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「合い言葉は勇気」
【出演】暁仁太郎(41)役所広司/大山忠志(25)香取慎吾/鴨田額蔵(41)金田明夫/川北義助(33)梶原善/琴井悌三(33)池田成志/斎藤礼・八嶋智人/玉塚裁判長・伊藤正之/暁尚子・キムラ緑子/山根房吉・石井康太/林八郎・松谷賢示/宮田音弥・赤坂七恵/瀬田・遠山俊也/毛野智光(39)山寺宏一/天馬金吾(63)麿赤児/大山節子(60)白川和子/琴井悌一郎(44)寺尾聰/赤岩一孝・杉村直樹(特別出演)/安西景虎(47)國村隼/網干頼母(55)津川雅彦/犬塚信乃(33)鈴木京香 ほか

最終話<9月14日(木)ヨル10:00〜11:09(69分スペシャル)フジ系>
脚本:三谷幸喜 演出:河毛俊作


 いきなり住まいにやって来た暁仁太郎(役所広司)の姿を見て逃げ出した最低の弁護士・赤岩一孝(杉村直樹)は場所を喫茶店に移して、借金取りかと思ったのだと告白。金にならない仕事ばかりを担当して事務所を追い出され、ここ何年も法廷に立っていないので今は引退同然である事を説明。貸して欲しいのは『あなたの資格』だと言う仁太郎は、『付き添いとして自分が法廷に立つ』との説明では益々説明が面倒だと認識して、兎に角来てくれと懇願。被告側代理人の補助参加人が網干頼母(津川雅彦)と知った赤岩は、何やら思い当たるフシがあるらしく… 兎に角、座っているだけであとは全てこっちがやる、それで金になるなどとこんなウマイ話しはない! と説得する仁太郎に『協力する』と返答。その報を受けたフナムシ開発社長・安西景虎(國村隼)から『赤岩一孝』の名を聞いた網干は、弁護士になって初めて入ったのが彼の事務所だったと説明。とっくに引退したかと思っていたが、富増村は益々ダメ人間の吹き溜まりと化して行くようだとほくそ笑む一方、噂の赤岩弁護士は犬塚家で『夜空ノムコウ』を歌いながら長風呂を楽しんでいた。
 何時間入っているのだ… と呆れる暁尚子(キムラ緑子)に、年寄りは長風呂なのだと言う犬塚信乃(鈴木京香)は父もそうだったと懐かしそうだが、ひときわ深刻そうな面持ちの大山忠志(香取慎吾)は、歌声に耳をそば立てて『歌詞が違うんだよなぁ〜』と呟いた。ギリギリOKのギャグだな。
 後日。県サイドの弁護士・斎藤礼(八嶋智人)がひとり川の水を採取している場面に遭遇した信乃は、質問! と挙手。フナムシが違法行為をしていないと本気で考えているのか? との問いに、解らないと返す斉藤は、フナムシの違法行為を認める事は許可を出した県の落ち度。『県に落ち度はなかった』が自分の立場であり、そう思わない事には代理人になれないとの弁に不満顔の信乃が帰宅すると、散歩してくると言う尚子が『学』の事が好きなのだろうと言い当てた。
 佐藤学=暁仁太郎と説明して、自分とは終わっているので気にする事はないと言う尚子は、『酷い男』との評価を下しつつ、『悪い奴ではない』『以外と純粋』『出来の悪い子供と思えば腹も立たない』とフォローして店を出ると、『車を盗んだ山賊』=川北義助(梶原善)を発見!! 警察を呼んでくれ! と大声を上げるが、ぐったりとその場にへたりこんでいる義助が高熱で意識を失いつつある事を知った信乃は、早速奥の間に布団を敷いた。
