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| 第32食 ●野放しトーク炸裂! 『おすぎとピーコの本ビニエンス』● |
テレビ編成の方々は『人は週末にじっくり読書する』との思い込みがあるのだろうか? 土曜の夜は『本パラ!関口堂書店』(テレ朝 7:59〜)、『週刊ブックレビュー』(NHK-BS2 10:15)と本の紹介番組が続くが、『本パラ』と同じテレビ朝日さんは御丁寧にも深夜の3時5分から通称『本ビニ』、正式名『おすぎとピーコの本ビニエンス』なる番組を編成している。 『本パラ』に『本ビニ』と本に何か弱味でも握られているのか? と思わず疑ってみたくもなるが、実は今回紹介する『本ビニ』は偶然チャンネルを回していた際におすぎとピーコ氏の言いたい放題に思わずチャンネルが止まってしまった番組なのだ。 最近のピーコさんは、終了してしまった『2時のホント』の司会や、『SMAP×SMAP』で仲居正広氏が扮する『ヒーコのファッションチェック』コーナーのせいか“昼間orゴールデン系”とのイメージが強かったが、俺が初めておふたりの存在を知ったのはラジオの深夜放送。今と変わらぬ毒舌と耳にこびりつくようなダミ声に「なんじゃこりゃあ?」と驚きつつも結構愛聴していたのだが、『ポパイ』か『ホットドックプレス』誌上で“悪魔のシスター”なるキャプション付きの写真を見た時はマジで腰を抜かす程驚いた… などと思い出に浸っている場合ではないのだが、やはりこのふたりには深夜が良く似合う。 本の話題はそっちのけで世間話やら本人たちしか知らない他人の悪口は言うに及ばず、おすぎさんの恋人を“タニタニ”“いのいの”“ミズミズ”“かじかじ”と連呼する様は、一般人や若手女性アイドルなら殴り倒したくなるところだが、このふたりならば不思議と笑って見られるものよのぉ… と感心するばかり。映画評論家の割には意外とボキャ貧なおすぎ氏は、『物者知らず!』と呆れるピーコ氏に、みんなそこが可愛いっていろいろ教えてくれるのよ!! と開き直るわ、頭の弱い弟を持った兄の苦悩を訴えれば、優越感が持てて幸せでしょ! と突っ込むわ、妻になって嫁をいびってみたいと言い出すわ… 深夜番組ならではの野放し状態。それでも兄に尽くして一緒に出演しているでしょ? と媚びを売れば『今が旬』? なピーコ氏にくっついて出て来ただけでしょ!? と言い放たれて「小判鮫でぇ〜す!」と明るく宣言する様は、呆れるを通り越して爽快感すら感じさせてしまう。そのテンションの高さは第30食で紹介した『おはスタ』に勝るとも劣らないなどと感心しつつ、ここで番組の構成を御紹介しておこう。 タイトル直後の『風呂本』では『あなたのバスタイムを彩るお風呂で読む本』とのテロップ通り、番組マスコット・ビニーズの木谷映美嬢がお風呂に入りながら読みふける本の朗読コーナー。深夜らしいサービスカットのつもりなのだろうが、木谷嬢のおみ足は打ち身の跡やら虫に食われた跡が目立つので、何とか善処して戴きたいものだ。と、ここで御質問だがそもそも皆さん、風呂で本を読みます? トイレで読書は当たり前だが、本に湿気は禁物だろう!? と激しい思い込みのままで生まれてこの方風呂で本を読んだ事がない俺にはピンと来ないコーナーだが、バスローブを脱いでからバスタブに浸るまで20秒。丁度1分の朗読が終わったところでおすぎとピーコ氏が登場。本とは全く関係ない世間話が延々と続くが、堪りかねたように編集処理が施されて『毎週一冊おすぎ&ピーコがおススメ本を紹介』とのコーナーテロップと共に、ようやく本が登場する。 しかしこのおふたりにかかると、何かと話が脱線して「今すぐこの本を読んでみたい!」とは思わせない程に話題は本筋を離れて多岐に渡る。当然のようにおすぎ氏がお勧めでもピーコ氏が興味を示すとは限らないので支離滅裂にコーナーが終わる事も多々ありそうだ。 その後はビニーズの河村和奈&相沢しのぶ嬢の水着姿が目に嬉しい『番組推薦平積み本』コーナーに突入。VTRと著者取材構成でやっと本の紹介番組らしさが見て取れるが、同じコーナータイトルでおすぎとピーコ氏も番組が用意した4冊を紹介。「これから読もうと思う」「人に勧められたから」と正直なコメントには好感が持てるが、本を選ぶ際に『書店で数行立ち読みして面白そうならば買ってみる』というピーコ氏が某推薦翻訳本を数行読み上げて「ダメだわ、これ!」と放り出すではないか!! いやいや本当につまらなそうな書き出しだったので、出版社の担当氏には申し訳ないが俺も激しく賛成だ! このコーナーでは『買ったがゴミ箱に直行』とか『つまらないって言ったでしょ!?』