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Back Story: 6〜


● トリック  ●

第5話<8月11日(金)ヨル39〜00:34 テレビ朝日系>
脚本:蒔田光治 演出:保母浩章

<出演>山田奈緒子(23)仲間由紀恵/上田次郎(35)阿部寛/矢部謙三(38)生瀬勝久/石原達也・前原一輝/瀬田一彦・遠藤直哉/照喜名保・瀬戸陽一郎/霧島澄子・菅井きん/山田剛三・岡田眞澄/山田里見(58)野際陽子 ほか
5話ゲスト:ミラクル三井・篠井英介/公安課長・伊藤公安【きみやす】・中丸新将/塚田泰子・松井紀美江/有馬辰夫・二瓶鮫一 ほか


 山田奈緒子(仲間由紀恵)は、どんなものでも消してしまう『本物の霊能力者』らしきミラクル三井(篠井英介)のインチキを暴く為に、上田次郎(阿部寛)と共に村人が消えた宝女子【ほうめご】村にやって来た。
 奇妙な石像・不可思議な遺跡・現れては消える謎の少女等々… そんな異次元空間でミラクル三井は警官・前田を消し去った後に上田を連れ去って身体の一部を消すという新しい消失現象に挑戦。カツラ着用の刑事・矢部謙三(生瀬勝久)と共に、上田の服を着た首なし死体を発見した奈緒子は悲鳴をあげた…。
 驚く矢部は慌てて受話器を取るが電話は昨日から不通。使いモンならんぞぉ!! と叫んで兎に角ここを出て電話のある所へ! と刑事らしく機敏な動きで、泣き叫ぶ奈緒子を連れて村の入り口へと急ぐが、橋は忽然と消えているではないか!! 不思議やけどホンマやと認める矢部は、ミラクル三井が消した、奴は本物の霊能力者や! とカツラがずれる程に取り乱すが、あの首無し死体は本当に次郎なのかと疑う奈緒子と共に村に舞い戻った。
 次郎の肉体的特徴を何か知らないのか? と尋ねられて、ただ『大きな』人だとしか… と返す奈緒子は、『身体の一部』を確認するべく死体の下半身を露わにするが、モザイク処理された死後硬直状態の『身体の一部』は微妙なサイズらしく… これだけでは何とも言えないと危うく比べられそうになった矢部の見解も『微妙なとこやな』。良い死に方が出来るように今日から心を入れ替えよう!
 しかし次郎は夜中になにゆえこんな部屋に来たのかとの疑問にブチ当たる奈緒子は、無理矢理拉致されたのでは? との弁に、それでは声なり物音なりがする筈。何か聞いたか? とタメ口で尋ねるものの、おどれの歯ぎしりのお陰で聞こえなかった! と言われて、それは森のフクロウどもの仕業と返答。次郎が見ていた曼陀羅図と『母の悲しみは25年に一度。この世に大きな災いをもたらす。災いを防ぐ唯一の方法は…』と記された書を発見するが、曼陀羅図が何処かで見た事がある… と気付いた奈緒子は矢部と共に『不思議なモニュメント』を再び訪れると、ミラクル三井が現れた!!
 次郎のようになりたくなければ余計な詮索はしない方が良いと言われて、あの死体は本当に次郎なのか? 全ては手品のトリックなのでは? と迫る奈緒子は、手品で村人や橋を消せますかぁ〜 とニタつくミラクルに、物を消す力なら私にもあります! とトランプを取り出した。
 超能力者に手品見せてどないすんのや! との声を無視してトランプを一枚を引かせた奈緒子は、“スペードのエース”と言い当てて元の束に戻した。そしてトランプの束をミラクルに渡して今のカードをあなたの手の中から消してみせると宣言。胡散臭く念を込めると… 確かにカードは消えてしまうではないか! しかも別の世界などには行っておらずあなたのポケットに入っているとのお言葉通り、ミラクルのドハデ衣装のポケットには“スペードのエース”が入っている訳で… お前やったら出来るんやないかぃ! と喜ぶ矢部と共に『いぇい!』とVサインを決める奈緒子に、『べ』と、意味不明にリアクションするミラクルは、それがどうした? それよりもっと面白い消失現象をお見せしましょう! とマントをひるがえして『不思議なモニュメント』を消してしまうではないか!
 どうやってあんなデカイ物を消したんやぁあ! との声に高笑いのミラクルは、ベイブリッジやエッフェル塔を消してしまうマジックでは、そこに居た人たちは何処に行ってしまうのか疑問に思っていたと言いつつ、あなたもその世界に行ってみませんかぁ? と迫り、もしや向こうの世界で首から上だけの次郎と御対面出来るかも知れませんよぉ〜 と怪しく笑う。そしてあなたに私を消せる筈がない! と言い切る奈緒子にマントをかけた。
「やめろ!!」と叫ぶ矢部の声が途切れると、ふたりの姿は忽然と消えてしまい… 奈緒子がひとり茫然と立ち尽くす一方、母・里見(野際陽子)は何やら危機を察知! 眉をひそめて立ち上がった。
 ここは自分の居た世界なのか? と村を彷徨う奈緒子は『安室奈美恵とウーパールーパーを足して二で割ったような』不思議な少女を発見! そっと背後から近づくが、脅えて逃げ出す少女は「見つかったら殺される。私は生きていてはいけないんです」との言葉を残して消えて行った。

 フラフラと家に戻った奈緒子は、人の気配を感じておそるおそる引き戸を引くと… 服を着替えた次郎が現れるではないか!! 今まで何処にいたのか? との問いに「いにしえより…」とウンチクを語り始める次郎は、何処に居たのかと聞いているのだとの突っ込みを制して、それをこれから説明するのだと返答。『いにしえより』この村では女の子を産む為の研究がなされている事や、女児の如き石像が村のあちこちに置かれている等の風習が今回の事件と関係あるのでは? と踏んで昨晩資料館に赴いた。そこで件の曼陀羅図を発見。子供を抱えた母親の図と、『その悲しみは25年に一度。この世に大きな災いをもたらす。災いを防ぐ方法はただひとつ…』を結びつけて、もしかしたら『災いを防ぐ方法』というのは… と思った瞬間、目の前に仮面をつけた男が現れたのだと説明。それはビデオの冒頭に収録されていたミラクル三井だと指摘する奈緒子が、その後は? と尋ねるが、目が醒めるとあらわな姿で納屋の如き場所で縛られていたと返す次郎は、また気絶したのか! との御指摘に返す言葉もなく…。その後とある女性・塚田泰子(松井紀美江)が助けに来たのだと説明。話があるので、今晩村の外れの神社に来て欲しいと告げた泰子は、事件の鍵を握るキーウーマンなのだろう… としたり顔の次郎に、生きているなら何故すぐに出て来なかったのだ! と奈緒子は言い捨てた。
 自分はずっとここに居た訳で、居なくなったのはそっちだと返す次郎は色々調べる事があったのだと弁明。どれだけ心配したか解らないのか! と訴える奈緒子に、たった今会って解る筈がなく、物事を論理的に考えられないと欠点を指摘。「うるさい、上田」とスネられて、ひとつ忠告しておくと言う次郎は、「俺を愛してはいけない」と言い出して、君がいくら僕を好きになろうと全く君に興味はない! と宣言。私も巨根は困ります! と返す奈緒子は、ならばなにゆえ香水をつけているのか? との問いに、手品に使う為だと返してタネの説明を始めた。
 トランプのカードに香水をスプレーして上から別のカードを押しつけるとあら不思議。2枚のカードは貼り付いてしまい、下のカードは消えた事になるのだそうだ。ポケットにどうやってカードを入れたのかは企業秘密か?
 物を消せる事を見せつければビックリして真相を告白するかと思ったとの甘い考えを述べるものの、何か告白したのか? と身を乗り出す次郎に、一言だけ=『べ』と報告。一言ではなく一文字だろうと突っ込まれた奈緒子は、件のモニュメントも消してしまった事を告げて、ふたりは現地に赴いた。
 江戸時代の終わりに村に流れて来た犯罪者の青年が村娘と恋に落ちた。やがて村娘は女の子を出産するが、子供を取り上げた村人たちは子供を殺害。子供を失った母親は村人を恨んで自殺するが、それ以来25年に一度、女は蘇って村に大きな災いをもたらすとされて来たが、災いを防ぐ方法はただひとつ。村から幼い女の子をひとり選んでいけにえとして捧げる事こそが母親の怒りを静める唯一の方法と言い伝えられて来た。しかるに村では女の子は宝ものとされて、女子出産法が言い伝えられ、いけにえが捧げられる度に石像が道の傍らに置かれた… と説明する次郎は、その言い伝えと今回の事件とどんな関係があるのか? との問いに、消されたモニュメントが現存しているという事は、いけにえの風習は今でも続いており、今年は25年に一度の年に当たっているのだと説明。うるう年か… と奈緒子がボケる一方、筆を持つ里見は念を込めて『門構え』に『石』なる文字を書き記していた。何と読むのでしょう?
 村外れの神社に向かうと、そこに置かれた石像に『見覚えアリ』と着目する奈緒子は、沖縄出身の歌手… 喜名正吉? いや男だ、南沙織か? とボケまくるが、『うらに回ってください』とのメモを発見した次郎が指示に従うと、助けてくれた女性=泰子が待ち受けていた!

 自分は大変な罪を犯し、ずっと隠し続けていたが耐えられなくなった。これから話す事は全て真実なので外の人に伝えて欲しいとの訴える泰子は、橋が消えたので外に出られないと言う次郎に、橋は消えてなどいない、あなたたちの『目の前にある』と言うのだが…。闇を見つめて何かに脅える泰子は忽然と姿を消してしまい… 翌朝、ふたりはやはり橋が消えている事を確認。目の前って何処? と素朴に呟く次郎と共に来た道を引き返す奈緒子は、土の色が変わっている事に着目。もうひとつ道が隠されていた事に気付いたふたりは橋が消えていなかった事を確認すると、物が消えた事は全てトリックでありミラクル三井はインチキ超能力者であると断定。首なし死体はいったい誰なのか? の謎に挑む奈緒子は、次郎と同じくらい大きな人… と思案を巡らせた。
『からだの一部』を確認して、大した事はない… と次郎は鼻で笑うが、ガタイが良く結構鍛えている風でもあり、右手中指に何やらタコらしものを発見した奈緒子は、駐在所に向かった。
 件の死体は警察官では? と疑う理由が身体が大きく鍛えているからと聞いた次郎は、短絡的だと指摘。もっと大きければ自衛隊か? とせせら笑うが、右手中指のタコは射撃練習の痕では? との推理は無理がないか? とは言わないが、この駐在所の警官は前田ひとりの筈。しかし、そこに落ちていた前田の警察手帳の写真は見知らぬ男であり、手帳には血が付着しているではないか!! 一緒に村に来た前田は偽物で本物の『前田さん』はあの死体か? との結論に達するが、何の為に? との疑問が残る。
 仮に『偽前田』がミラクルとグルだとすれば、一瞬で消した方法は説明が付くと言う奈緒子は、怖がるフリの『偽前田』が、ついたてと共に異動して庭から逃げ出す姿を想像。問題はモニュメントが消えたトリックだと言う奈緒子は、再び現地に赴いた。
 そこでモニュメントが置かれていた跡を二カ所発見した奈緒子は、
・本物のモニュメントは前の夜に撤収。
・外見だけそっくりのモニュメントを反対側の地点に設置しておく。
・ミラクルの立ち位置後方に大きな鏡を置く。
・鏡に映ったモニュメントを奈緒子&矢部に見せてから鏡を撤収。
 との推理を披露。「成る程」と納得した後に「そんなバカな」と否定する次郎は、原理的には可能でもミラクルひとりで出来る事ではないと指摘するが、本当は誰も消えていないのでは? と返す奈緒子は、村には凄く沢山の人が居て、我々を監視しているのでは? と更に推理を展開。沢山の人が監視しながら隠れているから逆に姿が見えない、との弁に、もしそうならばこんな所で話しているのはマズイのでは? と次郎が指摘すると同時に奇妙な仮面を着けた村民たちが登場!!
「ほらね」と次郎は納得、おまえらのやってる事は全部お見通しだ! 観念しろ!! と啖呵を切るだけ切って奈緒子は逃げようとするが、『偽前田』が登場してふたりの推理が正しかったと認めると、本物の前田は村に赴任したその日に死んだのだ! と告げるや、司祭姿の村長・有馬辰夫(二瓶鮫一)が登場してネタバラしを始めた。
 次郎の説明した村の伝説は本当で、前田は赴任して来た日に儀式を目撃。本署に報告しようとした前田を『偽前田』が殺害して、そのまま本署に行ってミラクル三井と出逢った事を証言。計画通りに次郎ら『証人』を連れて村に戻ると三井と共に消失劇を演じた訳で、前田の資料処分は『偽前田』の仕業だったのだ。ほほぉ、成る程!
 三井青年は元々虚言癖があり、勿論消失現象は全てマスコミの仕組んだもの。インチキを見破られて世間から忘れ去られた失意のミラクル三井は、つい半年程前に村に戻って来たが儀式を見られた村民は咄嗟に奴を利用しようと発案。死んだ前田はミラクル三井に消された事にするべく今日に至る訳だ。なんと手の込んだ事を!!

