「理想が高いんじゃないの?」

 シングルでいる理由を尋ねられたとき、「相手がいないから」と答える人はけっこう多い。実は私も、たいていの場合はそう答えてお茶を濁すことにしているのだが、そんなときに必ず返ってくるのが、おきまりのこのつっこみ。
「そんなことはないでしょう。あ、そうか、理想が高いんじゃないの?」
 私はこれを言われるたびに首をかしげてしまう。理想が高いって何? いったいどこに基準があるの?と。だいたい30過ぎてシングル=理想が高い、なんて発想はありがちだけど、少なくとも当の本人たちは、自分が理想が高いだなんてこれっぽっちも思っていないものだ。だってみんながみんなメンクイというわけではないし、年収1000万じゃなきゃイヤだ!なんて思っているのも、やはりごく一部に限ったことなのだから。
 その代わり、こういう人でなくちゃ!という自分なりの基準が固まってきていることはたしかだ。さすがにこの歳になるまでには、いくつかの恋愛を経てきているのだから、それなりの判断ができるようになっているのはもっともなこと。経験を重ねるごとに、「私なりの基準」が1つずつ増えているともいえるだろう。
 とくに、この傾向は女性のほうに顕著なことが、アンケ−ト結果をみてもよくわかる。「普段はおとなしく無口で、いざというときにはしっかりしている。背が高くやせていて、読書家で音楽の好みも合い、男友達からも信用されている人」(31歳/デパ−ト勤務)



Q1.あなたは結婚していない理由はなんだと思いますか?
相手がいないから:32% 、 今はまだしたくないから:29%、
踏み切れないから:14% 、 その他:25%(男性)
相手がいないから:74% 、 今はまだしたくないから:3%、
踏み切れないから:7% 、 その他:16%(女性)

 ここまでダァ−っと並べないまでも、ほとんどの人が相手に望むことを少なくとも2〜3個は上げている。それも外見的なものよりも、心の強さや暖かさといったような内面的なことをメインに、自分なりの言葉でより具体的に書かれているところを見ると、かなり熟考されているにちがいない。しかも、「結婚したくない相手」の条件ともなると、さらにその項目はズラリと並ぶ。それも「あぁ、たぶん前の彼氏がそういう人だったんだろうなぁ」と勘ぐりたくなるような超リアルなコメント揃い。さすが30女、転んでもただでは起きないぞ!といった意気込みさえ感じられてしまう。
 だけど実際には、この賢さが相手を探す上で、足をひっぱるはめになっているのもまた事実。現に、そんな女性たちを同世代の男性は、こんな冷ややかな目で見ているのだ。 「ここまできたら妥協はしない!といった妙な開き直りはやめて、結婚したいなら1日も早く決めたほうがいいんじゃないかな」(35歳/保険会社勤務)

 まぁ、多少ムカつくコメントではあるけれど、当たらずとも遠からずという気がしないでもない。そういえば、結婚するならこんな人がいい、という話を既婚の友人にしたところ、「そんなこと言ったら、うちのダンナなんて完璧に失格だよ!」と笑われたこともあったっけ。たしかに、条件がクリアになればなるほど、的は絞りやすくなるかもしれない。けれどそれは同時に、それ以外は全部ハズレになってしまう、ということでもある。20代の頃に比べれば、ただでさえ出会いが少ないのだから、条件に合わない人を即座に切り捨てていては、可能性はどんどん狭まるばかりなのではないだろうか。


Q2.あなたが結婚したい相手はどんな人ですか?



Q3.逆に絶対にイヤなのはどんな人ですか?
 とはいえ、かくいう私も、このことに気がついたのはつい最近のことで、それまでは自他共に認めるストライクゾ−ンの狭〜い女だった。それも「ルックス第一主義」とくるから、初対面で即座に判定を下しては、「そんなにすぐに結論を出さないで、もう少しつきあってみれば?」と言われて続けてきたクチである。それがどういうわけかここへきて、今までとはちがうタイプに目がいくようになったとたんに、案外幸せな思いをすることが増えてきた。そうなるとあれほどこだわっていた条件なんて、さほど気にならなくなる。しょせん基準なんてその程度のものなのだ。どんな基準も幸せな気分にはかなわない。むしろ基準をなくせばなくすほど、幸せは近づいてくるのかもしれない。



30代の私たちには「若げのいたり」は許されていない!


 そこへいくと、男性の答えはいたってシンプル。相手に望む条件も、もしかして10年前から大して変わってないんじゃない、と思えるくらい無難なものが多い。その上、イヤな相手の条件も、女性と比べると半分以下の項目しか上がっていない。ただ単にあまり深く考えてないのかもしれないが、身の程を知っているのか、さほど高望みはしていないようにも思える。ただし、今の自分をそのまま受け入れてほしい、という願望は男性のほうが強いようだ。
「休日のほとんどは、スキ−やテニスなど自分の趣味に使っているので、そのことをちゃんと理解してくれて、できれば一緒に楽しめる人でないとやっていけないと思う」(32歳/公務員)

 この「趣味が同じ」や「同じ価値観」などはよく聞くフレ−ズで、女性でもそう答えた人も多かった。でもこれは、裏を返せば、「自分とちがうものは受け入れられない」という度量の狭さを現していることにはならないだろうか。たしかにきっかけとしては、同じ趣味があればそれなりに話は盛り上がるし、興味があることがまったくちがうよりは似ているほうが、一緒にいるにはラクかもしれない。だけど、ラクを求めているだけでは、それ以上の成長は望めないし、それほど楽しいつきあいになるとも思えない。

Q4.やっぱり結婚相手は自分よりも
若いほうがいいですか?
はい:57% 、 いいえ:36%、
無記入:7%(男性)




Q5.結婚相手は自分よりも年下、年上、
どちらがいいですか?
年上:11% 、 年下:4%、
とくにこだわらない:81% 、
無記入:4%(女性)
 私自身は、彼氏が好きだったことを自分も好きになった、という経験はけっこう多い。仕事柄好奇心が強いせいもあるだろうけど、今までは全然興味のなかったことでも、彼と知り合ったことで興味が湧き、その結果、自分の中の引き出しが増えていくのはなかなかエキサイティングなことだったりする。たとえ自分には興味がないことでも、相手が好きなことをやっているときの輝いている顔を見ているだけでも、かなり幸せな気分は味わえると思う。自分とまったく同じ人なんていない。基本的に人はみんなちがうのだから、それならそのちがいを楽しむくらいの余裕を、私たちはそろそろ身に付けてもいいような気がするのだ。

 30代の私たちには「若げのいたり」は許されていない。なるべく早く結婚したければ、試しにつきあっている場合じゃないのかもしれない。でもだからといって、今の自分を受け入れてもらうことばかり押しつけていては、きっと相手はみつからないだろう。これまでに積み上げてきた基準を少し緩めて、相手を受け入れる優しい目でまわりを見れたとき、本当にふさわしい相手が見つかるはずだ、と今の私は思っている。


次回(11月25日更新)へつづく。

取材・文/kako
撮影/ハヤシヒロシ

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