、ごめんなさい、ちょっと混乱がありました! と言いつつ、ここから先は俺が裁判で決着を付ける、俺が引き受けたからには絶対に勝つ! 裁判に持ち込めば100%こっちの勝ちだ!! との嬉しいお言葉に、信乃たち村民から拍手が沸き起こる。いいのか、おいおい。裁判に100%はないんじゃないかぁ?
 みんなにそういう事は言わない方が… と言う忠志に、そうでも言わなきゃ降りて来ないだろうと返す仁太郎は、その強気はどこから来るのか? と尋ねる安西は、村民に勝ち目がない、法律の専門家を雇っている当方は法にふれる事は一切やっていない! と言い放つ。だが、
「そう思ってりゃいいさ」と返す仁太郎は、負ける裁判はしない、絶対に勝つと宣言すると、その根拠は? との問いかけに「教えて差し上げよう」と役者モードにタイプチェンジ。1話ラストにやっと登場したテレビドラマと同じ台詞で村民達に説得を始めた。
 裁判とは果たして何なのか? それは真実を明らかにする事なり。では真実を明らかにするには何が必要なのか? 真っ先に法律があげられるのだが、それよりも大切な事は、正義は必ず勝つという信念なのです! 正義は常に弱い者の味方であり、正義は如何なる場合でも勝利を収めなければならない! とテレビそのままの台詞で、日本にはない陪審員制度宜しく村民を説得する姿に、『仁太郎さんとの最初の出会いを想い出した』と忠志は心の中で呟いた。
 正義が通じなくなった世の中を想像してみて欲しい… その時皆さんは何を信じて生きて行けば良いものか!? 正義は皆さんの心の中にある、正義を貫き通す事に勇気を持って欲しい、正義は必ず勝つという事を、どうか信じて欲しいのだと力説! 正義を信じる人間にこそ、正義は訪れるのだ… との芝居で一同の胸を打った仁太郎は、それが俺の根拠だ! 正義は必ず勝つんだ!! と締め括ると、再び拍手が沸き上がる訳で… スゴスゴと降りて来た義助に「腹が減っただろう!」と言葉を掛けた所に「先生!」との声と共に、本物の弁護士・網干頼母55歳がやって来た!!
 フナムシ開発の顧問弁護士だと名乗って、大変素晴らしい演説で感動致しましたと嫌味混じりの網干から、先生はどちらの法学部のご出身? と尋ねられて「早稲田大学です!」と返す仁太郎は、因みに何期の司法収修だったかとの質問に「3期?」と間抜けに返答。
「さんきぃ?」との突っ込みに、すかさず4期と訂正。勉強不足で申し訳ないが、これまでどのような事件を扱ってこられたのか? と聞かれて、一番有名なのは『20歳の青年が父親を刺し殺した事件』と、前出のドラマ設定を説明。真犯人は隣の婆さんで、死体に残された入れ歯の歯形が決め手になったと聞いて、まるで2時間ドラマみたいだと鋭く切り込む網干は、いずれ法廷でお会いするのを楽しみにしておりますと続けて、取り押さえられた義助の件は水に流そうと進言。なにゆえぇ? と驚く安西に、例え警察に突き出したとしてもこの弁護士先生がすぐに手を回す事でしょうし… と仁太郎の切れ者ッぷりをわざわざアピールすると、『七人の侍』は自分も大好きな映画だったと言い残して、その場を立ち去って行った。もはやバレバレって事か。
 また余計な事を言ってしまったが、これも流れだから勘弁してくれと詫びが入るものの、仕様がないですね、と忠志もまんざらでもない様子。信乃に益々尊敬されて上機嫌の仁太郎の事を、本物の弁護士ではないとリムジンの中で告げる網干は、殺人事件を担当した弁護士が環境問題に興味を持つ事自体がおかしい、刑事事件と民事事件では弁護士の種類が違うのだと安西に説明。
 そして何よりも、彼は4期である筈がないと指摘。4期なら70歳を越えている筈だと続けて、私でする28期ですから、彼が70の老人に見えましたか? と薄笑いを浮かべる一方、こちらは満面の笑みを称えて拍手を頂戴する仁太郎をこなす守孝は、弁護士だろうが役者だろうが関係ない。あの人に賭けてみようと思う… と忠志に告白。『バンザ〜イ』の声の中、「ま、いいか」と久々に少しだけ笑顔の戻った忠志と、またまた満面笑顔の仁太郎で… 『合い言葉は勇気』第3話、end。

▲最終回のデジャブになりそうなラストシーンだった第3話。あと8話残っている訳だが、着地点が見えるような見えないような… 不思議なドラマである事だけは確かだ。レンタルビデオが一泊1200円の富増村でテレビ局が何局ネットされているのかは不明だが、忠志が再放送ドラマを見たのは始めてらしいので、同ドラマはネットされていないと言う事か? 因みに一番笑えたのは新婚もどきの朝食シーン。いやいや朝からなかなかの色っぽさが漂っていつつ、かなりの嘘臭さと忠志のリアクションに大爆笑させて戴きました。
 さて来週は、まず皆さんにやって戴きたい事は…「盛り塩です」と訳の解らん事を言い出す仁太郎をリムジンに呼びつける網干は、弁護士と役者はひじょ〜に似ていると確信を突くぞ! 今逃げたらそれこそ詐欺罪で訴えますよ!? と忠志にも脅されて気の毒でもない仁太郎が「村長はあいつらに殺されたんだ…」と結んで… えっ、村長死んじゃうのぉ!? 期待して待つぞ!