 俺が大切な鍵を握っている? とピンとこない様子の義助に、訳は言わねど仁太郎がそう主張しているのだと忠志が説明。証言があれば裁判に勝てる、知っている事を全て話して欲しいと毛野智光(山寺宏一)に迫られて、『親父とお袋が実はいとこ同士』なのだが例えばそういう事か? と問われた忠志は、違うだろと返答。洗面所にヤモリが居るので追い払って欲しいと騒ぐ尚子に従う仁太郎が信乃は気になってしまい… と賑やかな様子に赤岩弁護士は、家族が多くて賑やかだとコメント。別に家族ではないのだが、説明するのも大変だ… と信乃がため息を漏らすと、フナムシ側のスパイ行為が発覚して村を追われた鴨田額蔵(金田明夫)がバツ悪そうに顔を覗かせるではないか! まてぃ! と忠志が飛び出して行くと、義助が首に下げているボルトのペンダントに毛野が着目。村長(田中邦江)が死んだ際に現場で拾ったものだと説明して、必ず村長の仇を取る事をこのペンダントに誓ったのだとの弁に何やら閃いた毛野は、村長が死んだ時の様子を詳しく聞かせてくれ! と迫る一方、田んぼのあぜ道で鴨田と肩を並べる忠志は、村から追い出されてもまだ裁判を続ける気なのか? と問われて、「ここは僕の産まれたところだから」と応えた。
 裁判には勝つ。新しい弁護士も来たし義助も凄い証拠を握っているし… と続けて、一瞬驚く鴨田に、これからどうするのか問いかけると、カミさんには逃げられ、村からも追い出され、身から出た錆とは言え随分と錆だらけになったと言いつつ「取り敢えずお別れだ」と告げてその場を去って行く後ろ姿に、「鴨田さんもこの富増村で産まれた筈だ…」と投げ掛けた。
 義助の話を聞き終えた毛野は「これで勝てる」と断言。マーキングした地図を示してして裏付け調査が必要だがと付け加えれば、一同は大喜び!! しかし指名手配中の義助は証言が終わればその場で逮捕されてしまう、との大問題点も指摘するが、自分の証言でフナムシに勝てるのならば… と義助はあっさり快諾。そのかわり俺の裁判の時はみんなで見に来てくれとの弁に、一同は皆顔を輝かせた…。
 そして後日。地裁会議室で水質調査の結果を報告する斉藤弁護士は、このまま行けばいずれ公害問題に発展するのは必至であると説明。抜本的な部分で解決策を高じなければいずれ村民との間に… との言葉を遮る網干が、余計な事をするなと言った筈と釘を刺したところに、仁太郎たちが到着。村民たちに弁護士だと偽っていた事を聞いたと説明して『バカじゃないの?』と冷笑する玉塚裁判長(伊藤正之)に、笑顔を返して原告団を外された事を報告する仁太郎は「皆さんとお会いするのも今日が最後になりました」と挨拶。原告団もだいぶ少なくなったと嫌味に続ける裁判長に、少数精鋭で頑張るつもりだと挨拶する琴井悌一郎(寺尾聰)と忠志から、今後富増サイドの代理人として法廷に立つ先生と紹介された赤岩は、控えめに挨拶をしながらいわくありげに網干と視線を交わした。何かもの凄い事があったのか?