 そんなバカな話を人々が信じる訳がないと次郎は言い捨てるが、実はおめぇのような偉い学者先生が調査に来ると聞いた時に村民たちは『しめた!』と思ったのだと言う村長は、その学者先生ひとりを騙す事が出来れば世間はミラクルの超能力を信じるに違いないと踏んで、手の込んだ超常現象を演出。村人一丸となって三井の妄想に付き合い続けて、橋が消えるだモニュメントが消えるだに協力していたと説明。矢部も無事に登場、その前に捜査に来た連中も別の場所でちゃんと生きているそうで、秘密をばらそうとした泰子も拉致されていたのだ。
 夜の神社で『闇を見つめて何かに脅えた』のは村民たちに監視されていた事か、と次郎は納得するが、まさか村民の総力を結集してのトリックを見破られるとは、と無念そうな村長が、そうとなればもう誰も生かしておく訳にはいかず… と結べば、取り囲んだ村民がジリジリ迫ってくる訳だ。
 だが、首から下げていたタオルをヌンチャクに宜しく振り回す上田次郎35歳が大活躍! 次々と村民をなぎ倒すの図に、いいぞ上田! と声をあげる奈緒子は「上田の手は長いぞ!!」と声援を送るが、鉄砲を突き付けられてしえば「ごめんなさい」と謝るしか術はなく…。こんな時には最もアテにならない矢部は奈緒子を盾に命乞えを始める始末だ。キッチリした奴だ。
「ご開帳〜」と村長の一声で洞窟の扉が開かれると、中には溶岩流が流れ有毒ガス立ち込めていると説明。3人を閉じ込めて村民たちの『ほ〜めご』コールで待つ事暫し。お〜ぷんざどあぁ〜 と扉を開けると3人の姿は何処にも見あたらず… 驚く村人の前に登場した奈緒子は移動の際に矢部のカツラがずれてしまった事を指摘。怪しく呪文を唱えると木陰から謎の少女が登場するではないか!! いけにえになったとばかり思っていた我が子・ひとみとしっかり抱き合う母・泰子に矢部は涙をぬぐうが、このままでは祟りが! と迫る『偽前田』に、死んだ母親の祟りなど存在しない!! と次郎が声をあげた。
 いけにえは誰ひとり死んではいない、洞窟の中には秘密の抜け道があり、閉じ込められて暗くなるとそこから光りが漏れて初めて解るのだと奈緒子が説明。日照りや大雨など昔から良くある事で、たまたま儀式が行われなかった年に何かが起これば、それはみな『母親の怒り』のせいに思える… 伝説の正体など所詮そんなものだと次郎が言い切ると同時に半鐘が鳴り響いた!
 火の見櫓に立つ三井に、村長は「サクゾウ〜」と呼び掛けるが、自分はインチキではない! と笑うミラクルは、最後にとっておきのものを消して御覧に入れようとマントを己の前に掲げた!!
 ヒラヒラとマントが落下すると地上に倒れるミラクルは駆け寄って来た奈緒子に、偽物と決めつけて満足か? と問い掛けた。「愚かな女だ… 私は本物の霊能力者を知っている…」と続けて、何処に居る? との問いに応える事なくミラクル三井こと三井サクゾウは息を引き取ってしまった。
 駆け付けた公安課長・伊藤公安【きみやす】(中丸新将)は、難事件を解決した次郎に感謝の意を述べると、これで出世間違いなし!! と揉み手の矢部に、何でまだ君が居るのか! と消えなかった事への不満を露わにする一方、『門構えに石』の書を満足そうに破り捨てる里見は『な〜んちゃ〜ってビューティフルサンデー♪』と意味不明に歌い出した。
 そして奈緒子のアパート前で車を止めた次郎は、今度こそは君とインチキ超能力とも本当にお別れだと言い捨てると、今のままでは一生彼女が出来ないとの弁に、余計なお世話だと返答。いっそ病院に行って小さくして貰った方が… と続ける戯言が『寝言』と気付くと、「小さい方が良い。助さん、格さん…」とのオチに「何だこの女?」と呆れる次郎で… 『トリック』第5話、end。

▲あっさり事件が解決した第5話。前田ひとりの死を隠す為に随分と御苦労様な事だが『過去の記録を消す』くだりは納得が行ったので良しとしよう。しかし狭くて結束の固そうな村で歴代の逃げたいけにえ少女たちはどうやって生き延びたのか…。ひっそり村を出たとしても親と離れてひとりで生きていけるのか? どのみち悲劇には違いない。
 さて来週は、パントマイムで人を殺す美人霊能力者が登場。演じるは若きホラーの女王・佐伯日菜子嬢で、仲間由紀恵嬢とは映画『リング』の貞子役繋がりだ。期待して待とう!!


● トリック  ●

第4話<8月5日(金)ヨル11:09〜00:04 テレビ朝日系>
脚本:蒔田光治 演出:堤幸彦

<出演>山田奈緒子(23)仲間由紀恵/上田次郎(35)阿部寛/矢部謙三(38)生瀬勝久/石原達也・前原一輝/瀬田一彦・遠藤直哉/照喜名保・瀬戸陽一郎/霧島澄子・菅井きん/山田剛三・岡田眞澄/山田里見(58)野際陽子 ほか
4話ゲスト:ミラクル三井・篠井英介/公安課長・伊藤公安【きみやす】・中丸新将 ほか


『母之泉』事件を見事解決した山田奈緒子(仲間由紀恵)に一泡吹かせてやろうと目論む矢部謙三(生瀬勝久)は部下の広島弁刑事・石原達也(前原一輝)と共にバイト先の沖縄料理店を訪れた。
 53枚全部が『クラブの9』のトランプを仕入れた矢部は、石原に店の公衆電話から自分の携帯に電話をするよう指示して、そのまま電話を繋ぎ続けておくよう命じると、携帯からどこに電話をしてもお前に繋がると説明。何を聞かれても『クラブの9』と答えるように言い聞かせた所で、奈緒子がオーダーを運んで来た。
 あ! お前あの時の… 偶然やな〜 と白々しく声をかけて、バイトしているという事は手品師の道を諦めたのか? と嫌味に迫る矢部は、嫌がる奈緒子を引き留めて『超能力は存在しない』と言っていたが最近自分にテレパシー能力がある事に気付いたと説明。電話越しに人に念を送る事が出来る事を今から証明するので、トランプを引くように迫った。用意が良過ぎてバレないか?
 嫌だ… と顔を背けるものの『インチキ野郎!』との挑発に乗ってカードを引いた奈緒子に、手帳を手渡して好きな人を選ぶように勧める矢部は、その相手に自分が念を送って今引いたカードを当てさせてみせると豪語! 公衆電話に向かおうとする奈緒子を引き留めて携帯電話を手渡した。
 手帳の中から『鬼のマーク』付きの伊藤公安【きみやす】課長を選ぶ奈緒子に、公安【こうあん】課長や! と訂正する矢部は自分で番号をプッシュするが、「お前かけぇやぁ」と携帯を差し戻した。
 番号をプッシュし直して、伊藤を確認。矢部が今から念を送ると言っているが… と説明する奈緒子から携帯を受け取って、突然自分にテレパシーの才能がある事に気付いたので今から『あるトランプのイメージ』をテレパシーで送る。そのイメージが届いたらそれが何かをお答え下さい、と淀みなく説明。携帯を頭に寄せて念を込めると「よっしゃぁ、大丈夫や」と差し戻すが… カードは何でしょうか? と尋ねる奈緒子から、もの凄く怒っているが? と携帯を渡された矢部は、物陰から『ダメダメ!』と手をクロスさせる石原を発見! 途中で番号を間違えたので一度切ってからかけ直したと奈緒子から聞かされて「うわぁ!!」と声をあげた。合掌…。
 翌日。件の公安課長・伊藤公安【きみやす】(中丸新将)は、所轄署の大槻を従えて上田次郎(阿部寛)の研究室を訪れた。
 マスコミには発表していないがとても不可思議な事件に直面していると前置いて、村が丸ごとひとつ消えてしまったと言う伊藤の、ある日突然村から人が蒸発したかの如く消えてしまったとの仰天発言に、午後から授業がある… と次郎は逃げようとするが、大槻が説明を続けた。
 三日前に宝女子【ほうめご】村の駐在署に前田なる警官が赴任したのだが、その日村に到着したばかりの前田は、村人が誰ひとりいない! と大槻に電話をして来た。
 そんなバカな事はないので良く捜してみろ、と返すものの暫くして再び電話をして来た前田は、この村は呪われている、と訴えて逃げ出して来るのだが、ショックで口もきけない状態! 村のどの家に電話しても応答がなく… 捜索隊を派遣したと続く伊藤は、彼らも消えてしまったのだと結ぶと、「そろそろ授業が…」と席を立つ次郎に、物理学者の立場からの見解を迫った。
 ひとつだけあります… と左手の指三本を示す次郎は、『ぎんざナウ?』とボケる伊藤に『フレミング左手の法則』と返答。親指を『力』、人差し指を『磁界』、中指を『電流』と示して、宝女子村のある地域では地底に溶岩流が流れていて磁場が発生する可能性がある事を指摘。『人差し指』の方向が磁場の向きとして、高圧線などが通っていて直角を刺す『中指』方向に巨大な電流が流れると、人差し指に対して直角に上を指す『親指』方向に力が生ずると、自慢げに結んだ。
 成る程〜 と声をあげる伊藤は、それで村人全員が空に舞い上がってしまった!? と納得。流石は学者先生! と持ち上げるが、それでは人間だけでなく鍋や皿等、全てが消えていなければおかしいのでは? と大槻が指摘。鼻歌で誤魔化す次郎は恐怖で打ち震える前田から事件の全容を聞いて奈緒子のアパートに上がり込んだ。

 バングラディシュ人の隣人・ジャーミン氏に日本語の歌を教えたなどと我が物顔でお茶を入れる次郎に、用がなければ帰れ! と言い渡すものの、用があるから上がり込んだとの弁に、ならば尚更お帰り願いたいと出口を指差す奈緒子は、本物の霊能力者の話を聞きたくない? との誘惑には勝てず…。
 ミラクル三井(篠井英介)の資料を見て「嘘くせぇ」と眉をひそめる奈緒子に、警官・前田はこの男が宝女子村の人々を消したと主張していると返す次郎は、おおまかに事件を説明した。
 駐在所に赴任したばかりの前田は、村人が誰ひとり居ない事に気付いてあちこち探し回ったが、そこにド派手コスチュームのミラクル三井が登場! 目の前でお地蔵様や鶏を消して見せ、消されそうになった前田は逃げ出して来た… と聞いた奈緒子は、マジで信じているのか? と呆れ顔で尋ねた。
 だが警察に調査を依頼したと言う次郎は、三井は宝女子村の出身で村人に激しい憎悪を抱いているのだと告げるや、『ぞうお… インド象?』とボケる奈緒子を無視して話を続けた。
 三井は僧侶の子として産まれ、本来なら寺を継ぐ筈だったが、厳しい修業を続けるうちに突然不思議な力に目覚めた。『消えろ』と唱えるやどんなものでも消してしまう三井は、物だけでなく痛みも病も借金までも消してしまうと聞いた奈緒子は、『借金』に鋭く反応して「いいじゃん」と返す。『借金だけ』ならね。
 しばらく村で霊能力者として活動した三井は後に上京。この世には目に見える世界ともうひとつ別の世界があり、自分はその世界の間で物体異動が出来ると触れ込んで、マスコミの前で幾つもの消失現象を演じて見せた。だが、ある時それがトリックである事が暴かれて大衆の面前で大恥をかいた三井は失意のうちに姿を消すが、それまでもてはやしていた村人までもが『恥さらし』と掌を返したように彼を迫害してしまったらしいのだ。
 つまりその時の復讐の為に三井が村民を消した? と確認する奈緒子は「本当に嘘くせぇ」と言い捨てるや、要は自分ひとりで村を調べにに行くのが怖いのでは? と指摘。出て行ってくれと迫るが、そこでタイミング良くバングラディシュ人のジャーミン氏の『貧乳なのよ〜 私は。胸がないのよ〜 昔はペチャパイ♪』なる歌が聞こえて来る訳で… どんな歌を教えたのか!! と奈緒子は次郎を睨み付けた。『貧乳ブルース』と勝手に命名させて戴こう。
 結局集合場所にやって来た奈緒子は、あのアパートに居たくないのだと『貧乳ブルース』の弊害を匂わせつつ、次郎が一緒なので前田もようやく同行する気になったと伊藤が感謝の意を述べる。
 絶対に嫌だ!! と叫ぶ前田を警官たちが無理矢理車に押し込む様子を微笑ましく眺めるふたりに、もう一人心強い助っ人を付けると矢部を紹介。
 刑事には珍しく超能力の持ち主らしいので、危険な場所があれば真っ先にこの男を行かせるようにと続ける伊藤から、この男なら『消えても』構わないと言われて、ご冗談を〜 と笑う矢部は、無論冗談で『消えろ』が本心だとのお言葉を頂戴しつつ、3人を乗せた車を走らせた。
 例えば前田が赴任して来た日に村をあげてのかくれんぼ大会をやっていた… と言い出す奈緒子は、ならば何故さっさと出て来ない? と突っ込む次郎に、かくれんぼ大会が終わった事が誰も解らないでは? と続けて、出て来られずにずっと隠れている子供が居たではないかと例をあげると、それはお前か? と矢部に指摘されつつ車は宝女子村に向かう一方、奈緒子の母・里見は書道教室の生徒に文字には不思議な力があるのだと説いていた。
 心を込めて書く文字は、願いを叶えてくれたり時には災いが近づかないように人々を守ってくれるのだと続けた所に、瀬田一彦(遠藤直哉)が訪ねて来た。災いが近づいたか?
 折り入ってお願いがあると聞いて「奈緒子は無理よ」と言い切るものの、それはおいおい… と返す瀬田は檜の板を携えて選挙事務所の看板を書いて欲しいのだと申し出る一方、村に通じる橋の前で車を止めた矢部は、私はこれで… と3人を置いて退散を決め込んだ。
 他に色々事件を抱えている事を上司は解っておらん! あとで迎えに来るが、署から連絡があれば「私は消えた」と伝えてくれ… と投げキスを残して車を走らせる卑怯者に呆れる3人は、山道を分け入って宝女子村に到着した。

