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Back Story: 最終話 1〜5


● トリック  ●

第9話<9月8日(金)ヨル11:09〜00:04 テレビ朝日系>
脚本:蒔田光治 演出:堤幸彦

<出演>山田奈緒子(23)仲間由紀恵/上田次郎(35)阿部寛/石原達也・前原一輝/池田ハル・大島蓉子/瀬田一彦・遠藤直哉/照喜名保・瀬戸陽一郎/ジャーミン・アベディン モハメッド/霧島澄子・菅井きん/ミラクル三井・篠井英介/黒坂美幸・佐伯日菜子/イラストナレーション・森山周一郎/山田剛三・岡田眞澄/山田里見(58)野際陽子 ほか
第9話ゲスト:黒津次男・鴻上尚史/黒津三男・正名僕蔵 ほか


 沖縄には“ユタ”と呼ばれる女性たちがいる。自らの中に霊魂を憑依させ彼らの言葉を伝える、いわゆる“シャーマン”である。世界各地に存在する“シャーマン”が病気を治し災いを防いだ事例は幾つも報告されているが、科学はいまだそれを解明出来ていない。とのナレーションが終わると… ある島の“ユタ”が、『120年に一度島の東の海より“シニカミ(神の使わしきもの)”が現れる』と予言。『災いの始まりだ。我々に裁きを下すために死者が蘇るろうとしている』と続けて、恐れおののく島民たちに、『島を捨てた“あの女”を呼び戻すのだ』と結んだ後日… 山田奈緒子(仲間由紀恵)は上田次郎(阿部寛)の研究室に呼び出された。
 残暑厳しきおりのご足労をねぎらうべくジュースを振る舞って、知人の文化人類学者が南の島で何人かの霊能力者に会ったと説明。だが、彼らは皆インチキで恐らく植物から採取した薬物等を使って人々を惑わしていると言うのだが、如何なものか? との話題と共にジュースを飲むように促す次郎は、幻覚を見せる薬や恋に落ちる薬=媚薬もあるらしいと語りながら、何か変化は現れないか? とニタついて、その薬を君のジュースにだけ混入したのと言う。が、飲む前に入れ替えたと言う奈緒子は、わざわざジュースを出すなどと珍しいと思った&変な匂いがしたと説明。科学者ならば自分で試してみれば良いとの弁に、俺は理性しか持ち得ない人間であり媚薬で感情が動く事などない! と言い切りながらも『You… 今日、何か違わなぁい?』『髪切ったのか?』等々口走りながら大きな目を光らせてキスを迫る次郎に「薬がバカ効き」と指摘して、バ〜カ、単細胞、ゾウリムシ! と言い放つ奈緒子は、「素直じゃないな、じゃじゃ馬娘が!!」との弁に『鍵かけて閉じこもってジャージャー麺喰ってろ、タぁ〜コ』と応戦。『誰にも会わないほうが良い。巨根がバレるぞ』と言い残して部屋を出て行くと、「うぇいとぉ!」と叫ぶ次郎は雑誌に着目。中年御婦人の写真が目に入るや媚薬効果で即反応した下半身が、楽々机を突き上げた。す、凄い…。
 その夜。アパートでひとりペットの亀でレースを楽しむ奈緒子は、亡き父・剛三(岡田眞澄)を名乗る人物からの電話を受けた。
 近くに居るのでこれから会いに行く、ドアを3回ノックするので開けてごらん… と言うイタズラ電話の主に『いい加減にしてください!』と声を上げるものの、程なくドアが3回ノックされるではないか!! 怖々ドアを開けて誰も居ない事を確認。誰のイタズラじゃい! とドアを閉めると、ロウソクの光りと共に闇から浮かび出る剛三が不気味に微笑んだ…。
 翌朝。出がけに大家の池田ハル(大島蓉子)から手紙を受け取った奈緒子は『あなたの未来を知る者』なる差出人を確認。首を傾げながら開封すると、この手紙は昨日投函されたものだと告げる主に従って消印を確認。『私の予知能力を証明する為に今日起きる事件を予言しておきます。蓮田の爆発』と読み進んむと、外でラジオを聴いていたハルが『蓮田で爆発よぉ』と叫ぶではないか! そして『あなたは今日、素敵な男性と出会います』と続けて、その人物はビックリするような未来をもたらすだろう… と結ばれた手紙の封筒に、何やら別の住所・宛名の跡を発見! 鉛筆を擦り付けて判別した住所のビルに向かうと、黒津次男【つぐお】(鴻上尚史)と三男【みつお】(正名僕蔵)兄弟が待ち受けていた。
 来る頃だと思っていたと聞き慣れない方言を操る次男らは、蓮田の爆発を言い当てた“予知能力ブラザーズ”だと自己紹介するが、こんなものは予知能力ではないとキッパリ否定! 昨日のうちに鉛筆で自分たち宛に手紙を投函。受け取った後に鉛筆で書いた住所氏名を消して奈緒子宛に書き換えた封筒を今朝になって郵便受けに入れたので、消印は昨日。事故は的中なのだと言い当てて『これが証拠だッ!』と鉛筆で塗りつぶした封筒を突き付ければ、ブラザーズは拍手喝采!! こうまでしなければ来てはくれまいと言う次男が、かくして“素敵な男性”に出逢ったと結べば、まさかあなたがたが? とのリアクションに『でへへへ』と笑って、ここまでは当たっていると言い切った。

 ひとつも当たっていないとのツッコミに、“ビックリするような未来をあなたにもたらす”は、これから当たる事になるだと宣言。何かの勧誘ならば帰る! と言う奈緒子に、自分たちは『黒門島』なる南の小さな島からやって来た事、母・里見(野際陽子)も黒門島の出身である事を説明。母は結婚してからずっと長野に住んでおり産まれた島の話しを一度も聞いた事がないと言う奈緒子に、想い出話や実家に連れて行って貰った事がないのでは? と指摘。それはおかしいと思わないか? 母が島でした事を知っているか? 君たちにはそれ相応の償いをして貰わなければと思い、ここに呼び出したと迫るふたりは、何をしたのか? と訪ねる奈緒子に、里見に直接聞いてみる事だ。我々はいつもここに居るので話しはその後で… と結んで、二度と来ない! との捨て台詞に、お父さんを殺した犯人が誰か知りたくはないか? 『エヘヘヘ』と笑い声をあげた。
 犯人は君がよぉ〜く知っている人物だと言われて、昨日のイタズラ電話もあなたちの仕業か? と迫るが、『シニカミ』の仕業だ… との弁に、帰宅した奈緒子は早速里見に電話を入れた。
 黒津なる人物と会って里見が昔、島に酷い事をしたと言われた事、父を殺した人物を知っていると言われた事を告げるが、言葉を濁されてしまい…。乱暴に置いた受話器を再び上げて、黒門島の調査を次郎に依頼。更に石原達也(前原一輝)に連絡を取って16年前の事件資料をも調べた。
『水中からの脱出訓練中に死亡』資料が示す脱出手品のタネは『箱の横にある窓から出る』といたって簡単なものだが、そんなに簡単なタネでなにゆえ父は死んだのか? と思い悩む奈緒子は、親父さんが間抜けやったちゅうことやのぉ! と笑う広島弁デカ・石原の目を盗んで破った資料を持ち帰ると『この世には本物の霊能力者が居る』と言い残した霧島澄子(菅井きん)、『本物の霊能力者を知っている』のミラクル三井(篠井英介)、『真実が解るわ』の黒坂美幸(佐伯日菜子)を回想したところに電話が鳴った。
 またしても剛三を語る電話の主に『いい加減にイタズラは!』と声をあげるが、なにゆえ解ってくれないと訴えて、昔のように手品を見せてやるので“いつも持ち歩いている”トランプを目の前に置いてごらん? との指示に従った。
 一枚のカードを選べと言われて『スペードの3』を手に取って「お父さんに伝わるように念じてごらん」との指示に従うと… あら不思議、『スペードの3』をしっかり言い当てられてしまった!な、な、なにゆえ!?
 どこかで見ているのか? との問いに、『見える場所などない』『過ぎた事を探るのはもうやめろ』と返す声の向こうにジャーミン(アベディン モハメッド)氏の歌声が聞こえる事に着目。部屋を飛び出した奈緒子は近くの公衆電話横に佇む剛三の姿を発見して声を失った。
 来るな! 近づくんじゃない!! と制する剛三はロウソクの火と共に消えてしまい… 青ざめたまま部屋のドアを開けると、奇妙な花束を抱えた次郎が待ち受けていた。
 花束を差し出す手をドアで思いっきり挟んで差し上げた奈緒子は、人がせっかく“ポケモン”島の事を調べて来てやったのに… と言う次郎の手に包帯を巻きながら“黒門”と訂正。花束を持っているので結婚でも申し込みに来たのかと思ったとの弁に、あんな媚薬が延々と効いている訳がない! カリボネなる花束の正体が媚薬の元なのだと弁明。常人は匂いだけで効いてしまうのだと説明しつつ、大家は良く見ると結構美人だと言い出すではないか!! まだ“バカ効き”との御指摘に、俺って結構ウザイ? と呑気な次郎は、友人氏へのリサーチの結果“ポケモン”島は今死にかけているのだと報告した。
 理由もなく植物が枯れ、岸壁が崩れて海に沈んでいったりでつい最近科学者たちの捜査団が島に入ったが、理由は全く解らず状態。『10何年前にひとりの巫女が島から逃げ出して島の霊たちを怒らせたせいでは?』と島民は言っているが、そんなバカな話しがある訳はない! と結んだ。
 “巫女”に反応する奈緒子から、先刻16年前に死んだ父が来ていたと聞かされて、『えぇ〜?』と一応驚いてみせると、夢でも見たのか? と一笑。それが夢ならこれも夢だとの弁に『写真の父』では? と言う次郎は5千円札を取り出して新渡戸稲造氏の顔を真ん中で折り曲げた。
 笑ったり泣いたり喋っているように見える… と楽しそうに笑い出せば「やめろバカ上田!」と制する奈緒子は、あの声は確かに父のものだったと主張するが、最後に聞いたのは16年前。6歳の子供が正確に覚えている筈がないと断定する次郎は、ロウソクを持っていたとの弁に着目。現場に赴いて昨日までは確かに灯っていた外灯が消えている事を確認した次郎は、奈緒子が目撃した父はやはり写真だと断言。ロウソクの灯はチラチラと揺れるので、ただの写真でも生きて動いているように見えるのだと指摘。前面には蚊帳のような布を貼って更にバックを黒くしてロウソクの火を吹き消せば、立っている人物は見えなくなる訳で、奈緒子が立ち去ったあとに諸々撤収したのだろうと説明を終えた次郎は、自慢げな笑い声をあげた。結構単純なタネよのぉ〜。
 納得したのかしないのか… ひとり部屋に戻った奈緒子は手にしたトランプの『スペードの3』に“なにやら”を発見! 翌日黒津兄弟を訪れた。