 北富増を束ねる天馬金吾(麿赤児)と、南の若者を束ねる弟・悌三(池田成志)を村長室に呼び出した悌一郎は、『気が知れない』との指摘を納得した上で暁仁太郎に賭けてみたいのだと宣言。お前はアイツに騙されていた、ペテン師だ! と声をあげる天馬に『騙されていた』は認めるが『ペテン師』ではないと訴えて、明日から再開される弁論に足を運んでもらえないか? と持ちかける悌一郎は、聞く耳持たん! との弁に、法廷での仁太郎を見て欲しいと懇願。外の人間があれだけ必死になって戦っている時に村の人間が黙っていて良い訳がない。北の人間を出来るだけ多く法廷に引き連れて来て欲しいと訴えて、悌三には南の人間を頼むと訴える悌一郎は、裁判の為に引き受けた村長の地位を全てが終わった時点で天馬に譲ると宣言。元々器ではない、村の事はあなたに任せると続けるが、今は自分が村長だと明言。だから今は僕に従って欲しいと言い切って天馬を納得させる一方、フナムシの敷地にヘリコプターが着陸! 扇谷【おおぎがやつ】工業の若き会長(山崎一)が颯爽と降り立った。
 全国に7箇所の産廃処理場を有する事を知っているか? と確認する会長は、各地で住民とのトラブルを抱えており、富増での裁判結果如何で住民運動が更に活性化する恐れがあると説明。ひたすら頷く安西に『どんな事があっても』勝つように言い渡すと、その為に網干を就けているのだが、と本人に確認。その割には手こずっているようだ… と皮肉を込めつつ明日の裁判を傍聴すると、事の重大さをアピールしてプレッシャーをかけまくる一方、そんな緊張感とは正反対に田んぼのあぜ道をブラブラ歩く仁太郎は『もしあの時、お前が声を掛けてくれなければ、今頃何をしていたか…』と忠志に投げ掛けた。最終回らしく心を通わせるふたりって感じだな。
 それは僕も同じで『あの時仁太郎が出演していたテレビを観ていなければ今頃は…』と返す忠志は、もっと良い弁護士見つかったかもなとの弁に『あんたは変だ』『関係ないのに村の為にのめり込んでいる』と突っ込んで、『てめぇが引きずり込んだ!』と訴える仁太郎に『絶対変だよ』とダメ押しの後にこれが終わったらどうする? と投げ掛けた。
 さぁなぁ。もうドラマには出ないの? 知らん! もっと出れば良いのに…。テレビ局に言ってくれ!! とやりあった後に、お前は? と問われた忠志は『弁護士にでもなろうかなぁ〜』と返した翌日。傍聴席に扇谷【おおぎがやつ】工業会長を迎えて緊張感120%増しの法廷に、具合の悪そうなフリの赤岩が腰かける車椅子を押す白衣姿の仁太郎&毛野が登場! 裁判長や網干らを驚かせた。
 どういう事なのだ! と問われて、赤岩の持病が悪化して立つ事もおぼつかず状態の為に急遽我々が看護人として立ち会う事になったのだと説明。怒り心頭の裁判長に呼ばれた仁太郎は、こんな茶番は聞いた事がない! と言い放つ網干に、茶番も何も具合が悪いので仕方がないだとうそぶいた。
 裁判関係者以外は法廷には入れない! との弁に、誰か側に付いていなければ… と言い張る仁太郎は『どこが悪いのか?』と尋ねる裁判長に『胸と喉』に手を当てるが、仮病に決まっていると網干が指摘。『て言うかぁ』そんな事で代理人が務まるのか? と裁判長が突っ込むと同時に、毛野が赤岩の口に携帯酸素補給スプレーを当る訳で… あくまでも君は付き添い、発言は出来ないとの弁に「当然です!」と仁太郎は素直に従って、取り敢えずの開廷に漕ぎ着けた。
 車椅子の赤岩から耳打ちを受ける芝居で、フナムシの安西社長に証人尋問したいと『代弁』する仁太郎は、事前申し出がないと訴え出る斉藤弁護士&裁判長に、原告側はフナムシの違法行為を証明する重要証人を確保していると明言。その前にどうしても社長に確認しておきたい事がある… と『この人は言っています』と付け加えた。
 重要証人とは『猿男』=義助以外に居らずと指摘しつつ、彼が法廷に現れる可能性はゼロだと網干が余裕をかます一方、一目を忍ぶ義助が信乃の車に乗り込んだ。
 必死で話しを聞く芝居の後に、証人席の安西に向かって『あなたが〜』と仁太郎が言った途端に網干は『異議アリ』を主張! 裁判長から自分の口で話せないか? と問われた赤岩は、ヨロヨロ立ち上がって『あなた… フナ… ムシ』と言い終わらぬうちに咳き込む芝居を決めて『結構です』を頂戴すると、発言を許された仁太郎は、ゴミではないと主張する金属片の山をサイドビジネスで集めたものと主張するか? と安西に迫った。
