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野良猫避けのペットボトルは効果があったのか…。


第13食 ●恐るべし! 『平成夫婦茶碗・ドケチの花道』●

 今年の連ドラが始まって早々一大事件が起こった! 『二千年の恋』の初回視聴率21.0%を押さえて『平成夫婦茶碗・ドケチの花道』が、視聴率22.2%で連ドラのトップに躍り出たのだ。
 正直な感想として、日本テレビの水曜10時枠がフジの月9を抜いたと言う事は俺の中では晴天の霹靂と言っても過言ではない。
 テレビ誌の新番組紹介欄で、『GTO』『魔女の条件』で高視聴率を叩き出した『脚本家』の遊川和彦氏が『企画プロデュース』としてトップクレジットされていた事は、確かに目を引いた。だが『金儲けの夢を追いかけて多大な借金を作る人の良いラーメン屋のダメ亭主と、節約が生き甲斐の妻、しっかり者の子供たちを軸に、ドケチ・ライフと家族愛を描くホームコメディー』が東山紀之浅野温子の組み合わせで月9を抜くとは、正直言って予想もつかなかった訳で、天下の一大事! とばかりに慌ててビデオをセットして、テレビの前で正座して拝見する事にした。


これはごく普通の家庭のどこにでもある物語… ではない。節約だけが生き甲斐の妻と、借金ばかり作ってしまう夫。そして他にやる事がないので出来てしまった五人の子供たち。そんな借金だらけの家族の、節約と博打とちょっとばかしの愛の物語である』と、みのもんた氏のナレーションと共に、朝のゴミ出しに、コンビニの小さな袋程のゴミしか出さない妻・節(浅野温子)が、二層式洗濯機の残り水をバケツに移して雑巾がけを始める。いたいけな3人の子供は学校に行くのかと思いきや、公園でペットボトルに水を汲みがてら歯磨きやトイレを済ませて水道代節約に務める。
「今日遂に我が家の借金が1千万を切りました!」と言う目出度い朝の朝食メニューは、ダシを取った煮干しと大根の葉で作った材料費ゼロのふりかけ、繊維質豊富過ぎる大根と人参の皮の味噌汁に、肉の代わりに植物性蛋白質の油揚げを使ったあぶジャガで、7人家族分しめて135円也。子供の鼻はテッシュではなくタオルで拭く節に「汚ねぇだろ!!」と文句を垂れる寝癖ヘア炸裂亭主・満太郎(東山紀之)のお小遣いは煙草代として3日で250円… とキーボードを叩く手も凍らんばかりの節約振りからドラマは始まった。
 夜はブレーカーを落として800円の節約に務める妻の待つ、暗い我が家に帰宅した満太郎は、空き瓶で作ったランプ生活にうんざりしつつ風呂に入ろうとして、拾って来たペットボトルがボコボコ沈む浴槽に声を上げる!! こうすると水が少なくて済み、中の水も暖まって一石二鳥だと言う浴槽で躰を伸ばす事もままならない一家の長に同情の念が禁じ得ない… かと言うと、こいつが次々とアホな詐欺に引っかかって出来た借金による貧乏生活なので自業自得なのだ。だが、
「節約するより儲ける事を考える方が建設的だと思わない?」と志だけは高いアホ亭主が『上場前の株の購入で資産が倍になる』などと絵に描いた様な詐欺に引っかかるものの、気の弱い次男・完(松崎駿司)との心温まるエピソードが涙を誘って… との第1話を観て『情報・笑い・泣かせ・感動』と、エンターティメントに徹したドラマだとは思った。


 しかし面白い事は認めるものの主婦では無い俺にとっては、ペットボトルで風呂の水を節約するよりもテレビ東京の『貯まる女』で繰り広げられる納税ワンポイント情報の方が身近で新鮮に感じられた。
 森久美子女史扮する税理士の蘭子が担当する豆腐屋のおばちゃんが、毎日売れ残った豆腐を自分で食べたり近所に配ったりした分を売り上げとして追加納税を迫る税務署員・建一(山田純大)に、
「自分で食べた分は朝作ったものが夕方どうなっているかの“品質管理を兼ねた試食”で、近所に配った分はキャンペーンの一環で“宣伝費”」と迫るが、認められず… の方が大いに参考になった訳で、『貯まる女』の健闘をひとり密かに祈っている。と話は逸れたが、他の連ドラも概ね高視聴率でスターを切っている。
 ミレニアムのバカ騒ぎや明けて早々に実施された『ハッピーマンデー』なる恥ずかしいネーミングの移動祝日で金を使い果たした人々が、Y2K対策で買い込んだ非常食を食べながら観るには『平成夫婦茶碗・ドケチの花道』がタイトルからしても一番ピッタリ来る番組だったのだろうか? などと想像しつつ22.2%の高視聴率の訳を暫し考えてみた。
 単なる節約ものではないにしろ、同局のバラエティ・『伊東家の食卓』は毎週20&前後の高視聴率をキープしているし、ワイドショーでも『節約奥さん』ネタは定番になりつつあり、女性週刊誌はテレビよりもっと以前から『節約』ネタで埋め尽くされている。
 情報バラエティの企画会議では、視聴率が低迷したら『ラーメン』・温泉・食べ放題に走ると言うし、『テレビチャンピオン』の『大食い選手権』だけは俺でもついつい毎回チェックを入れてしまう。 ドラマは冒頭から情報番組宜しく節の『節約講座』から始まって、満太郎の友人・西土居一彦(石塚英彦)は主人公の『ラーメン屋』からとった出前を実に旨そうに食べる『大食漢』だ。
 わざわざ五人も配した『子役』には、これからも各々のエピソードでたっぷりと泣かせてくれる事は容易に想像がつく。
 東山紀之氏は森光子女史や深田恭子嬢の憧れの王子様。キンキの堂本剛&V6の三宅健の成人式に付き添いとして神社で手を合わせるお姿も記憶に新しいヒガシ氏は、キムタクよりもタッキーよりも最も『ジャニ色の濃い』キング・オブ・ジャニーズな存在だと想像する。
 一方の浅野温子女史と言えば『W浅野』と言われたトレンディドラマなるジャンルの文字通り立て役者であり、そんなバブリーなドラマに夢中になった女性たちの多くは、主婦に収まっている年齢だ。
 と見渡せば、このドラマには『芋・栗・カボチャ』の如く、幅広い年代の婦女子が大好きそうなアイテムがさりげなく盛り込まれているのではないだろうか!? との考えに到り、「さすがヒットメーカーの遊川和彦氏!」と、一応納得した次第だ。


