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| 第29食 初日に観たぞ! 『死者の学園祭』&『仮面学園』 |
アッという間に8月に突入して世間はとっぷりと夏休みモードだが、テレビでガンガンCMが流れる映画を中心にお届けする『テレビ丼・テレビなシネマ』企画も、とうとう2本立て作品に取り組む事と相成った。 都合3時間半映画館に拉致されるとあっては、「今日俺は映画を2本たて続けて観る!」との気合いも必要であり、体調、気分、財布の都合、原稿執筆スケジュール等々を慎重に検討した結果、何と初日の最終回に観に行く事になり… 20世紀最後の夏、『独身男がアイドル映画2本立てをひとり初日に鑑賞の図』に付きまとう疑問符をお共に劇場へ向かった。 初日に映画を観るなど10が付く何年振りだが客席を見回して『!』。正確な数字は控えさせて戴くが、『補欠や累審、監督、マネージャーをも含めて、ぎりぎり草野球が出来るか否かの人数』とだけ申し上げておく事にして、『仮面学園』から鑑賞させて戴いた。 藤原竜也氏ファンの方にまず先にお断りしておくが、彼は特別出演だと思った方がショックが少なくて済むと思う程に、出番が少ない!! 暗い劇場内の事で正確さには欠くが、映画が始まってから15分くらいは彼にお目にかかれない。で、引っ張るだけ引っ張って登場した藤原氏は、さして活躍せずに事件が勝手に起こり、謎の人物“D”を巡っての様々な謎には黒須麻耶嬢と新人の石垣佑磨氏、渡辺いっけい氏が挑むのだ。 何故こんな設定を選んだのか、スケジュールがなかったのか、途中で体調でも崩したのか… との疑問が“D”の謎よりも勝る訳だが、「何故? どうして?」と悩み続ける俺にはお構いなしに映画はサクサクと進む。 ストーリーには敢えて触れないが、劇中で重要な位置を占める仮面モデルを配したファッションショーのシーンがこれまた絵に描いたようなトホホッぷり。本物のファッションショーは照明、選曲、演出とも実に素晴らしいのだが、日本の映画やテレビ界はファッションショーに何か恨みでもあるのか? どうしてこうもショボい演出になってしまうのだろう、…謎だ。 因みに俺は始めて某デザイナー氏のショーを観た時に、もの凄い感動を覚えてしまい、当時動員数は異常に低いが志だけは異常に高い劇団の主宰だった友人に「お前の芝居よりは数百倍“観せる”点で勝っていた!」と発言して大喧嘩になった事がある程素晴らしかった。そんな彼も今では良き家庭人としてペットショップの店長に収まっている… などと懐かしい話はどうでも良く、実に陳腐なファッションショーだったが、デザイナーDAIMON役は強面のスキンヘッド麿赤兒氏で、怪しげな参謀氏を鈴木ヒロミツ氏が演じていたお陰で「んじゃ、しゃあねぇか」とアッサリ納得。キャスティング的には大成功で、しかもプレス陣までもが仮面をつけて取材するという念の入れようだったので、悪い冗談として受け流させて戴いた。 それにしても藤原竜也氏は、デビュー作が蜷川幸雄氏の舞台『身毒丸』のロンドン公演でマスコミの大絶賛を浴びた実力派だが、取り敢えず『仮面学園』はアイドル映画の筈だ。されどなにゆえこんなに『主役』が活躍しないのか? 勿体つけた主役の扱いが昨今の流行りなのかどうかは知らないが、もうしばらく藤原竜也氏はみなくても結構! と思うくらいに活躍して欲しかった。その分やたら出番が多かった新人・石垣佑磨君は『21世紀ムービースターオーディション』の準グランプリだそうだが、『準』で成功する人も多いので頑張って戴きたいものだ。 続く深田恭子嬢主演『死者の学園祭』だが、こちらは若い子女がそこそこ出演していて『アイドル映画』然とはしていた。が、ミサのシーンや学園祭シーンでの生徒数が極端に少なくてどう見てもひとクラスか一学年にしか見えず… もっと若い子女がいっぱい観たいゾ! との不満と共に「どんな学園なんだ?」との疑問符が最後まで取れなかった。 深田嬢は、テレビのドラマやCM、バラエティで観る通りの『深田恭子』そのもので、さして語る事もないが、友人役の坂本三佳、林知花、黒澤優嬢は出番が少ないながらも各々インパクトがあり、ナチュラルな芝居にも好感が持てた。 前者のファッションショーと並んで、こちらもやはりトホホな扱いの多い『劇中劇』が謎解きクライマックスの導入部分を担う訳だが、商業演劇ではなく高校の演劇部という設定に助けられて何とか観る事が出来た。