『はい』を確認して、ビジネスならば儲けがあって然るべき。廃品回収業と言っても集めたガラクタをどこかに売らなければ商売にはならないと説明して毛野に図解ボードを示すように促す一方、車を止めて欲しいと訴える義助は『捕まりたくない』と訴えて逃走! 信乃は慌ててそのあとを追った。
 フナムシの説明によれば、集められた金属片は扇谷工業が買い取った後にフナムシに一時保管&加工されて別業者に販売される… と仁太郎がボードを示して説明する中、バイブモードの携帯を受けた毛野は『義助がごねている』のと報を受けて愕然! 兎に角連れて来いと告げて、忠志にその旨報告。『あんなゴミが本当に売れるのか?』『帳簿を見れば解る事だ』と確認して、帳簿上ではなく実際に売り買いが行われているのか? もし嘘だとしたらサイドビジネスとは名ばかりで実際は有害産廃物を放置しているだけだとしたら、明らかにこれは産廃物処理法違反だ! と仁太郎が訴えると斉藤弁護士が挙手。原告代理人もとい原告代理人の看護人の発言はあくまでも推測の域を出ていないと指摘。それを今から立証するのだと声を上げる仁太郎は、売り買いを全て嘘だったとして現実のものがひとつだけあると指摘。それは金属片の山です! 業者に売った筈の金属片は一体何処に行ったのか!? と追い込んだところに再び毛野の携帯がブルブル。仁太郎に携帯を渡してこの場は自分が繋いでおくと車椅子をバトンタッチして『原告代理人看護人の代理人の私から申し上げたい事がございます』と裁判長に訴えると、法廷を飛び出して行く仁太郎を忠志が追った。


 村の未来はお前にかかっている。ここで逃げたら一生裏切り者だ。村長の仇を取りたくないのか、こらぁあ!! とガラ悪く脅す仁太郎から携帯を奪う忠志は、義助の裁判には最高の弁護士を付ける事を約束。兎に角早く来い! と携帯を奪い返して『はい…』と極めて消極的な返事を確認。時間を延ばすべく休憩を入れて貰おうと言う忠志に、その間網干が病院に連絡を入れて赤岩の仮病がバレる! そうなれば自分と毛野は二度と法廷に立てなくなる!! と珍しく頭のまわる仁太郎は、忠志に証言を強要。何を語る? との疑問を無視して法廷に向かうと、『かつてエジプトでは容疑者が捕まると裁判の代わりにある事をしていたそうです』と毛野がクイズを出題しているではないか!んな、バカな…。
 さぁ、それは何でしょう? と投げ掛けたところに戻った仁太郎の腕を取って『信じよう』と進言する悌一郎が、きっと来てくれると励ましの言葉を贈る一方、
 A:綱渡りをさせて落ちたら有罪、上手く渡れたら無罪と決めていた。
 B:熱湯に手を入れて火傷をしたら有罪、平気だったら無罪としていた。
 C:毒蛇に腕を噛ませて死んだら有罪、死ななかったら無罪としていた。
 との三択問題で斉藤弁護士は真剣にメモを取るわ、扇谷会長はBで手を上げかけるわ、忠志の母・節子(白川和子)はCに懐疑的で、尚子はどれも決めかねるわねぇ状態の中「さぁ、皆さんも考えよう!」と良く通る声で毛野がしめた後を受けた仁太郎は、富増村村役場元職員・大山忠志君に尋問を致します! と申し出るが、裁判長はそれよりさっきの答えは? と身を乗り出す始末! Bでは? と小声で問う赤岩に毛野は『よく知らない』と返した。『……』
 そんなこんなの引き延ばし作戦がどこまで通用するか解ったものではないが、取り敢えず法廷に急ぐ信乃の車の行く手では検問が行われている事など知る由もない忠志は、渋々証人席に着席。証人は何か言いたい事があるそうですが? と無情に振ってこられても『……』状態! 原告側の重要証人とはその人か? と問われて『違う』との答えを聞いた網干は、手違いがあった事を察知。原告側はいたずらに審議を引き延ばしているとしか思えないと裁判長に訴えると、予定した証人が到着しないのでは? と迫って『もうすぐ到着する』との弁を無視。日を改めての再開を提案して、それまでに原告側は代理人が仮病ではない事を証明する診断書を用意するよう申し立てたところで、『発言します!』と忠志が声をあげた。が、用意して欲しいものがあると申し出る一方、あちこちの検問に困り果てた信乃は、こうなったら車を捨てて山を登るしかない… とため息を漏らした。と、そこにフナムシ開発の車に乗った鴨田が通りかかるではないか!!