 その後皆様御存知の通り、日曜日に放送された『ビューティフルライフ』31.8%の視聴率を叩き出して歴代初回視聴率のトップ記録を塗り替えてしまった。
 木村拓哉氏は以下2位の『ラブ・ジェネレーション』『ロング・バケーション』『協奏曲』と歴代4位の全てに名を連ね、その勢いに敵なし状態だが、今度は是非ともラブストーリー以外のジャンルで自己記録更新に期待したい。
 と言う訳で『平成夫婦茶碗・ドケチの花道』は4日間連ドラトップの座を守り続けた訳だが、翌週オンエアされた第2話は14.7%と放送枠に妥当なラインに落ち着いた。
 番組中で満太郎が、
「10時半になったらブレーカー落とすのやめろよ」と言ったシーンでハタと気付いた7.5%の視聴者が、慌ててブレーカーを落としたのだとしたら凄い影響力を持ったドラマだと感心する他ないが、改めて2話続けて観てみた感想としては、どうもこの一家に『愛』が感じられかったのだ。
 節が満太郎によそよそしく敬語を使うのは、第2話で『実は芦屋のお嬢様』だったからだと説明されたから良しとしよう。貧乏が原因でいじめを受ける子供達は当然今の生活に不満を抱いている訳であり、両親を慕っていないとしても仕様が無い。
 だが、満太郎も別段子供を可愛がっている風ではないし、嫌味なまでの節約生活を続ける妻・節に対してのよそよそしさが夫婦らしく見えないせいか、何ともこの一家が家族らしく見えないのだ。
 みじめな思いをさせているせいか節の子供に対する接し方も何処か距離を置いている風に見えて、五人の出産秘話? をモノローグで語られても、後妻か養子との設定にすら見えてしまい、特に第1話での河原で発見された次男の完を遠巻きに傍観している演出には、
「母親ならそのダボっとして暖かそうなコート脱いで着せてやれよ!!」と声に出してしまう程の違和感を感じてしまった。
 満太郎との約束だと聞いていたにしろ、いち早く事情を感じ取ったにしろ、その後に満太郎の作ったラーメンを完が食べるシーンと節の過去をリンクさせる為とは言え、あれだけ寒そうに震えている我が子を傍観する母の示す愛情が『こっそり新しい靴を買って与えた』では『世の中全て金なのよ』と突き付けられた気さえする。
 勿論、『世の中全て金』な訳であり、貧乏や節約生活が楽しい筈もない。リアリズムとしては納得がゆくが、ドラマにいくばくかのロマンを求める俺としては見終わった後に後味の悪い寒さが残ってしまった。
 これから順を追って家族に愛情の絆が芽生えて来る様を描くのか、はたまたナレーションが言う様に『ちょっとばかしの愛』とはこの程度なのか実に興味深いところだが、1、2話共に『ボトル風呂』に浸かってウンザリした満太郎がロクでもない考えに到ると言う、当たり前と言えば当たり前の皮肉な構造には素直に大笑いさせて戴いた。ヒガシ氏の入浴シーンを視聴者へのサービスと解釈して、是非とも『お約束』化して戴きものだ。


 因みに前期クールの『OUT! 〜妻たちの犯罪〜』を観て、カルビ弁当が喰えなくなったとの感想を目にする機会が多かったが、俺は『平成夫婦茶碗・ドケチの花道』を観てマジでペットボトルが怖くなったので、
「今年こそ稼ぐぞぉ!!」とここに宣言させ戴く次第だ。

==========<番組データ>==========
『平成夫婦茶碗・ドケチの花道』<毎週水曜ヨル10:00〜10:54 日テレ系>

企画プロデュース:遊川和彦
プロデューサー:大平太/仲野尚之
脚本:森下佳子
演出:三枝孝臣/長沼誠 ほか

出演:東山紀之/浅野温子/鈴木杏樹/石塚英彦/鈴木紗理奈/濱田岳/田島穂奈美/松崎駿司/齋藤佳太/齋藤昌太/矢島心/戸田恵子/清水章吾 ほか

構成・文/阪本 悠





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