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| 第24食 ●火気等危険物取り扱い要注意! 映画『クロスファイア』● |
新鮮な『丼』ネタをスクリーンに求めての『テレビなシネマ』もサクサクと第3弾。『リング』のヒット以来、日本映画界は今や季節を問わずのサイコ・サスペンス企画が目白押しだが、時を同じくして上映中の東映の『千里眼』と迷った挙げ句、東宝の『クロスファイア』を観よう! と決めた理由は… 水野美紀と、黒木瞳の『千里眼』に比べて、矢田亜希子、伊藤英明、原田龍二、吉沢悠、永島敏行、桃井かおりとテレビな出演者の数が多かった事にコロッとやられてしまったからに他ならない。 「ったく、俺は子供か?」と呆れ返る理由だが、実にこれがホントのお話。「宮部みゆき原作の初映画化に惹かれて」とか「ガメラシリーズで評判の金子修介監督、東宝初見参」と歳年相応の理由もあろうに、テレビが伝える舞台挨拶の様子を観て「知ってる人がいっぱい並んでたから」では小学校低学年レベルである。 そんな自分が情けないやら愛おしいやらで劇場に足を運べば、まさか俺と同じ動機ではなかろうが、平日の午後イチ回なれど結構な混雑ッぷり! 宮部みゆきさんの時代劇小説ファンなのか? 矢田亜希子嬢目当てなのか? コアな特撮関係者か? 頭に白いものが混じる年輩男性が目立つ中、東宝系特有のそこはかとなく上品な香漂う劇場のゆったりしたシートで『クロスファイア』を鑑賞させて戴いた。 物語はと言うと、主人公・青木淳子(矢田亜希子)は、実は“炎”を意のままに操る『念力発火能力=パイロキネシス』を持つ自分の特殊な能力を憎み、感情を内に秘めて地味なOLとして生活しているが、想いを寄せていた同僚・多田(伊藤英明)の妹が未成年者による連続女子高生殺人事件の被害者として殺害されてしまう。多田の深い悲しみを目のあたりにした淳子は、不起訴となった18歳の小暮昌樹(徳山秀典)たち犯人を、愛ゆえに“炎”で制裁することを決意。続発する発火事件の裏に淳子の存在を突き止めた所轄署の刑事・牧原康明(原田龍二)と石津ちか子(桃井かおり)は、淳子を「危険なテロリスト」とみなし、やがて本庁も巻き込んで大規模な包囲網を敷いていくが… といったもの。 そこにもう一人、サイコメトリーでもある少女・倉田かおり(長澤まさみ)や同類の超能力者・木戸浩一(吉沢悠)が絡みつつ、実は幼少時に牧原の弟が淳子の力で焼死した事実や、少年法や有名人の親に守られて英雄気取りでマスコミに登場する小暮に対する、遺族のやり場のない激しい怒り、連続女子高生殺人事件と超能力者たちを操る黒幕の存在… と盛り沢山な人間模様に、宮部氏お得意の『超能力を持てるものの孤独と苦悩』が描かれて… とエンターティメント性の取り揃った題材だ。 炎関係の特撮は、その方面には全く興味のない俺が殆ど問題なく観られたので、特撮好きの方には堪らない程出来が良かったのだろう。折からの梅雨冷えだったので難無く観られたが、冷房が効いた劇場を出て外が炎天下ならば、かなり暑苦しく感じる程に、車、人間、遊園地と、よ〜く色々なものが燃えていた。 テレビでお馴染みの俳優さんの活躍と言えば、主演の矢田亜希子さんの『地味なOL』ッぷりはお見事だったが、ずっと地味ではなぁ… と言うのが正直な感想。 確かにサイッキカー役は、「うぅッ!」と念を込めて、後は特撮班よろしくお願いします的なやり難さがあり、観ている側も身近にその手の知人が居る訳でもなく… リアリティのない芝居の大変さは解るのだが、愛する人の為に迷わず犯人たちを焼き尽くすかぁ? との疑問が最後まで付いてまわった。とは言え、あまりにも俺好みの細〜い美脚である事に気付いてからは、ずっと脚ばかり観ていたので突っ込んだコメントは差し控えさせて戴きます。 相手役の伊藤英明氏は『OUT!』(フジ)での「ブラジルさん」役と『YASHA』(テレ朝)では主役を務めておられるが、まだまだ「これからの人」感が拭い切れず… 今後に期待させて戴こう。 前半戦で嬉しい情報不足だったのが、犯罪グループリーダー小暮昌樹役の徳山秀典氏。舞台挨拶にも顔を出しておられたようだが、テレビではピックアップされておらず状態でスクリーンに登場するまで御出演には気付かなかったが、実に堂々としたヒールッぷりで前半戦を引き締めてくれた。 