 ゴーヤチャンプルーやら鍋やらをつつく兄弟に、父のフリをして電話をかけて来たのはあなたたちだと指摘。電話の男はカードを選ぶように指示して咄嗟に引いた『スペードの3』を言い当てたが、カードの端が折り曲げてられている事を示して、重ねるとそこに隙間が出来ると説明。父からの電話に慌てて咄嗟にその隙間からカードをカット。『スペードの3』を選ぶ確率が高かったと謎解きする奈緒子は、カードを折り曲げるチャンスがあったのはあなたたちだけだと言い放って昨日部屋を訪れたシーンを回想。次男と話している奈緒子のショルダーバックからトランプを取り出す三男は『スペードの3』を折り曲げてバックに戻したと指摘するが…。くだらない! 何故我々がそんな手間のかかる事をせねばならんのか? と返す次男から、里見が何かを隠していたのでここにやって来たのだろうと言い当てられて、母は島で何をしたのか? と迫れば『島から逃げたんだよ』と黒津ブラザーズが声を揃えた。
 30年前。里見には決められた結婚相手が居たが、その相手と結婚するのを嫌がって島を抜け出したと聞いて派手な笑い声をあげる奈緒子は、そんな事は当たり前。他に好きな人が居れば逃げようが何をしようが勝手だと言い返す。だが里見は島に代々伝わる巫女の家系だと続ける次男は、逃げ出した後に島が死に始めたと説明。植物は枯れ、鳥や動物たちも居なくなった。岸壁は海に死海始めた… との弁に『理由もないのに植物が枯れ、岸壁が崩れて海に沈んでいった』と次郎の言葉を回想。しかし問題はそんな事ではなく、もっと『おとろしい事が起こる』と続けて、島の伝説=120年に一度、東の海から“シニカミ”が現れ災いをもたらすのだと結んだ。
 そんなブラザーズに、いい加減にさらせ! おまえら“日本昔話か!?”と声を上げる奈緒子は、少しは真剣に聞けとの弁に、里見に島に戻って“シニカミ”とか“ハニカミ”とかいう奴と戦えと言うのか!? と迫り、我々も今更そんな事は言わない! と聞いて「だよなぁ」と返答。『エヘヘヘ』と暫し笑い合った後、替わりに君に島に戻って戴きたいとの弁に『?』とリアクション。君にも巫女の血が流れている。母と同じように霊能力がある。ない! ある! ない! と押し問答の末に、島に行けばいやおうなく思い出すと断言する次男は、ちょっとした儀式が必要だが… と結んだ。
『アナアキの儀式』は『頭に神の宿る穴をうがつ』意味があると続く三男は、婚礼の際に必ず行われる儀式だと説明。誰か結婚するのか? との問いに、これから島に行ってある人と結婚して欲しい。君の役目は島の為になるべく沢山の子供を産む事だと言う次男が、行きたいのか行きたくないのか? と迫れば、行きたい… 訳ねぇだろう、タコ! 私が居なくなれば世の中大混乱だ! との弁に『???』。大家は家賃滞納王が出て行けば万々歳と言い当てられて、亀とネズミに餌をあげなければ… との悪あがきに、少しは君にも人間の心があるかと思ったが… と諦め顔の次男は、それでは済まないだろう! と声をあげる三男に『もういいんだ』と方言で伝えた。亀とネズミくらい連れてってやれよ!
 外に出て『少しは君にも人間の心があるかと思ったが』を回想するが、物陰に隠れていた謎のストーカー男・照喜名保(瀬戸陽一郎)を発見! ずっと私の事を調べていた人物だと思い込んで追いかけるが、敵の逃げ足は早い。敢えなく見失った奈緒子は、真相を確かめるべく長野に赴いた。
 21世紀には子供にも選挙権が与えられるとの嘘を信じているのか? 自転車にポスターを貼り付けての瀬田一彦(遠藤直哉)が、子供5人を相手に投票を促すべく選挙演説に余念がない姿を目撃した奈緒子は、気付かれないようにその場を離れて、漬け物を漬ける里見の待つ実家へ急いだ。
 突然帰郷して手品の事を知りたいと剛三の資料を漁る愛娘に漬け物をすすめながら、変な男たちにまた会ったのでは? と迫る里見は、巫女の件、父を好きになって島を逃げ出した件、そのせいで島が死にかけて島民が恨んでいる件を聞いてしまったとの弁に愕然! 母は私が思っているずっと素敵な人だったのだと言いに来たのだと続ける奈緒子は、好きでもない人と結婚する必要はない。多分、私も同じ事をしていただろう、母と同じくらい勇気があって同じくらい好きな人が居ればの話しだが… と結んだ。

 だが、自分に勇気があったのではなく剛三が居てくれたからだと言う里見は、『お前は巫女として島の為に生きるのだ』と幼い頃から散々言われて来たのだと説明。決められた人結婚して決められた儀式を行う。もしそれを破れば悪霊がお前を追って来る… との言い伝えを聞いて、ウソくせぇ! と返す奈緒子に、実際その頃島では不思議な事が起こっていたのだと続けて、自分がためらっているうちに決めらた人と結婚する事になってしまい、結婚式の日には島民がよってたかって花嫁に“やらびぃ”“なし”と言いながら酒をかけるのだと説明。そこにさっそうと現れた剛三が、里見の手を引いて一緒に逃げたが、追っ手に追い詰められて… 仕方なく崖の上からザップン〜 と海に落ちたフリをして、反対側の入江から逃げ出した… まさに世紀の大脱出! マックイ〜ンと叫び、そして満天の星空の下でふたりは… と自分の世界に浸る里見は、半分くらい作っていないか? との指摘に、ほぼ合っているのだと、弱冠の脚色を認めた。本当に“ほぼ”か、里見? 結構ウソくせぇぞ!
 そんな母は置いといて… 剛三ノートの頁をくくる奈緒子は、とある図に着目して、父は霊能力ではなくやはりあいつらに殺されたのだ! と発言。警察から盗んで来た写真を示して、脱出用の箱に何かついていた跡がある事と、父の設計図によると元々鎖と錠前で閉じるようになっていると指摘。父はそれを中から外す鍵を持っていた筈と、鍵の絵を示しながら警察が調べた時には鎖も錠前もなかったと説明。誰かがこっそり錠前の留め具を外して父のポケットから鍵を盗んでおいた。そして鍵が見つからずに探しているうちに脱出が遅れて… 警察は間抜けな失敗だと勘違いしているが、この仕掛けの鍵を盗んだ奴が犯人だと確信するが、今更そんな事が解って何になるのか? 警察も相手にはしてくれまいと里見の反応はイマイチ。あいつらの事が憎くないのか? と問い質すものの、昔の事は忘れたと返す里見は、苦労してやっと忘れたのだと結んで漬け物を口に運んだ。
 その後、土蔵に入ろうとして止められた奈緒子は、眠りについた里見がジャンポール・ベルモンド、ジャン・ギャバン、クラーク・ゲーブル等々銀幕スターの豪華な寝言を言いまくっている事を確認。ニッコリ微笑んで土蔵に踏み込んだ。助さん格さんの夢よりゴージャスそうだ。
 古いガラクタの中から、秘密の箱を発見して過去を回想。お前だけの秘密の箱だと言う剛三は好きな言葉を選んでお前だけの鍵を作るのだと木製板鍵を示せば、幼い奈緒子は『すけさん、かくさん』と応えて『エヘヘヘ』と笑って父の笑いを誘った通りに鍵を指して中を開いた。
 と、そこには何と剛三の脱出箱の鍵がしまい込まれているではないか!? 『この仕掛けの鍵を盗んだ奴が犯人だ』と自分の言葉を思い起こして愕然! あちこちの引き出しを物色して里見に宛てた剛三の手紙を発見した奈緒子が、その文面に驚いて目を見開いたところに里見が登場! 事の重大さに驚いて激しく責め立てながら手紙を奪い取るが、何も言わずに飛び出して行く奈緒子の後ろ姿を見送る里見に剛三の手紙がオーバーラップ。『私はやがて私たちの最も愛した者の手で殺されるだろう。彼らが私たちに仕掛けた復讐の罠で、彼らは幼い奈緒子の脳裏に何かを植え付けた。あの子こそ島にとって一番大切な霊能力者なのだから』との文面を反芻する奈緒子は、私が鍵を盗んだ… 私がお父さんを殺したと自問しながら『君にも巫女の血が流れているのだ』と次男の言葉を回想。東京のアパートに戻って悲鳴を上げながら荷物をまとめると、次郎の研究室を訪れた。
 何故か上半身裸で待ち受けていた次郎は、写真・ロウソク・蚊帳の推理が正しかったのだろうと迫るが、もうどうでも良いのだと返す奈緒子は、悩みがあるのならば話してみろとの申し出にワンワンオイオイさめざめと泣き出した。
 良い子だ、山田。泣きなさい、素直になりなさい、僕が助けてあげようと感動する次郎は、人間とは君が思っている程信頼出来ないものではない。泣くのはおやめ? となだめすかすが、「はい」とあっさり顔を上げる奈緒子は、スッキリしたとコメント。一緒にいろいろなところに行った事は後悔していない、殆どなかったが楽しかった事も少しはあったような… と続けて、今度もし次郎の前に霊能力者が現れても追わない方が良い。そうすればふたりはきっと敵同士になってしまう。次郎の力では解き明かせない事はまだまだある。解き明かしてはいけない事も、多分あるのだ… と告げる奈緒子は、お前みたいな青二才には解らないだろうがと結んで『エヘヘヘ』でしめた。
 そして黒門島の件でYouは何か? と問われて、あっさり肯定。『面白い』と言っていた死にかけの島だが、次郎にとって『面白い』と思う事は、その人たちにとってはちっとも面白い事ではない。きっと… と告げる奈緒子は「あなたに会えて良かった…」と言い残して研究室をあとにした。
 そして空港に向かう途中で、やっと来てくれる気になったのだと言う三男と、3日後に“シニカミ”が現れると言う次男の「島を救いたまえ」との言葉に小さく頷く奈緒子で… 『トリック』第9話、end

▲と言う訳で奈緒子の謎に迫った第9話。久々の堤監督見参に期待し過ぎたのか、少々食い足りない思いが残ったが、次週最終回で全体にどう落とし前をつけてくれるかまで評価は先延ばしにするか! 黒津次男役の鴻上氏尚史は演出&司会業しか知らなかったが、過去には舞台に立たれていたとか。『愛をください』の串田和美氏よりは演技が達者で、普通に見えてどこか怖ろしげな次男氏を好演。次男、三男【つぐお、みつお】の黒津兄弟に長男【ながお】兄さんが居るのか否か… 島に帰ってのお楽しみか? 次郎に向けて『きっと…』と奈緒子に言わせたセンスがニクい。美女にこんな事を言われて追わない男はいないので、里見を連れて逃げた剛三に次郎がならうのは必至だろう。そう言えば里見と剛三はどこで知り合って熱愛に至ったんでしょうか? 因みに5千円札の新渡戸稲造【にとべ・いなぞう】氏を全く知らなかった俺って重度のおバカ? 思わずWebで検索、東京女子大学初代学長と知った次第だ。ありがとう『トリック』、お陰で堂々と5千円札が使えるようになったぞ!
 さて来週は、山田をやってる仲間さんと上田をやってる阿部さんが、実は来週分がまだ撮れていないと弁明。う〜 間に合うのか? あと一週間! どうする『トリック』!? 最終回だ! 『ヤ〜ッ!』と叫んで… 『ヤ〜ッ!』と聞いて矢部謙三(生瀬勝久)がお休みだった事に気付いた次第だ。矢部の活躍も期待しつつ、破綻のない最終回を祈って楽しみに待つぞ!!