 前田の説明通り村には人がおらず、民家には食べかけのカップラーメンやスイッチが入ったままのテレビや扇風機等々… 先刻まで人が生活していた事が見て取れる。その家に前田を残してふたりは村を見てまわる事を決め、道のそこかしこに置かれた子を抱く母の石像を気に留めつつ、別の民家に上がり込んだ。
『子は宝』『女を産みしかる後男を産め』なる書が掛けられた部屋で『男女の産み分け方法』が記された村の資料に目を通したふたりは、その後に不思議なモニュメントが置かれた一角を発見した。
 石柱に刻まれた文様がおたまじゃくしである事に気付いた次郎は、ここはカエルの学校か? とボケる奈緒子に呆れつつ、女性の体内だと指摘。この場所全体が女性の子袋だと説明する一方、奈緒子は不思議な少女を見かけるが、すぐに見失った瞬間、前田の悲鳴が聞こえるではないか!
 ふたりが駆け付けると、ミラクル三井が登場!! どデカイ帽子にビカビカのマント、白いスーツにメイクばっちしで「ボンジュール。ミラクル三井です」と自己紹介する胡散臭い輩を指差す前田は、こやつが村人を消したのだと証言。しかし「私、解ったんです」と言う奈緒子は、この人にそんな事は無理! と第一印象を率直に述べると、『ミラクルさん』と呼び掛ける次郎は、そんな格好で何をしているのか? 村で一体何があったのかを教えて欲しいと迫った。
 前田の言う通り、自分を迫害した罰として村人を消したのだと笑うミラクルは、どんなものでもたちどころ消す力があるのだと説明。「ウソ!」と言う奈緒子にマントをひるがえして『ミラクルワールド』なるタイトルのビデオテープを差し出した。如何にもインチキ臭ぇなぁ…。
 かつて自分が科学者たちに見せた消失現象だと言うミラクルは、我々の居る世界とは別にもうひとつの世界があり、あらゆる物体をそこに送り込む事が出来るのだと説明。ミラクルが幕を引くと乗用車が消えちゃったぞぉ! との消失現象が収録されているが… ありがちな映像のトリックだと指摘する奈緒子は、「あ〜あ、騙されるところだった。ミラクルに」とため息混じりでビデオを巻き戻した。
 野外駐車場の柱の影が消失前と後では微妙に違っている事を指摘。カメラ自体が幕と一緒に動いた証拠だと迫ると、カメラとミラクルが立つ小さなセットがレールで異動するイメージシーンが展開されて、駐車スペースは2セット用意されていて、バニーガール嬢やADたちは乗用車が置いてあるセットから隣の空セットに走って異動するネタが暴露された。
 昔の映画撮影で使われていた単純な技法だ! との言われように高笑いのミラクルは、15年前にも全く同じ事を言った人間が居たと指摘。収録日は風が強くて照明がずれたので影が変わっているのだと説明。「そんなの言い訳だ!」と突っ込む奈緒子に、その男も同じ事を言ったと返して、何処にそんな証拠がある!? と凄むミラクルは、その男の無責任な一言でインチキと決めつけられ、一生を台無しにされたと嘆きつつ、信じられないのならば今ここで前田を消してみせると豪語! やめてくれ〜!! と本気で脅える前田をじりじり追い詰めるミラクルは、何処に隠していたのか? いきなり三脚を組んで証拠用のビデオカメラをセット! ただ消すのではつまらないので過去ごと消してしまうと豪語してついたてを引き寄ると… 前田の姿は忽然と消えてしまった!!
 ナハハハ〜と高笑いを残してミラクルが部屋を出て行くと前田が消えた一角を調べる奈緒子は、落とし穴がない事を確認。となれば本物の超能力者か? と次郎は驚くが、過去を消すとはどういう事か? と返す奈緒子は矢部の携帯を鳴らした。
 ちゃっかりプールで泳いでいた矢部は『やだねったらやだね〜♪』でお馴染み『箱根八里の半次郎』の着メロ携帯に応じると、前田が消えてしまったので過去の記録を調べて早くこっちに来い! とのタメ口に、捜査中や! と偽るが、伊藤“実はなかなかの巨根”公安にまんまと見つかってしまい…。石原と共に資料に目を通すが、前田の人事資料だけがソックリなくなっているではないか! その事実に仰天しつつ何故か頭にタオルを巻いているのか? と迫る石原を殴る矢部は「触るな、俺の秘密に…」とヅラ疑惑を匂わせつつ、宝女子村に直行した。奇妙なぺったりヘアはやはりヅラだったか?

 しかし! じゃあ兄ぃ、グッドラックじゃけんのぉ〜 と言い残して石原は車で署に戻って行く訳で… 怖ない怖ない、怖ぁ! とビビリつつひとり矢部が山道に踏み入る一方、ビデオを見返す次郎は何処にもタネはない事を確認するが、奈緒子は、ミラクルの一生を台無しにしたのは父・剛三(岡田真澄)かも知れないと言い出した。
 偉大なマジシャンだった剛三は、霊能力者たちのインチキが許せずに何度か挑戦を受けていたと説明。全ての霊能力は奇術のトリックで再現する事が出来るとの信念で… と続けると、大勢の前でミラクルのトリックを暴くシーンを想像。殺したのも? との声を聞きながら『この世には本物の力を持った霊能力者がいる』と言い残した霧島澄子(菅井きん)を回想。いずれあなたを殺す為に現れるだろう… との予言に奈緒子が頬を凍らせる一方、矢部は『怖くない』を繰り返しながら山道を走っていた。
 そこに前出の不思議な少女が現れて、みんな消えてしまうので村には近寄らない旨進言して消えて行く訳で… かつらがずれる程驚いた矢部は「怖っ!!」と叫ぶと、散々道に迷った挙げ句に奈緒子らの待つ家に辿り着いた。
 道に迷っても電話が通じないと訴える矢部が変な女の子に会ったと続けると、安室奈美恵とウーパールーパーを足して二で割ったような子だろうと指摘しつつ、取り敢えずカップラーメンの夕食で雑談モードに突入した。
 若くてハンサムな日本科技大の助教授との『立派』な肩書きなれば女性にさぞかしモテるだろうと言われて、男女関係となると『立派』過ぎるのも考え物、と口ごもる次郎は、相手に嫌がられたり時には酷く傷付けたり… と返答。心の問題は微妙だと返す矢部に、心ではなく『身体の一部』の問題なのだと口を挟む奈緒子を次郎は一喝! などど深夜らしい下ネタで盛り上がりつつ、消灯。
 奈緒子は寝言、矢部はカツラを外して眠りにつく一方、里見は『包丁一本〜 さらしに巻いてぇ〜♪』と歌いながら墨を擦っていた。が、その墨が折れるという不吉な出来事に頬を強張らせると、寝付けない次郎はムックリ起きて部屋の探索を始めた。
 戸棚に隠されていた曼陀羅図を発見して、菩薩、精子マーク、女陰を連想させるマークを確認する次郎は、物音に気付いて窓を見ると部屋を覗いているお面を発見! 即座に気を失った。
 翌朝。障子に足を突っ込んだポーズで目覚めた奈緒子は、台所で中華料理を作っているエプロン姿の矢部から、男と一夜を共にした経験がないのだろうと指摘された。
 いえ、かなり多いですよ… と見栄を張るものの、ならば男に寝言を指摘されないか? と返す矢部は『遠山の金さんが旅先でこむらがえりにあって、惜しくも金メダルを逃し助さんと格さんに頭を下げたい』との寝言をなぞって、どんなシチュエーションやねん!? と突っ込んだ。
 支離滅裂な夢の話は置いておいて、いつまで経っても階下に降りて来ない次郎を起こすべく二階に上がった奈緒子は、「寝過ぎるとまたデカくなるぞ!」と呼び掛けて、朝食はスペシャルチャイニーズモーニングだと続く矢部は『ダンシングシュリンプファイアー!』だと食欲に訴えるが応えはなく…。枕の上に置かれたビデオテープを発見した矢部は、クンクンと匂いを嗅いで「ひとりで見てたな」とイヤらしい笑みを浮かべると、デッキにセットして再生ボタンを押した。
 窓から覗いていたお面を外すミラクル三井は、今夜のスペシャルゲストだと気を失った次郎を紹介。人間の身体の一部を消すという新しい消失現象に挑戦したいと説明して、次郎の頭に箱を被せると怪しく念を込めて… 箱を開けると次郎の頭は消えているではないか!!おぉ! やるな、ミラクル!
 高笑いで『ブゥラボ〜!』と自画自賛するビデオに、これはトリックなのだと落ち着き払う奈緒子は、図解を用いて『箱の中に斜めに鏡を入れると箱の中が鏡に映るので、正面からは何も見えない』のだと説明。本当はもの凄く驚きながらも、俺の思った通りだと誤魔化す矢部は、もっと難しいトリックかと思ったと、虚勢を張るが… 次郎は何処に行ったのだろうと部屋を見回す奈緒子が「ここだったりして」と引き戸を開けると、次郎『らしき』首なし死体が倒れ込んで来るではないか!!
 仰天する矢部と、いや〜ぁ!! と叫び声をあげる奈緒子で… 『トリック』第4話、End。

▲実に大掛かりなネタで新展開の第4話。初回なので終始説明に徹していた感は否めないが、矢部も絡んでの展開は、最後まで飽きずに楽しめた。演出が堤幸彦氏から保母浩章氏に変わったが、テイストが目立って変わったと感じる事もなく、安定感すら感じさせてくれるので、村民が消えたトリックは全く想像がつかないが、どう落とし込んでくれるのかを楽しみに待つ事としよう。『文字には不思議な力がある』『心を込めて書く文字は、願いを叶えたり、時には災いが近づかないように守ってくれる』との台詞には説得力があって思わず引き込まれてしまったが、瀬田一彦は今後話に絡んで来るのか否か… どうでも良い気もするが少々気になるところだ。月9『バスストップ』と掛け持ちで嫌味な上司を演じるベテラン中丸新将氏。アンドロイドフェイスの由縁かクールで嫌味な役が多いが、一度で良いから浪花節の人情上司を観てみたいなぁ…。
 さて来週は、あいつはホンマに超能力者やったんや〜 と矢部が頭を抱えれば、見つかったら殺されるの… と、ウーパールーパー嬢が激白。全部手品のトリックなんじゃないですか? と迫る奈緒子が、私が消せる筈ありません! と言い張るが、ミラクル三井が自信たっぷりにマントをひるがえす… と全く解らない予告なので、オンエアを待つしかないぞ!!