● 合い言葉は勇気  ●

第2話『サイテーの救世主』<7月13日(木)ヨル10:00〜10:54 フジ系>
脚本:三谷幸喜 演出:河毛俊作

<出演>暁仁太郎(41)役所広司/大山忠志(25)香取慎吾/鴨田額蔵(41)金田明夫/川北義助(33)梶原善/琴井悌三(33)池田成志/毛野智光(39)山寺宏一/天馬金吾(63)麿赤児/大山節子(60)白川和子/犬塚守孝(63)田中邦衛/瀬田・遠山俊也/山根房吉・石井康太/林八郎・松谷賢示/安西景虎(47)國村隼/網干頼母(55)津川雅彦/犬塚信乃(33)鈴木京香 ほか
ゲスト:名古屋裕子・篠原涼子/暁尚子・キムラ緑子/松本・吉田朝/プロデューサー・佐渡稔/事務所社長・小野武彦 ほか


 富増村の危機を救う為、大山忠志(香取慎吾)は弁護士捜しの上京を余儀なくされたが、勝ち目のない裁判を引き受ける奇特な弁護士は現れず…。偶然出逢った人権派熱血弁護士・鳩山一茂(唐沢寿明)にもフナムシ開発の差し金で断れてしまった忠志は、失意のままホテルに戻るものの、夜中にオンエアされていた2時間ドラマの再放送で、正義の弁護士を演じる暁仁太郎(役所広司)の勇姿に目を留めた翌朝…。
 渋谷の撮影スタジオでドラマ収録に挑む仁太郎は、ピストルで心臓を撃ち抜かれた後も古臭い芝居で執拗に見せ場を作ろうとして、共演者の名古屋裕子(篠原涼子)や副調整室のディレクター・松本(吉田朝)らをウンザリさせていた。
 カメラリハーサルを終えて、ADをどやしつけるデカイ態度と古臭い芝居に眉を潜める裕子が密かにプロデューサーを呼びつけるが、客が来ていると言われた仁太郎は忠志の待つ喫茶室に向かった。
 名刺を見ながら、かつて映画のロケで富増村の近くに行った事があると言う仁太郎に、『先生の』2時間ドラマの再放送を見て訪ねて来たと忠志が告げる一方、裕子は副調整室に乗り込んだ。
 撃たれても見せ場を作るあの男は誰がキャスティングしたどこの役者なのか? と迫って、主演俳優の事務所だと説明するプロデューサー(佐渡稔)やディレクターに、芝居が古過ぎると思いません? とプレッシャーをかけている事は知る由もない仁太郎は、弁護士を捜しにやって来たと経緯を告げる忠志から、今裁判をやっても絶対に勝てる見込みはないとみんなに説明して欲しいと言われて、台本かプロットを読ませて貰えるのか? と返した。
 制作は? テレビ局は? と続けても要領を得ないまま、初歩的な話で大変失礼だがと前置いて、富増村の職員が何故ドラマのキャスティングをやっている訳? と確信を突きながらも「ドラマではない」との返答に「本編? ムービー?」と歩み寄った。村おこし映画なら、職員キャスティングもアリかもな。
 村民の前で弁護士のフリをして貰いたい、と単刀直入な申し出に、その時キャメラはまわっているのか? と尋ねる仁太郎は、まわってなければ… 芝居なのか! と納得しつつも舞台はやった事がないと困惑。それもちゃうねん! てな展開に、もう一度頭から解るように説明して欲しいと迫るが、弁護士になりすまして村民を騙す… もとい説得して欲しいとの申し出をやっと理解して、すっくと席を立つと、喫茶室をあとにした。
 常識的に考えて受ける筈がないだろうと呆れる仁太郎は、想像もつかないがドラマのギャラに見合った額を支払うつもりだと言う忠志に、そもそも何故居所が解ったのだと尋ねる。そう、俺も不思議だ。
 朝、本屋に行ってタレント名鑑で事務所の連絡先を調べて教えて貰ったとの正攻法に、なにゆえ事務所も教えるか! と苛つく仁太郎は、こちとら役者は演じる事が仕事で講演会すらやった事がない! と立派なポリシーを披露。そんな詐欺まがいの片棒を担ぐ程落ちぶれてはいない!! とメイク室に消えて行った。
 しかしこのまま村に帰る訳には行かない… と村民達のエキサイト振りを説明する忠志から、「2時間ドラマみたいに張りのある声で」何をやっても勝てる見込みはないと説明して欲しいと言われて、「あんたおかしいよ」と返す仁太郎は、メイクや照明に助けられての役者であって、村民にすぐに見抜かれてしまうと、正論を述べた。そうだよな。
 だが、あなた程の演技力なら村民は簡単に騙せると食い下がる忠志から、最高の弁護士ッぷりとおだてられて「それ以上言うと嘘っぽくなる」とヤニ下がる仁太郎は、受ける訳ではないがと前置いてスケジュールを尋ねるが、「明日朝一番の列車で」と聞いて、態度を豹変! どんなドラマでも一週間前にはスケジュールが出るのだと声を荒げた。脚本が遅いと直前までスケジュールは出ないのでは?
 それでも村民が待っていると食い下がるものの、話にならん! とすっかり気分を害したところでメイクが完了。眉間を打ち抜かれた特殊メイクに、「こりゃ違うだろう」と声を上げて、これから一芝居あるのに何故撃たれた後なのか? とメイク係に迫るもののプロデューサー命令と聞いて、釈然としないままスタジオへ。
 芝居はカットでいきなり死んでいてくれと言われて、それでは話が繋がらないと食い下がるものの、動機は最後に刑事が説明するとかわされて一転居直る仁太郎が、カットするならば事務所に話を通してくれと撮影中断を臭わせると、シーンを戻すとディレクターが折れて撮影再開! だがメイクはそのままでは、撮るだけ撮っての編集カットは目に見えている訳だ。
「そんなに俺の芝居が邪魔か?」と切れる仁太郎に、「邪魔…」と裕子が返せば、あなたの芝居はクド過ぎるんだ! とディレクター氏も負けてはおらず… 再度カットするならば事務所を通して!! と吼えた所に、事務所には連絡したと言う旧知のプロデューサー氏は、主役を張っていた頃と今は違うと説明。俺のわがままだと言うのか!? と胸ぐらを掴む仁太郎に、わがままだろうが正当な訴えだろうが同じ事で、あんたの思い通りになる現場は10年前に終わっている。やるならやる、文句があるなら今すぐ出て行ってくれ! とプロデューサーらしくその場をまとめた。
 かくして「5秒前、4、3、2…」と本番が始まって… 銃声と共に額を打ち抜かれた仁太郎が倒れると、アッと言う間にカットの声が。火薬が飛んで来たと愛想を振りまくものの、撮影を中断されたスタッフたちの冷たい反応に背をむけてひとりスタジオを後にした。