● トリック  ●

第8話<9月1日(金)ヨル11:09〜00:04 テレビ朝日系>
脚本:林誠人 演出:木村ひさし

<出演>山田奈緒子(23)仲間由紀恵/上田次郎(35)阿部寛/矢部謙三(38)生瀬勝久/石原達也・前原一輝/池田ハル・大島蓉子/照喜名保・瀬戸陽一郎/ジャーミン・アベディン モハメッド/山田里見(58)野際陽子 ほか
8話ゲスト:桂木弘章・橋本さとし/司会者・大木凡人 ほか


 明治43年。熊本に三船千津子という超能力者が現れ、病気の元凶や石炭鉱脈の場所などを透視。世に言う千里眼事件として一躍有名となったが、当時の科学者たちは超能力の是非を確かめようとこぞって透視実験を繰り返した。だが真相が確認されぬまま、千里眼事件は千津子の自殺によって幕を閉じる事に。しかし透視療法と称して当時の金額で20万、現在に換算して億を悠に越える大金を千津子が手にしていたとする研究家もいるが、その超能力が本物であったかどうか、今では知る由もない… とのナレーションが終わると、熱帯夜にうだる奈緒子が扇風機の不調で目を醒ました。
 ゆすった途端にカバーが外れるわ羽根が落ちるわ、扇子を仰いだ途端に柄が折れるわの御難続きに、仕方なく窓を開ければドアがノックされるではないか! こんな深夜に誰奴か? と怪訝そうに廊下を覗くが人影はナシ、と思いきや『いかにも』作り物チックなひとだまと『寒い〜〜』と不気味な声が!! そして脅えながらも廊下に出た奈緒子は白装束に長〜い髪のトラディショナルな幽霊に遭遇! 悲鳴をあげてその場で気絶した。おやおや。
 翌朝。『弥七…』と寝言をのたまう奈緒子が、新聞配達氏の登場で目覚めて部屋に戻ると大家の池田ハル(大島蓉子)がドアを叩いた。
 近所で開催される『びっくり人間コンテスト』のチラシを手渡して、“マズシャン”ならばびっくりさせて戴きたい、優勝賞品は伊香保温泉一泊旅行だと説明。たまには温泉でゆっくりしたい… と結んだところに、宅配便業者がやって来た。
 翌日。出場を決めた奈緒子が会場の『ラドン健康ランド』に向かえば、客席は浴衣姿のお年寄りオンリー。しかも司会の大木凡人氏(本人)は特別審査員の日本科技大助教授・上田次郎(阿部寛)を紹介するではないか!なにゆえそんな仕事を受けるのか?
 物理学者としの立場から『ラドン審査』を宜しくお願いします! と呼ばれた次郎はやんやの拍手に迎えられて「驚きは脳細胞に活力を与えます」と挨拶。袋で割り箸を割って「ラ・ド〜ン上田です」と決めてみるが、一転凍りつく会場に憮然。仕事選べよ! と舞台そでの奈緒子が言い捨てた。
 そんなこんなで、定番『人間ポンプ』、5歳児の駅名記憶少年『東海道線 電車でゴー』はそこそこのウケだが、ただ足を上げるだけの『体操のお姉さん』はお爺さんたちに大ウケ。『念力僧侶』『汗かきじじい』と意味不明の芸に続いて、『ゾンビボール』を引っさげた山田奈緒子23歳がトリを務めた。
『山田?』と驚く審査員席の次郎は無視して、透明な糸で結ばれたボールを浮かせてみせる手品はイマイチなれど、スカートから延びた足を強調するポーズを取った途端に客席は大ウケ! 沸き上がる『あし〜』『ブラボ〜』コールに『貰った!』とほくそ笑む奈緒子は調子に乗って派手に動き回った際にBGM用のカセットレコーダーを蹴飛ばしてしまった! 早回しのBGMに合わせて高速で手品を披露したのは良いが、タネの糸が切れてしまい、客たちは一気に凍り付いてしまった!
 と、そこに客席からアイパッチ姿の怪しい男・桂木弘章(橋本さとし)が登場して『糸の種明かし』を暴露。ブーイングの観客に、この人も一生懸命やっているのだとわざとらしくフォローすると、顔は地味だが巨乳のアシスタント嬢が『千里眼・桂木弘章先生』と一同に紹介。お口直しに皆さんに本物の超能力をお見せしましょう! と言えば部下の男たちが『千里眼 桂木弘章』と書かれた看板を舞台にセッティング。桂木は客席にバラを投げて、受け取った老婆をステージに上げた。
 スケッチブックを渡して、思いついた数字を幾つか書かせて言い当てると説明する桂木は、アイパッチの上からアイマスクを装着。『それでは書いた数字は幾つでしょう?』と司会の凡人氏に促された。無茶苦茶インチキ臭い男だなぁ…。
 余裕でアイマスクを外して、アイパッチを持ち上げるとカラーコンタクトの瞳を見開く桂木は『0』と言い当てて、『次の数字をどうぞ』で『3』と言い当てたところで次郎が挙手! アイマスクを調べさせて欲しいと申し出るが、トリックは見つからず…。今度は僕が数字を書いても良いか? と申し出た。
 しかし『いくつでしょうか? どうぞ。はっきりとお願いします。それでは!』と凡人氏に促された桂木は『3、5、7、0!』と見事一気に言い当てるではないか! 盛り上がる観客にアシスタント嬢はこれから透視占いを始める旨を説明。次郎が「どうなってるんだ!?」と呟けば、部下から『千里眼・桂木弘章』のチラシを手渡された奈緒子は悔しそうに顔を背けた…。

 会場近くの巣鴨とげ抜き地蔵を参拝しながら、あれは大木凡人が数字を言葉に変えていたと言い出す奈緒子は、凡ちゃんが? と驚く次郎に、『それでは』が『0』で『どうぞ』が『3』だろうと指摘。その要領で0から9までを短い言葉に置き換えて伝えていただけだと聞いて、自分が当てられたシーンを回想する次郎は『幾つですか。どうぞ』で『3』、『はっきりと』が『5』、『お願いします』が『7』、『それでは』が『0』だと納得したところに、桂木御一行が登場! 老人たちをぞろぞろ引き連れて行く様子を怪訝に思ったふたりは、事務所まで追いかけて行った。
 居並ぶ老人たちに『透視は無料』とアシスタント嬢が呼び掛けるなか、とある老人と対峙する桂木はアイパッチを持ち上げて『玄関に朝顔が見える』と透視。そういえば『玄関の脇』に鉢植えがあるとの弁に、腰痛の原因は朝顔の蔓がお爺ちゃんの腰に取り憑いていると宣告。その蔓を切って替わりに金の分銅を置けばたちどころに腰は良くなるだろう。少々値は張るが、お爺ちゃんの健康にくらぶれば安いものだと微笑む訳で…。これは悪質な霊感商法だと怒る奈緒子は、ガツンとタネを明かして一泡吹かせてやろうと奮起。あいつらの手口は全てお見通しだ! と息巻いたところに駆け込んで来た老人・菊池は『騙されるな〜 そいつは大嘘つきだ。そんなものは買ってはイカン!!』と声を上げるものの、程なく部下たちに摘み出されてしまう。
 聞き捨てならぬとばかりに菊池のアパートに同行したふたりは、桂木が部屋の間取りを言い当てた事、神経痛が治るとの触れ込みで50万の分銅を買わされたと聞いて唖然! このままでは死んでも死にきれないと訴える菊池は、桂木の化けの皮を剥いで欲しいと懇願して福引きで当てた伊香保温泉二泊三日のクーポン券を差し出した。
『一泊多い…』と引き受けた奈緒子は、勝算はあるのか? と心配顔の次郎に出身地を尋ねると、『拝島』との返答に『駅前に商店街がある』『左側に蕎麦屋があっただろう』と質問。『マリ庵』との返答に『あそこのオバサン元気ですかねぇ?』『鴨志田さんか』『鴨志田さん、息子さんかお嬢さんいませんでしたっけ?』『息子がひとり。跡を継いだ』『やっぱり。あの息子さん、絶対跡を継ぐと思ってた』とやりあって、『代替わりして味が落ちた…』と蕎麦のウンチクを語る次郎は、あまりの詳しさに行った事があるのか? と尋ねるが、頭の中を透視したと言いつつ『エヘヘヘ!』と笑う奈緒子は、さも自分が最初から知っていたかのように誘導尋問の要領で聞き出して行く=『コールドリーディング』だと説明。インチキ占い師が良く使う手で、『母之泉』のビッグマザーも使っていたと指摘してその方法で菊池も部屋の間取りを当てられたのだろうとの弁に、いつもの通り『やっぱりそうだと思った』と次郎が便乗。翌日ふたりは桂木事務所の行列に加わった。
 並ぶのは1981年7月11日の映画『狙われた学園』初日舞台挨拶で薬師丸ひろ子を観るべく徹夜して以来だと瞳を輝かせる次郎に、『屋久島?』とボケる奈緒子は、世界遺産ではないかと驚いてみせる。そして屋久杉、ヤンバルクイナ、ヤンバルマイマイ、海ぶどう… とボケ続けるが、これで治るのだと喜ぶ車椅子の少年に分銅を買い与えた母親の姿を発見。あんな子供まで騙すなんて! と怒る奈緒子は、目にもの見せてやる! と意気込む次郎を従えて『桃太郎侍が毎晩夢に現れる』との相談を持ちかけた。
 昨日は『うっかり八べい』まで現れた… との弁に、アイパッチを上げて「見えます」と言う桂木は『ちいさい頃、とても大切なものを亡くしたのでは?』『その悲しさで一晩中泣いてしまった』と指摘。何を亡くしたのか当てて欲しいと言う奈緒子に『それはあなたのお父さん、いやお母さんですね』とカマをかける桂木は『あなたのお母さんがはっきり見えます』『あなたのお母さんは亡くなって“いませんね?”』と迫る。が、その質問には『はい』としか答えられないと反撃に出る奈緒子は、『この世には居ない』『亡くなってはいない』の両方に取る事が出来ると指摘して、ずっとそういう曖昧な質問で老人たちを騙し続けていたのでは? と迫る。すると突然『亀、金魚、マリモ、ハムスター、かき氷器、ほ〜きょ〜パットぉおお〜!』と叫ぶ桂木は、今上げ連ねたものは全て部屋にあるものだと余裕の笑みたたえて、部屋の間取り図までも書くと宣言!! 亀と金魚とマリモはここ、ハムスターは机の下、豊胸パットは… との間取り図を覗き込んで「この2番目の引き出し」と口を挟む次郎に、見たのか、上田!? と声を上げる奈緒子は、こんなのデタラメだ! インチキ! と言い放って帰ろうとする。だが、取り巻きや信者の老人を引き連れた桂木は、『千里眼がインチキかどうか確かめさせて欲しいと』奈緒子の部屋におしかける始末! さぁ〜皆さん、思いっきり確認してください! と命じられた老人たちは、流しに放置した食器を見てだらしなさを指摘。亀やハムスターを見て『先生様の描いた絵と一緒』と納得すると『そろそろ帰りましょか』と関西弁のアシスタント嬢と共に『嘘つき女』呼ばわりで引き上げて行った。同じく部屋が散らかっている者として同情するぞ!