● トリック  ●

第3話<7月29日(金)ヨル11:09〜00:04 テレビ朝日系>
脚本:蒔田光治 演出:堤幸彦

<出演>山田奈緒子(23)仲間由紀恵/上田次郎(35)阿部寛/矢部謙三(38)生瀬勝久/石原達也・前原一輝/瀬田一彦・遠藤直哉/怪しい男・瀬戸陽一郎/山田剛三・岡田眞澄/山田里見(58)野際陽子 ほか
1〜3話ゲスト:霧島澄子・菅井きん/津村俊介・山崎一/大森美和子・伊藤裕子/青木・河原さぶ/木田知世・棟里香/今村・多田木亮祐 ほか


 怪しい教団『母之泉』に乗り込んだ山田奈緒子(仲間由紀恵)と上田次郎(阿部寛)は、信者の大森美和子(伊藤裕子)を連れて教団本部から逃走。教団信者だった息子を原因不明の病で失ったという青木正吾(河原さぶ)の家に逃げ込んだが…。翌朝、美和子の死体を発見した奈緒子は絶叫! しかし冷静に部屋を見回して、昨晩は自分と美和子だけが眠ってしまった事を回想しつつ台所でピチャンピチャンとしたたり落ちる水音に鋭く反応! 水道の蛇口に歩み寄って水を止めると同時に、オイ手品師! われ金田一かい!? と下品な声をあげる本庁刑事・矢部謙三(生瀬勝久)にザルを投げつけた! 頭にザルを乗せる矢部の横をすり抜けて裏庭にまわると、そこでも水道の蛇口から水がしたたり落ちている事を確認。自分と美和子だけがキジ汁を食べた事を回想して再び部屋に戻ると、その一角に木彫りの熊を発見。熊をどかして後ろのカーテンを思い切って開けると、そこにはビックマザーこと霧島澄子(菅井きん)の肖像画が飾られているではないか!!
 思わず“おっかぁさまぁ〜”ともらす次郎を従えて庭に出た奈緒子は、あんたのせいではないので気を落とさない事だと声をかける青木をいきなり殴りつけた! あいつらとグルになって我々を助けるフリをして美和子殺害の手助けをしたのだと指摘。澄子の肖像を見つけたのだと説明する奈緒子は、息子が飾っていたものだとの弁明に、キジ汁を食べた自分と美和子は眠ってしまったが、ベジダリアンを語った食わず嫌いの次郎だけは眠らなかった事から睡眠薬を混入したのだと迫った。
 そして仮にグルだったとしても、部屋には誰も入って来なかった事は次郎が認めているとの反論に、部屋に入らずとも美和子の殺害は可能だと続けて、こそこそ帰ろうとする信者の津村俊介(山崎一)らに、お前ら待て! 逃げるのか? ここに居ろ。お前らのやった事は全てお見通しだ! と挑んで謎解きを始めた。
 部屋に入って来た人間は居なかったと証言した次郎に、逆に出て行った人はいなかったか? と尋ねると、確かに一度起きた美和子が出て来たと証言。その後水道の水を飲んだのだろうと言い当てる奈緒子は、その水に毒が仕込まれていたのだと言う。それでは犯人は水道局か? と津村が良い突っ込みを入れるが、キジ汁でふたりが眠った後に青木の手引きで家に侵入した一味は裏手の水道の蛇口を外して毒を混入。水道管の中を広がって行く毒水を飲んだ美和子は死の眠りについたとの説明に、エントロピーの法則か… と上田は納得。なんですかそれは? と矢部刑事がもらす。
 エントロを聞いてピ〜ってボタンを押す『エントロクイズ、ピー』じゃのう、先生? と広島弁刑事・石原達也(前原一輝)のボケを一同は無視。科学では全ては説明出来ないと津村は余裕をかますが、後は死体発見のどさくさに紛れて青木が遺書と薬瓶を布団の下に忍ばせたのだとたたみ込む奈緒子に、外の蛇口を開けておけば毒は流れて証拠は残らないと次郎が続いた。
 そして美和子がもし水を飲まなければどうなったか? あるいは次郎たちが飲んでしまったとしたら? と迫る津村に、奈緒子自身が死んでも呪いだと言い張る事は可能であり、まして呪いのかかった上田次郎は死んで当たり前… とあっさり言われた次郎は唖然! どう思うか? と矢部に問う津村は、取り敢えずここは自殺という事で… と及び腰の見解に、それでは困る。ふたりには『母之泉』に戻って戴いてじっくりと話し合おうではないかと提案。それもまたややこしくなると言う矢部の心配をよそに、我々から逃げるのか? と迫られた奈緒子は、受けて立つ事に決めた。凄い勇気だな、奈緒子!
 大勢の信者たちが見守る中、ひとりの人間を死に追いやったばかりか責任を押しつけようとしていると迫る澄子は、事実を明らかにしたいだけだと返す奈緒子に、本気で非難するのならばマジシャンの命ともいえるひとさし指を掛けて勝負をしようと迫った。
 母親からギャンブルは禁止されていると返すものの、黙らっしゃい! と制する澄子は、こちらのお母さんばかりかうちのお母さんも賭事はダメだ… と口を挟む次郎をも黙らっしゃい! と一喝。本当に心を読む事が出来る証明として、心に思い浮かべた二桁の数字を言い当てるのだと言う。どこの母親もギャンブルには厳しいと思うぞ。
 外れたら幹部らの前で権威を失い『母之泉』はバラバラになるであろうが、当てた時はひとさし指を… と迫られた奈緒子は、受けて立つと返答。お母さんに何と言うつもりか!? と驚く次郎は、あっちのお母さんの力が本物だったらどうするのだと慌てるが、本物の筈はないと返す奈緒子は、渡された紙に数字を書くように迫られた。
 張りつめた空気の中で、隠しカメラも鏡もないが調べるならどうぞと促された奈緒子は、様々な数字混じりの『書』が掛けられている部屋をぐるりと見回してから“おっかぁさまぁ〜”コールの中で『74』と書き記した。

 木札の中から2枚を選んだ澄子は、奈緒子が記した一の位を尋ねると『四』の木札を示して、十の位は? と迫る一方、奈緒子の母・里見(野際陽子)は、村の祠の前で倒れていた。
 夫・剛三(岡田真澄)が『霊能力者は本当に居るんだ』と訴えて息を引き取るシーンを脳裏に浮かべながら「奈緒子を守って…」と呟く一方、木札の『七』を示す澄子に“大当たりぃ〜〜”と信者たちが声をあげた!! 「指、戴きます」と津村たちはふたりを取り押さえるべく立ち上がるが、通信講座で取得した空手で果敢に立ち向かう次郎は、奈緒子を連れてその場を逃れて縁の下に身を潜めた。
 強いのは解ったが、ならば何故逃げ出すのか? トリックが解ったのならばはっきり言ってやるべきだと言う奈緒子は、追っ手がいない事を確認して「どうだ、まいったか!!」との高笑いに、実は何も解っていないのだと指摘。一転真面目顔でひとつ気になった事があると言い出す次郎は、数字を書かせる前に澄子が部屋の中を調べさせるよう仕向けた事が気になると返答。何かトリックがある筈だと思案を巡らす間もなく、ふたりは津村たち信者にまんまと見つかってしまう。高笑いなんかするからだ…。
 教団施設前まで駆け付けて、あのふたりがこのまま殺されては警察としては大問題になると言う石原に、しかしどうやって助け出す? と返す矢部は、お前ひとりで頑張ってみるか? と及び腰モード全開。本庁からの応援を呼んで欲しいとの申し出に、応援を呼んでいざ踏み込んでみたら、みんなでニコニコ手巻き寿司パーティーや流しそうめんをやっていたら自分たちは大恥をかくのだと説明。施設の風車は何なのだと尋ねると、風の力を借りて水を汲み上げてその水をペットボトルに詰めて売っているので、あの風車が“聖なる水が沸き出す泉”だとの説明に、それで『母之泉』なのかと納得。教団の真実が少しずつ見えてきたな… と満足そうな矢部は、そんな事はパンフレットに書いてある! との突っ込みを戴きつつ「今日はこのくらいにしといたろか」と撤退を決め込んだ。
 あのふたりの事はどうするのだ!? と声をあげる石原から、風がない時は水車は電気かなにかで動かしているのだろうと聞いた矢部は、そんなもん最初から電気でやったらええやないか!! と吼えると、ほなメシにしよか… とこの件からは手を引く事を決めた。あっさりした奴だ。
『断る指の式』と書いて『断指式』と説明する津村たちは、「お前たちの悪行は流せませぬ」と言い残して準備があると立ち去ろうとするが、縛りつけられた次郎は奈緒子だけは助けてやって欲しいと懇願。彼女は自分が無理矢理連れて来たと説明して、もしどうしてもと言うなら替わりに俺の命をくれてやる! と男らしく訴えるが、別にそれでも構わないとのあっさりしたリアクションに、そちらにも都合があるだろうと血相を変えた。おいおい!
 私たちは全然構わないと高笑いで津村たちが去って行くと、何故そんな事を? と迫る奈緒子は、俺にも世間体があるのだとの返答に、悪人相手に見栄を張ってどうする!? あいつらは惜しい人を亡くしたとは思ってくれないと迫った。
 またもや泣いていると指摘して、赤ん坊の時ですら泣いた事はないとの苦しい強がりに、「上田しゃんは死にましぇん」と根拠なく励ます奈緒子は、せっかく頭の良い大学を出ているのに諦めるのはバカだと結ぶ。
「大学院だ」と訂正を促す次郎は、最後に君に知っておいて欲しい事がある。僕はそれ程巨根ではないと正直に告白。自分は優秀な物理学者である事を今証明するにはどうしたら良い? と問い掛けて、助かる方法を考えて欲しいとのリクエストに「暗算」と即答する次郎は、4桁の四則演算ならたちどころに答えを出してみせると豪語。5643×3289との設問に18,559,827と即答して、驚いたか? と自信満々ながらも、正解か否か確かめる術もないと突っ込んで暗算出来て楽しいか? とタメ口の奈緒子は、人を馬鹿にするとバチが当たるとの負け惜しみに、そんな事はないですよ… と歩き出して、自らロープを解いて自由の身になった事を示した。手錠の汚名返上だな。
 山田奈緒子さん… と一転卑屈な訴えに、知識で入試問題は解けてもロープは解けないと返す奈緒子は、縛られる時に両手首を上に向けておけば、内側に向けて出来る隙間で簡単にほどけるのだと説明して次郎の縄を解いた。
 数字当てを行った部屋に戻る道すがら、実は自分の事を足手まといと思っているのでは? と尋ねる奈緒子は、君を置いて逃げられる訳がないと返す次郎の様子をまじまじと眺めて、嘘をつく時に黒目が大きくなると指摘。昨晩は『指で顎を触る』と言いかけて眠った事を覚えていないのだと知った次郎は、『私はアメリカ人』『私は東京都東村山市稲平出身』『私は山田奈緒子さんを本気で助けようとした』と顎を触りながら指の形を変えてみるが、全て嘘だと指摘されてしまう。解らなくなってきたぞ… との困惑だけは「ホント」と言い当てる奈緒子は、指で見分けているのではないと指摘して、益々次郎を困惑させた。

