「なんで結婚しないの?」
 いつからだろう。独身だということを告げるたびに、そう聞かれるようになったのは。やっぱり30を過ぎてからだろうか。でもそう聞かれるたびに、心の中でこうつぶやく。
「んなこと、こっちが聞きたいよっ!」
なんでかなんて、わかったら苦労はしない。わからないからこそ、こうしてひとりでいるんでしょ! と、たいていはここで終わるのだが、でも時々「ホントになんでなんだろう?」という思いがひっかかるときがある。そして、そんな問いかけは何度も繰り返されているうちに、いつのまにか永遠に解けない難問として心の奥に根づいていった。
 だいたい私は、結婚なんて放ときゃ、必ずできるものだと思っていたのだ。仕事だけはそれなりに自覚をもってちゃんと努力していかないと、やりたいことはできないだろうとわかっていた。でも、結婚は恋愛の延長で、それなりの年になれば、その時つきあっている相手と、自然にできるはずだ、と傲慢にも信じて疑わなかったのだ。だから「何歳くらいで結婚したい」とか「どんな人としたい」とか、とくに結婚だけをクロ−ズアップして考えたことは1度もない。そんなふうに考えなくても、結婚というのは棚からボタもち的に、ある日突然降ってくるようなものだ、とのんきにかまえていたのだった。



Q1.あなたは結婚したいと思いますか?
はい:57%、、 どちらでもいい:43%(男性)
はい:81%、 どちらでもいい:19%(女性)

 それが、いっこうにそんな気配もないまま、ふと気がつくと30を過ぎて、まわりの友達はみんな結婚どころか、とっくに母になっている。それなのに、私には結婚を考える相手すら、見当たらない……。えっ?! ちょっと待ってよ、これってどういうこと?これまで疑いすらもたなかった「結婚は必ずできるもの」という私の中の定説は、もはやグラグラと揺れ始めている。もしかしたら結婚も仕事同様、努力しないとできないものなのかもしれない。いや、それよりも私には何か結婚できない決定的な欠点があったりして……。などと仮説を浮かべては、きっとこれだ!としばらくは信じるものの、すぐにまた別の説が浮かんでは消えていく。結論が出るどころか、頭の中はどんどん混乱していった。

 いいかげん考えることに疲れた私は、ふと同じ立場の人達のことが気になってきた。95年国勢調査によると、東京に住む30代前半の女性は、約3人に1人がシングル。男性においては、約2人に1人の割合だという。たまたま私のまわりにはいなかっただけで、実はそんなに残っているのか。ちょっとだけ安心したが、でもそれならそうで、この人達はなんで結婚しないのだろう?してない理由をちゃんとわかっているのだろうか。それとも、私みたいに理由なんてわからずに、ある日突然あせったりしているのだろうか。などなど次から次へと湧いてくる疑問。これはぜひ聞いてみたいと思った。ひょっとしたら、みんなの話を聞いているうちに、私の答えもみつかるかもしれない。そして、その答えが出たときこそ、きっと幸せがくるはず。私たちの21世紀は、ここにかかっているにちがいない!という勝手な思い込みの果てに、このエッセイはスタ−トすることになったのである。
Q2.はいと答えた人へ。結婚したい理由はなんですか?
寂しいから:11%、 家庭をもちたいから:7%、
楽しそうだから:7% 、 その他:75%(男性)
自分の子供(家族)がほしい:22%
とりあえず1度くらいはしてもいいかなと思う:15%、
一生1人で暮らしていくのは寂しいので:12%、
その他:51%(女性)



「結婚したくない」人は男女共にゼロ!

「そもそもみんな、結婚する気があるのだろうか?」
 それがまず最初に浮かんだ大きな疑問。私自身は「結婚するのが当たり前」と信じて疑わなかったのだが、みんなはどうなんだろう? まわりにバツイチがゴロゴロしているこのご時世だから、早々と結婚に見切りをつけている人だって多いのかもしれない。
 しかしそんな予想に反して、無難にも女性の81%、男性の57%が「結婚したい」との答え。しかも「結婚したくない」人は男女共にゼロ!という結果に。
「やっぱりなんだかんだいっても、『好きな人と一緒に暮らして子供をもつ』っていうのは、小さい頃からの憧れであり、女の生き方としてはそれが定番なんだ、と思ってるところはたしかにありますよね」(31歳/会社員)

 これに対して、男性はちょっとちがっているようだ。「結婚したい」と答えている男女の割合が20%以上も開いているのもそうだけど、さらにひっかかったのが、男性の43%を占める「どちらでもいい」という答え。その割合は、女性の19%に比べて2倍以上になる。「20代の頃は、つきあっている人がいたら結婚して家庭をもって、っていうのがやっぱり当たり前だと思っていたけど、30過ぎてからは、お互い気持ちがあっていい感じでつきあっていれば、別に結婚というワクにとらわれなくてもいいんじゃないかって思えてきたんだよね」(36歳/自営業)
Q3.あなたは自分が30過ぎるまで、
シングルでいると思っていましたか?
はい:32% 、 いいえ:62% 、無記入:7%(男性)
はい:12% 、 いいえ:88%(女性)


Q4.あなたは自分で望んで「結婚していない」のか、
それとも「結婚できない」のか、どちらだと思いますか?
結婚していない:46% 、 結婚できない:36%、
両方:11% 、 無記入:7%(男性)
結婚していない:33% 、 結婚できない:61%、
両方:3% 、 無記入:3%(女性)
 この「どちらでもいい」は、やはり年齢というハ−ドルをあまり意識しないですむ、男性ならではの答えだと私は思う。出産をはじめとして、社会的にどうしたって年齢が足枷になってしまう女性にはなかなかこうは思えない。それとも、単に今どきの男性は物事を曖昧にする傾向にあるというだけのことだろうか。このあたりのところ、白黒はっきりつけたがりの私にはどうも理解できない。もしも自分の彼がこう答えたら、きっと不信感がつのってしまうはずだ。

 無意識のうちに「結婚はするもの」と思っている女性と、「結婚はしてもしなくてもどちらでもいい」と逃げ腰の男性。結婚についての意識がなんだか少しズレている。でもこの少しのズレは、実は大きな問題で、たとえば数合わせの上では文句がないのに、残っている同世代同志でくっかないというのもここに原因があるような気がする。とすれば、これがすべての謎を解くキ−ワ−ド。私たちが今まで「ひとりでいる理由」も、案外このズレの周辺から見つけ出せるかもしれない。


次回(11月10日更新)へつづく。

取材・文/kako
撮影/ハヤシヒロシ

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