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賞金はチロルチョコ(税込み1個21円)約23809個分。山分けしたい。


第11食 ●夢の『週刊ストーリーランド』●


 それは2ヶ月程前のとある木曜の事である。テレビのリモコンをパチパチしていたら、『日本語のセリフに何故か日本語の字幕のついたアニメ』が目に留まった。時間は夜の8時台だ。いわるゆるゴールデンタイムに字幕付のアニメ? はっきりとは記憶に無いのだが、そのアニメからそこはかとない古めかしさを感じ取ったので「何かの特番なのだろう」と気にも留めずにその時はやり過ごして、外人さんの再現VTRが良い味を醸し出す『奇跡体験アンビリバボー』にチャンネルを落ち着けた。
 元々アニメには触手が動かず、バラエティ番組にも造詣が深くないクチなので、それっきり気にも留めていなかったのだが、数週間後のパチパチ時にもやはり字幕付アニメに遭遇! テレビ雑誌で確認の結果『週刊ストーリーランド』なるレギュラー番組である事が判明。早速翌週11月25日に、
▽世界各地の不思議な話が大集合▽爆笑!感動!本当にあった話▽藤村俊二、井森美幸が語るアニメの見どころ 西村雅彦
 とのテレビ誌の記事を確認しつつ、録画してじっくり拝見する事にした。


「世界中から集められた面白い物語を毎週みなさんに御紹介する『週刊ストーリーランド』。まず最初のお話は…」と司会の西村雅彦氏の固い笑顔と堅い口調で番組は始まり、笛吹雅子アナウンサーが最初のアニメの概要を説明。既に作品を見たゲストの方々が「みどころ」を紹介して、くだんの字幕付アニメ『不思議系』が始まった。
 …まぁ、その何だろう。『爆笑』や『感動』、『不思議』には個人差があるものだが… いや、ちょっと待ってくれよ、今の話は一体何だったんだ… と10分足らずのアニメを見終わってテレビの前で自失呆然な自分が居る。だが、
「いかがでしたでしょうか? 続いてのお話は…」と西村雅彦氏は何事も無かったかの様に、さっさと次の「みどころ」をゲストに振って、2本目の『感動系』へ。
 …はぁ、その何だ。「この話しに感動すると壺でも売りつけられるのでは?」と、見終わった後に恐怖感すら覚えてしまったが、スタジオではゲストの森久美子女史がハンカチで目頭を押さえて、
「ホントにいい人ばっかりで 私ホント好きですね、こういう話し。泣きたいとき、このビデオ撮っておいてこれをきっかけに泣きます。今まで『忠犬ハチ公』だったけど」とコメントしている。
 …コメンティターの立場を充分わきまえて律儀に涙する森久美子女史の方が、余程『いい人』である事だけは理解出来たが、「今のアニメは何だったんだ?」との疑問を残したまま、「次のお話は…」と西村氏。で全く同じ手順で3本目の『意外な結末系』へ突入。
 …まぁ、あれだな。『ウルトラQ』における石坂浩二氏のナレーション『これから○○分あなたの眼はあなたの体を離れて、この不思議な時間の中へ入っていくのです』とはこの事かいな、と軽い目眩を覚えた所でスタジオの西村氏が、
「さて、『週刊ストーリーランド』では採用した物語に賞金を差し上げます」と閉めのコメントと共に字幕には『見事、採用されアニメとして放送された方には、日本テレビより賞金50万円を進呈致します』とのテロップが目に飛び込んで来るではないか!! 
 何ぃい!? 10分足らずのストーリーを『紹介』しただけで金50万円也が獲得出来るとな!? と3本のアニメの事など忘れて驚く俺の事などお構いなしに、笛吹雅子アナウンサーが「○○さんが教えて下さった〜 ○○さんが作って下さった〜」と50万円を獲得した羨ましい方々を紹介。
西村「そして番組ではあなたの知っているとっておきの物語を募集しております」
笛吹「あっと驚く様な結末を迎えるお話、ドキドキするミステリーなど、皆さんが見つけた面白い物語の情報を御覧の宛先までご応募下さい。本日11時まで電話でも受け付けて〜 (以下略)」
西村「それでは最後にゲストの皆さんに感想を伺いましょう」
笛吹「では○○が一番面白いと思った方、手を上げて下さい」
 とホームルームの議長に従う真面目な学生の如くに挙手したゲストが感想を述べると、
西村「さて次回は一体どんなお話が飛び出してくるのでしょうか?」
笛吹「はい。来週はこんな物語が登場します」
 と御丁寧に3本分の予告が流れて番組は終了…。
 いやはや、初めて観た俺にとっては『あっと驚く様な結末を』迎えたのは3本の字幕付アニメよりも、この募集告知で終わる『週刊ストーリーランド』と言う番組そのものだった。


