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| 第19食 ●空腹は最上のソース? 『どっちの料理ショー』● |
私こと阪本悠は以前に取り上げさせて戴いた『料理バンザイ』でも語っている通り、大の料理番組好きで、終了してしまった『料理の鉄人』(フジ金11:00〜1:45)を始め、週末は『モグモグゴンボ』(日テレ土18:30〜19:00)、『チューボーですよ!』(TBS土11:30〜12:00)。平日は『郁江・井森のお料理バンバン』『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』(テレ朝13:05〜13:20)『食いしん坊万歳!』(フジ月21:54〜22:00)から『うまいが一番』(フジ土11:04〜11:10)に到るまでほぼ欠かさずチェックしてるが、木曜日は『とんねるずのみなさんのおかげでした』の『新・喰わず嫌い王決定戦』がある為に裏の『どっちの料理ショー』は全く視聴習慣がなかった。 以前ウェブマスター氏(以下W・M氏)との打ち合わせで、同番組の名前が挙がった際に始めてその存在に気付いてビデオ撮りしたが、今イチ番組のシステムが飲み込めず… 以来気に留めていなかったのだが、ゴールデン・ウイークの真っ直中、5月4日放送の『大阪寿司vsかつサンド』なる取り合わせには大いに興味をそそられた。『和食と洋食。メシとパン。魚に肉』… 一体どういう土俵でこのvsなのか? どちらも『押し』がポイントなのか? どちらも四角い? と思い始めたら好奇心にブレーキは掛けられず、休み中にも関わらずW・M氏に即メールで録画をお願いした。 そもそもこの日は、裏の『新・喰わず嫌い王決定戦』が『いっこく堂vs玉置浩二』と実にオイシイ取り合わせで、この件は別の機会にゆっくり御報告したい。9時“ちょっと前”から始まる『アナザヘブン』第3話は飯田譲二氏から監督が舞原賢三氏にバトンタッチ。どう空気感が変わるのか要チェック! で2台のビデオデッキは塞がってしまい、TBSの『君が教えてくれたこと』は生チェックせねばならず、しかも『どっちの料理ショー』は野球延長で30分遅れのオンエア… と何とも忙しい限りだったが、神様の様なW・M氏が御丁寧に標準モードでしっかりビデオを撮ってくれたお陰で、後にじっくり鑑賞する事が出来た。 御存知ない方の為に俺も最近やっと理解した番組のシステムを御紹介しておくが、司会の関口宏厨房と三宅裕司厨房が毎回ふたつの料理で対決。ゲストの7名が『おいしい応援団』なる有名店の料理人によるお勧めVTRで「草なぎ君に食べて欲しいなぁ」「デヴィ夫人、これですよ!」と名指しで訴えられたり、『こだわり食材』なるVTRの純朴な職人芸に惑わされつつ、「どっちが食べたいか」を決める。が、しかし多数決で負けた方は、何も食べられない… と言うギャンブル性を兼ねた料理バラエティ。日テレ系よみうりテレビの製作で、やたらとゲストのリアクションをアップで拾うのは慣れの問題だが、美味しそうなVTRやスタジオでの料理人の一挙一動にやたら大袈裟なリアクションが起こるのには訳がある! 事を知ったのはごく最近なのでエラそうに言えないのだが、実はこのゲスト諸氏、スタジオ入りから何も食べさせて貰えず、実に空腹状態らしいのだ。 俺はバラエティの事はあまり詳しくないのだが、番組収録というのは実に時間がかかるものらしい。だがあくまで我々が観ているのは正味の54分間なので、このゲストの空腹ッぷりは説明されなければ解らない。しかも夜9時といえば大概の視聴者は夕飯を喰い終わっているのではないだろうか? と、先週に引き続き、またまた『時間』の問題にブチ当たってしまったぞ!! 先に挙げた『モグモグゴンボ』は土曜の夜6時半で「子供もなかなかやるもんだ。よし、俺も今夜は何か作るか!」と思わせるものがあり、『チューボーですよ!』の夜11:30頃は小腹がすき始める魔の刻とも言える。『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』は更HP新が終わった後の遅い昼メシのお供。『郁江・井森のお料理バンバン』はフジテレビの大型リサイクル枠『チャンネルα』のお陰で朝の11時台の移動が惜しまれるが、移動前の15時40分からは主婦の皆さんが「今夜は何にしようかしら?」と思う時間であり、日曜6時の『料理バンザイ』は「たまに行くならこんな店」を観て高級店に行った“つもり”を味わえる… と時間に見合った楽しみ方があると思うのだが、木曜夜9時、夕飯がほぼ終わった満腹感に浸りながら有名芸能人の空腹ッぷりを観て笑う… というのが、『どっちの料理ショー』の正しい楽しみ方なのか? と俺なりに納得する事にした。 と、説明が長くなったが、『どういう土俵でこのvsなのか?』に関しては、連休に因んでか「行楽のお供に」との括りだが、何だかなぁ…。どっちも家で作ると言うよりは限られた専門店でのテイクアウト色が強いと思うのは俺だけか? と納得出来ないものを心に抱えつつ、番組ホームページによると97年の4月からデータが記載されているので、長寿番組故ネタ枯れも致し方あるまい。