 裁判所でみんな待っているが警察が… との弁に、車に乗り込むよう指示する鴨田は『このルートならば警察もノーチェックだ』と、大胆にもフナムシ開発の敷地内にハンドルを向けた。
 法廷でギターをかき鳴らす忠志は『とまっし〜 とまっし〜 僕らはここで産まれたのさぁ〜♪』とアドリブで熱唱! 異議を唱える網干が、いい加減にこの催しを止めさせて審議の再開を訴えると、証人は結局何が言いたいのだ!? と迫られた忠志は、すっごく富増村が素敵なところだと歌にして訴えたと返答。さっさと下がれとの命にあっさり従うと『凄く良かった』と悌一郎はその労をねぎらった。天才的な褒め上手だ。
 本日は終了して欲しいと訴える網干に裁判長がそれで良し! としたところに、今度は尚子が起立! 視線を確認した仁太郎は証人・佐藤尚子の喚問を要請する一方、鴨田車の義助は、裁判が終われば信乃は東京に行ってしまうのか… と淋しそうに訴えた。そして俺はどうせムショ暮らしと小さく呟く義助を信乃が黙って抱き寄せる一方、証人席で氏名と職業を問われた尚子は、主婦兼インテリアコーディネィターだと返答。重大証人はその人か? と問う裁判長は、またしても『違う』との返答に、じゃあ誰なんだよ! と声を上げるが、余裕の尚子は『いいから話しを聞きなさい』と言い放ったところに鴨田車が地裁前にやっとこさ到着! 出迎えた忠志は、ここまで来られた例を述べる信乃に『俺も村の人間だから』と言い残す鴨田に笑顔を送る一方の法廷では、尚子が主婦の立場からゴミ問題は消費者だけの責任だろうか? と厳しく訴えていた。
 煎餅の個別包装も便利と言えば便利だが、我々消費者が頼んだ事ではないと訴えて、今は産廃を論じているのだと辟易する裁判長に、ゴミはゴミだ! と突っぱねたところで、法廷入りをビビる義助がトイレに駆け込んだ事を仁太郎に向けて忠志がサインを送った。そのサインをすかさず読みとった網干がそっと法廷を抜け出す一方、『引き延ばせ』とのアイサインを読みとった尚子は『朝のゴミ出しは男の仕事だ』と豪語して1年で放棄した男にゴミ問題を語って欲しくない! と発言。ここでする話しではない! と吐き捨てる仁太郎は、ふたりの関係を問う裁判長に『女房』と返答。家に居る時はちゃんと捨てていると反論するものの、『じゃあ不燃ゴミは何曜日?』『火曜日!』『残念でした、それは資源ゴミですぅ。裁判長、この男は不燃と資源の区別もつかない!』との息の合ったやり取りを、信乃が複雑な思いで見守る一方、トイレの個室から出た義助に笑顔で迫る網干は、用具入れに監禁して法廷へと舞い戻った。結構プリミティブな手を使うなぁ。


 法廷では夫婦のゴミ出し論争が延々と続くが、義助が居ない! と気付いた忠志と悌一郎は手分けして裁判所中を探し回り…。夫婦のヨタ話は裁判に関係ない! と訴える網干は原告側の重要証人の存在も疑わしくなって来た故、本日の審議を終わるように提言。証人は下がりなさい! と言われた尚子が渋々立ち上がったところで、『反対尋問があります!』と斉藤弁護士が立ち上がるではないか!な〜る程ねぇ。
 正気なのか!? と顔色を変える網干に、県の代理人として反対尋問の権利を訴える斉藤が、尚子を席に戻す一方、忠志と悌一郎は義助捜しを続行。煎餅の個別包装を非難したが便利に感じる事はないか? と迫る斉藤は『便利は便利だけど…』との弁に、何故便利と思うのかと続けて、『まとめ包装では湿気ってしまう…』との証言を引き出したところで、忠志が義助を発見! 『食べきれずに湿気ってしまった煎餅は生ゴミとして捨てる訳ですね!?』と鋭く迫る斉藤は、小袋包装を非難した尚子に『湿気って食べられなくなった煎餅の量の方がゴミとして多いのでは!?』と迫ったところで、網干は『何の話しだ…』と呆れ返る。が、そこに義助が登場!! 『以上です』とあっさり引いた斉藤が、一応網干に詫びて席に戻ると、仁太郎が高らかに義助の承認喚問を告げると同時に、北の村民たちを引き連れた天馬と、山根房吉(石井康太)ら若者を引き連れた悌三が入廷!! 地裁前はどこから出現したのかプラカードを持った野次馬たちで覆い尽くされていた!!おいおいおい!