10歳でNHK大河ドラマ『八代将軍 吉宗』でデビューの後、堤幸彦監督の『ぼくらの勇気〜未満都市〜』(日テレ)に御出演。『GTO』(フジ)を経て、俺は堤監督の『プリズンホテル』でその存在感としっかりしたお芝居に注目させて戴いたのだが、いやいやなかなかスクリーン映えする18歳。途中淳子に焼き殺されたかと思いきや… あとはネタバレになるので自己規制するが、彼の出演シーンでは美しいマスクと普通に存在する快楽殺人者の不気味さが相まって、随分と楽しませて戴きました。若いって素晴らしいゾ! 第5回東宝シンデレラとクレジットされた倉田かおり役の長澤まさみ嬢(13歳!)は初々しいながらも結構な存在感で好感が持てた。が、自閉症気味の超能力者という役のせいか強力なインパクトには至らなかったので、すり込まれる程強力に露出して戴かないと『モー娘。』の顔と名前が一致しない俺には、認識するのに時間がかかりそうだ。 そして刑事コンビの原田龍二氏と桃井かおり女史のご登場と相成る訳だが… 原田氏は『ショムニ』にゲスト出演された際に、なかなかどうしての立派な中堅ッぷりに驚いたものだが、スクリーンでも若手とベテランの間でそこそこの存在感だった。 ここで問題なのが、桃井女史。この人が出てくると。「良い味出してる」とか「脇を締める」とかではなく、芝居も台詞も文句無く「面白い」訳で、格が違うと言ってしまってはそれまでなのだが…。映画館では他の観客が気になって必ず前方席に陣取る俺としては、テレビと違って美しさや存在感なりで俳優さんに惹きつけられないと実に退屈な思いをしてしまう訳で、桃井女史の登場シーンでは、全てこの人に目を奪われてしまった。 特に、事件に念力発火能力者=淳子が関わっていると踏んで、つぶらな瞳で必死に訴える原田氏を、 「うちの犬みたいな目ぇしないでよ」とかわした後に、捜査会議でその旨を発表して呆れられる同氏を、犬を制する仕草で止めるシーンには結構笑かせて戴いた。が、こういう方はもっと『特別出演』的な扱いにして戴かなければ…。せっかく「テレビで知ってる人がいっぱい並んでたから」と小学校低学年の如き純粋な理由で選んだ筈が、 「あぁ、特撮と桃井かおりが凄かったなぁ…」と如何にもオールド日本映画ファン的な感想を胸に劇場を出る事になってしまったじゃないかぁ! とは言うものの、原作2作分を上映時間内に纏めた脚本に少々無理があったのか、途中から登場する吉沢悠氏と、矢田嬢の『制裁』に対する捉え方の違いや、法で裁けなかった犯罪者をリンチにしても良いのか? との桃井刑事の問題提起。少年法や犠牲になった遺族の痛み等々… タイムリーなテーマが掘り下げられなかった事が残念であり、何より黒幕氏の意図が良く解らなかった事も結構痛いところだ。 まぁ黒幕氏に関しては、『QUIZ』の最終回も全く同じ感想だったのでこれがTBSのトレンドやも知れずか? 女性にとっては伊藤、原田、吉沢、徳山、と若くてイイ男が取り揃った『海鮮丼』状態なので結構楽しめるだろう。 恐るべしッ! 桃井かおり女史。火気同様、取り扱いには充分注意を払って戴きたいものだ。 |
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============<作品データ>============ 『クロスファイア』(東宝・ TBS提携作品 ) キャスト: 青木淳子・矢田亜希子/多田一樹・伊藤英明/牧原康明・原田龍二/倉田かおり・長澤まさみ(第5回東宝シンデレラ)/木戸浩一・吉沢悠/小暮昌樹・徳山秀典/長谷川芳裕・永島敏行/蛍雪二郎、中山忍、宮迫●/石津ちか子・桃井かおり ほか スタッフ: 原作:宮部みゆき「鳩笛草」「クロスファイア」(光文社刊) 監督:金子修介 主題歌:「THE ONE THING」 Every Little Thing(avex trax) 製作:柴田徹/原田俊明 脚本:山田耕大/横谷昌宏/金子修介 音楽:大谷幸 プロデューサー:瀬田一彦/本間英行/濱名一哉/田上節朗 ビジュアルエフェクトスーパーバイザー:松本肇/岸本義幸 製作:東宝映画/配給:東宝 全国東宝系にて公開中 |
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構成・文/阪本 悠 |
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