と言うよりも、深田恭子嬢の芝居が全般を通して学芸会チックなので、結城真知子役も劇中劇で演じる役もテンションが同じ=違和感がないと言う事デス、はい。 謎の転校生役・内田朝陽氏が前出オーデションのグランプリ獲得者との事で、181cmの長身は印象に残っているのだが、『準』の石垣君に比べて出番が少なく、明らかに役で損をしていた。特にクライマックスで真犯人に追い詰められた深田嬢の元に駆け付けるくだりでは、設定上私怨があるとはいえ、教師役の加藤雅也氏が深田嬢を庇って、高校生の石垣氏が老齢の真犯人に立ち向かうというアンバランスさは、トホホを通り越して大爆笑させて戴いた。逆だよ、普通は! こちらもストーリーは割愛させて戴くとして、何のよどみもなく事件が起こり続けるが、犯人はキャスティングから見てこの人の他考えられず。やたら犠牲者の出た事件も解決して学園に平和が戻ると、取り立てて惚れている風にも見えなかった加藤雅也氏と深田嬢の取って付けたようなキスシーンで映画は終わる。が、キスシーンはCXドラマ『神様、もう少しだけ』の金城武氏の方が容赦がなくてハードだったぞい。 そんなこんなで2本観終わった感想は、1話完結のドラマを2本続けて観たなぁ感が否めず… 深田嬢に関しては、帰宅後にオンエアしていた『フードファイト』(日テレ 土曜9:00〜)の方が自然に見えた分だけ良かった気がした程で、軽く見られがちだがアイドル映画とは、なかなかどうして監督の手腕が問われるもの。『野菊の墓』(1981・東映)で松田聖子女史がデコッパチである事を暴露、『Wの悲劇』(1984・角川)では、薬師丸ひろ子女史の見事な劇中劇を演出した澤井信一郎監督の手腕に改めて感服する次第だ。 なんにせよ勢いに欠けるアイドル映画を観るにつけ、加山雄三氏の『若大将シリーズ』(注:わか“たいしょう”と濁らず発音)宜しく、『すき焼き』屋を営む金持ちのボンでスポーツ万能、ハンサムでモテモテ、エレキも弾けて作詞作曲歌もOKです… とまで行かずとも、もう少し主人公が『調子に乗って』活躍してくれても良さそうなものだが? と物足りなく感じてしまう。 思えばクレージーキャッツの『日本一』シリーズや、タイガースやテンプターズ等のグループサウンズ映画や、洋画では往年の『007』シリーズを名画座で観た時には、主人公の絵に描いたような『調子に乗りッぷり』に感動すら覚えたものだ。高度成長やバブリーな時代も終わって、調子に乗ってはいられない御時世なのは重々承知の上で、せめてアイドル映画の主人公たちには『調子に乗って』いて欲しいと思う阪本デシタ。 因みに本当は逆の順番で観る予定だったのだが、諸般の事情で『仮面学園』を先に観たのは大正解だった。順番が逆だったら途中で映画館を出てしまい『テレ丼』ネタをひとつ落としてしまうところだったぞ! 危ない危ない…。 |
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============<作品データ>============ 『仮面学園』 出演:堂島暁・藤原 竜也/川村有季・黒須麻耶/堂島レイカ・栗山千明/青い睫の女・小野麻亜矢/芦原貢・石垣佑磨(新人)/矢場守:渡辺いっけい/DAIMON・麿赤兒/城之内雄一郎・大杉漣/柴田刑事・本田博太郎 ほか プロデューサー:柘植 靖司 石矢 博 原作:宗田理『2年A組探偵局 仮面学園殺人事件』(角川文庫刊) 脚本:橋本 裕志 監督:小松 隆志 製作プロダクション:アスミック・エースエンタテインメント 製作:『仮面学園』製作委員会(ホリプロ/角川/東映/アスミツク・エース) 配給:東映 『死者の学園祭』 出演:結城真知子・深田恭子/倉林勇・加藤雅也/神山英人麦・内田朝陽(新人)/デビッド・ソーンヒル・セイン・カミュ/柳田真弓・坂本三佳/小野治子・林知花/山崎由子・黒澤優/浦澤和泉・宮崎美子/手塚和彦・筒井康隆/結城正造・根津甚八 ほか プロデューサー:柘植靖司・井上文雄 原作:赤川次郎(角川文庫刊) 脚本:安倍照男 監督:篠原哲雄 製作プロダクション:アスミック・エースエンタテインメント 製作:『死者の学園祭』製作委員会(ホリプロ/角川/東映/アスミツク・エース) 配給:東映 |
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構成・文/阪本 悠 |
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