 弁護士の歓迎ムードに染まる富増村では、本当に弁護士がやって来るのか? と確認する村役場の助役・鴨田額蔵(金田明夫)に、間違いないと返す村長の娘・犬塚信乃(鈴木京香)は忠志からの電話を受けて、村民一同楽しみに待っているのだと報告。明日の帰省を問われた忠志が受話器を置いて茫然と宙を見据える一方、スタジオから事務所に直行した仁太郎は、また現場で揉めた事を咎めて、殺される役でも良いと言ったと指摘する社長(小野武彦)に、殺され『る』役と『た』役とは大きな隔たりがあると説明。現場マネージャーは休みを取っていると言う社長に、出された桃をパクつきながら最近事務所の扱いが悪い、スケジュールを送って来ないので自分でスタジオに確認の電話を入れた、訳の解らん奴に居場所を教えるなと不満を漏らす。
 今食べている桃をくれたから教えたのだと返す社長は、そろそろ立場を弁える事を覚えて欲しいと続けて、殺され『る』役を取るのにどれだけ苦労したかと訴えると、今の世の中どれだけ売れっ子タレント抱えていっても、そう簡単に何人も『バ』… と言いかけて言葉を呑んだ。
 その『バ』に鋭く反応する仁太郎は、『バ』の後にに何がつくのか? バーコードかバーミャンかバーチャルリアリティか? とガラ悪く迫ると、『バータ』(抱き合わせ。『束』の逆)だよ!! と声を上げる社長は、今時単独で役が付く訳がない! 毎回毎回スタッフがどれだけ方々に頭を下げて役を貰っていると思っているのか!? と残酷な現実を訴える。
「俺はおまけか!?」と檄高する仁太郎は、おまけはおまけらしく大人しく箱に入っていれば良いのだと涙声で訴える社長を突き飛ばして、マンションに直行。いかにも愛人善とした女はいかにも間男が居ましたとばかりに狼狽えながら、パンツを履きつつベランダに向かって逃げて! と声を上げた。
 ベランダでパンツ一枚の間男氏は、実は現場をサボって休みを取ったマネージャー氏デシタとの展開に、「いつからだ?」「奥さんの所に帰れ!」「奥さんといつまでも別れてくれないじゃない!」と低レベルな罵声が飛び交って… 御指摘通り本宅に戻れば、引っ越し業者が今正に最後の荷物を運び終わっているではないか!公私ともに凄い事になってるなぁ。
 相談したいと言っても散々逃げ回っていた輩が、今更慌てるとは見苦しい… とばかりに落ち着き払う妻・尚子(キムラ緑子)は、運び出した家具は全て自分が購入したものでここ数年家に金を入れていない仁太郎の持ち物など無いと言い放つ始末。服に至ってはインドネシアキャンプに寄附したと説明して、初めて人の役に立ったのでは? と笑いつつ、唯一の所持品だとゴミ袋をこなした。何でしょう?
 ボーリングか何かのトロフィーだろうと言われて、栄えある『週間テレビ番組』誌のドラマ大賞・第3回最優秀助演男優賞だと狼狽える仁太郎は、俺の貰った最初で最後の賞を粗末にしやがって… とマジで悔しがるが、事務所が送ったスケジュールのFAXを示す尚子は、渋谷スタジオまで車で送って行くと申し出た。
 悪夢のスタジオに向かう車中で、笑わないで聞いて欲しいと前置いて、もう一回お前とやり直しても良いと思っている… 俺の死に水を取るのは尚子だけだ… と臭い芝居をかますものの、絶対無いと鼻で笑われてしまう訳で、『おっぱい姉さん』は飛んでもない女だったと反省しても時既に遅し…。
 ひとつだけ褒めてあげると言う尚子は、人生上り坂もあれば下り坂もあり、人間はそのつど変わるものだと説明。調子良い時は天狗になって、ダメな時は卑屈になるものだが、全然変わらなかった事は凄いと思うとやや持ち上げながらも、
「いつだってあんたは最低だったわ」と結んだ。これが俗に言う『女房に愛想尽かされた』って奴ですね。
 同じ頃。富増村では『歓迎 鳩山(大)先生』と『大』の字を後から小さく書き加えた看板を信乃たちが満足そうに見上げる一方、焦りを隠せないフナムシ開発社長・安西景虎(國村隼)に、弁護士の網干頼母(津川雅彦)は、鳩山への裏工作は万全なので恐らく別の弁護士を見つけたのだろうと説明。すぐにそいつの名前を探り出すように命じられた村役場のスパイ・山寺助役は血相を変えて飛び出して行った。
 そして唯一の荷物である助演男優賞のトロフィーを手に、渋谷スタジオで車から降ろされた仁太郎は、喫茶室で食事中の旧友脚本家・毛野智光(山寺宏一)の姿に目を留めた。
 何をしている? ナポリタンを食ってる… と挨拶を交わして、過去に弁護士ものを書いた経験があると言う毛野に頼みがあると泣きつく仁太郎は、トロフィーに目を留めて過去の栄光にすがらない方がよいと言われつつも、女房から離婚を迫れたが慰謝料を払えないのだと打ち明けるが、そこに再び現れてた忠志は「お願いします!」と頭を下げた。
 ウンザリ顔の仁太郎は早々に喫茶室を出るが、ロビーで土下座する忠志に、熱意は解るが無理なものは仕方がない… と説得した所に通りかかった『世にも微妙な物語』のスタッフは、収録中に俳優が怪我をしてしまい、代役を見つけなければ収録が飛んでしまうと説明。事務所には連絡を入れるので、何とかワンシーンだけ『特別出演』してしいと頼み込まれて、死体までやったのだから怖いものはないと言う仁太郎はその仕事を快諾。そんな訳で話を聞いている時間はないと断って、「村の衆に宜しくな」と言い残して去って行く後ろ姿を見送る忠志は、信乃から貰ったお守り袋を取り出して一心に念を送った…。何だか恐ろしいなぁ…。