 目玉焼き2個の『貧乳弁当』を忌々しそうに箸でつつく奈緒子は、大きなフランクフルトの『巨根弁当』を広げる次郎から『だらしのない貧乳嘘つき女』との屈辱をうけたら、俺なら生きてはいられないと罵られるが、『自信過剰で巨根の童貞男』と応戦。途端にチマチマと箸を動かす次郎は、なにゆえ部屋の事が解ったのか? との問いに『この部屋に入った事がある奴が教えた』のだと返答。心当たりの男がひとりだけ… との弁に、そんな男が居たのか? と驚いて、「ジャーミン氏か? 近場でまとめたなと」せせら笑う。が、箸を突き付けられて『俺か?』と確認するや、女友達も居ないのか? とさらにせせら笑ったところで、奈緒子は一昨日に幽霊が出た事を回想。マジシャンと知った桂木は、地元マジシャンなら『ラドンびっくり人間コンテスト』に参加しない訳はないと踏んで幽霊のフリをして部屋の中を物色したのでは? と推理。千里眼を見破ってクレームを付けた場合の対応策か? との問いに、『ホットリーディング』なる方法で、これもインチキ占い師が良く使う手だと返した。『マジシャン』の前に『売れない』を付けないと『参加しない訳はない』にかなりの無理を感じるが…。
 本人には内緒で事前調査をすると、当てられた方は『どうしてそんな事まで解るのか?』と信じてしまうのだとの説明を聞いた次郎が『そんな事だろうと思った…』とパターン通りに便乗したところで、またしてもドアがノックされた! 『さむい〜』と恨めしそうな女の声に震え上がる次郎は、桂木の仕業だと言う奈緒子に、目的を達成した奴に幽霊をやる意味は『ないもん…』と震えながら指摘。ならば何者!? と窓に視線を向ければ『いかにも』な火の玉が登場! 次郎が早速気絶する一方、何やら夢にうなされた母・里見(野際陽子)は娘の身を案じて起きあがった。
 そして意を決した奈緒子が窓を開けると、火の玉を操る黒子姿の池田ハルが『家賃はまだ』と慌てれば、幽霊姿のジャーミン(アベディン モハメッド)氏が『たたりじゃ! ボイン』と挨拶するではないか!なんちゅうオチだ!
 町内納涼大会の練習をしていたと説明するハルたちと奈緒子が廊下で揉めている一方、しかしどうしてこんなに詳しく透視出来たのか? と桂木の描いた絵を見る次郎は『豊胸パット』と描かれた場所に何やら閃いたところで電話が鳴った。
 迷わず応対する次郎の声に、里見はかなり狼狽えるが、助教授だが2年後には教授に昇進するとの自己紹介に警戒心を解くと、長電話で盛り上がってしまう。おいおい。
 部屋に戻って来た奈緒子は、なにゆえ人の電話に出るのか!? と激怒して受話器を奪うが、話だけで次郎が良い人だと盛り上がる里見は、服を脱ぐ時は電気を消すように言い出す始末だ! 胸は腕を組む事でより大きく見えると指南して、『ただの知り合い』だと激しく否定する奈緒子から、何の用事か? と問われた里見は『奈緒子がどこかに連れ去られる夢を見た』と報告。何か変わった事はないか? と問うが、何でもないと確認して、次郎がいれば大丈夫と胸を撫で下ろすと、電気を消すよう念を押して受話器を置いた。
『鳴ってる電話に出ない』感覚は『もよおしているのに出せない』感覚に似ていると説明する次郎は『とても我慢出来たものではない』と結ぶが、それでも我慢する! と声をあげる敵に向かって『誰もでんわ。じゅわ〜っき! ビリビリ』と光線を発射! うっ、やられた!! と付き合う奈緒子に、透視した絵と部屋に一ヶ所だけ相違点を発見したと告げた。
『乳パット』は本来タンスの2段目に入っている筈と堂々と指摘。なにゆえ知っているのか? との追求は無視して、絵には机の上にあると示した。それは『ゾンビボール』手品の為に一昨日大工センターから買って来た玉を半分に切ったものだと思い出す奈緒子は、昨日の朝『ラドンびっくり人間コンテスト』に行く前に着色して張り合わせたと説明。部屋に入って調べたとすれば一昨日から昨日の朝と指摘されて、宅配便が来た事を回想。実は隣の荷物だと言われて部屋をジロジロ見る宅配便氏が桂木に報告したに違いないと踏んで囮になって欲しいと頼まれた次郎は、ジュウシマツやセキセイインコ? とボケて見せた。『……』
 翌日。オートロックマンションに場所を移して桂木に電話を入れる次郎は、奈緒子の非礼を詫びつつ超能力に否定的な立場を取っていた自分も先生の透視能力には感嘆しざるを得ないと説明。家相を見て欲しいと申し出て2時のアポを取り付けた。
 これで間違いなく宅配便がやって来ると奈緒子が確信すると、本当に宅配便がやって来た! パンチをお見舞いして宅配氏を縛り上げる次郎は『お前たちのやっている事は全てお見通しだ!』と言い放つ奈緒子と共に桂木のオフィスに向かった。

 昨日の非礼を随分と反省した奈緒子を謝らせる為に連れて来たのだと説明。『反省猿』ポーズを見せる様子を笑って受け流す桂木は、『人は誰でも間違いを犯すが、その過ちを克服してこそ人は成長する』のだと余裕で返答。アイパッチをすらして透視図を書き始めると、健康器具、若き日のモデル然とした写真パネル、テーブルの上には箸、ゴルフバック、野球版、ツイスターゲーム… と次々言い当てるではないか!! しかも部屋には巨大なマムシがついていると言われた次郎がすっかり信じてしまう一方、なにゆえ当たってしまうのか? と首を傾げる奈緒子は、縛りあげた男が本物の宅配便氏と気付いて顔色を失った。そして『ゴールデン分銅デラックス20キロ。金一千万也』が必要と言われて、小切手を開く次郎を「買わないの!」と制してマンションに急いだ。
 縛り上げた本物宅配氏にひたすら詫びる奈緒子が『反省猿』ポーズで許しを乞えば、荷物の『香典返し』を『志』程度だが使って欲しいと次郎もフォロー。縄をとかれた宅配氏は『もよおしているのに出せなかった』モノをその場で放出してしまった…。
 テーブルに置かれた巨大なアーチ橋のプラモデルを挟んで思案する奈緒子は、やはり『以前部屋に入った事がある人間が事前に教えた』と発言。「有り得ない」と返す次郎は、いまだかつて部屋に入ったのは奈緒子と里見だけだと告白。『暗い男』『友達が全然居ない』との嘲笑に、俺を友達に出来る人間などこの世に存在しない! と強がって、野球版やツイスターゲームは意味がない! との御指摘に「自分で投げて自分で打ち自分で走る」と野球版に興じて「見てるか星くん!? これが俺の野球だ!」と言い放つ。ツイスターゲームも想像上の女性・ヨネコ嬢と楽しんでいるのだとひとりゲームに興じる始末だが、そんな『暗い男』を無視する奈緒子は透視見取り図と、プラモデルの橋に着目! 大きな窓に駆け寄って外を確認すると桂木のトリックが解った! と宣言した。はてさて?
 またまた事務所に乗り込んで、もう一度透視をして欲しいと願い出る次郎は、流石に高額の買い物故に覚悟がいると説明。もう一度先生のお力を拝見した上で『ゴールデン分銅デラックススーパー20キロ』を6個! 購入したいのだと美味しい餌を振りまけば、ごもっとも! と納得する桂木に、次郎と自分が何枚か絵を描くので、衝立越しに透視して欲しいと奈緒子が説明。そんな簡単な事で良いのか? と余裕の返答に、信者たちは『疑り深い』『貧乳の嘘つき女』と不満タラタラだが、用意が調ったところで、次郎と奈緒子が交互に絵を描いた。
 イカ、チューリップ、鉛筆、ブタ、いちご… と解り易い絵を、いちいち「見えます」と透視する桂木は同じ絵を描いて信者たちの拍手を受ける。が、最後に1枚だけ… と申し出る奈緒子の絵を「見えます」と透視して、最後に面白い絵を描くと言う桂木が『箸』の絵を示した途端に信者たちの笑みが消えた。全然違いますよ? エヘヘヘと笑う奈緒子が得意満面で示した『橋』の絵を示すと、『箸』と『橋』を聞き間違えたのだと指摘。パートナーは同じ関東の人にしなければと続けると、アシスタント嬢が桂木に絵柄を教えていたと迫る次郎は、「なに言うてるんですか?」と関西弁で狼狽える胸元のブローチに向かって『あいうえお』等々を大声で叫んだ! 
 受信機を外した方が良いと奈緒子が助言すれば、昔大声コンテストで優勝した事があると続ける次郎がもう一度大声を出そうとブローチを手に取った。
 慌てて外したアイパッチを取り上げる奈緒子は、紐部分に取り付けてあった受信器を示して次郎の部屋を透視した際にも同じ間違いを犯したと説明。『テーブルの上に箸が置いてありますよ』と言い放ったシーンを回想しつつ、テーブルの上に置いてあったのはこれだったと、持参した『橋のプラモデル』を示した。
 そして次郎のマンションの向かいには同じようなマンションが建っており、そこから双眼鏡を覗くアシスタント嬢が部屋の様子を報告したのでは? と推理。「そんでテーブルのうえに“はし”があります」と関西弁で報告している様子を想像して、これがインチキ透視のからくりだと説明。老人たちの部屋も同じように調べておいたのでは? と迫って「ハメたのか?」との弁に、人聞きの悪い事を言ってくれるなと返す奈緒子は、あなたのやっている事に比べれば可愛いものだ。この詐欺師!! と言い放つと、騒ぎだす老人たちに「うるせぇな!」とドスを効かせる桂木は、一転この女は悪魔だ! と取り繕うが時既に遅し。やっと登場した矢部謙三(生瀬勝久)は、「遅かったな、矢部!」と偉そうな奈緒子を無視。騙された各地のお年寄りから被害届が出ていると説明して、桂木の連行を石原達也(前原一輝)に命じた。が、1台のパトカーに部下も含む総勢8名も乗れるのか? との大問題が発覚しつつも、次郎のお手柄に深く感謝。兄ぃの荷物を全部捨ててスペースを作ったと言う石原を殴り倒して、一同に歩くよう促した。
 感謝の意を述べる菊池老人から温泉旅行目録を受け取るものの、車椅子の少年から「僕治らないの? 死んじゃうの?」と尋ねられた桂木が「そうだよ。先生はインチキだからね」と笑ってパトカーに消えて行く様子に、やるせない思いが残る奈緒子と次郎で… 『トリック』第8話、end。

