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『テトラ』ほど可愛くはないが、違う意味で良い感じです。


第27食 ●スクリーン映えの小さなビッグスター登場! 映画『ジュブナイル』●


 第24話で御紹介した『クロスファイア』を観に行った時、『ジュブナイル』の予告を観たのだが… 実はこれが今まで俺が観た中でダントツ一位につまらない予告だったのだ!! 普通は「しまった、騙されたぞ!」と腹が立つくらいに予告だけは面白く作るものだが、あまりのつまならなさに「これは是非とも観なければ!」と瞬時に鑑賞を決めたので、予告としては大成功。どうか作った方は気を悪くしないで戴きたい。
 そんな訳で、少年少女向けSFチックストーリーの総称をズバリタイトルに配した『ジュブナイル』をわくわくしながら観に行って来た。


 到着した映画館タワーの鑑賞券売場には、客がごった返し状態でメガホン片手のお兄さんが「お立ち見」「指定席」を連呼しているではないか!! このメガホンを持つ時が彼らにとっての至福よのぉ〜 などとと思いつつ俺と同じく予告に惹かれたのか、それとも「こんなに観せて良いものか?」と思う程に映像大放出のスペシャル番組効果か? と思えば何の事はない。水曜日のシニア・女性1000円サービスで、『M:i-2』(ミッション:インポッシブル2)に、「劇場なんて何十年振り」とウキウキする老御夫婦や若いカップルが殺到していたと言う訳。いやいやしかし我らが『ジュブナイル』も、香取慎吾氏目当てのお母様? とそのお子達で結構な賑わいッぷり! 最近俺が観た映画の中では一番客席が埋まっているぞ!
 そんなお子様達を意識してか、2001年3月公開の『ドラえもん』の実に面白そうな予告も終わって、いよいよ始まった『ジュブナイル』のストーリーは以下の通り。
 夏休みでキャンプに来ていた祐介(遠藤雄弥)や岬(鈴木杏)たち4人はロボット・テトラ(声・林原めぐみ)と出逢う一方、地球上空に巨大な宇宙船が飛来。ヴォイドなる異星人が岬の従姉・範子(酒井美紀)を捕らえてそのキャラクターになりすまし町を徘徊していた。
 祐介は自室の押入でテトラを飼育。どんどん自分の身体を完成させて行くテトラにパソコンが必要だと言われて、近所の天才発明家でマジにタイムマシン製作に取り組む神崎(香取慎吾)に力を借りる事に。
 岬をめぐる恋のバトルがありいの、神崎と範子がイイ感じになりいのと、青春しているのは結構な事だが、宇宙船の接近とともに太平洋上に巨大な三角錐状の物体が突如出現するなど、地球上に不可解な現象が連続して発生… やがてヴォイド人の手は神崎にも伸びる訳で、岬を人質に取られた祐介はテトラが作り出したガンゲリオンなる巨大二足マシーンを操って、愛する人と地球を救うべく果敢に戦うが…。

 との映画を観て行くうちに、なにゆえ予告がつまらなかったかの謎が解けた! VSXやCGシーンは実に素晴らしく、その技術を活かすべく設定にも細かい気配りがされている点は大変宜しい事なのだが、人間ドラマパートの演出が実に平坦と言うか… 出演者の皆さんが気の毒な程に、全編通して魅力的には見えないのだ。
 テトラやヴォイド人は実に魅力的でかなり惹き付けられるのだが、人間のみのパートがどうしたものかと思う程『…』では、ネタバレ防止の為に俳優中心に作られた予告編も『…』な訳だわなぁ〜 と至極納得してしまった。
 比較的健闘して観えた酒井美紀嬢も、気が付けばヴォイド人にボディスナッチャーされた芝居パートが光っている訳で、人間・範子パートはやはり精彩がなく…。香取慎吾氏も、あのガタイは絶対大スクリーン向きだろうと期待していたし、ハリウッドデビュー済みの鈴木杏さんももっと魅力的な筈だと思うのだが… 唯一目を奪われたのが、『夢と勘違いしてテトラにガンゲリオン製作資材をトラック一杯分くれてやる』技師役の松尾貴史氏が、エピソードに助けられての独り勝ち状態かぁ!? と首を捻って帰宅後に公式HPで確認したところ… 監督・脚本・キャラクターデザイン・VFXを担当した山崎貴監督のプロフィールを見て全て納得! この方は故・伊丹十三監督作品等でSFXスーパーバイザーを務めておられ、『ジュブナイル』は劇場用映画初監督作品なのだそうな。
 実写初監督に5億の大作を任せるとは、豪気な話よの〜 と感心しつつ、あらゆる事に滅茶苦茶納得してしまった次第だが、企業CMのキャラクターデザインやVFXに多数携わっておられるだけに、CGによるヴォイド人のキャラクターや小さなロボットながらもテトラは本当に愛らしい。が、子供たちの淡い恋心も、マジで淡いばかりでは最初のクライマックスも盛り上がりに欠けまくる訳であり、地球の一大事的エピソードも説明不足で『何となく戦っちゃいました』感は否めない。テトラを捜しまわるシーンで使われた山下達郎氏の名曲『アトムの子』も、後のVSXシーンの為に実に貧弱な音響処理でイントロの見事な躍動感が死んでいた。ネタバレになるのでボカした表現で申し訳ないが、高杉亘氏と川平慈英氏のキャスティングに関しても、もう少し設定にリンクした描き方をして戴かないと、どっちが誰なのか解らず状態。ラストの盛り上がりに水を差された思いだった。
 作品全体を通してこのジャンルでは珍しく『おたくっぽさ』を感じさせない点は好感が持てるだけに、俳優陣もVFXシーンと同じくらい魅力を引き出してくれればなぁ… とつくづく残念な限りだ。


 とは言ってもテトラ君は、香取氏と共に生出演した番宣番組も含めて、テレビで観るよりも数百倍可愛かった。俺もテトラを飼育出来るのならば狭い部屋に押入を作ってもいいぞ! とマジで思う程キャラクターが生きていたし、小さいながらもスクリーン映えする頼もしい奴だ。子役だったらこれからが楽しみだと言えるのだが… いやぁ〜 何とも実に残念残念!

============<番組データ>============

『ジュブナイル』

出演:神崎宗一郎・香取慎吾/木ノ下範子・酒井美紀/木ノ下岬・鈴木杏/坂本祐介・遠藤雄弥/大野秀隆・清水京太郎/松岡俊也・YUKI/桜金造/角替和枝/松尾貴史/緒川たまき/高杉亘/川平慈英/吉岡秀隆 ほか
エグゼクティブプロデューサー:阿部秀司
制作・企画:河村雄太郎
制作プロダクション:ROBOT
監督・脚本・キャラクターデザイン・VFX:山崎貴
全国東宝系で上映中

構成・文/阪本 悠



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