 だが、死体より酷い役はないだろうと引き受けたその役とは、首までのゾンビマスクを被って奇声を発しながら少女を襲う悪者A、B、C。事務所に連絡する暇を考えればスタッフがやるべきだと思うぞ!
 収録を終えて「やってられっか!」と吐き捨てる仁太郎は、スタッフルームに置いておいた『週間テレビ番組』のトロフィーが無くなって事に気付くが、他の小道具と一緒に返してしまったとの返答に憮然! トラックが出てしまうと聞いて搬出口にひた走るものの、栄えある第3回最優秀助演男優賞のトロフィーを乗せた小道具会社のトラックは無情に走り去って行った…。いらんだろう、そんなものは。
 ヨロヨロとロビーに舞い戻った仁太郎は、ベンチに座ってモソモソと焼きそばパンを喰っている忠志の横に座ると、観念したように笑い声を上げながらゾンビマスクを被って襲いかかるそぶりを見せた。
 三度喫茶室に席を移して、引き受けてくれた事を心から喜ぶ忠志に、運命のようなものを感じたと言う仁太郎は、大きな力のようなものが俺を富増に呼び寄せている気がすると告白。仕事はどん詰まり、愛人に追い出されてカミさんに逃げられたのも全てお前さんが現れてからだと説明して、これだけ続くのは大きな力が働いているとしか思えないと結んだ。いや、身から出た錆び、起こるべくして起こった事だと思うぞ。
 そう聞いて、解るような気がすると返す忠志は、それは多分富増大明神の力だと思う… と先刻のお守り袋を取り出した。力を貸してくれますようにとお願いしたのだと聞いて、余計な事をやりやがって! とその太い首を締め上げた仁太郎は、衣装部屋に忍び込んでスーツを掴み、持ち道具の黒縁眼鏡も拝借。
「お待たせ。弁護士の暁仁太郎です」としっかり芝居モードで握手を求めるその手を握った忠志は、行きましょう! と悪夢の渋谷スタジオを後にした。
 村長・犬塚守孝(田中邦衛)の入院先にやって来て、台本がなければ何も出来ないと言う仁太郎に適当に頷いていてくれと言う忠志は、本物だと信じている村長を騙せるかどうか… とプレッシャーを与えつつ、病室に向かった。
 隣人のテレビに、またもや再放送で自分のドラマが流れている事を知った仁太郎は、経緯を説明する守孝の声も耳に入らず状態で、大きな体でテレビを隠しつつ、後ろ手で取り上げたリモコンでチャンネルを変える事に成功! リモコンを蹴り飛ばした所で、話を聞いていないと指摘する守孝に、相手方の弁護士・網干がかなりのやり手らしいと忠志が説明。俺もリモコン芝居に目を奪われて、守孝の台詞を一切聞いていない状態だ。
「ねぇ、先生?」と台詞を振られて、「網干は凄い」と返す仁太郎は、どんな手を使ってくるのか? と尋ねられて「いろんな手を使ってきます」と返答。それはどんな手か? と人は当然聞き返す訳で、あっと驚くような手、まさかと思うような手とか、笑っちゃうような手とか… と誤魔化した所で、リモコンを拾って来た隣人患者が再びドラマにチャンネルを戻すと、『助けて欲しければ大きな声で助けて下さい言うてみんかい?』と妙に訛る犯人に扮した仁太郎の声が流れてくるではないか!村に行っても同じ事が起こると思う…。
 その台詞につられて、助けて下さい! と訴える守孝の手を取って、何とかしましょう! と芝居をしめると、テレビ画面では、出刃包丁を腹に刺された犯人・仁太郎が大袈裟な芝居で目をひんむいていた…。
 そんなこんなで富増村に到着した3人を出迎えた信乃は、村に向かう車中で仁太郎を鳩山だと思い込んで、どんな事件を扱ってきたのか? と尋ねるが、都合で同じ事務所の暁先生がやって来たのだとの説明を聞いて、激しく動揺! 今弁護士で一番ノッてる先生、ありとあらゆる事件を取り扱っておられる凄い先生だと聞かされた信乃は、村を上げての歓迎会をこっそり準備していたのだが、垂れ幕や看板が全て鳩山の名前になっていると告白。一番ノッてる先生ねぇ…。

 そんな事を気にする先生ではないとフォローする忠志は、車を止めてくれと告げて飛び出して行く仁太郎を追って車を降りた。
 村民の盛り上がりを察知してやはり自信がない、と腰の引けた仁太郎は弁護士が来れば裁判に勝てると思っているのだと説明する忠志に、そんな所に飛び込んで行けばバレるに決まっていると返して、手持ち無沙汰に野の花を手に取った。だが、
「あなたはもう飛び込んでいるんです」と迫る忠志も花を手にすると、今逃げ出せば自分や村長も含めて村民に袋叩きにあうのだと説明して、もう後には引けない、僕らは運命共同体なのだと契りを交わすように手にした花を仁太郎の花に押し当てた。なんか、ヘン… 富増村の風習なのか?
 かくして車が村にさしかかる橋に到着すると、大勢の村民が拍手と歓声を持って出迎えのセレモニーが始まる訳だ。
少女鼓笛隊がエルガー作曲『威風堂々』第1番(希望と栄光の国)終結部を奏でると、その歓迎振りに役者の血が騒いだのか? 車を止めてくれ! と申し出る仁太郎は、手にした花をヒーロー気取りで信乃に手渡せば、忠志は渋々守孝に花を手渡した。
 そしてくす玉が割れて、再び沸き上がる歓声と拍手に迎えられて舞台経験のない仁太郎は心から感動したらしく、二手に別れて歓迎する村民たちの間を堂々と行進して行った。
 橋の下でひとり釣り糸を垂れる変わり者の川北義助(梶原善)その騒ぎにふと顔を上げる一方、双眼鏡で様子を伺うフナムシの安西は無言で窓辺を離れた。
 網干弁護士は余裕で爪磨きに専念する一方、仁太郎は村民たちから肩車で持ち上げらると、過激派の天馬金吾(麿赤児)と抱き合って喜びを分かち合う守孝は一同から胴上げを受ける。
 そして不安そうに事の成り行きを見守る忠志は、笑顔でバンザイを繰り返す信乃に、笑顔を作って一安心。かと思いきや、有頂天の仁太郎が花を髪に飾った信乃に『似合ってるよ』とサインを送る様子に、心は穏やかな筈もなく…。
 色々な意味で『大丈夫なのか?』との不安は隠せないが、盛り上がりまくる村民たちに満面の笑みでピースサインを送る仁太郎の有頂天ッぷりで… 『合い言葉は勇気』第2話、end。

▲仁太郎のダメッぷりが堪能出来た第2話。先週のギャラ分を取り返せ? とばかりの仁太郎オンステージだったが、話の先が見えているだけに、ともすれば『もういいよ』と言いたくもなるが、何とか1話分乗り切ってしまった強引さは色々な意味でお見事でしょう。スタジオ内→事務所→愛人宅→本宅と、凄い事が起こりまくっている事を知る由もない忠志が、ただただ渋谷スタジオで待っている姿を想像して、結構笑かせて戴きました。まぁ、待つしかないからね。
 さて来週は、絶対に勝つ! と息巻く仁太郎に、頼もしいわぁ〜 と信乃はぞっこんか? 勝つか負けるかは、あなた方次第という事! と調子づく仁太郎に「あの〜 忘れないで欲しいんですけど、あなたは偽物ですから」と忠志は釘を刺すが、ばんざ〜い!! の声と友に村民&仁太郎のボルテージは上がるばかり。そして寺尾聰氏も登場して、話はどう展開するのか? 期待して待とう!