▲シリーズ初の1話完結だった第8話。新監督のせいか奈緒子のエヘヘヘ! や『反省猿』ネタが連発で少々の違和感が否めず…。1話解決の限界とは思いたくはないが、何よりもトリックがショボ過ぎだぁ!! と叫びつつも最後に矢部が出て来るまで、その存在を忘れていた程なので結構引き込まれていた事は確かな訳で… 苦言を呈してみるものの、なかなかどうして大したもの。ゲストの橋本さとし氏は次回『テレビ丼』で御紹介予定の映画『ホワイトアウト』でお目にかかったばかりだが、濃ゆいゲストが続く『トリック』の中では比較的まともに写りました。因みにラストのブラックさは『母之泉』以上と見たぞ!
 さて来週は、父・剛三からの電話に奈緒子が驚けば、電話を受けた次郎が「黒門島?」と聞き返す。お父さんを殺した人を知っていると言っていた… と言われた里見が受話器を持ったまま凍りつけば、来る頃だと思っていました… と怖い顔のゲスト・演出家の鴻上尚史氏は久々のテレビドラマ出演だ! そして「会えて良かった」と次郎に言い残す奈緒子が『私がお父さんを殺した…』とのモノローグと共に夜の林を彷徨って… いよいよラス前、父の死と本物の霊能力者の謎が明かされるのか? 堤幸彦監督のカムバックも含めて期待大だぁ!!


● トリック  ●

第7話<8月26日(金)ヨル11:09〜00:04 テレビ朝日系>
脚本:林誠人 演出:大根仁

<出演>山田奈緒子(23)仲間由紀恵/上田次郎(35)阿部寛/矢部謙三(38)生瀬勝久/石原達也・前原一輝/池田ハル・大島蓉子/照喜名保・瀬戸陽一郎/ジャーミン・アベディン モハメッド/霧島澄子(菅井きん)/ミラクル三井(篠井英介)/山田剛三・岡田眞澄/山田里見(58)野際陽子 ほか
7話ゲスト:黒坂美幸・佐伯日菜子/竹下文雄・小山彰一/松井一彦・深水三省 ほか


 山田奈緒子(仲間由紀恵)はヘアスタイルに問題を抱える刑事・矢部謙三(生瀬勝久)から上田次郎(阿部寛)のもとに持ち込まれた厄介な事件に遭遇。監禁監視のなかで霊能力殺人を宣言する黒坂美幸(佐伯日菜子)は離れた場所に居る2人の男を殺害してしまった。が、「そんな筈はありません!」と宣言する奈緒子は… 返り血を浴びた美幸の着替えを持って来るように言い渡された。
 入れ違いに次郎の研究室を訪れた石原達也(前原一輝)は、『女には』優しいところがある矢部に着替えを持って行くよう命じられたと説明。『ファミレス・ガスト』とボケつつ『フェミニスト』と突っ込む次郎に、他にも何か伝える事があった筈だと思案する一方、アパートに到着した奈緒子は着替えを物色するべく段ボールを漁った。
 しかし出てくるのはマジック用のド派手なステージ衣装ばかり。美幸に着て欲しい…。
 刺し殺すならば最初から着替えくらい用意しとけ! と悪態をつきながら遠隔殺人シーンを回想。間違いなく彼女は自分たちの目の前に居た。一体どうやって犯行に及んだのか… と思案すれば写真立てが倒れた。
 父・剛三(岡田眞澄)とのツーショット写真を眺めながら幼い日を回想。霊能力など存在しない。どんな不思議な事にも必ずタネがあると言いながら、消しゴムのケース使ったフィンガーマジックを披露。騙されてはいけない、嘘をつかれちゃいけないよ教えた剛三だが、霊能力者は本当に居ると言い残して息絶えた。同じように霊能力者の存在を言い残した霧島澄子(菅井きん)やミラクル三井(篠井英介)、「もうすぐあなたたちにも真実が解る」と迫る美幸を想う奈緒子は、母・里見(野際陽子)からの手紙を思い出した。
 オートロックのマンションに泊まってみたいとの弁を回想しつつ貧粗な部屋を見渡して「代わりを探さなきゃ」と呟きつつ『代わり』に鋭く反応する一方、美幸が浴びた返り血は被害者のものと一致したと聞いた次郎は、早速矢部の携帯を鳴らした。
 マッサージにかかりながら、凶器のナイフから出てきた指紋も美幸のものだったと告げる矢部は、頭部マッサージでカツラがずれる事を気にしつつも、後程研究室を訪ねるので保護を宜しくと結ぶ。と、午後1時20分からの1時55分の間は訪問を控えるように告げる次郎は、『徹子の部屋』の時間だと説明。毎日見ているのか? との問いに、習慣は人間に日々の正確さを与えると返して、しかも今週はスペシャル企画で、各界の『何やらがかにやら』で実に興味深く、決して見逃す訳にはいかないのだ! と受話器に向かって力説する様子を美幸が背後で聞いているが… 急ぎ研究室に戻った奈緒子は、今度こそ彼女の霊能力がインチキである事が解ったと『代理殺人』の説明を始めた。
 時間、場所、殺害方法の3点を示し合わせておけば全ての謎が解けると前置いて、
・最初の殺人は『午後10時』。『カーブのある崖』で美幸の替わりの何者かが梅木隆一を『絞殺』。
・2番目の殺人は『午前5時』。ここでも替わりの何者かが『ウォーターフロントの公園』で竹下文雄を『刺殺』。
 との簡単な説明を聞いた次郎は、指紋はあらかじめ美幸のものを付けておけば良いと納得。しかし血はどうやって吹き出した? との問いに、多分手の中に小さな袋を隠し持っていたのだろうと返す奈緒子は、フィリピン辺りのインチキ心霊術師がメス無しで行う手術の映像を見た事があるだろうと指摘。あらかじめ鶏かなにかの血液の入った袋を隠し持っているだけだと説明して、美幸も同じ方法だろうと結ぶが、浴びた血と被害者の血液が一致した事を告げる次郎は、自分も同じ事を見抜いていたがその一点がクリア出来なかった。問題は彼女が何処で血液を手に入れたかだとの弁に、入手方法さえ解れば共犯者説は成立すると奈緒子が確認したところに、「病院じゃ」と石原が再登場! 殺された竹下文雄は2日前に新宿のクリニックで人間ドックを受けていたが、その際に採血された血液が全て盗まれていると報告。これで共犯者説が立証出来たと思えば「ちょっと待った!」と老婆を背負った矢部が現れた。マッサージ屋から連れて来たのか?
 竹下文雄殺しの目撃だという老婆は、美幸をひとめ見るや「この人づら!」と声をあげて、ウォーターフロントの公園で返り血を浴びながら竹下文雄をメッタ刺しにする“美幸”の姿を回想。間違いない。人殺しぃ〜 と恐怖の声をあげながら矢部の背中でかつらを掴んだ。う〜ん、やはりテレポーテーションかぁ!?

 これで共犯者説は消えてしまったと石原が言えば、そうなればひとりの人間が同じ時刻に別々の場所に居た事になると続く次郎に、そんな事はない! と声をあげる奈緒子は必ず何かトリックがある筈だと声をあげるが、その『何か』には至らずで言葉が途切れたところに美幸が登場! そろそろ帰っても宜しいものかと申し出て、お二方もお疲れの様子なので少しお休みになっては? との弁に「おどれ殺人者じゃけぇのう」と声をあげる石原は、そう簡単に帰せるものかと勢いづいた。が、逮捕状は出てるのか? と核心を突かれて一転頭を抱えて、霊能力殺人は立証が難しいと裁判所が出し渋っているのだと説明。検察も勝ち目のない裁判はやりたくないのだろうと次郎が続くが、科学が霊能力の存在を実証的に解明して法律がその存在を求めない限り『誰にも私を裁けない』と言った筈だと勝ち誇る美幸は、最後のひとりを殺す際にまたやって来ると宣言。証人になって貰わなければ殺人者になってしまうと言い残してその場を去ろうとするが、待ったをかける奈緒子は、3人目殺人の為にタネを仕込みに行くのでは? と迫った。
 どんなトリックもタネを仕込まなければ出来ないと訴えて、まだそんな事を… と呆れる美幸に、ならば「殺して見せて下さいよ」と言い放つ奈緒子は、3人目の男を今この場ですぐに!! と迫った。霊能力vsトリックよりも女の意地って感じだな。
 ここに丁度良い鉄パイプがあります… と、本当に転がっているかの如くに拾い上げる仕草の美幸は、殺す男の名は『松井一彦』と宣言。3人に向かって鉄パイプを振りかざしたその手を長身の次郎が止めた!! これ以上罪を重ねてはいけないと諭すして帰っても良いと言いつつ、今度最後の人物を殺す時には必ずここを訪れるとの約束を取り付けた。
 あんな事を言って大丈夫なのか? と問う奈緒子に「仕方がない」と返す次郎は、美幸を泳がせてその間に次なる作戦を考えるつもりなのだと感心する石原にそうではないと返答。彼女はあの時真実を語っていたと言いつつ、眠気を訴えて熱いシャワーを浴びたいと漏らすして、奈緒子にも帰ってシャワーを浴びるよう進言。疲労は人間の思考を怠惰にさせると結ぶが、うちにはシャワーがない… と不機嫌そうに漏らす奈緒子は大袈裟に驚く石原をグーパンチで撃墜。そうだ! と閃いて次郎の家はオートロックか? と確認して、お願いがあると手を合わせた。
 里見と共に駅から徒歩18分の距離に根をあげる奈緒子はメモを頼りに次郎の『オートロックマンション』に到着。部屋が散らかってる『かも』知れないのでと、里見をドア前に待たせて中に入れば、所狭しと健康器具の置かれた部屋に唖然! 取り敢えず何とかしなければ… と持参したマジシャン用の衣装と父の写真を何処に飾ろうか? と壁に視線を向ければ、同一人物とはとても思えないモデル然とした若き日の写真パネルに驚く奈緒子は『上田?』と呟きつつ、何とか飾り付けを済ませた。
 これは皆、手品の道具なのか? お父さんの時代とは随分変わったものだ… と驚く里見に、これは全て健康器具だと返す奈緒子は、マジシャンは結構体力勝負なので毎日身体を鍛えなくてはと説明。『スカイウォーカー』に乗ってブランコの宜しく漕いでみせると、『真ん中を持って棒を振るだけ』運動にハマる里見は、こんな事をやって胸を大きくしようとしていると指摘。酷い! お母さんのせいなのに!! とマジで訴える奈緒子は、「エヘヘ」と笑って誤魔化す母につられて「エヘヘへへ」と笑い声をあげつつも、霊能力は本当にあると思うか? と唐突に尋ねた。
『こういう業界』に居るとマジックなのに霊能力と偽る人々に沢山出逢う。無性に腹がたってインチキだぞ! と大声で叫びたくなるとの弁に、頬を強張らせる里見は『この世には本当に霊能力者が…』と告げて息絶えた剛三を回想。霊能力者など居る訳がない! と笑い飛ばして再び棒を振り回しながら「大きくなぁれ」と願いを込めると、シャワーを浴び終えてブリーフ1枚の次郎を発見する奈緒子は顔色を変えてこっそりあとを追った。
 自室でアイスキャンデーを舐めつつテレビに向かう次郎は、なにゆえ居るのか? との問いに、ここは俺の部屋だと返答。一晩貸してくれと言った! 「出て行け」とは言わなかった! とやりあって、そろそろ『徹子の部屋』が始まるので3人で一緒に観ようじゃないか!? 団地の主婦でもあるまいし… などと差別発言が飛び出すが、聞き覚えがあるがどこか微妙に違うテーマ曲が流れて番組が始まった。
 渡辺哲(本人)氏が司会を務める『哲 この部屋』なる番組の『こんな素敵なゲストの方々』は工藤兄弟と三倉茉奈・佳奈姉妹(共に本人)。これが終わったら絶対出て行って下さい! と言う奈緒子を「集中出来ない!」と制する次郎の目は異様に光り、番組に対する激しい執着を伺わせる。が、『僕たちは一卵性、私たちは二卵性』とのトークを観て「あっ!」と何やら閃いた次郎は、そうかそうだったのか… と納得して「解けたぞ、トリックが」と決めれば、棒振り運動に夢中になる里見に出掛けてくると告げる奈緒子は『どこ行くの?』と字幕が出る方言? に『ほっといて!』と思わず強く返す自分自身に戸惑いを見せた。引き続き沖縄弁か?