 そんなこんなで、村長は山に仕掛けられた罠で死んだと証言する義助は、罠はあちこちにあるのか? と迫る仁太郎に『あの辺だけ』と証言。地図で示すように指示する仁太郎は、その一帯だけ警備が厳しい事を指摘。その『第9区域』なる場所は帳簿の上では売られた事になっているゴミをこっそり捨てている『ゴミの墓場』では? と訴えると、憶測発言を咎めて退廷を命じる裁判長に、証拠品として義助にペンダントの説明を促した。
 これはボルトで、村長が死んだ時に現場で拾ったと言う『証拠品』に記されていた製造番号から、無人宇宙ロケットの一部である事が判明。製造元は扇谷工業で、村長が亡くなる一週間前に日本で無人大型宇宙ロケットが打ち上げに失敗したニュースが報じられたとコピーを提出。このボルトはそのロケットの一部だと指摘する仁太郎は、スクラップとなったロケットが扇谷工業からフナムシに運ばれて来たと説明。しばらく保管された後に再度加工されて、廃品回収業者に売られたと帳簿上ではなっているが、実際にはボルトを拾った『第9区域』にとっくに売られた筈のロケットの部品が何故落ちていたのか? 答えはひとつ! あんなゴミを買う奴はいない! 彼らは売った事にして更に奥に捨てていた! と指摘。このボルトがそれを証明している。これは明らかに産廃法に違反した行為であり、県は即刻許可を取り消すべきだ!! と訴える仁太郎に、「全てが憶測に基づく推論に過ぎない」と異議を唱える網干は、彼がそのボルトを『第9区域』で拾った事をどうやって立証する? と迫ると、村長の形見代わりに大事に持っていた事が何よりの証拠だ! との弁に、そんなメロドラマは法廷では通用しない! と一喝。明日にでも『第9区域』の立ち入り調査を! と裁判長に訴える仁太郎に、その必要はない! と声を上げる網干は、証人の義助はフナムシに対する放火未遂の指名手配犯だと指摘。こんな人間の証言は信用できない。今すぐ身柄拘束を!! と訴えるが、「それは違うな」と声を上げる赤岩は、証拠能力は例え指名手配された人間でも何ら制限されるものではない。指名手配された人間が法廷で証言してその内容が証拠として採用されたケースを今ここですぐにでも7件はあげられる! と立ち上がるではないか!!ほほぉ、やるな、赤岩!