● 合い言葉は勇気  ●

第1話『奇跡を呼ぶ男』
<7月6日(木)ヨル10:30〜11:54(84分SP・野球放送延長の為30分繰り下げて放送)フジ系>
脚本:三谷幸喜 演出:河毛俊作

<出演>暁仁太郎(41)役所広司/大山忠志(25)香取慎吾/鴨田額蔵(41)金田明夫/川北義助(33)梶原善/琴井悌三(33)池田成志/天馬金吾(63)麿赤児/大山節子(60)白川和子/犬塚守孝(63)田中邦衛/鳩山一茂・唐沢寿明(友情出演)/瀬田・遠山俊也/山根房吉・石井康太/林八郎・松谷賢示/安西景虎(47)國村隼/網干頼母(55)津川雅彦/犬塚信乃(33)鈴木京香 ほか


その村は東京から山を3つ越えたところにある。都心から150キロも離れていないが、僕に言わせればかなりの田舎だ
 と大山忠志(香取慎吾)が説明する富増村とは、ひとつしかない信号の赤ランプは切れていてもう何年もついていなくとも、交通に支障はない。
 レンタルビデオ屋もあるにはあるが1泊1200円! 去年の台風時には川に牛が3頭も流れて来たが、何処に辿り着いたかは今だ不明。東京のすぐ近くにこんなのどかな田舎がある事を都会の人間は殆ど知らない筈だが、現実に存在するその村で忠志は産まれ育ったのだ。
 東京の大学を出て仲間とバンド活動に勤しむも、結局モノに成らず2年前に帰郷。20年遅れて来たヘビメタ系として2日程話題になったという『Deep Kiss』なるバンドで、本家の『Kiss』そっくりの白塗り歌舞伎メイクでギターをかき鳴らす姿を回想。
「青春の良い思い出だ」と言いながらも、今はミュージシャンの面影はないが、夢を捨てきれるにはまだ時間がかかりそうだと結びつつ、勤務先の村役場に向かうべく忠志の自転車の行く手は、のどかな田舎町そのもの…。 だが、そこかしこには『フナムシ開発』なる企業の有害廃棄物処理場撤退を訴える看板が立ち並んでいる訳で、ゴミ処理場通りで反対派がバリケードを築いてフナムシ開発のトラックと一発即発状態だ! と慌てる村役場助役の鴨田額蔵(金田明夫)から、出勤早々現場に急行するよう命じられた忠志は毎度の騒動に驚きもせずに、
「自分がですか。何で?」とウンザリ顔だが、年寄り揃いの役場で動けるのはお前だけだと言われて渋々現場に向かった。
 幼なじみの房吉(石井康太)や八郎(松谷賢示)たちに、村長からの伝言『バカな真似はよせ』をダルそうに伝えて「敵は動かない」「こうなりゃ持久戦だ」と郷土愛に燃える竹馬の友たちを呆れ顔で静観。だが、『フナムシ開発出てけ〜!』と声を上げるうちに、敵のトラックが動き出すと一転、気弱な過激派はさっさと退却を決め込み、バリケード代わりのトラクターを退けようと運転席に乗り込んだ忠志は、操作を誤って果敢にもフナムシ開発のトラックに向かって突き進む事に相成った!!ベタながらも結構面白い。
 何とか事なきを得たらしく無傷で村役場に戻れば、直談判にやって来た村民たちに無視を決め込む村長の犬塚守孝(田中邦衛)から追い返して来るよう命じられるが、署名を集めて来たと言う村民たちから母・節子(白川和子)の署名を突き付けられる始末。
 対フナムシ派のリーダー・天馬金吾(麿赤児)たちからリストの筆頭スペースに署名を迫られた犬塚村長は、渋々ボールペンで署名に応じると、村民の心意気と共にしかと預かり候… と自分が村長責任でフナムシに渡すからと一同を追い払う。が、慌てて消しゴムで消すそうとする姿に呆れ返る忠志は、自分は一度村を出た人間で、部外者だとことわりながらも、下が空いていると自分の名前が目立つからと署名を強要されてしまう。
 こんな事をしても無駄だ、引き下がるような相手ではない事を天馬の爺さんは何故それに気付かない… と溜め息を漏らす犬塚は、処理場の立ち入り検査を県へ要請したと説明。役所仕事はいつの事になるやらと言いながら、案の定フナムシに届けて来て下さいと、署名帳を押しつける訳だ。なかなかどうして喰えない村長だ。
 朝の一件があるのマズいと尻込むものの、顔など解らないとボケ倒されて渋々敵地に出向いた忠志に、正統派強面の社長・安西景虎(國村隼)は、今朝のトラクターの男が今度は署名運動かと鋭い視線を向ける。
 そんな安西とは対照的に、いかにもインテリ善とした顧問弁護士・網干頼母(津川雅彦)は、著名はざっと見積もって150名で、富増村の北と南を合わせた全人口600人に対して4分の1であり、工場に近い北富増の住人に集中しているようだと分析。南の住人は工場が遠い事から問題意識が薄いのだろうと続けて、市民運動は住民が一丸となった時に初めて意味を持ち、力を発するものなのでまずは意識統一から始めるべきだろうと余裕で締め括る。
 結局一部の人間が騒いでいるだけなので… と自分はあくまで部外者とのスタンスを強調するものの、「あんたの名前もあるよ」とすかさず返す安西は、無害の産業廃棄物を法に定められた範囲内で安全かつ衛生的に処理しているのだと説明。何が問題なのか理解に苦しむものであり、二言目には不法投棄だと騒いでいるが、証拠を見せてみろ! と声を荒げて机を叩きつつ、
「と、言いたくもなるわなぁ」とトーンを落として、署名に関しては同志の皆さんの偽らざるお気持ちとして真摯な態度で受け止めさせて戴きましょうと、忠志の立場を尊重。その代わりにお願いがあると言う今村は、村の外れのダルマ池にひとりで済んでいる変わり者・川北義助(梶原善)からフナムシのトラックが妨害を受けている事、処理場に入る道を阻まれて迂回を余儀なくされている事、猿のように機敏で捕まえようにも手を焼いている事を説明。明らかな営業妨害だが警察沙汰にはしたくないので、やめるように説得して欲しいと眼光鋭く迫る安西は、
「ど〜かひとつ」と忠志の手を握った。凄い災難続きだな、忠志!