『あなた双子ですか』と本当に聞くのか? と尋ねる奈緒子は「当然だろう」と自信満々の次郎に、絶対に笑われると進言。双子の共犯者ならば美幸の霊能力事件は全てトリックとして説明がつくと言う次郎は、双子ならば目撃の老婆が見まごうのも無理はなし! 『双子大会』でそれを見抜いたのだ、「哲さん、有り難う!」と番組に感謝の意を述べる。が、双子トリックなどマジックショーで手垢のつく程にやり尽くされた古典中の古典。恥ずかしくてどのマジシャンもやらないくらいだ! と言い放つ奈緒子は、そうなのか… と傷付いた心中を察して「ご愁傷様」と哀悼の意を述べたところに呼び出した美幸が登場! 僕は人に笑われる事に慣れていないがYouなら平気だと勝手な理由を押しつけられた奈緒子は、母をマンションから追い出すとの脅しに屈した。
 お前のやった事は全てお見通しだ! お前は… 双子だ!! と言い放って「恥ずかしい…」と顔を押さえて次郎の後ろに隠れるものの、その通りよ! とあっさり認める美幸は洋子(佐伯日菜子・二役)なる双子の妹を呼び寄せるではないか!!はい皆さん御一緒に、『哲さん、有り難う!』
 最初から解っていたと言い出す次郎は、お前のやった事は全てお見通しだ! と便乗して奈緒子を呆れさせるが、妹は何も知らず何もやっておらずと言う美幸は全て自分ひとりの霊能力で殺人を行ったと宣言。罪を免れようとしても無駄だ! との弁に、ならば今度は姉妹ふたりを監禁すれば自分の霊能力が本物だと解ると言い放って、洋子の同意を得た。
 石原を引き連れて研究室に駆け付けた矢部は、よお似とるなぁ〜 と感心しきり。この状態で殺人が出来るのか? と問う次郎に、勿論です! と自信たっぷりの美幸に、殺す男の名は松井一彦と確認する矢部は「最も憎むべき最後の男」との言葉を受けて、本人と連絡が取れている事、彼の身に危険が迫ればすぐに携帯へ電話を入れるように手配をしたと説明。俺らもアホやない、先刻漏らした名前を聞き逃しはしなかったと結ぶ。
 良いアイディアだと余裕を見せる美幸はライフルを構えるパフォーマンスで、あの男には銃殺が相応しいと宣言。時計が2時45分を指した事を確認する奈緒子らに向かって思わせぶりにライフルを向ける仕草で、今更助けを呼んでも無駄だと呟けば『月の法善寺横町』の着メロが!!
 携帯に応じる矢部に、殺さないでくれ! 頼む!! と松井一彦が訴えるが、美幸が引き金を引いた瞬間、携帯から銃声が!! あの男の脅えた顔をあなたたちにも見せたかったとの弁を合図に、矢部は石原に確認を命じた。
 マンションで松井の銃殺死体を確認した石原が、やっぱり霊能力は存在するんじゃ… と震え上がる一方、瞬時の判断で通話を録音した矢部謙三38歳は侮れない! と次郎が評価。震えてメモのボタンをたまたま押してしまったのだろうと奈緒子は踏んでいるが、電話を切った矢部は犯行現場に落ちていた時計も2時45分だったと報告。パフォーマンスを始めた時間、携帯の着信記録共に2時45分だが、姉妹は間違いなくこの部屋に居た…。しかし何やら閃いた奈緒子はもう一度通話を聞きたいと申し出るが、アカンと言いつつ言い出したら聞かない女だと評する矢部は、不感症に多いと指摘。「普通ですよ」と奈緒子が返せば、美幸は帰ると言い出した。
 そうはいくか! と止めようとする矢部を制する次郎は、科学が霊能力の存在を認めない限り誰にもあなたは裁けないと認めるが、通話を聞き返す奈緒子は何やらに気が付いた! 一同にそのまま待つよう告げて「上田! 車をおだし」と命じるや松井のマンションに急行した。
 タイマーか何かが動いているような『ジー』音が聞こえたと言う奈緒子は、普通2時45分などと半端な時間にタイマーをかけるだろうか? との疑問にブチ当たるが… 水槽のナマズに着目! 懐かしいと目を輝かせる次郎は、かつてアマゾンの巨大ナマズ・デビルフォンクと大格闘! そればかりかボルネヤの人喰いワニ・ブラックポスとも戦い、スリランカの巨大毒蛇・バルナーブルに巻かれて飲まれた事もあるとの弁に、それは『金曜スペシャル』では? と突っ込む奈緒子は、つまらん事を言わずに一緒に考えてくれ! と言いつつナマズ水槽のタイマーに着目した。
 留守中、魚に餌を与えるタイマーだと説明する次郎は1時にセットされていると指摘。動かせるのか? と言われてつまみを回せば『ジー』っとタイマーがまわってスイッチオン。『ズゥイー』と餌箱がまわり始めて… この音だと言う奈緒子は「解けた!」と声をあげて、研究室に引き返した。

 どんなに不思議な霊能力にも、そこには必ずトリックがある。この世に霊能力など存在しないのだ… と繰り返す奈緒子は、マジシャンだった父を尊敬し、愛している故に父の言葉は信じたいと前置いて、おまえらの事は全部お見通しだ!! と声高に叫ぶと、松井を殺害したのは美幸だと指摘! 一同の前に居た私がどうやって松井を殺せたと言うのか? との挑戦に、殺害時刻は2時45分ではなく1時だと指摘して、殺害シーンを仮想。『頼む、殺さないでくれ!!』と脅える松井に迫ってライフルを打ち終えるまでを録音した美幸は、置かれていたメモを見ながらパソコンを使って2時45分に矢部の携帯電話にコールするようにセット。室内の時計を2時45分に合わせて壊した後、研究室で時間を見計らってパフォーマンスを始めた… と迫る奈緒子は、何故1時に殺したなどと? との問いに、水槽タイマーが1時にセットされていた事を暴露。その音が矢部の携帯に入っていたが、2時45分に電話をかけたのならば絶対に聞こえない音だと言うが、良く出来た話だと余裕の美幸は、その推理にはひとつだけ欠点があると反撃。会いたいと連絡して来たのは奈緒子たちの方で、もし私が松井を殺したとしてもそちらからのコンタクトがなければそのトリックは成立しない。あまり時間が経てば死亡推定時刻がずれてしまう訳で、どうやって私にあなたたちの動きが予想できたのか? と迫る美幸に、その答えは僕が御説明しましょう! と次郎が立ち上がった。
 あなたは僕が1時20分になれば双子に気付き、必ずあなたの前に現れると予測していたのだと指摘。まさか霊能力で予測したと? との弁に『双子大会』だと返す次郎は、その番組を見る事を美幸は知っていたと言い切って『何やらがかにやら』と台詞がボカされたシーンを回想。今週の『哲 この部屋』はスペシャル企画で… の後は『芸能界、スポーツ界、その他各界の双子ばかりを集めた“双子大会”で』と発言して『実に興味深い』に続いた事が判明。だから簡単に予測出来たのだと説明に続いて、この計画の為に双子である事を隠して生きて来たのだと言う奈緒子は、何故そこまでしてあの3人を? と迫るが、どうしても霊能力を信じないのかと言い捨てる美幸は、全員殺してやる!! とライフルを構えるポーズを取ると「やめて、お姉ちゃん!」と悲痛な声をあげる洋子は、事の経緯を話始める。
 姉妹の愛する父は12年前に3人の男たちによって事故に見せかけた保険金殺人の餌食にされた事、その事故は第6話の冒頭シーンの交通事故だった事を説明。復讐を誓ったふたりはいつか3人を殺してやると心に誓い…。美幸が監禁されている間に梅木と竹下を殺害したのは自分だと告白。そして松井を殺したのも然りと続ける洋子は、ふたりで共謀したのだ指摘する矢部に、姉は関係ない! 全部自分がやった事で、姉は自分に霊能力があると勝手に信じていただけだと訴えて美幸に同意を求めた。
 あっさりと認める美幸はこの子の言う通りで私はやっていない! と言い切ると、呆れる矢部を無視して「馬鹿ねぇ、あなたも…」と言い捨てる。唖然とする洋子の顔が苦痛に歪むと同時に、口から血が滴った。
 お姉ちゃん? と信じられない様子のまま血を吐いて倒れた洋子は絶命! まさか妹に毒を? と驚く次郎に「知らないわ」と言い捨てる美幸は、洋子が罪を悔いて勝手に飲んだのだろうとうそぶくものの、お前みたいな奴は絶対に許さん! きっちりと法の裁きを受けさせたる!! と矢部がその手を取った。
 部屋を出る際に、次郎に向けて『霊能力で人は殺せない』との弁を裁判でもちゃんと証言して下さいと告げる美幸は「それとあなた」と奈緒子に向かって、あなたの求めている真実は必ずしも白く正しいとは限らない! と言い捨てて矢部に連れられて行った。
 屋上でひとりたそがれる奈緒子を食事に誘う次郎は、美味しいリングイネを食べさせる店があると洒落込んだ。が、御馳走になれば寝ちゃうかも知れないと御辞退申し上げる奈緒子は、そんなふしだらな人間ではない! との弁に、お互い昨日から眠っていないし今夜は母も待っていると笑みを残してオートロックのマンションに向かうが、里見の姿は無く…。何処へ行ったのだろう? とアパートに戻ってみれば、里見が家を出る際に作った豪華なお弁当と『お帰り、奈緒子。お母さんは今夜の夜行バスで帰ります。色々有り難う。奈緒子の元気な顔を見られて、お母さん嬉しかった。身体に気をつけて頑張って下さい』と達筆で記された手紙が残されており… 思わず微笑むものの「でもどうしてここが解ったのだろう」と首を傾げる奈緒子で… 『トリック』第7話、end。