 そんなこんなで儀式部屋に戻ると、どうやって2桁の数字を思い浮かべた? と尋ねる次郎は、なるべく規則性のない無作為な数字を選ぼうとした筈だと指摘。だが無作為に選ぼうとすればする程、人は無意識にいくつかの数字を排除するもので、33や55などのぞろ目や、どこかで見たような数字も選ばないと続けて、部屋に掛けられた『数字まじりの書』をこなして、澄子が部屋を調べるようにそれとなく促したと指摘。そこで目にした数字がインプットされる=無意識のうちに排除されるとすれば、『4』と『7』しか残っていない事、しかも澄子は2枚の札を用意して答えを聞いてから返した事を指摘して、ふたつの数字のどちらが1の位であっても構わないので当たる確率が2倍になるのだと結んだ。ふむふむ成る程。
 そうでしょうか? と言う奈緒子は、『4』と『7』を選ぶ可能性は確かに高いが、それは完全ではない。澄子はそんなリスクを冒すだろうか? と投げ掛けるが、間違いなくこれが正解だと言う次郎は、「フェルマーの名にかけて」と決め台詞を披露! 何だこのオッサン? と眉を潜めた所に信者たちの足音が近づいて来た!!
 咄嗟に物陰に隠れるものの、これから澄子に会って数字当てのトリックを突き付けるのだと言う次郎は、30分経っても戻って来なければ… 「警察に連絡」と続けるが、同時に声を揃えて「私だけ逃げる」とボケる奈緒子を残して、信者たちの前に飛び出した!
 先程の読心術が解ったのでビッグマザーにお会いしたいと自信満々で言うが、信者の木田知世(棟里香)に股間を蹴られてあっさり連れ去られて行った。が、廊下で意識を取り戻した次郎は、鏡に着目。『私は上田次郎じゃない。私は上田次郎です』『私はアメリカ人である。アメリカ人ではない』と鏡を覗き込んで何やら閃くと、『私は釈由美子が嫌いだ!』で鼻が動き、『私は釈由美子が好きだ』では鼻が動かない事を確認。不敵に笑うのは結構だが、澄子と対面する筈が風呂場に連れ込まれて後頭部を殴打された次郎は、その場に倒れてしまった。
 残された奈緒子の前に現れた青木は、ひとりでも逃げるように進言。澄子のインチキを認めろと言うのか!? との弁を制して、彼女は本物の霊能力者だと言う青木は、どんな奇跡も確かに手品のトリックで説明出来るが、それが何になる? 澄子がトリックを使った証拠などどこにもないと迫り、それで自分の息子や美和子を見殺しにしたのか? との弁に、そうしなけでは自分が殺されていたと返して、ここは奈緒子が思うよりもずっと恐ろしい所なのだと結んだ。
 何か詳しい事情を知っていると察知して、澄子は何を企んでいるのか? と迫るが、その問いには応えずに、上田はまもなく死ぬと言う青木は「あんたが殺す事になる」と予言。どういう事なのか… との問いに答える事なく、飛んで来た吹き矢を喉に受けてそのまま息を引き取った…。
 儀式の場に乗り込んだ奈緒子は、待っていたと余裕で迎える澄子に、上田は何処か? 何故青木を殺したのか! と声をあげるが、青木は我々を裏切ろうとしたので神が罰を与えたと返す澄子の合図で幕が引かれると、次郎が宙に浮いているではないか!!
 即座にガラスのマジックだと指摘して、浮いているのは本物の次郎ではなく、こんなものは100年も前の奇術のトリックだと断言する奈緒子に、猟銃が差し出された。
 ガラスのマジックだというなら、その猟銃で撃ってみなさいとの弁に、さすがの奈緒子も『はい、そうですね』と引き金を引く事は出来ず…。撃たないでくれ! これはマジックなんかじゃない!!  と訴える次郎の姿に銃を構えたままためらい続ける一方、信者たちの意味不明なまじないと同じうわごとを繰り返す里見は、枕元の瀬田一彦(遠藤直哉)から、高熱で祠付近に倒れていたが村人が助けてくれたとの説明を聞きつつ、不安そうに宙を見つめた。こっちのお母さんは、本当の霊能力者らしい。
 一方、これはマジックではない!? を繰り返す次郎は、後ろに誰か居て脅されているのだと言う奈緒子に、違う! 頼むから撃たないでくれ!! と鼻を必死に動かしながら訴えた。
 青木の言った『あんたが殺す事になる』を回想しつつも、引き金を引くとガラスが割れ上田の姿は消え失せる訳で、やはりただのガラスのマジックだと言う奈緒子は、奇跡などひとつも起こっていない! と信者たちに訴えた。
 集会は終わりだと慌てる津村を制してもうひとつの幕を引くと、黒子たちに釣り上げられた次郎が猟銃を突き付けられて芝居していた現場を暴露。鼻を動かしたサインが通じて嬉しそうな様子を示して、これが空中遊泳の招待です! とのネタばらしにさすがの信者たちも驚きを隠せないが、奈緒子に向かって吹き矢を向ける津村をいつかこうなる運命だったと制する澄子は、もう終わりにしましょうと静かに告げた。
 全ては私利私欲の為で信者の事などどうでも良かったたのだろうと言われた津村は、自分も今始めて知った! この女に騙されたと慌ててみせるが、「流しましょう。私たちの人生を…」と続けて口から血を滴らせる澄子の手から服毒した毒薬の瓶が転がり落ちた。

 何故こんな事を! と抱き上げる奈緒子に、「あなたはひとつだけ間違っていますよ」と諭す澄子は、本当に人の心が読めるのだと言うではないか!
 この世にはそういう不思議な力を持った人間が居るのだと続けて、その昔何もかも失って自殺にまで失敗したのだが、目を覚ました時に不思議な力が備わった事に気付いたのだと告白。黙って側に居るだけで、様々な人の気持ちを感じ取る事が出来たのだが、その噂を聞きつけた津村が世の中には救いを求めている大勢の人が居るのだと告げるや、地主だった青木を説得して大きな風車を建てて『ビッグマザー』という名の霊能者に仕立て上げたと経緯を説明。
 何故そんな奴らに!? との問いに「愚かだった」と返す澄子は、小さな掌で救える人間などたかが知れている訳で、こんなに大勢の人達を幸せにする事など出来ない… と続けると、奈緒子の記憶と心の闇がが見えるのだと言うではないか!!
 湖のそばに佇む幼い奈緒子が、水辺で死に瀕した剛三(岡田真澄)を抱きかかえている里見の姿を茫然と見つめていると言い当てて、そこで何があったかを見ていた筈だと指摘。あなたのお父さんは、本物の霊能力者に戦いを挑んで殺されたと続ける澄子は、その霊能力者はいずれあなたの前に現れると予言。そしてその人に殺される… と言い残して息絶えた…。
 やがて罪は全て明らかになるし、ビックマザーなど居なかったと説得する次郎は、早く目を醒ましてここを出て行くよう信者たちに訴えるがその声は耳に届かなかった…。
 駆け付けた矢部刑事は、いやぁ〜 先生お見事お見事! と持ち上げつつ水道管を念のために調べた結果、微量の毒物が発見されたと報告。エントロピーの法則=物理学の勝利だと満足そうに結ぶが、正しい事をしたつもりか? と奈緒子&次郎に吐き捨てる津村は、泣き崩れるしか術のない信者達をこなして、ビッグマザーを失った彼らに何が残る? 希望も救いもない人生が待っているだけだと断言。本当に彼らを救おうとしたのはお前たちか? 俺たちか!? と続けるが、『ビックリ』マザーは死んだのだと片付ける矢部に連れられて行く津村は、『母之泉』は永遠だ! すぐに戻って来るので水を汲めぇ〜 と叫んでパトカーに押し込まれた。
「You… 人生はなぁ…」と下らない説教を始めようとする次郎は、思い詰めた様子で霊能力者は本当にいるのだろうか? と尋ねる奈緒子に、あれは彼女の負け惜しみだと励ます一方、鳴りだした電話に出ようとする里見は、無理は禁物だと制する瀬田に、奈緒子ならば何でもないと告げて余計な心配をかけないで欲しいと懇願。普段通り元気だと告げる瀬田が、そんな事よりも今度親父の地盤を継いで立候補する… と聞いた奈緒子はさっさと受話器を置いた。
 里見はよく見ると奈緒子に良く似ていると言う瀬田は、「そぉお?」と不気味な笑みを返されて一瞬戸惑うが、ずっと不思議に思っていた事があると前置いて、ふたりは変な風に通い合っていたと指摘した。不気味な笑みはホントに怖いぞぉぉぉ!
 里見が機嫌が悪いと奈緒子も機嫌が悪い。は風邪や怪我もしかりだと言われて、そんな筈はないと笑いながら一緒に住んでいれば風邪がうつる事はあるかも知れないが… と返すが、今は住んでいないと言う瀬田を鋭く睨む里見は、奈緒子も鼻声だったとの弁に、突然「エヘヘ!」と『奈緒子笑い』を披露する一方、パトカーに置いていかれた奈緒子は俺の車で送って行くと言う次郎にガス欠を指摘しつつも、何とか東京に帰りついた。
 駅からアパートに戻る途中で眠ってしまったという奈緒子を背負ってアパートに辿り着くと、重かったのでは? と気遣いに、学生時代に30キロの背のうを背負ってチョモランマに登ったと自慢する次郎は、自分が送ったサインに気付いてくれて本当に良かったと続けた。
 ガラスのトリックで宙吊りにされながらも大芝居を打っていた時に、思いっきり鼻を動かせてそれが嘘である事を君に伝えたのだとの説明に、何を言っているのか… とせせら笑う奈緒子は、腕時計をしている手が左右逆だったからと返答。一生私に嘘はつけないと言われて、実に悔しいながらも二度と君にあう事もないと返す次郎は、インチキ超能力やクソ手品ともやっとお別れだと吐き捨てると、貧乳の事は忘れた方が良いと進言。巨根の弊害に比べれば小さな問題だ、との返答に「ばぁか!」と大人げなく言い捨てて部屋を出た次郎は、そこに待ち構えていた怪しい男(瀬戸陽一郎)には気付かずに帰って行った。
 そして父と幼い自分の写真を見ながら『この世には本物の力を持った霊能力者がいる』『殺される』と言い残した澄子の言葉を回想して、脅える奈緒子で… 『トリック』第3話、end。

▲どっちのお母さんも霊能力者か!? と驚かされた第3話。超能力は手品のトリックで解決出来ると主人公に言わせつつ霊能力者の存在を肯定して行く構成に好感が持てたが、ガラスのトリックは種明かし禁止のネタなのか? 本文で書いた通りの描写に留まっていた。もう少し丁寧に説明して欲しかったが、幕を引かれた次郎が、鼻を動かすサインが通じて嬉しそうに浮いていたシーンでは大笑いさせて戴いたので、まぁいいか。レギュラー陣は勿論、津村役の山崎一氏の好演がたっぷり楽しめて満足満足。霊能力を匂わせる母・里見と父・剛三の死がどう絡んで来るかが生命線となりそうなので、じっくりとお手並みを拝見させて戴こうではないか! 
 さて来週は、その男にはどんなものでも一瞬に消してしまう力あると言う次郎に、嘘くせぇと返す奈緒子だが、その男=ミラクル三井(篠井英介)は村人を消してしまったらしく… 何故か次の事件も『村』絡みか… と突っ込みつつも、期待して待つぞ!


● トリック  ●

第2話<7月14日(金)ヨル11:09〜00:04 テレビ朝日系>
脚本:蒔田光治 演出:堤幸彦

<出演>山田奈緒子(23)仲間由紀恵/上田次郎(35)阿部寛/矢部謙三(38)生瀬勝久/石原達也・前原一輝/瀬田一彦・遠藤直哉/怪しい男・瀬戸陽一郎/山田剛三・岡田眞澄/山田里見(58)野際陽子 ほか
1〜3話ゲスト:霧島澄子・菅井きん/津村俊介・山崎一/大森美和子・伊藤裕子/青木・河原さぶ/木田知世・棟里香/今村・多田木亮祐 ほか


 売れないマジシャンの山田奈緒子(仲間由紀恵)は日本科学技術大学の“デカくて臆病で無神経な”若手物理学者・上田次郎(阿部寛)の口車に乗せられて、怪しい教団『母之泉』の教祖・霧島澄子(菅井きん)のインチキを見破るべく教団本部に乗り込む事に。
 封筒を使った巧妙なインチキ読心術で信者たちの心を掴んでいる事を見破った奈緒子は、亡き偉大な父とマジシャンの誇りを掛けて、霧島澄子のインチキを暴く為に再び読心術を迫った。だが、
『私は貧乳で困ってます』と封筒を開けずに言い当てられて唖然! 貧乳はさて置き先に進もうと側近・津村俊介(山崎一)に促された澄子は、次々と封筒の中身を言い当てて行く訳で、救い出す筈の大森美和子(伊藤裕子)からも、これで『ピックマザー』の力が本物だと解っただろうと言われてしまう。
 澄子が本物の霊能力者ならば、呪いをかけられた自分は2日後に死ぬのか… と震える次郎に、きっと何かを見落としているだけだと返す奈緒子は、泣いている事を指摘。子供の頃から一度も泣いた事がない! とすすり上げる次郎は『大切な人が不幸になる』と予言された奈緒子に、それは自分の事ではないか? と言い出す始末。何を根拠に!?
 友達もおらず貧乳故に恋人もいないのだろうとの御指摘に、大切だと思った事はない! とキッパリ宣言する奈緒子は、母親では? と言われるものの、長野に住む母の事を澄子が知る筈はないと返す一方、自宅で子供相手の習字教室を営む母・里見(野際陽子)は、奈緒子を慕う診療所医師・瀬田一彦(遠藤直哉)の訪問を受けていた。やるじゃん、貧乳!
 父親の地盤を継いで近々立候補予定の名士なれど、申し訳ないが奈緒子にはその気がない事を告げて、早く往診に行くよう促す里見は晴天にも関わらず傘を勧めた。
 雨など降る訳はないと渋々受け取った瀬田が自転車を走らせると、程なく土砂降りの雨が降り始める訳で、習字教室の後片付けをする里見は、子供の書いた『日本一』の“一”と『夕暮れ』の“夕”、『ヒグマ』の“ヒ”が重なって『死』の字を形成している事に着目。何やら悪い予感に眉をひそめた。里見の方が『ビッグマザー』なんじゃないか?
 同じ頃。思案顔で施設の廊下を行く奈緒子は、貧乳など気にする事はないと信者のオバハンに声をかけられていた。
 子供を産めばだんだん大きくなるとのアドバイスやら、最初は部屋を暗くしていれば大丈夫。うちの息子は気にしないとお見合い写真を勧められて、澄子のせいで恥をかいたと憤慨する奈緒子は、書く方が悪いとニタつく次郎に絶対に当たる筈がないと思ったのだと説明。背水の陣で勝負しようと思って貧乳、水虫、魚の目とどれにしようか迷った事を告白した所で、廊下に置かれたお香に着目した奈緒子は儀式の際にお香に混じって鼻を突く匂いがした事を回想。
 信者の封筒を管理する部屋に忍び込む次郎は手にした薬瓶を開けると、確かにその匂いがしたと確認して中身はアルコールだと説明。アルコールを封筒の表面に塗ると『貧乳』の文字が浮かび上がるが、揮発性が高い為に直ぐに消えてしまう。
 だが、澄子はどうやって仕込んだのか? との問いに、手品でよく使うタネで、手の中に小さな袋を仕込んでいたのだろうと奈緒子が続いた。手品って、ホントに種明かしを聞くとガッカリするものですなぁ。
 だが、信仰とは恐ろしいもので、アルコールの種明かしも信じないと言う美和子は、澄子は人の心を読むだけでなく、亡くなった息子のメッセージなる絵が自宅の庭に届いていると予言したのだと言う。
 教団員が仕込んだのでは? と問う奈緒子に、肌身離さず持ち歩いている絵を示す美和子は、家で飼っていた猫までが描かれていると説明。次郎は、何故その神は直接罰を与えずに息子を奪うという手の込んだ事をするのか? 罪を悔いて家に戻らずに家族を悲しませる事が償いと言えるのか? と教団を出るよう説得するが、それではふたりに迷惑がかかると言う美和子は、教団を出て無事だった者はおらず、つい最近も逃げ出した者が事故死したのだと結ぶ。
 そこで、死んだ息子が恨んでいるか聞いてみようと提案する奈緒子は封筒を取り出して、天国とこの世を結ぶ郵便袋だと説明。手紙を収めて差し出された封筒に『ナガシマシゲオ』と呪文? を称えて、開封を促した。
 幸せだったので恨んではいない旨の手紙に美和子は感動の涙を浮かべるが、二重に貼り合わされた封筒のトリックに次郎が気付くと、「奇跡なんていつでも作り出せる」と言う奈緒子は、ビッグマザーのやっている事も同じなのだと説明。必ず僕が守ってみせると次郎の説得にも応じない美和子のみぞおちに奈緒子はパンチを喰らわせた!やるな、奈緒子って。