 そんな事は言われなくても解っている! と興奮する網干は、それよりあなたのそのあざとい仮病からの復帰ぶりは弁護士法に違反すると一言申し上げておく。何より申し上げたいのは、この男がテロリストであり、フナムシに幾多の危害を加えて来た。そんな人間の証言には証拠力、つまり信憑性がない! 私の発言に間違いがありますでしょうかぁあ!! と声を上げるが、「間違いはありません」と認めた上で、しかしそれは君が言う事ではないんだよ、網干くん… と迫る赤岩は、証拠力があかどうかは裁判長が判断する事で、看護人=仁太郎の言うように『第9区域』の証拠保全を裁判長に申請。「証拠隠滅の可能性があるので速やかな実施をお願いしたい」と威圧して、看護人の君のお陰で私の病は完治したようだと仁太郎に向けて感謝の意を告げた赤岩は、「尋問を終わります」と見事に結んだ。


 そして数日後。毛野の書いた最終弁論原稿をチェックしいる仁太郎に歩み寄る信乃は、いくら感謝してもし足りないと訴えて、あらたまった礼を述べると、最終弁論を頑張るように言い残してその場を去り際に… 奥さんと別れてはいけない。大事にしてあげて、と思い切って告白。やっぱり決めた、私は村に残る。東京に遊びに行ったら八王子を案内してくれと告げて、小さな紙を手渡した。そこに納められた押し花は… 仁太郎が初めて村にやって来た日。村民の大歓迎を受けた際に仁太郎から贈られた花を髪に飾った信乃が大事に押し花にしたものだったのだ。遠〜い昔にそんな事もありましなぁ…。
 そんな懐かしいシーンを回想しつつ「仁太郎と奥さん、すっごくお似合いだった」と手を振って去って行く信乃の姿を、仁太郎は辛い思いで見送った数日後の最終弁論の日。  意気揚々と原稿を手に立ち上がる仁太郎に、代理人ではないと指摘する裁判長は、原告でもなければ弁護士でもない! 法廷をバカにするのもいい加減にしなさい!! と声をあげて、最終弁論は原告か原告代理人がやるものだ!! と檄高する裁判長から下がるように言い渡された仁太郎は、悔しそうに席に戻って原稿を叩きつけた。が、これを代わりに読み上げてくれませんか? と大学ノートを差し出す赤岩は、裁判長の許可を取り付けて、ここに書かれている事をそのまま読み上げて… と仁太郎に念を押した。
 意外な展開に驚きながら大学ノートを開いて、『人は誰でも生まれ故郷を持っている。誰にでもお袋が居て親父が居て誰にでも名前があるように、みんな産まれた場所がある。これは一生付きまとうものだ…』と読み上げる仁太郎は、胸と声を詰まらせならがら、辛そうに後を続けた。
 だから俺たちはそれを守る権利がある。産まれて育ったところを守る権利がある。子供の頃に遊んだ山を川を池を… と、言葉に詰まってしまうが、『よし!』と何やら決心。気を入れ直して、
 この裁判は富増村だけの問題じゃない。人間の本質の人間の根っこの部分を守る戦いなんだ。だからそれを踏みにじる奴らを、俺は許さない。どんな人間にも生きる権利がある。どんな人間にも故郷を守る権利がある。だから俺は戦った。そしてこれからも… 確かに、俺はこの村の人間じゃない。だけどこの村に住む奴らは、俺と何にも変わらない。だから俺は… と頑張ってみたものの、「ダメだ、言葉が出てこない」とノートを示す仁太郎は、何にも書いてない… と白紙の頁をパラパラと示して「以上です」と引き下がってしまい…。ねぎらい上手の悌一郎から頂戴した「充分だよ」との熱い一言に涙混じりの笑顔を見せる仁太郎に、傍聴席の天馬が拍手! 涙の尚子、そして悌三に続いて、法定内が拍手に包まれた。  被告席の安西は密かに人差し指で拍手を贈り、涙で光る目を閉じて小さく頷けば、反対尋問で頑張った斉藤も満足そうに原告席を見守った。仁太郎、忠志、悌一郎、毛野の4人がしっかりと肩を組む姿から目を逸らして、すっくと席を立つ扇谷会長は網干を一瞥。見る影もなく背中を丸めて頭を下げる姿を確認して退廷して行く一方、涙の信乃からも勿論惜しみない拍手を贈られた仁太郎は満面の笑みを讃えて仲間の肩を抱いていた。