 その足で小さな食料品店「いぬづか」に赴いた忠志は、フナムシ社員に売る商品はない! と気丈に客を追い返す犬塚信乃(鈴木京香)にフナムシの社長に署名を届けて来たと報告。いつもの昼食である焼きそばパンを頬張りながら、自分も署名したと目を輝かせる信乃にどんな男だった? と尋ねられて見て感じたままを説明。署名は村民3分の1で〜 と網干弁護士の言葉を引用してフナムシ撤退は難しいと結ぶ忠志に、近くに出来た『ニコちゃんストアー』なるスーパーに行った? と尋ねる信乃は、東京のデパートみたいだと誰かが言っていたと話題を変える。普通のスーパーマーケット善とした『ニコちゃんストアー』がインサートされつつ、お客が半分になってしまったとトーンダウンする信乃に、そのうち客は戻って来るだろうし、自分はここに通い続けると言う忠志は、昼はここの焼きそばパンに決めていると結ぶと、
「うちは忠志君に養って貰ってるみたいなものね」とのお言葉に目尻を下げる一方、フナムシ開発では、村民は野山のサルだと思えば良いと言う網干が、サルはいくら集まっても所詮サル。彼らが自主的に村を捨てて出て行くのを待つだけだとの見解を述べつつ、そんなに巧く行くものか? と心配する安西に、住民を集めて説明会を開いてはどうかと提案。フナムシの正当性をアピールする作戦で、村役場にわざわざ出向く事で『誠意』があるフリをするのだとの策を講じる一方、昼食を終えた忠志は、義助説得の為にダルマ池に向かった。フットワークの良い奴だ。
 あいつらがこの村を出て行くまでトラックの妨害をやめないと言う義助は、意味無いと思うと溜め息を漏らす雅司に、この村がひとつにまとまる訳もなく住民運動も信じない。自分はひとりで戦うのだと宣言。「見せたいものがある」と森の奥へとズンズン踏み入って行き、フナムシ開発の設置した塀によじ登るように促す義助は、そこに捨てられている産廃物を見据えて、
「俺たちが子供の頃に見た風景は、もう何処にもない」と結ぶ。
 その光景に言葉を失う忠志は、長い一日の出来事を胸に帰宅。布団の中で咳き込みむ節子の様子を心配しながら、窓から夜空を見上げると、大きな月は産廃場の煙突が吐き出す黒い煙に霞んでいた…。
 翌日。『のんで食べられる店 村雨』なる店で暇を持て余している忠志は、村役場からの電話だと言われて「何故ここが解ったんですか?」と驚くものの、お前の行き先など3箇所くらいしかないと言い当てる鴨田助役に呼び出されて「もうこんな生活うんざりだ」と呟きつつ、フナムシ開発説明会のビデオ撮影役を押しつけられる。
 同じ頃。食料品店「いぬづか」にやって来た琴井悌三(池田成志)は、説明会には行かないのか? と尋ねられて、俺には関係ないと返答。南の住人はみんな村の事を本気で考えていないのだと言う信乃は、今年中には東京で店を出すので一緒について来て欲しいとの申し出に、それは前にも断ったように、今は村を出る訳には行かないのだと説明。だが、こんな村を捨てて俺の夢に付き合ってくれ。ふたりで八王子に行こうと食い下がる悌三は、八王子にはショッピングセンターが16個、映画館もあるらしい、福祉も整っている、親父さんには俺から話す… と食い下がるが、信乃には全くその気はないらしい。八王子をバカにしてないか?
 そして物々しい雰囲気の村役場にフナムシの安西社長&網干弁護士が登場! 我々の仕事は多かれ少なかれ地元住民の迷惑の上に成り立つものだと私は思っています… と口火を来る安西は、すなわち皆様方のお力添えが何より大事で、地元の反発などもっての他だが天馬以下反対派は自然破壊の悪徳業者だと決めつけていると続けて、県から正式に許可を得ているフナムシ開発は、何一つ法に触れる事はしていないと弁明。無害の産業廃棄物を法の定める範囲内で安全かつ衛生的に処理している訳で、何故悪質呼ばわりをされるのか! と迫りつつ、これからも良い関係で居たいと一度は下げた声のトーンから一転! しかし!! 言われなき中傷には断固抗議するもので、いわわんや即時撤退とは何事だぁ!! と叫び出す。そして、正規の手続きを経て買い取った土地であり、誰にも文句は言わせない!! との怒鳴り声を受けた、網干弁護士もフナムシ開発は県が許可した公認の産廃処理業者であり。『公認』である以上、県の許可が取り消されない限り、営業を続ける権利がある事を主張した所で忠志のビデオカメラのバッテリーも切れてしまい、これは我々の太刀打ち出来る相手ではないと痛感した天馬たちは、その夜松明(たいまつ)を手に集合!!そう来るか!?
 物陰からその様子を確認した犬塚村長は一同の前に歩み出て、「闇に乗じて火を放つ!」と簡潔に述べる天馬に、江戸時代ではないのだからと苦笑して、住民が本気である事を知らせしめるのだ! と血気盛んな様子に、村長として暴力だけはいけないと釘を刺した。黙って見ていろと言うのか? と迫る一同に、この村を愛する気持ちは誰にも負けないと公言する犬塚は、そこまで言うからには何か良い手があるんだろうな? と時代劇口調で問い質す天馬に、裁判を起こす事を決めたと明言! 向こうにはやり手の弁護士が付いており勝てる訳がない! との御指摘に、「勝つ!」と返す犬塚は、東京に行って力になってくれる弁護士を捜して来ると明言。
 物影から『そりゃ無理だ』とリアクションする忠志は、こんな田舎に来てくれる訳がないとの意見に『そうそう』とリアクションするが、1週間で最高の弁護士を連れて来るので、火を付けるのはそれからでも遅くはないと頭を下げる。そして、「1週間も待てない」「5日」「3日じゃ」の間を取って何とも半端な『4日』で一同の合意を取り付けると、『4日じゃ無理だ』と呟く忠志を伴って帰宅。
 弁護士はそんな簡単に見つかるものなのか? アテはあるのか? と問う実は娘だった信乃に、ある訳ないと力なく答えた…。