等々、コーナータイトルに反してこき下ろさせる本が続出! これで良いんだろうか? と思わないでもないが、他人の心配をする程心身共に充実した生活を送っていない俺としては「間違って買わないように気をつけよう」と思いつつも、どのくらいつまらないのか? 怖いもの見たさで立ち読みぐらいはしてみるか! とも思う訳で、『ひときわインパクトを与えた』という意味では『勝ち』なのではないか? と納得する次第だ。 続く『今週の売れ筋本』は、VTR構成に戻っての正統派書籍紹介コーナーだが、沢木耕太郎著の『壇』には松任谷由美女史の『“ダンダン”と〜♪』のフレーズが流れ、宮部みゆき著の『あやし 〜 怪 〜』では『闇を切り裂く“あやし”いひかりぃ〜♪』と懐かしの特撮ドラマ・怪奇大作戦のテーマが流れる等々『タモリ倶楽部』のノリが楽しめるが、本のタイトルよりも曲とのリンクに気が行ってしまうとの難点もアリだ。 そんなこんなでCMがあけると再びおすぎとピーコ氏が登場して、本の紹介とは無縁のテンション高い雑談やらのろけ話で盛り上がるうちに番組は終了。初めて観た時は「今観た番組は一体何だったのだろう」とテレビの前で呆気に取られてしまったが、翌週心して観てみれば、俺と同じ感想を持ったらしい知人から『本の話が少ない』と指摘されたピーコさんに、 「本をきっかけにして色んな事を言おうという番組で、本についてペラペラペラペラペラペラ言おうって番組じゃないの!」とおすぎさんが番組コンセプトを語って下さったが、制作サイドや本を提供している出版社の方々は本当にそう思っているのだろうか? との大きな疑問が残る。が、しかしオンエアは週末の深夜だ。ビール片手におふたかたのテンション高いトークを耳で楽しみ、ビニーズの水着姿で目の保養。『今週の売れ筋本』コーナーでは巷で売れている本とBGMのリンクを楽しむ… との番組構成は売れ筋だけで商品構成されたコンビニエンスストアの棚の如く無駄がない。紹介される本も、恐らくコンビニ棚の如くマニアックな物は取り上げないのだろうが、ひと通り話題になっているものや、なりそうなものはチェック出来そうだ。 テレビとパソコンモニター前で一日18時間を過ごす身としては、サラッとながし観ながらでも何となくたまには本でも読んでみるか! との気にさせてくれる『おすぎとピーコの本ビニエンス』はかなかどうして貴重な番組かも知れない。 因みに、勿論日本文芸社のトップ頁にはしっかり『にちぶんBOOK SHOP』が用意されているし、各出版社や有名書店、WEBオンリー書店や出版機構も登場してインターネットでの本の販売が盛んな昨今。早いところは24時間(翌日)で届く場合もあり、送料も各社努力しているので通勤圏以外の書店に足を運ぶ事を考えれば交通費が送料でペイ出来る場合も少なくない。『本ビニ』を見終わって午前4時近くにWEBにアクセスすれば、先刻おすぎとピーコ氏が『買ったがゴミ箱に直行』本や「ダメだわ、これ!」と放り出した本も即お買い上げが可能。出版社や書店の都合で構成された棚が、客にとって必ずしも便利とは言えない訳で、広いフロアーをウロウロ探し回ったり店員さんに恥ずかしい書名を告げて探して貰う事もなく、見栄を張って欲しくもない本で本命をサンドしてレジに向かう必要もない。各社方法は違えども出版社、著者、書名、ジャンルで自由に検索出来る点から、インターネットで読みたい本を探すのは書店よりも数段便利だ。 不思議な事に人は住所氏名が知れても顔が見えない方が自分に正直になれるもの。『この世の中で何の役にも立たないのがホモよぉ!』と開き直る? おすぎとピーコ氏を見習って、インターネットで堂々と欲しい本だけ購入してみようではないか! |
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============<番組データ>============ 『おすぎとピーコの本ビニエンス』(テレビ朝日 土曜深夜3:35〜4:03) 出演:おすぎ、ピーコ、ビニーズ(木谷映美、河村和奈、相沢しのぶ) ナレーター:真地勇志、佳友優子 構成・演出:谷口秀一(ingalls) 構成:森本敦子(ingalls) 資料協力:ブックファースト ディレクター:岩橋正憲、石井栄一、大沢真太郎 演出:須藤勝 プロデューサー:高鉾義則(JCTV)、高橋郁男(BEE BRAIN)、梅沢道彦(テレビ朝日) 制作協力:BEE BRAIN 制作:JCTV、テレビ朝日 |
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構成・文/阪本 悠 |
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