 早速日テレのHPで確認すると、デカデカと『見事、採用されアニメとして放送された方には、日本テレビより賞金を進呈致します』の下に『★ 最高50万円 ★』と記述されている。
『最高』とあるからには『平均』や『最低』もあるのか? しかし50万と言えば、放送時間帯にもよるが30分のアニメ番組の『平均的な』脚本料よりもかなりお高い額だ。と益々疑問を抱きつつ、『既成作品紹介部門同意条項』へと読み進むと、『日本テレビが原作者等と交渉を行ってアニメ化が決定した作品を採用とします』とある様に、当然原作者等にもギャランティは発生する。アニメにはそれぞれ脚本家の名前もクレジットされていたので、当然この方々にも『10数分のアニメ番組』の基準に従った脚本料が支払われる訳で、さすがバラエティではダントツの強さを誇る日本テレビ!! この不景気の世の中に実に豪勢な番組だと感心しつつも、『最高』の二文字が気になって、局に電話で問い合わせてみた。
 電話とは言え見知らぬ方にいきなり銭金の話しも気が引けたので、『何故アニメが“字幕付き”なのか』と口火を切った所、
「聴覚障害のある方々に向けて」との予想していた通りのお答えと共に、
「映画的効果を狙って…」と、対応してくれた女性が『恥ずかしそうに』付け加えたが、その効果の程について、ここでは敢えて触れないでおこう。
 で、本題の『最高』について質問してみたが、
「原作に脚色した場合は脚色のボリュームによって、50万の中から原作者に『お礼』を支払う」旨の返答。
 となると『巨匠の作品よりも無名作家の作品を選んだ方が取り分が高いのか』と問うと、
「それはそれで別枠で支払うので、あくまで原作者の方への『お礼』と言う形で」と何とも歯切れが悪く、
「詳しくは採用されてから細かく御相談させて戴きます」と言われては、それ以上追求も出来ないので、『応募したいのだが番組はいつまで続く予定なのか』とワクワクしながら訊ねてみると、
「今のところ終了の予定は全くありません」と強気のお返事を戴いて電話を置いた。
 前記の『同意要項』にある通りに、再放送やビデオ印税等々の二次使用権が発生しないいわゆる『買い取り』とは言え、オリジナルストーリーが採用されれば50万である。30分のアニメよりも高いギャラが本当にあなたのものになるらしい… と間近に迫った2000年に向けて、当『テレビ丼』で実に明るい話題を御紹介する事が出来て、何とも清々しい気分だ!!

 が、さてワタクシ阪本は応募するのだろうか? 『感動の物語』は得意分野ではないが、ミステリーやオカルト系、『あっと驚く結末』の話は大好きだ。だが、『字幕付アニメ』を観る限りでは、どうもこの番組が求めるソレと、俺の知っているアレやコレとの間に大きな開きがある様だ。
 だが、一ヶ月近く『週刊ストーリーランド』を観続けている間に、『教えて下さった』や『作ってくれた』等々の普段聞き慣れないフレーズが気にならなくなって来た。この分で行くと『字幕付アニメ』の醸し出す不思議な世界観に慣れるのも時間の問題かも知れないが、『週刊ストーリーランド』の投稿常連になる自分を想像すると… ちょっと怖い気もする。


============<番組データ>============

『週刊ストーリーランド』(木ヨル7時54分〜8時54分)

企画・総監修:五味一男
演出:鈴木豊人/小沢太郎/瓜生健/松井昂史/舟澤謙二
ディレクター:中西健/石屋純
構成:本末恵理子/狩野秀樹/森和盛/兼上頼正/浜田悠
強力:創輝/モスキート/日本テレビエンタープライズ
プロデューサー:神蔵克/大武智浩/中谷敏夫/篠崎幸生
チーフプロデューサー:佐野護顕
制作協力:シンエイ動画/東京ムービー/日本アニメーション株式会社/VAP
制作・著作:日本テレビ

司会:西村雅彦/笛吹雅子アナウンサー
ゲスト:高橋英樹/新山千春/吉村真理/恵俊彰/山本文/森久美子/宝田明/水野晴男/島崎和歌子/優香/峰竜太/藤村俊二/井森美幸/藤原竜也/牧瀬里穂/榊原郁江/伊集院光 ほか 毎回4名

構成・文/阪本 悠



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