▲全くもって『哲さん、有り難う!』だった第7話。渡辺哲さんは味わい深い貴重な俳優さんだが、その木訥とした雰囲気から想像すれば、『哲 この部屋』はさぞかし話の弾まない35分間の気まずい雰囲気を楽しむ番組かと想像する次第だ。物理学者にとって各界の『双子大会』とはそんなに興味深いモチベーションなのだろうか? との疑問が沸き上がるが、今回の美幸は父の復讐と共に疎ましく思っていた『双子』の妹・洋子をも消してしまったらしいので、こちらの精神状態の方が俺には興味深かった。佐伯日菜子ファンにとっては二役は益々目に嬉しい限りだったが、姉に虐げられ続けて来た気弱な妹・洋子もなかなかの好演で益々好感度がアップした。今回のトリックだが、『ここで3人目を』との挑発に乗った件は、次郎に向かって鉄パイプを振り下ろして止めるように仕向けたのだろう。矢部は『松井一彦』の名を聞いて2名の被害者との接点で特定。身柄の保護か警護を申し出たと想像するが、保険金殺人犯の松井は申し出を断ったのだろう。殺害現場の声を録音してパソコンを使った携帯電話の件は、メモを発見しなければパフォーマンスの際に次郎の研究室に電話をかけるように言うつもりだったのでは? と好意的に解釈してみた。因みに里見がアパートを探し当てたのは手紙を出した住所からだと思うのだが、それを不思議がる奈緒子ったらおマヌケさん! ってオチなのか?
 さて来週は、『千里眼の男』『透視実験』とテロップが表示されて、悪質な霊感商法じゃないか! と次郎が声をあげれば、私の千里眼がインチキ? と迫るゲストは劇団☆新感線の橋本さとし氏。なにやらおかしな連中のなかには大木凡人さんの姿も見える。相変わらず内容が掴めない予告だが、期待して待とう!


● トリック  ●

第6話<8月18日(金) ヨル11:39〜00:34 テレビ朝日系>
脚本:林誠人 演出:大根仁

山田奈緒子(23)仲間由紀恵/上田次郎(35)阿部寛/矢部謙三(38)生瀬勝久/石原達也・前原一輝/ジャーミン・アベディン モハメッド/松井一彦・深水三省/山田里見(58)野際陽子 ほか
6話ゲスト:黒坂美幸・佐伯日菜子/竹下文雄・小山彰一 ほか


 日本には古くより『丑の刻参り』なる民間信仰がある。恨みに思う人間を呪い殺す為、丑の刻に神社の神木に藁人形を五寸釘で打ち付けるなる行為だが、時は第二次大戦直後。秋田県で夫の浮気相手の名前を書いた紙を五寸釘で神木に打ち付け、呪い殺そうと願を掛けていた農家の主婦が逮捕された。被害者側は殺人未遂罪での起訴を望んだが、裁判所は呪いと殺人の間に因果関係を立証する事は出来ず、やむなく脅迫罪を適応した。それは同時に人を呪い殺しても罪に問われない事を法が認めた瞬間でもあった… とのナレーションの後、とあるカーブを猛スピードで走ってきたトラックを避けた乗用車がガードレールに激突。炎に包まれた運転席でドライバーが息絶える様子をトラックから降り立った3人の男が見つめていた…。
 そしてある日。またまた家賃を滞納している山田奈緒子(仲間由紀恵)は、母・里見(野際陽子)からの速達を受け取った直後に大家(大島蓉子)の襲撃を受けた。明日には必ず支払います… と誤魔化すが、明日の来ない今日はない。だけど家賃の来ない今日は5日目! と指摘する大家は、払えないのならばそれなりの誠意を見せろと迫れば、バングラディシュ人のジャーミン(アベディン モハメッド)氏が『貧乳ブルース』(命名:阪本)を口ずさみながら障子を張り替えている訳で、後で風呂掃除を… と申し出る奈緒子は、何故か上田次郎(阿部寛)に呼び出されて研究室を訪れた。
 結婚相談所のコンピューターが『叩き出してしまった』お見合い相手3名の写真を示して、女性の目から見た率直な意見を求める次郎は、ごたくを並べながらも、『ひとりで練習してきた』と童貞を匂わせてしまう。おやおや。
「巨根が淋しいんだ。エヘヘ!」と奈緒子が声をあげると、いつの間にやら石原達也(前原一輝)を引き連れた矢部謙三(生瀬勝久)が登場! 先生に御相談したい事がある、と霊能力者・黒坂美幸(佐伯日菜子)を紹介。その美しさに息を飲む次郎に、彼女と一晩一緒に過ごして欲しいと申し出るではないか!!
 即OKの返事を確認して、次郎を廊下に呼び出した矢部は、美幸が霊能力で3人の人間を殺すので警察に監禁、監視を申し出た事を説明。警察の監禁状態下で殺人が行われれば完璧なアリバイになると続ける一方、研究室で美幸が手をかざすと同時に書類が舞い上がった。
 開いている窓に気付いた奈緒子は慌てて窓を閉めるが、クールに微笑む美幸が「私はこれから霊能力で3人の人間を殺します」とにこやかに宣言する一方、監禁=縛り、口にピンポン、ロウソク、ヌンチャク… と大きな目を輝かせる次郎はcome down come down〜と囁く矢部に妄想の世界から呼び戻された。
 つまりA地点に監禁された美幸が、距離を隔てたB地点にいる人間を霊能力で殺すと? との確認に、そうらしいと返す矢部は「有り得ない」との弁に同調。我々も市民の税金で食べている身ゆえにそういうバカらしい事に関わっておる暇はないと説明すると、僕に監禁して縛れと、無料で? と嬉しそうな次郎に、いつもどんな店に行っているのか? と呆れつつ、一晩は長いですよ〜 ひとりで練習してきた成果が花開くかも知れませんよ? と『花開く』を3回繰り返せば、その甘い誘惑に上田次郎35歳は勝てる筈もなく…。警察は事件にならないと動けません! と言い切る矢部は、「この辺でドロンさせて戴きます」と、石原と共に『ドロン』。私もこれで… と『ドロン』を決めた奈緒子は家賃を貯めた大家に掃除を頼まれているのだと説明。それではお楽しみください、ドロン!! と声をあげるが、行かないでくれ! と縋る次郎は、一晩は男と女が過ちを犯すには充分な時間。過ちは嫌いだ、そこに愛がない!! と悲痛に叫んで家賃3ヶ月でどうだ? と申し出るが、奈緒子は片手をあげて5ヶ月分を要求。明日振り込むとの弁に、キャッシュで! と強気で返した。『愛』とは高くつくものだ…。

 そんなこんなでプライベートで使っている『秘密の研究室』に場所を移して、自分は超能力や霊能力に否定的な立場をとっていると説明する次郎は、どんな不思議な超常現象も科学で説明出来ると宣言。「愚かだ」と言う美幸は、霊能力は確実に存在するが、多くの人たちは気付きもせず理解もせず認識もしないと指摘。何も知らないという事は幸せな事か? 愚かな事か? と迫られた次郎は、そこまで言うなら目の前で霊能力を見せて欲しいと迫るが、それは最初にあなたを殺せとの意味か? と問われて、ちょっと見たい=無料体験コースがあるだろう? と弱気を見せた。
 わかりました、無料体験コースですね? と笑顔で快諾する美幸は、そんなコースが本当にあるのか!? と驚く奈緒子を無視して、次郎の『手を取って』握るように促した。
 私は頭の中でイメージした事を霊能力で現実に起こす事が出来るとの口上を述べて、灰皿の灰を手の甲に乗せて、「手の平に灰が移動します」と予言。甲の灰を払いのけて手を開かせると確かに手の中に灰が付着しているではないか!! これで私の力がお解りになったと思います、と自慢げな美幸に、いい加減にして欲しいと歩み出る奈緒子は、子供騙しだと指摘。『指に灰を付けて次郎の手を取った』とのトリックを披露。な〜んだ。予測した通りだ… といつものように次郎が取り繕うが、こんな事をしてなにが目的なのだ! と迫る奈緒子に、慌てず騒がずの美幸は、あくまでも霊能力で3人の人間を殺す! と宣言。両者睨み合うの図を「女の喧嘩は醜いから」と次郎が割って入った。
 すると『梅木隆一』なる人物の名を口にする美幸は、死に値する憎むべき男、これからその男を絞め殺します! と予告するや、このベルトが見えるかしら? とベルトを取り出す仕草の後に絞殺の仕草を披露! 今、殺しました。嘘だと思うならこの先の崖の下を探して見てください。真実が見つかる筈です… と言い放った。そんなバカな!
 ふたりは駐車場に向かうが、美幸をひとりにしておく訳にはいかず… ジャンケンで決めよう! と言う奈緒子に1回勝負は確立論的に不利だと言う次郎は、「弱いんだ」との御指摘に、自分はグーを出すが信じる信じないは君の自由だ! と迫り、私はパーを出しますと言う奈緒子にあっさり負けて『素直な性格』を見抜かれつつ、渋々車で現場に急行。部屋に戻った奈緒子は、真実が見つかか嘘が見つかるか楽しみですね! と言い放った。
 何で大学院まで出た俺がこんな事をしなければ… と腐りつつ現場を捜す次郎は、シスターと坊さんの濡れ場を目撃して、「これが真実か?」などと言いつつ、『渇!』と追い払われて更に捜し続けると、男の死体を発見! 死体と同じポーズで気を失った…。
 現場に駆け付けた石原は、何故矢部が来ないのか? と問う奈緒子に、兄ぃはこういった強い風の吹きそうな場所は苦手と説明。また気絶したのかと指摘された次郎は、真実はあった… と漏らしつつ、死因は絞殺による窒息死、死体の状況から殺害現場は崖の上で犯行直後に突き落としたらしい、所持品の免許書から被害者は『梅木隆一』である事を説明。しかも死亡推定時刻は1時間前の午後10時であるとの弁に、美幸が『遠距離殺人』を演じたシーンを回想すれば、部屋の時計は10時を指していたのだ。
 研究室を訪れた矢部から、本当に殺した訳はないと言われた美幸は、蝶々がついていたと発言。「ミヤコ?」とのボケは無視して、綺麗な蝶々だと続ける一方、現場で発見された凶器のベルトには七宝焼きの蝶々が付いていた事が判明。「高そうだ」と次郎、「ミヤコ?」と上司に習って石原がボケるが、美幸の予言通りだと奈緒子が指摘! 急いで指紋を調べるように命じる石原は、解ってしもうた! あのベルトは凶器のホンの一部だと発言。美幸は次郎の研究室からもの凄い長〜いベルトを使って男を絞め殺した。長さにして5千メートル、そのベルトの残りが現場に残っている筈だ! と実に愉快な結論に達して「これで決まりじゃ〜〜! ドットコム」と意味不明に吼えた。『ドットコム』ネタは面白い!