 そして人気のない暗い法廷に佇む網干に、久し振りに法廷の君を見たと言う赤岩は「相変わらず言葉が冷たい。正確だけど実に冷たい」と評価。だから大企業の顧問弁護士『どまり』なんだと続けて、『どまり』と自嘲する網干に「惜しいなぁ、実に… まぁ頑張って」と言い残してその場を去って行った…。
 そして、それかが何があったかを忠志が簡単に説明。裁判所が直ぐに証拠保全を行なって、県の立ち入り調査も行われた結果、廃棄物処理法に違反していた事実が次々に判明。裁判は村側の勝訴となり、それから半月後にフナムシは倒産。信乃は結局村を出ずに今もひとりで店を切り盛りし、忠志の事はあくまでも『弟のように』可愛がっている。
 村長を辞めて昔の職場に戻った悌一郎は『団子』ならぬ『ダルマ三兄弟』を『気を付けダルマ』に変わるべく新商品として開発中。天馬は村長になったが脳溢血で返らぬ人となり、次の村長は側近の瀬田(遠山俊也)が引き継いだ。義助は独房に貼った『気をつけダルマ』の裏の壁を密かに掘って脱走を目論んでいる。子供たちが泳げるようになったダルマ池では安西が穏やかな表情で監視員を務めており、網干はまたまた企業弁護士となって、小さな工事現場で『この裁判は我々が勝つ』と宣言して『相手には我々に勝つだけの勇気も知恵も持ち合わせていない』と訴えていた。
 サワークリームを塗ったクラッカーを頬張ってむせ返る節子の背中を叩く忠志は、弁護士資格を獲得するべく勉強中。フナムシは倒産したがゴミの山は残ったまま。それをいつ誰がどこに持って行くかで村は県とモメており、いずれ裁判になりそうな気配なので、それまでに弁護士資格が取れるかどうか…。
 そして、ヤクザ役で殺された後、相変わらず長〜い芝居で粘り続ける仁太郎は、またまた監督を呆れさせていた。そんな長〜い死に際芝居をモニターでチェックする仁太郎は、共演者が空き缶を燃えるゴミ箱に捨てた事を見逃さず…。拾い上げた缶を突き付けて「ちゃんと分別しろ!」と俳優氏を叱りつける仁太郎で… 『合い言葉は勇気』THE END。
 
▲富増村勝訴で万々歳の最終回。八方丸く収まって本当に良かった良かったとひとまず喜びつつ、義助登場までの引き延ばし劇は、三谷パターンの王道だったが、八犬伝の『礼』を持つ人物・斎藤礼弁護士役の八嶋智人氏が実に良い芝居を披露! 最終回の中では一番目を引かれたシーンだった。勿論仁太郎、網干、赤岩も火花を散らす熱演で、少ない出番の扇谷会長・山崎一氏も貫禄の芝居を見せつけてくれた。クイズを最後に毛野を出しゃばらせなかった構成にも好感が持てたが、裁判長が『……』。もう少し頑張れるキャスティングならば… と実に残念だった。と苦言を呈しつつ、俺は何よりも忠志役の香取慎吾氏の熱演に拍手を贈りたい。『夜空ノムコウ』ネタが嫌味に感じられない程に大山忠志だった事は実に御立派! 香取氏の今後に期待しつつ『萬年テレビ亭・合い言葉は勇気』にお運び戴いた皆様には本当にありがとう御座いました。次期クールのラインナップは追ってアップ致しますので、来週月曜更新の『トリック』、水曜更新の『バスストップ』、『花村大介』の最終回と、次期クールの『連ドラ定食』に御期待下さい!

企画:石原隆/プロデュース:波多野健(イースト)・下山潤(イースト)/脚本:三谷幸喜/演出:河毛俊作・田島大輔・中山高嘉/音楽:服部隆之/主題曲:エルガー『威風堂々』第1番(希望と栄光の国)終結部(コーラス入り)/制作:フジテレビ・イースト

構成・文/阪本 悠

【「合い言葉は勇気」バックナンバー(第1話〜第6話)
【「合い言葉は勇気」バックナンバー(第7話〜)




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