 当然津村らが追って来る訳で、ちょっとコンビニに… との言い訳するものの20キロ四方にそんなものは無い! と言われてしまった次郎は背負っていた美和子を降ろすと、
「私も色々考えたんですが、こういうのはどうでしょうねぇ?」と華麗? なカンフーで信者7人を一気になぎ倒して、見事なハンドルさばきで車を走らせた。
 強いのなら前もって言って欲しいと瞳を輝かせる奈緒子に、通信講座で空手を学んだと言う次郎は85年にブルース・リーについての論文を執筆したのだとか。これ見よがしなハンドルさばきで津村らの追跡をかわすと、シューマッハに運転を教えたのだと調子づく始末だ。シューマッハねぇ…。
 そして、君も早く忘れた方が良いと言う次郎は、貧乳貧乳とクヨクヨ考えるのは絶対に間違っている! と本人は忘れていた話題を蒸し返した所で、美和子の意識が戻った。
 本当は逃げ出したかったが恐怖心から気付かぬ振りをしていたのだろうと指摘するのは結構な事であり、華麗なハンドルさばきもお見事だが、お約束の如くにガス欠と相成る訳で、林に逃げ込んだ3人は猟師・青木(河原さぶ)の家に逃げ込んで助けを求めた。
 追って来た津村達を銃を突き付け追い返す青木は、今まで『母之泉』から逃げ出した人を何人も匿った事、地元警察は信者のトラブルには口を出さない事、自分の息子も『母之泉』の被害者だった事を告げる。
 自慢の『白イチジク茶』を振る舞いつつ、その息子は戻ってすぐに不可思議な病で亡くなったと続けて、津村達がまだ外にいるので今晩は泊まっていくように勧める青木に、美和子は逃げ込んで来た人々は巧く逃げられたのか? と尋ねる。
「ああ…」と曖昧な返答に、そんな訳はない! と声を荒げて息子も原因不明の病死した事を指摘する美和子は、追っ手から逃げ切れたとしても澄子の呪いから逃れる事は出来ない! と悲痛に結ぶが、実は自分も呪いをかけられて明後日には死ぬのだと次郎が告白。
 しかし呪いなど恐れた事はただの一度もない、あなたはひとりじゃないんだ! と真っ赤なウソをクサく締め括る姿に、奈緒子はウンザリ顔で溜め息を漏らした…。
 そう聞いて安心したのか、大いびきをかいて眠る美和子に付き添う奈緒子は、警察が相手にしないのならば、澄子たちのインチキを暴かない限り自分たちは助からない、いつまでも逃げ続ける訳には行かないと説明。逃げ出した者には必ず呪いが訪れると予言した事から、近いうちに呪いに見せかけた何らかの仕掛けで、信者たちが美和子に近づいて来るだろうと続けた。
 囮にしたのか!? と非難する次郎に、美和子が好きなのだ指摘。下心があるのだと続けて『あなたはひとりじゃない。僕が必ずあなたを守る』となぞる奈緒子は「えへへへへ」と不気味な笑い声をあげつつ、親切で忠告すると前置いて、嘘をつく時に黒目が大きくなるので目を見ていれば考えが解るのだと告げた。
 黒目が大きくなるのは、暗い場所に入った時… との反論に、目を観て嘘を見破れる事を証明すると言う奈緒子はトランプを取り出した。
 一枚選んだカード(◆の8)を記憶して戻すように促すと、また手品だとせせら笑う次郎に「まさか」と返す奈緒子は、手品ならタネを見破れば良いと余裕で返して、親の敵のようにきられたカードを受け取った。
 一枚ずつカードを見せてゆき、目を見て引いたカードを当てるとの説明通り… 見事に◆の8カードで「これ、当たり?」と言い当てられてられた次郎は、「何でだよ!!」と大袈裟に声をあげる。マジシャン冥利に尽きるリアクションだなぁ。
 大きくなった黒目を見て当てたと勝ち誇る奈緒子は、これから私に逆らわない、嘘をつかない、命じた事は全部やる、いいな? と高飛車に宣言。チェックさせて貰うとトランプに手を伸ばす次郎に「チャック開いてますよ」と指摘する奈緒子は「嘘!?」と慌てる“しもべ”にすかさず「ウソ」と返した。完全に遊ばれている。
 同じ頃。本庁の関西弁刑事・矢部謙三(生瀬勝久)は部下の広島弁刑事・石原達也(前原一輝)と共に『母之泉』に車を向けたが、刑事と名乗ると殺されてしまうかも知れないとの指摘に、
「今日はこのくらいで勘弁しといたろか」とアッサリ引き返す事を決めるが、車は既に信者達に取り囲まれており…。一体何処から現れたか?
 エドモンド大学の鉱物研究会と偽って車を出そうとするものの、『迷子の迷子の仔猫ちゃん〜♪』と不気味に歌い出して動く気配を全く見せない信者たちに「歌わないで下さい」と気弱に訴えた。

 一方の奈緒子は、実家に電話を入れて母の無事を確認。熱でもあるのだろうか? 汗を拭きながら受話器に向かう里見から出先の電話だと指摘されるものの、自分は大丈夫だと言い切る奈緒子は、くれぐれも気を付けるように告げて受話器を置く一方、部屋を出た美和子の前に空中浮遊する澄子が現れた!!このトリックは全然解らないぞ!
「逃げても無駄だ。お前は今晩死ぬ!」と言われて気を失うものの、目覚めた美和子の訴えに次郎は夢でも見ていたのだろう… と一笑したところに、夕食のキジ汁を持って青木が登場。
 先程打ち落としたと言う御厚意は有り難いのだが、“キジ”に鋭く反応する次郎はベジダリアンとの理由で「野菜のとこだけ…」と尻込むものの、男はガバッと喰わなきゃ! と煽る青木は外の見張りを続けると言い残してその場を去って行った。
 結局次郎はオールパス。ワシワシ食べながら「マズイこれ」とコメントする奈緒子は、食べ終えて箸を置く美和子に、今夜は側に付き添うので安心するよう促すと、自分も付き添うと言う次郎に「あなたは廊下に居て下さい」とキッパリ言い渡した。
 一方の矢部&石原刑事は教団施設に連れ込まれてしまい、大量の食事と水を振る舞われて困惑している所に、調査なら調査とはっきり言って貰えば… と余裕の津村が登場。
 我々は後ろめたい事は一切していないとの堂々とした発言に「型通りの調査なのだ」と返す矢部は、教団を抜け出した者が一様に不幸な死に方をするとの噂を耳にしたと切り出した。すると、
「ええ、そんですよ」とあっさり肯定する津村は、確かにそういう運命を辿る人は多いと聞いているが、我々がどうこうした訳ではなく… と信者達に同意を求めて、全ては神のおぼしめしだと説明。信者一同と共に、何やら指でマークを作ると、よぉく通る声で『おっかぁさまぁ〜〜〜』と声を上げて、矢部たちを威嚇した。
 律儀に廊下で見張り役を務める次郎は、いびきをかいて眠る美和子に付き添ってウトウトする奈緒子に、大変な事に気付いたと声をかけると、黒目の肥大は真っ赤なウソだったと、トランプのトリックを見破ったと言うではないか!
 上下対象に見えるトランプ柄だが、実はそうではなかった事に気付いた次郎は、あらかじめトランプの向きを揃えておいた奈緒子が、一枚選んだ隙に手の中のトランプを逆向きに持ち替えたのだろうと指摘。その状態でカードを戻させると、その一枚だけが上下が逆さになる訳で、後は目を見るのではなくカードの柄で選んだ一枚を難無く探し出した… との説明を聞いた奈緒子は、そう思いたいのなら私はそれで構わないと返答。
「それで上田さんのプライドが満足するなら」と往生際の悪さに、悔しいならそう言えよ! と大人げなく迫る次郎は、もう一度先程と同じ手で「やってみようぜぇえ」と提案。今度当たれば認めてやる! との挑戦を奈緒子はあっさりと受ける事に。
 方向を揃えたまま戻したカードを、今度は裏を見て瞬時に当てられた次郎は「何でだぁあ!?」と悲痛な声を上げるが、眼鏡に映っていたとのタネあかしを聞いて「もう一度」と迫る。また当たると思う返す奈緒子は、どうして? との問いに、企業秘密とそっけなく返した。そうですか…。
 そんなこんなでやはり廊下に閉め出されたままの次郎は、眠らないように話しかけても良いか? と声をかけて来た奈緒子に、貧乳の事は無理に思い出さない方が良いと進言。根に持つタイプだ。
 悩みはないのか? との問いにあっさり「ないよ」と返すものの、大き過ぎる事は? とネタを振る奈緒子から、大き過ぎるとイザという時に色々不便な事も多いだろうと指摘されて、何で知ってる? いつ見た、あの時か! と納得する次郎は、教団施設の部屋で風呂から出たシーンを回想。
 そういう趣味か… と鼻で笑いつつ、デカくて何が悪い!? 男はみんな憧れるのだと息巻くものの、身長の話だ! との御指摘に、教祖は来ると思うか? と瞬時に話題を変えた。
 必ず今晩やって来るだろうとの返答に、如何なる方法で忍び込んで来るのものか… 自分にはどう考えても出来ると思えないと返す次郎は、初めて手品を見た時もそう言ったと言う奈緒子から、顎に手をやる癖があると指摘されて、顎に手をやってしまう。
 何故嘘を見破れるか知りたくないかと続ける奈緒子は、嘘をつく時に指がこう… と言い残して眠り込んでしまったらしいく、廊下で顎に手を伸ばしたままの次郎は「その次を言えよ」と虚しく答えを待った…。上田次郎35歳。何て間抜けなキャラなんだ!