無茶なこじつけは決して嫌いではないのでサクサクと観進む事にするが、番組開始15分前後の『本日の特選素材』コーナーで俺の集中力は見事に途切れてしまった。 大阪寿司の『擬似餌釣りで釣り上げた、瀬戸内海の体長20cm弱の小鯛』に於ける擬似餌釣り職人さんと、カツサンドに於ける『完全手作り食パン』の職人さんお二方を誹謗中傷する気持ちは微塵もない事をあらかじめお断りしておくが、『おいしい応援団』のVTRが、お店紹介から出来上がり料理をフィーチャー、かつ本人が食べる! と実に直接的で短い構成なのに対して、こちらは実に叙情的。地方ロケにはるばるやって来ました感を全面に押し出し、かつ仕事人さんの生い立ちプロフィールから現在に至る… で5分近いVTR構成は、本来のメニューに対する『どっちが美味いのか』感を削がれてしまう気がしてならず、俺はいつもこのVTR部分でテンションが落ちてしまうのだ。 翌週の煮込みハンバーグ=赤ワインvs鶏の竜田揚げ=特選片栗粉も同様。重ねて言うが仕事人の存在やこだわりを否定するつもりは全くない。その叙情的な『人に歴史あり』的10数分間よりもスタジオで進行している調理経過の方が実に気になるのと言いたいのだが、俺の「はやく作っている料理を見せてくれ!」とのイライラ感は、スタジオで腹を空かせているゲスト諸氏とどこか通じるのかも知れない。 などと言いつつ、仕事人の方には本当に申し訳ないのだが、この前後を早送りするとだいたい40分前後でビデオを見終わる事になり… 同じ2チームによる料理バトル番組『料理の鉄人』とほぼ同じ視聴時間と相成る訳だ。 ああ、つくづく俺は見続けている番組の通例にすりこまれ易い人間なのだ… と至極納得する次第だが、逆に言えば『どっちの料理ショー』を観続ける事で、他の30分料理番組が物足りなく思えるやも知れず、だ。 「人に歴史あり」の食材なくして、何のグルメか! とそのうち言い出すかも… などと思いつつ、自分は本当にテレビ版パブロフの犬なのかどうか、試してみるのも悪くないだろう。 結局最後は勝者チームが恨めしそうな敗者を前に御馳走にありつくのだが、こちらも空腹の成せる技なのか、『本日の特選素材』のこだわりや人に歴史ありもどこ吹く風。みるみる平らげる姿が清々しいと言えなくもないが、鳴り物入りの筈の御馳走が普通のメシに見えてしまうのも御愛敬か。最終ジャッジで誰がどっちに転ぶかを見極めての心理ゲームも絡む訳で、空腹をテーマに人間の本質を突く結構シュールな番組とも言える。過去に全員一致はなかったのか? と素朴な疑問が脳裏をよぎるものの、そんな空気を読めない様では芸能人失格と言う事だろう。 因みに翌5月11日の『煮込みハンバーグvs鶏の竜田揚げ』は「ファミレスで迷う光景」と、苦肉の策とも、その通りとも取れる括り。17日の『串揚げVS焼き鳥』は「ビールにぴったりのおつまみ対決」。今週1日は『フイッシュバーガーvsホットドック』で「ファーストフード対決」と無難に逃げ切っている。番組HPで過去の取り合わせを見てみると、『冷たいパスタvs冷やし中華』『ローストビーフvs北京ダック』『みそラーメンvsしょうゆラーメン』『鰹のたたきvs冷やししゃぶしゃぶ』あたりは容易に納得出来る組み合わせだが、 『クリームシチューvs豚汁』『カニすきvs焼肉』『鍋焼きうどんvs中華粥』『クラブハウスサンドイッチvs太巻き寿司』『うどんすきvs鶏の水炊き』『五目炒飯vs五目焼きそば』『海老フライvs豚肉のしょうが焼き』『五目いなりvsカツサンド』等々はどんな括りだったのか実に興味深く、断然こっちの方が視聴意欲をそそられるぞ! 特に97年9月4日放送の『麦とろvs中華ちまき』なる取り合わせは、人知を越えた神の声を聞く思いだ。関口厨房の麦とろが勝利で、草なぎ剛氏と山田吾郎氏はありつけたらしい事だけが個人のHPで確認出来たが、ビデオがあれば是非とも観てみたいものだ。 高視聴率=長期化=ネタ枯れは必至であり、それは長寿番組の勲章でもある。これからも安易な? 組み合わせに逃げる事なく、無茶な取り合わせにどんどん挑戦して戴きたい。どうせゲストは腹が減っているのだ、目からウロコの括りに期待してますぞ! |
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============<番組データ>============ 構成:浜田悠/海老克哉 ほか テーマ曲:「カレーライス」KAB(マクセル・イーキューブ) テーブルコーディネート:マンダリン工房 協力:辻調理専門学校/エコール・キュリネール国立 制作:坂井良美/大塚峰子 監修:菅原正豊 ディレクター:門脇泰久/清水晶 演出:石野隆己/高城健一郎/中村元信 プロデューサー:南中佑介/津田誠 制作:よみうりテレビ/ハウフルス 出演:関口宏/三宅裕司 間寛平/田中義剛/勝俣州和/草なぎ剛/高木美保/安達祐実/デヴィ夫人 ほか |
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構成・文/阪本 悠 |
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