「どうするつもりか? 何故あんな事を…」と呆れ顔の忠志に、ああでも言わなければ収集が付かなかった返す犬塚は、東京にはそんなに弁護士がウヨウヨしているのか? と問う信乃に、行った事がないから知らないだろうが、東京は兎に角人の数が凄い。一年中夏祭りの如しで、弁護士だってウジャウジャしていると同意を求められた忠志は、
「あんまり見ないですけどね」とそっけなく返答。当然のように一緒に東京に付いて来て欲しいと言われる訳で、東京の大学に行っていたからには地理も頭に入っている筈だと言う犬塚は、地下鉄に一度も乗った事がないと漏らせば、前にテレビで見たが東京の地下鉄は人の頭の上を走っていると信乃が続く。
「それは銀座線の渋谷駅の事ですね」とバカ正直に答えるものではない! 流石だよ忠志は… と目を輝かせる犬塚に懇願され、側に付いていてくれると私も嬉しいと信乃に言われると悪い気もせず… 呑気に見えて父は凄く悩むタイプでAB型の蠍座だと説明する信乃は、今回の事で夜も眠れず、血圧も上がりっぱなしで心配だと続けた。10期40年も村長をやり続けている父は、面倒臭い事は全て押しつけられて問題は全て責任を取らされて可愛そうだと本音を漏らした。
 そんな信乃は一度も村を出た事がなく、東京に嫁いだ妹の結婚式当時はスーパーもなく店が休めず、修学旅行の時は麻疹(はしか)にかかっていたと説明。そういう定めなのだろうと結び、今度日帰りでも良いから東京に連れっていってあげるとの申し出にも、気持ちは嬉しいが興味がないと返答。この歳まで出ていないのならば、意地でも村を出るか! と笑顔で返して忠志をガッカリさせつつ、父の事を宜しく! と明るく微笑んだ。
 そんなこんなで『勝ち目のなさそうな裁判を引き受ける奇特な弁護士をアテもなく捜す4日間の旅』に出る犬塚村長に付き添う事になった忠志は、見送りにやって来た信乃からお守りを渡されて、東京行きの列車に乗った。
 その報を受けた安西は、苦い顔で訴訟でも起こすつもりか? と漏らすが、心配ないと返す網干は、向こうの勝つ確立は100にひとつで、まともな弁護士なら引き受ける訳がないと豪語。そんなに勝ち目がないんでしょうか?
 ヤマンバメイクの女たちに囲まれてフォーストフード店で待つ犬塚は、公害問題裁判の本を買い込んで来た忠志と共に、著者である弁護士をひとりずつ訪ねる事にする。だが最初の弁護士は、ざっと話を聞いた限り裁判に持ち込む事は進められないとの見解を示す。
「さっとじゃなくてしっかり聞いて欲しいんですが」と食い下がるものの、県の許可が下りているのでは… との落としどころで「お力になれなくて申し訳ない」と言われた犬塚は、裁判が無理だとしたら、自分は一体どうしたら良いのか… と膝を付いて迫るものの、
「泣きなさい」との適切な指導に納得する訳にも行かず…。2人目3人目の弁護士にも断られてしまう訳で、取り敢えず初日はこんなものだと言う犬塚をホテルに案内するもののツイン3万4千円と聞いて唖然!! うちの村では馬が1頭買えると言う犬塚は8万円しか持って来ていない事が判明。怪しげな繁華街の安宿に潜り込んだふたりは、電気の通っていない冷蔵庫のぬるい缶ビールで乾杯。
「忠志君、うちの娘… どう?」と唐突に美味しいネタを振られて、恋人が居ると返す忠志は、別れたらしいと聞いて、ホントですか? と目の色を変える!そうか、やったな!!
 そんな忠志は「知らないけどさぁ」と、どこまでも喰えないオヤジが「ダメか、そうか」と自己完結して風呂に行くと出て行った廊下に向かって「全然ダメじゃないです」と叫んだ所でドタッと不穏な物音が! 廊下で倒れている犬塚を病院に運んで、取り敢えず今夜は入院、疲労が溜まっていたらしく2、3日の休養で大丈夫だろうとの医者の見解を電話で信乃に告げると、病室に戻って明日からひとりで弁護士を捜すと犬塚に告げた。
 やはり4日では無理だと弱気の犬塚は、帰るに帰れないと自分の選択を悔やみながら、自分は何より村の発展を思ってフナムシに土地を売る事を勧めたと説明。
 最初はフナムシにゴミを喰わせて肥料にするとの、いかにも嘘臭い話を信じた俺がバカだった! と悔し涙で語る村長は、産廃工場が建った土地もアミューズメントパークにする筈だったのに話が違う! と興奮しながらも、
「信じてくれ… 俺はあの村の為を思って…」を繰り返した後に静かに目を閉じた!
「カンベンして下さい… 死んじゃダメですよ、村長!」と声を上げる忠志に、なに? と目を開けると、もう寝ると告げて大いびきをかき始める訳で、ドッと噴出する疲れを引きずる忠志は、学生時代にお世話になった、超大衆居酒屋の暖簾を潜った。どこまでも喰えない奴のお守り、御苦労さん。どんどん飲め!
 懐かしそうに迎えてくれるオヤジさんに事情を話しつつ、就職が出来なかったので戻った村に愛着はなく、ハッキリ言ってどうでも良いんだ… と酔った舌で訴える忠志は、子供の頃に遊んだ山がゴミ溜めになっているのは良い気持ちはしないが、俺に出来る事などないし、あったとしても村の為にひと肌脱ぐ気にはなれない… と酔った舌で結んだ。そこで弁護士を捜しているのならば、うちの常連に弁護士が居るとオヤジさんが言うと同時に、菊バッチを付けた鳩山一茂(唐沢寿明・友情出演)が颯爽とやって来るではないか!!嘘でぇ!