 同じ頃。愛娘がそんな間抜け男と関わっている事を知る由もない里見は、悪夢にうなされて目を覚ますと、偉大なマジシャンだった夫・剛三(岡田眞澄)の臨終シーンを回想。
『俺は間違ってた… この世には居るんだよ、本当に…。霊能者が…』との言葉を反芻する里見は、不穏な物音に驚いて、誰? と闇を凝視した…。田舎の深夜はマジで怖い…。
 そして翌朝。目覚めた奈緒子は美和子に呼び掛けるものの返事はなく… 悲鳴を聞きつけた次郎は、瞳孔と脈をチェックして死を確認した。
 捜査にやって来た矢部は、かつて研究室を訪れた次郎との再会にいたく感動の様子で、自己紹介する奈緒子は完全無視! 何とも災難な事だが先生のような方が居てくれて我々は大助かりだと、喜々として現場に向かった。“デカくて臆病で無神経な”若手物理学者だぞ?
 障子の向こうにはずっと次郎が見張っており、窓にも鍵が掛かっていたので外からの侵入は不可能だと確認する矢部は、『母之泉』の人間に殺されたと声を上げる奈緒子が第一発見者で被害者と一緒に寝ていたと聞くや、「それで気付かなかった?」と初めてその存在を認知した。すみません… との返答に、手ぇ出して。両手、こうやってと促す矢部は、素直に従う奈緒子に手錠をかけて、
「お前が犯人や」と断定。石原に至急逮捕状の請求を命じて、名前、年齢、職業は? と迫るが、巡査から『手品師』と聞いて、なおさらお前が犯人じゃ! と声を上げた。凄いキャラだな、こいつも。
 私が犯人な訳がないと訴えて「な? 上田」と同意を求める奈緒子を、この方を誰や思ってんのや!? と制する矢部は、世紀の大脱出宜しく手錠を外して見せろと迫るが、本物では無理との答えに、普段は偽物を使っているのかと突っ込んで、要は人を騙しているだけと嘲笑して連行を命じた。
 まだ証拠がないと慌てる石原や次郎に、吐かしたええんですと返すものの、他の刑事から呼ばれた矢部は「なんですかぁ〜」とデカイ声をあげてその場を離れた。
 奈緒子が次郎にどうにかしてくれと訴える傍らで、「なにぃ!? うぅ? おうよ! 解った」と時代劇もどきのリアクションで報告を受けた矢部は、犯人は奈緒子ではなく自殺だと宣言。
 死体から毒物を飲んだ形跡が見つかり、布団の下から薬瓶が発見され、割烹着のポケットから遺書が見つかったと続けて、美和子は『母之泉』を逃げ出した事を随分後悔していたとの見解を述べる。
 そして、彼女のは殺されたのだと声を上げる奈緒子に「お前にか?」と吐き捨ててその場を立ち去ろうとするが、手錠を外して欲しい、自分では外せないのだ… との訴えに「芸のないやつやのぉ〜 お前は!」と声を張り上げた。外せる方が問題だと思うが…。
 ようやく外に出た奈緒子は、「お前たちが彼女を死に追いやった」と言い放つ津村に掴みかかって一体何をしたのか! と迫るものの、奴らは黙ってその場を立ち去る訳で…、
「貧乳。人生と言うものはなぁ…」と場違いな説教を始める次郎の手をはね除けると、巡査の制止を無視して再び現場に踏み入った。捜査中だと声に1分だけ… と次郎が後に続けば、「60、59、58…」と馬鹿正直にカウントダウンする石原を矢部が殴り倒す訳だ。
 そして部屋をグルリと見回した奈緒子が、何かに気づいて… 『トリック』第2話、End。

▲美和子の死で事件が動き出した第2話。“貧乳”奈緒子と自称“巨●”次郎のコンビネーションは勿論面白いのだが、どちらもボケキャラ。ハイテンションな矢部刑事(生瀬勝久)が絡む事で、グッと面白みが増すものよのぉ〜 と至極納得してしまいマシタ。ニューキャラ・青木(河原さぶ)の“白イチジク茶&キジ汁”があからさまに怪しいが、エセ教祖・霧島『ビッグマザー』澄子よりも、母・里見の方が本物の超能力者らしい気がする今日この頃だ。特に物音を聞いた深夜のシーンは、室内ながらも田舎の吸い込まれるような闇の恐ろしさが全開! 短いながらも正統派で怖がらせてくれる演出センスに脱帽した次第だ。
 さて第3話は、怪しさ全開の青木は死んでしまうらしいが、何と次郎が宙に浮かぶではないか! これはトリックではない! 撃つな! と訴える次郎に、銃を向ける奈緒子は「撃てぇ〜!」と澄子の声で引き金を引くが… との事だが、ANBテレビ朝日ネットの皆さんは全英オープンゴルフの為1週お休み。7月28日のオンエアを楽しみに待つぞ!


● トリック  ●

第1話<7月7日(金)ヨル11:09〜00:04 テレビ朝日系>
脚本:蒔田光治 演出:堤幸彦

<出演>山田奈緒子(23)仲間由紀恵/上田次郎(35)阿部寛/矢部謙三(38)生瀬勝久/石原達也・前原一輝/座長・綾田俊樹/池田ハル・大島蓉子/怪しい男・瀬戸陽一郎/山田剛三・岡田眞澄/山田里見(58)野際陽子 ほか
1〜3話ゲスト:霧島澄子・菅井きん/津村俊介・山崎一/大森美和子・伊藤裕子/木田知世・棟里香/今村・多田木亮祐 ほか


 人里離れた山中に居を構える新興宗教『母之泉』を訪れたひとりの若い女性(伊藤裕子)は、ここには居たいだけ居れば良く、生きる事の本当の喜びが見いだせる筈だと説明する信者・津村俊介(山崎一)に続いて現れた“ビッグ・マザー”と呼ばれる教祖・霧島澄子(菅井きん)に、
「あなたは息子さん、殺しましたね」と言い当てられて茫然! 私の心が読めるのか? と驚いて、恐れる物は何もありません… と穏やかに手を広げる“ビッグ・マザー”にフラフラと近づいて行く一方、「助けて! 殺される!!」と叫ぶ男・今村(多田木亮祐)が交番に駆け込んだ。
 本庁からわざわざやって来た刑事さんだと紹介された矢部謙三(生瀬勝久)は、今村を一瞥しつつも、部下の石原達也(前原一輝)の新しいスーツに目を止めた。
 駅前閉店セールで買ったと嬉しそうに報告するのは結構だが、ズボンの長さが左右揃っていないと指摘する矢部に、「『母之泉』って知ってやす?」と今村は問い掛ける。大丈夫か、この刑事?
 本庁でもマークしているいかがわしい集団で、風車を使って水を汲み上げるのだと石原が続くと、ある時ふと疑問が沸いたのだと言う今村は、そんな所で水汲みばかりしていて良いものか? と当たり前の事に気付いた訳だ。『入るも出るも自由』と言ったにも関わらず、我々を裏切るのか? と取り囲む津村たちは、ここを出た者は“ビッグ・マザー”の呪いで必ず不幸な死を遂げると迫る訳で、何とか逃げ出したものの、不安になって交番に駆け込んだのか? と念を押された今村は逃げる途中で宙に浮かぶ“ビッグ・マザー”が『何故私を裏切った。戻らねばお前は死ぬ事になる』と予言したシーンを回想。浮かぶわ、飛び回るわ、壁を抜けるわ、そりゃあもう凄い教祖なのだとの訴えを聞いて石原と顔を見合わせる矢部は、
「お前、ズボン短くない?」と結んだ。信じろと言われてもねぇ…。
 同じ頃。とある野外ステージでは、美人奇術師の山田奈緒子(仲間由紀恵)が約2名の客を前に手品を披露するが、ひとりは居眠りを決め込み、喜々として拍手喝采する客も何やらストーカーまがいの怪しい男(瀬戸陽一郎)というトホホ状態。おまけに次の出し物・パントマイムが始まると何処から集まって来たのか、客席は満員で大ウケ状態… 溜め息を漏らす奈緒子は座長(綾田俊樹)から呼び出されて雑誌を手渡される。
 日本科学技術大学出身で注目の若手物理学者・上田次郎(阿部寛)が、全国の霊能者に向けて挑戦状を叩き付けたのだと説明する座長は、目の前で超常現象が存在する事を証明出来れば賞金を払うとの記事内容を説明。霊能力者のフリをして挑戦を受けろと? と真意を問う奈緒子は霊能力等は信じていないと返すが、こいつさえ騙せば賞金が手に入る訳で、やっと手品が役に立つ時が来たと言う座長から賞金を生活費の足しにすれば良いと言われて、遠回りなクビ宣言に気付いた。
 来週フィリピンからやって来る大トカゲがニワトリと戦うので、そういう客受けのする派手なパフォーマンスに乗り換えると言われて、
「私はトカゲより地味って事ですか?」と驚く奈緒子は、確かに少しは器用で美人だが、個性があるとか話術が巧とか、セクシーであるとかがなければ… と指摘されて控え室を出ると、街のショーウィンドウに写る自分の顔を見つめながら『産まれた時から笑ったり冗談を言ったりするのが苦手だった』とモノローグしつつ過去を回想。
 偉大なマジシャンだった父・剛三(岡田眞澄)から差し出されたトランプを一枚引いて良く覚えるように言われた幼い奈緒子は、本当に父が人と違う魔力を持っていると信じていた。だが、戻した札を見事に見つけ出した剛三に驚くものの、何の事はない。後ろを振り向いた奈緒子は窓ガラスに札が映っていた事を知って『お父さん狡い!』と抗議するが、剛三は嬉しそうに愛娘を抱き上げるばかり…。悔しがる奈緒子は、笑っている父をいつかアッと言わせてやる事だけを考えて来たが、その夢が叶う前に剛三は訓練中に事故死してしまい、今日に至ると言う訳だ。
 ハムスターと亀の待つ質素なアパートに帰った奈緒子が、件の雑誌を眺めて自信ありげな上田の写真に眉をひそめるとウサギを抱いた管理人の池田ハル(大島蓉子)が、2ヶ月溜めた家賃の催促にやって来る。
 払わねば出て行って貰うしかない、動物禁止なのにネズミと亀を飼ってと言われて、明日には必ず払うと応える奈緒子は翌日、『賞金』目当てに日本科学技術大学を訪れた。
 いかがわしい自称霊能力者たちが並ぶ待合室で待つ奈緒子は、窓の外から様子を伺う『怪しい男』に気付かぬままに暫し時間が流れて…。
 ガックリ肩を落とすエセ霊能力者たちが帰って行くなか、最後の挑戦者として研究室に呼ばれた奈緒子は雑然としたデスクで写真の通りに薄笑いを浮かべる上田次郎と対峙。自称超能力者と称してやって来た9人に落胆したと言う次郎に、
「私は本物です」と返す奈緒子は、封筒と100円玉を要求して『壁抜け』を披露すると言う。
 様々な書類や本が置かれている机や引き出しを覗き込む次郎は、書類に埋もれた大学のロゴ入り封筒を差し出されて、憮然としつつ『上田』の『う』の字を記した100円玉を封筒に収めて丁寧に糊で封をした。
 受け取った奈緒子は、なにやら念を込めると100円玉は消えたと明言! 開封した封筒を受け取った次郎が中を確認した所で、掌を開いて『う』印の100円玉を示した。どういうタネなんでしょう?

 驚きを押し隠す次郎は30万円の小切手を示すものの、本当のテストはこれからだと前置いて、『母之泉』の教祖、“ビッグマザー”・霧島澄子のインチキを見破って来て欲しいとの新たな条件を突き付けた。
 冒頭の女性は大学事務長の娘・大森美和子で、すっかり教祖に心酔して家にも帰らず父親に財産の生前分与を申し出ていると説明。教団に寄進するつもりだろうと吐き捨てる次郎は、本当の霊能力者なら教祖のインチキを暴く事など朝飯前、美和子を連れ戻して来る事が今回のテストだとニタつくが、
「あなたが自分でやれば良いじゃないですか」と言う奈緒子は、それが一番早い事は百も承知だが、そんな雑事にかまけている暇はないとの返答に、ハッキリ「断る」と告げて、教祖のインチキを見破る自信がないのでは? と言い放って部屋を出ようとする。
 だが、待って欲しいと止める次郎は、美和子を呼び戻すべく『母之泉』を訪れた事を告白。信者たちに阻まれて中に入れなかったが、翌日研究室に訪ねて来た澄子はペテン師呼ばわりする次郎に、これから奇妙な事が起こって10日後、あなたは死ぬ!と予言。後日、空中に浮遊する澄子を見て度肝を抜かれた事を回想する次郎は、
「どう思うよ? どうやって宙に浮いてるんだ!?」と迫るが、その後どうなったのか? と問う奈緒子は、ス〜っと消えたのか、ノコノコ歩いて出て行ったのか? と答えを迫った。
 僕も暇じゃないのでそこまでは見ていないとの返答に、もしかして気絶したか? と迫る奈緒子は、『目を覚ました時』彼女はもう居なかったと結ぶ次郎に、それは気絶だと指摘。こんなもので人の心を自由に出来ると思うのは大間違いだと言いながら小切手を破ると、期限の4日後にあなたがどうなっているか楽しみにしていると言い残して部屋を出て行った。
 不吉な事を言われて小切手の切れ端を手にする次郎は破られていたのは白紙である事に気付いて「あれ?」と間抜けな声を漏らした。どう思うよ? の答えが俺も聞きたいぞ!
 その夜。アパートで30万円の小切手を手に思案顔の奈緒子が、やっぱり明日返しに行こうと呟くと電話が鳴って、実家の母・里見(野際陽子)が様子伺いに、仕事は巧く行っているのか? と尋ねる。
 大順調で今日もデパートで手品の実演販売を頼まれたが大ウケ! と訳の解らない見栄を張って、『マンション』でストーカー被害に遭っていないか? と心配する里見に、オートロックだと偽るものの、廊下で酔っぱう外国人の放歌高唱が漏れて来る訳だ。親に心配をかけてはいけないなぁ…。
 そこはそれ、テレビだと切り抜ける奈緒子は、父の死因は本当に事故だったのかと質問。急にどうして… と狼狽える里見は、事故の事は昔から何も語ってくれないのは何故なのか? と言われて、
「誰にだって、思い出したくない事あるわよ」と返答。ぼんやりしているので気を付けるようにと娘を気遣って電話を終えると、剛三の死の瞬間を回想。腕の中で『俺は間違っていた…』と言い残した言葉に何やら思いを巡らせた。何なんでしょ?
 その夜遅くに地震に見舞われた奈緒子の部屋ではハムスターもビックリ! 放歌高唱の外国人も廊下で狼狽える一方、とある宿に泊まっていた『助けて! 殺される!!』と交番に駆け込んだ今村は天井で揺れる蛍光灯に悲鳴を上げた翌日、石原を伴った矢部が日本科学技術大学に次郎を訪れた。
 笑われるような事かも知れないと前置いて、地震を人工的に起こす事は可能であろうか? と質問する矢部は、我々刑事は小さな事からコツコツ潰していかなければならないと言いつつ、
「刑事はカタツムリ。牛鍋と書いてカタツムリ」と公言。良く似ているが、『蝸牛』… おいおい、鍋牛じゃねぇか!
 唖然とする次郎に、夕べの地震で落ちて来た蛍光灯で頭を打って死んだ男が居たと続けて、その男が『母之泉』から逃げ出した元信者だと説明。
「素人考えかも知れませんけど」と断って、教団の信者全員で地面を踏みならしたら地震くらいは起こせんのと違いますか? と尋ねるものの、それは決して素人考えではなく、それ以下だと返す次郎は「有り得ません」と断言! 実は石原の発案だとバラす矢部はすごすごと退散。馬鹿馬鹿しい… と鼻でせせら笑う次郎は、気配を感じてふと後ろを振り向くと、教祖・澄子が宙に浮いている姿を発見!! 即座に気を失った…。