 そんな石原の推理が当たった訳ではないが、ベルトの指紋も被害者が握っていた毛髪も美幸のものと一致したとの連絡を受けた矢部は殺人容疑での逮捕を迫るが、確かな証拠でもあるのか!? と迫る美幸は、部屋に居たアリバイは奈緒子&次郎が証明してくれる筈だと主張。どうやって、何時殺した? 死亡推定時刻は? と迫り、霊能力を使って…との弁に、霊能力の存在を否定していたのでは? 霊能力を使って殺したという確かな証明が出来るのか? とたたみかけた。
 確かに監視していたのか? と焦る矢部が、長〜いベルトを持っている筈だ! と迫る石原を回し蹴りでぶちのめすと、ハッキリしている事がひとつだけあると言う美幸は、この先私が霊能力で何人の人間を殺そうが、科学を霊能力の存在を実証的に解明して法律がその存在を認めない限り誰にも私を裁けないと断言。人を呪い殺しても法では裁けないと聞いた事があると言う次郎を連れ出した奈緒子は、一瞬ふたりが部屋を出た事を指摘。まさかその時間に殺したと? と懐疑的な次郎に、空白の時間はそこしかないと言うものの、駐車場までは往復4分。その間に5キロ先の崖まで行って男を絞殺後に帰って来るなど有り得ないとの弁に、物理的に不可能でもトリックを使えば… と死体発見現場へと赴いた。
 到着時に既に5分。まさかテレポーテーション? と言う次郎に「本田美奈子?」とボケる奈緒子は、それは『テンプテーション』との突っ込みを戴いて、瞬間移動か… と納得。知ってんじゃねぇか!? と楽しい会話の後に、瞬間移動とはこんな感じか? と奈緒子は消しゴムの箱を器用に指で操って見せて… 「有り得ません」と言い切ると、何か手掛かりは残っていないか? と周囲を見渡した拍子に、ポケットに入れていた母からの速達に気付いた。
 明日東京で書道の展覧会があると言う里見は、オートロックのマンションを見てみたいので、一晩だけ泊まりたい… との申し出に、1話で見栄を張ったオートロックか… と眉間に皺を寄せる。が、東京駅の『銀の鈴』に迎えに行く事を約束した奈緒子との電話を終えると、部屋の電球がショートする現象に里見は驚愕。沖縄弁? なのか、よく解らない言語に「怖ろしい」とテロップ表示される一方、明日か、困った… と頭を抱える奈緒子を、猛スピードで走ってきたトラックのライトが照らした!! 咄嗟に庇う次郎に礼も言わずに立ち上がる奈緒子が「気をつけろ、この野郎!!」と声をあげるが、トラックはカーブを曲がり際に荷台から空缶を落として走り去って行った。
 こんな深夜でもトラックが通るのか? と尋ねる奈緒子は、大きなゴミ集積場が出来て昼夜問わず『ひっきりなし』との弁に、彼女のトリックが解けた! と声をあげて、ふたりは研究室へ引き返すが、矢部は『謎がとけたら電話をくれ』との伝言を残して『ドロン』。
 どういうつもりだ? 人には監視を命じておきながら。叩き起こしてやる! と次郎は受話器を取るが『正しい事が大好きな矢部謙三は…』と留守番メッセージが流れる訳で、『警察に協力するのは市民の義務です。じゃぁメッセージをどうぞ! いち、にぃ、さん。にゃぁ〜〜!』とのテープに『ずれる。ずれる。はずれる』と愛を込めたメッセージを贈った次郎は、陰険だと指摘する奈緒子に、これでうなれるだろうとコメント。帰る! 警察が寝ているのに市民が起きているとの理不尽さを訴えるが、疑問を疑問のままにしておくのは学者らしくないとの挑発に乗せられて、『物理学者として…』と呟きながら美幸の待つ部屋へ向かった。

・首を絞めるパフォーマンスを始めた時には梅木はまだ生きていて、時間を確認させる為に時計の前に立ったのは『ミスデレクション』なるマジシャンが良く使う手。
・奈緒子と次郎が部屋を出た直後に部屋を抜け出した美幸は、徒歩1分の外通路に直行。あらかじめ呼び出しておいた梅木を絞殺。
・下に停車していたトラックの荷台に梅木の死体を落として、すぐに部屋に戻った。
 との推理を披露する奈緒子は、この周辺にはゴミ集積場に向かうトラックが頻繁に行き来する事を知っていたのでは? と迫り、何故トラックがそんな所に停まっていた? と尋ねる次郎に、ジュースの自販機がある事を指摘。トラックは梅木の死体を乗せたまま走り出して、次郎が探しに行った崖を通ってもうひとつ先の殺害現場とされた『カーブのある崖』に向かった。そこでカーブを曲がったトラックが『慣性の法則と遠心力』で梅木の死体を振り落として行った、と説明。わざと『この先の崖』と曖昧に表現した訳は最初に手前の崖を捜させる為で、最初から『カーブのある崖』と指定すればこのトリックは成立しない。
 と聞いて、見事なものだ。驚いた… との感想に、次郎は「やっぱりなぁ」と便乗するが、なぁんちゃって! と一転笑い出す美幸は、乱暴なこじつけをでっち上げられるものだとコメント。秘密の研究室に連れてきたのは次郎たちであって、部屋に来てから一度も外部と連絡を取っていない自分がどうやって梅木を部屋から1分の通路に呼び出せるのか? と迫った。
 百歩譲って梅木を呼び出したとしても、その時下にトラックが停まっている可能性は? もしトラックがなかったら? ドライバーは死体の落ちた音に気付かないのか? 崖の下を探せと言った事は事実。だが、たまたまふたりは揃って部屋を出て行っただけで、ひとりが残る可能性もあった筈。トラックが死体を落とさずにカーブまで行く可能性は? 途中で死体を落とす事やカーブを曲がっても死体が落ちない可能性もある。どれかひとつ欠けても奈緒子の推理は成立しない! あなたの推理は全て偶然を自分の都合の良いように積み重ねただけでは? と迫る美幸に「その通りです」と次郎が代弁。世の中には説明がつかない事がいっぱいある。もっと素直に現実を受け入れてごらんなさい? 不思議な事を不思議なまま受け止める方が、ずっと豊かな事では? と続ける美幸に、ふざけないでください! と声をあげる奈緒子は、霊能力を使って殺人を犯す事があなたの言う『豊な事』なのか? 霊能力なんて絶対に存在しない!! と言い放つが、敵も負けてはおらず。ここまで言っても解らないのならば本物の霊能力がどんなものか見せてあげましょう! と宣言した美幸は何やら見えないものを取り出してゆっくりとテーブルに置いた。美女対決はマジで怖いっす。
 ここに一本のナイフがある。刃渡りは20センチくらいか? と説明。見えないナイフを握って立ち上がる美幸は、「俺か?」と奈緒子を盾に脅える次郎ではなく、宙を刺すパフォーマンスを披露! 不気味に蛍光灯が点滅するなかでメッタ刺しパフォーマンスが続くと、どこからともなく吹き出す鮮血が美幸の白い服を真っ赤に染めた!!
 たった今ひとりの男を刺し殺したと荒い息で告げる美幸は、時間は午前5時。男の名前は竹下文雄と告げる一方、ウォーターフロントの公園でメッタ刺しにされた男が息を引き取った。
 水の音、川のせせらぎが聞こえたと続けて、もうすぐあなたたちにも真実が解ると予言すると、霊安室に呼び出された矢部が遺体を確認。所持品から被害者の身元が割れたと言う石原が『竹下文雄』41歳。保険会社の営業マン。死因はナイフで刺された出血死だと報告したところに『月の法善寺横町』の着メロが鳴りだした。
 あの留守伝はなんだ、お陰で『ナイトメア』を見てしまったと訴えるが、美幸がまた殺人を犯した事を伝える次郎から『竹下文雄』の名を聞いて、死亡推定時刻が5時、凶器のナイフが刃渡り20センチと確認。「やっと見つかったようね、真実が」と余裕で微笑む美幸を『なんですと!?』とばかりに睨み付ける奈緒子で… 『トリック』第6話、End。

▲『貞子』女優の対決が見応充分だった第6話。映画『らせん』で貞子、『エコエコアザラク』では黒井ミサ役の佐伯日菜子嬢には血糊が良く似合うなぁ… などと感心しつつ、一気にゲストの年齢が下がっての若い美女対決は目に嬉しい限り。だがトリックは全く解らず。冒頭でトラックから降りた3人が殺されているのだろうし共犯者が居るのだろうが、何処からともなく吹き出す鮮血を浴びてしまっては… 予測もつきやせんなぁ。奈緒子のアパートは5〜6万と想像するが、30万近くキャッシュで払ってでも『愛』を守る次郎の『純真と意志の弱さ』が愛しいやら情けないやら…。脚本&演出がチェンジしたがテイストとクオリティは全く変わっておらずで、しっかりした作り手のチームワークが頼もしい限りだ。因みに『何でもかんでもドットコム』的なCMが氾濫する昨今、石原の『ドットコム』ネタにはニタリとさせて戴きました。
 さて来週は美幸が3人目の男も殺害するようだが、短い予告では何が何やら解りません。一応来週解決らしいが、オートロックと偽ったお陰で里見が上田のマンションにやって来るのか? 霊能力で巨根の真偽を見抜いて欲しい所だが… 期待して待つぞ!!


製作:テレビ朝日・東宝株式会社/制作協力:オフィスクレッシェンド/プロデューサー:桑田潔(テレビ朝日)・蒔田光治・山内章弘(東宝)/ラインプロデューサー:内山雅博(オフィスクレッシェンド)/脚本:蒔田光治・林誠人/演出:堤幸彦・保母浩章・大根仁/音楽:辻陽/主題歌:『月光』鬼束ちひろ(東芝EMI/VIRGIN TOKYOU)

構成・文/阪本 悠


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