 しげしげと顔を覗き込む忠志に『?』となる鳩山は、早速席を並べて事情を聞くや、
「それは断られて当然だよね〜」と返答。県の許可が下りていれば勝ち目はないのか… と納得する雅司に、それはあくまで言い訳で、面倒臭いだけだと指摘する鳩山は、村に不利な点は今現在具体的な被害が起きていない事だと説明。公害による身体の異常や川の魚が全滅してそれを食べた人が入院した等の実例がない事だと言われて、咳き込む母を回想する忠志は「今にそういう事が起きる」と呟いた。だが問題はそこで、裁判の争点は今現在村民が被害を被っている事より、今後どんな被害が想定されるかに掛かっている。これは公害問題ではなく環境問題で、これから先想定される被害を立証しなければないない事は実に難しいのだと説明する鳩山は、普通の弁護士なら二の足を踏むだろうと結ぶ。が、しかし、
「僕はそういう奴らを認めない。どんな時も弱者の味方であるべきなんだ、弁護士というものは… 僕はそう思う」と聞いた忠志は酔った口調で、お時間が宜しければもう一軒行きませんか? と屋台のおでん屋に場所を移した。この弁護士、ここで暴漢に刺されるのか?
 何故県は立ち入り検査を早く行わないのか? との問いに、僕に言わせれば当然だと返す鳩山は、県がフナムシの不正を発見すれば許可を出した誤りを認める事となるからだと説明。最初から県に頼っても無駄なのか… と呟く忠志に、
「少しは社会の仕組みが見えて来た?」と言う正義の弁護士・鳩山一茂年齢不詳は、浮浪者を袋タタキにする若者たちに目を止めた!ここで死ぬか?
 場所を移そうと卑怯者・忠志の言葉に耳も貸さず、「君たちやめないか!!」割って入ると、嫌味な程に鮮やかなカンフーもどきで若者達を成敗! 正義のヒーロー宜しく「行こう!」と決め倒す姿に惚れ込んで、
「鳩山先生、力を貸して下さい」と申し出る忠志は、今夜会えたのは偶然ではない気がする、今富増を救えるのは鳩山先生しかいませんと迫り、
「一緒に戦って下さい」と頭を下げる。そして、
「僕みたいな男で良かったら、お力になるよ」と爽やかな笑顔で、
「大丈夫、この裁判はきっと勝てる。正義を信じないで一体何を信じるんだい」と鳩山が快諾した翌日、鳩山の資料を調べる網干は、環境問題専門のいわゆる人権派弁護士だと説明。どこで見つけたのか、今回の原告側にはベストの選択だとの見解に、飲み屋でバッタリ出会ったらしいとチクっているのは鴨田助役ではないか!ほほぉ?
 相手はツキがあるようだが、所詮ツキはツキ。恐れるに足らずと余裕の網干は、同期で横浜ダイオキシン訴訟の原告代人を務めている弁護士がいるが、ひとり弁護士がリタイアして弁護団が手薄になっているらしいと説明。巧く断ってそっちに乗る替えるだろうか? と心配顔の安西に、社会的注目度の高い事件を扱った方が今後の仕事に繋がると説明。弁護士が慈善事業でない事を鳩山も弁護士なら身に浸みて解っている筈だと結ぶ網干が、早速受話器を取ると、安西が差し出す金一封を鴨田は有り難く懐に入れた。成る程、殺さずともこの手があったか。
 犬塚村長を従えて約束の時間に鳩山を尋ねるものの、歯切れの悪い門前払いに疑問を持った忠志は強行突破でドアを開ける!! ちゃっかり自席についている鳩山は一目散に部屋を飛び出して行き、必死で追いかけた忠志は、説明を迫った。
「君らに勝ち目はない!」と言い放って、正義は勝つって言ったじゃないか? と返す忠志に、
「正義は勝つ! でもいつもとは限らない」と力強く返答。相手次第では勝てない事もあり、企業側の弁護士の名を告げなかった事を指摘。
「相手が網干じゃ、正義は勝てない」と言われて、せめて村に来てその口から勝てない旨を村民に説明して欲しいと懇願するものの、「…いやだ」と言い捨てる鳩山は、脱兎の如くその場から消え失せて行った。まぁ、はっきりしてるだけ良い奴じゃん。
 またまた病院に逆戻りした村長にもう一日入院が必要だと告げた忠志は、信乃に電話するものの先方は正義の弁護士が見つかったと村民達が宴会状態! その偉業を称えれらて何も言えないまま受話器を置いた忠志は、失意のまま安ホテルに舞い戻ってぬるい缶ビールを煽ると、ベットに倒れ込んだ。
   ベットに置かれたリモコンを投げ捨てると、その拍子についたテレビにはとある弁護士モノのドラマが映し出される訳だ。
 そのドラマの弁護士役・暁仁太郎(役所広司)が連呼する『真実』『正義』に顔を上げる忠志は、『正義はどんな時にも勝利を納めなくてはならない!』との台詞に思わず引き込まれて… 『それが僕と仁太郎さんとの最初の出会いだった』と説明。
「これで助かる…」と呟きつつ、『結局その時の僕の小さな思いつきが、僕と彼と僕の産まれ育った富増村の運命を大きく変える事になった』と続けて、しかしその時僕はまだその事に気付いていない。勿論画面の中の彼も… と御紹介に預かった仁太郎が、熱血弁護士を演じる姿で… 『合い言葉は勇気』第1話、end。

▲1時間半ラスト近くでやっと主役が登場した第1話。正直言って通常54分バージョンで仁太郎にお目にかかりたかったが、國村、津川、田中氏の熟練技と落ち着いた演出、素直に巻き込まれて行くやる気のなさそうな忠志のキャラも立っていてソコソコ飽きずに観る事が出来た。忠志がなまると『スマスマ』で標準語テープにいつもはめらる香取氏のコントを思い出してしまうが、これ見よがしな『笑ってね』的ギャグが少なくて思いの他好印象。なれど、八王子や田舎の扱いに『?』感も否めなかったが、次週から本格的に登場するであろう仁太郎さんに期待しましょう。
   さて来週は、「いつだってあんたは最低だったわ」と罵声を浴びる仁太郎に、「あのドラマを観た時にこの人ならって思ったんです」と忠志が迫る「演じる事が仕事なんで」と言いつつ「弁護士の暁仁太郎です」と名乗れば、富増村に連れ込んだ忠志は「僕らはもう、運命共同体なんですから」と迫る。そして「本編? ムービー?」と尋ねる仁太郎で… 期待しておりますぞ!


企画:石原隆/プロデュース:波多野健(イースト)・下山潤(イースト)/脚本:三谷幸喜/演出:河毛俊作/音楽:服部隆之/主題曲:エルガー『威風堂々』第1番(希望と栄光の国)終結部(コーラス入り)/制作:フジテレビ・イースト

構成・文/阪本 悠


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