 買い物を終えて帰宅する奈緒子は、何故かニコニコ顔の大家・ハルから客人がお待ちかねだと聞いて部屋に駆け込むと、次郎が上がり込んで洗濯物を入れ込んだりしているではないか!!
 どうして!? 何しに来た? と驚く奈緒子に、話せば長くなるのでお茶を入れると言う次郎は、警察を呼ぶ! と言われて引き出しの30万の小切手は自分のものだと迫る。
 間違って持って来たので、今日には返そうと思っていたとの言い訳に、既に家賃の滞納分として支払ったと説明。今の君には、今すぐ金を返す、僕の言う通りにする、金を返して僕の言う通りにするの三択しかないと迫って、お茶を入れつつ、『言う通り』とは『母之泉』に急行して霧島澄子と対決する事だと結んだ。
 教団に向かう車中でメラメラと怒りの炎を燃やす奈緒子は、“上田次郎”という名前が平凡だの弱虫で意味無くデカイだの、封筒の『壁抜け』が見抜けないとは相当頭が悪いだのと並べ立てると、本当に超能力と信じ込んでいた次郎は、急遽車をドライブインに向けた。マジで信じてたのかよ〜。
 封筒に穴が開いていただけだとタネを明かす奈緒子は、調べた結果封筒に仕掛けはなかったし、自分の部屋にあったものだと言う次郎に、あの封筒は自分が科技大生協で購入したもので引き出しを探している隙にこっそり机に置いたのだと説明して回想モードへ。
 事前にカッターで切れ目を入れた封筒から難無く100円玉を取り出した奈緒子は、その切れ目から封筒を開いて証拠隠滅状態で次郎に渡す訳で、封筒も100円玉も調べても無駄だったのだと結ぶ。だがひとつだけ納得出来ない事があると言う次郎は、自分が机や身の回りをきちんと整理するタイプの人間だったら封筒は置けなかったのでは? と迫るが、
「その時は、また別の手品を用意してました」と涼しい顔の奈緒子は『えへへへへへ』と不気味な笑い声をあげた。う〜む、完璧な返答じゃ。
 そんなこんなで『母之泉』に到着。澄子のペテンを暴くと息巻く次郎は、しっかり顔を覚えていた津村から、暫くこの施設で生活を共にしてみては? と持ちかけられてしまう。
 批判はそれからでも遅くはなく、それこそが学者としての公正な態度では? と迫られて大した自信だと返すものの、澄子に呪いを解いて貰わなければあと3日の命だと釘を刺された次郎は、渋々同意。汲み上げた水をペットボトルに詰める信者たちの様子を胡散臭そうに眺めつつ、必ず飲むようにと渡された水の水質検査の結果は、PHほぼ中性、無色透明、常温で液体。
「水かも知れないがその以外のものかも知れない」となんとも曖昧な結果を聞いた奈緒子が水を捨てに行く一方、次郎は事務長の娘・美和子を見つけ出した。
 ペットボトル水のラベル作りに従事する美和子は、説得に応じる気は全くあらず状態。“ビッグ・マザー”に会えばその素晴らしさが解る筈だと言われた次郎は、程なくして一様に具合の悪そ〜な新参者一同と共に、澄子と接見する事と相成った。ワクワク!
 かがり火が焚かれた儀式場で『お母さまぁ〜』コールが響く中、それぞれ筆と硯が用意された席に付く一同は津村の説明に従って、教祖への相談事や願い事を紙に記して封筒に収めた。
「決して自分以外の人間に見せないように」と説明する津村は、人の気持ちを読めるのならば、何故書く必要があるのか? と囁く奈緒子の声が聞こえたのか、教祖に会う前に今一度自分の気持ちを見つめ直す為の手書きだと念を押した。怪しい。
 横から覗き込んだ奈緒子から、字だけは綺麗だと褒められて、小学校の時書道を習っていたと言う次郎は、県大会で最優秀賞を受賞したが、ピアノとそろばんは全国大会まで行ったと自慢したところに、『おっ、かぁさまぁ〜〜』の声と共に教祖・澄子が登場! 一同の悩みが伝わって来るが、ここに来たからには大丈夫だと言いつつ封筒のをじっと見つめて太田久子なる女性の名を挙げた。
  長袖カーディガンに黒手袋の久子は驚いて顔を上げると、体中の皮膚を突き刺す痛みに苦しんでいると言い当てられて仰天! 全てお見通しだと観念して「夫の母親を…」と自分から口走る久子に、姑に酷い事をしたと指摘する澄子は、封筒を開封。紙を見ながら、罪を悔いているので必ず救われると癒した後は、次の信者の悩みを言い当てて「苦しみで文字が乱れている」などと紙を読み上げ、奈緒子の『金がどんどん貯まりますように』とストレートな願いをも言い当ててた。
 そして、私をペテン師だと呼ぶ人は大勢居ると言い出して、「あなたの言う通りですよ」と次郎の名を呼ぶ澄子は、封を開いて字の美しさを讃えつつ『早くペテンを認めなさい』と読み上げ、余裕の笑い声を上げた…。
 トイレに集合して、澄子は封筒の中身を確認する時間はなかった事を指摘する次郎は、だから人の心が読めるのだと言う美和子に、軍事衛星だと言い出すではないか!はぁ?
 あれなら10センチ四方の物まで読み取れる! と説明する次郎に、それは曇っていても見えるのか? と暗雲たれ込める空をこなす奈緒子は、澄子の力を信じるのか? と迫られて、そんなに難しい仕掛けが無くともあんな事は出来るのだと言い出した。ほうほう?

 最初の太田久子は単純な推理で、この暑さで長袖、黒手袋姿では皮膚病持ちであると推測するのは簡単であり、コールド・リーディングなるイカサマ占い師が良く使う手だと説明。それ以外の人は? と問う美和子に、久子の悩みを言い当てた後に開封した手紙は、次の相談者の封筒だったのだろうと指摘。何人かの中でひとりだけ悩みを推理出来れば全員の悩みを言い当てる事になるこの方法は、ワン・アヘッド・システムなる、昔から大道芸人が使っていた手だと、綺麗にまとめた。
 まぁ、そんな事じゃないかと思っていたと次郎は取り繕うが、そんな証拠は何処にもない! と言う美和子は、自分の犯した数え切れない罪のせいで幼い息子が病死したのだと告白して遺体に泣き縋るシーンを回想。
 金や見栄に心をかまけていた自分に神が罰を下そうと、息子の命を奪ったのだと続けて、そんな馬鹿な神が何処にいる? と促す次郎に、“ビッグ・マザー”は地獄の境地を全て解ってくれたと言い放った。
 ならば私が明日、インチキを証明すると言う奈緒子は、もう一度同じ事をやって貰えば今度は絶対に当たらない筈だと自信満々に宣言! 美和子と別れて部屋に戻った次郎は、シャワーを浴びつつそんなに簡単にボロを出すだろうか… と不安そうに漏らした。
 その時は『調子が悪い』等の言い訳をするだろうと返す奈緒子は、超能力者は手品師と違って言い訳が出来るので狡いのだと結ぶが、もし当てられれば澄子の力は本物だと言う次郎は、奈緒子もただでは済まず、自分も3日後には… と悲しい運命を嘆きつつ、巻き込んでしまった事を素直に詫びた。
 今更言われても引き返せないと言う奈緒子は、だから言ったのだと情けない返答に、父の言葉を引用した。
 この世には奇跡など存在しない。どんな不思議な事も、そこには必ずタネがある… となぞりつつ、生前の剛三は、何人もの超能力者のインチキを、フーディーニのように暴いたのだと続けた。懐かしいな、フーディーニか。
 フーディーニ? 何語だ? とのボケは無視して『X線の目を持つ男』なる話を知っているか? と尋ねる奈緒子は、ど忘れした… と律儀にボケ続ける次郎に説明を始めた。
 その昔、文字を書いた紙を金属の箱に入れてそれを透視出来ると公言する男が居て、様々な学者がテストして本物だと認定したが、そこに現れた奇術師・フーディーニだけがそのトリックを見破った… と聞いて、そのトリックは? と身を乗り出す次郎に、答えを聞いたら絶対に怒り出すと前置きしつつ、その金属箱は蓋の下に小さな隙間があり、男はそこから中を覗いていたのだと説明。
 そんな馬鹿な… とのせせら笑いに、人は皆そう思って引っかかってしまうのだとまとめて、意味無く自分の部屋でシャワーを浴びて居座る小心者・上田次郎35歳に早く出て行くようにと言い渡した。
 そして翌朝。昨日に続いてより深く“ビッグ・マザー”が一同の悩みを聞いてくれるのだと説明する津村に、待ったをかける奈緒子は、今一度自分の悩みを言い当てて欲しいと提案。進行妨害は慎むように言う津村を制する澄子は、自分を疑って挑戦を挑んでいるが、このままでは一番大切な人に不幸が訪れる。それでも良いのか? と迫るが、意志の堅さを確認。
 封筒を見つめつつ、あなたの心が見えたとほくそ笑む澄子は、本当に言っても良いのか? と確認。ためらいを見せつつ頷く奈緒子は、『何事ぞ?』とばかりに次郎が驚くなか、
『私は貧乳で…』と澄子の大きな声に眉をひそめて… 『トリック』第1話、End。

▲『貧乳』ねぇ〜 と最後に笑かせてくれた第1話。澄子が口を開いて次週に続く、と相成ると思ったが、『願い』がお金が溜まる事で『悩み』が貧乳ねぇ… ふむふむ、とすっかり感心している場合じゃないな。『どん臭い美人主人公』は堤&蒔田コンビの『ケイゾク』そのままだが、仲間由紀恵嬢は『神様、もう少しだけ』や『PS 元気です。俊平』での陰湿な恋敵役イメージの払拭には宜しいかと存じます。前作『YASHA』から連投の阿部寛さんは、別人の様なダサダサビジュアルでおマヌな助教授を好演。ぺったり髪をなでつけてコテコテに作り込んだ矢部刑事に扮する生瀬勝久氏は、舞台を控えて当分出番は少ないと想像するが、『QUIZ』で見せた好演を期待します。2〜3話完結で超能力を手品ネタで暴きつつ、父・剛三の死の謎に向かって行く構造らしいが、怪しいストーカー男(瀬戸陽一郎)はただのアイキャッチ要員か? 全体的には予想通り面白かったが、感想を求められて『貧乳だよ、貧乳』と応えてしまいそうな阪本デシタ。
 さて来週は頭を抱えて絶叫する奈緒子に、「僕はあさって死ぬ」と次郎の声。「ビッグ・マザーの呪いから逃げる事は出来ない!」と美和子が続けば、剛三の最後の言葉には何やら続きがあるらしいぞ! 「あんた誰?」と矢部が驚けば、妙なファイティングポーズの次郎が廊下を進む。そして「あいつらが殺した… どうやって?」と推理モードの奈緒子で… 期待大です!!


製作:テレビ朝日・東宝株式会社/制作協力:オフィスクレッシェンド/プロデューサー:桑田潔(テレビ朝日)・蒔田光治・山内章弘(東宝)/ラインプロデューサー:内山雅博(オフィスクレッシェンド)/脚本:蒔田光治・林誠人/演出:堤幸彦・保母浩章・大根仁/音楽:辻陽/主題歌:『月光』鬼束ちひろ(東芝EMI/VIRGIN TOKYOU)

構成・文/阪本 悠


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