「他人と暮らすということに自信がもてない」
 30代シングルたちのほとんどは、ハタから見ると自分がシングルでいることをちっとも悩んでいないように見える。それどころか、公私ともに充実していて、今のままでも十分幸せそうな人も少なくない。20代の頃と比べれば、仕事もそれなりに形になってきているし、自分のために使えるお金にも余裕がある。自分らしく暮らしていくために必要なのものはある程度手に入っているといえるだろう。しかし、この自分の生活がすでにできあがっている、ということもまた、彼らを結婚から遠ざけている大きな要因のひとつになっているように思えるのだ。
「他人と暮らすということに自信がもてない。今の生活がとても居心地がいいので、結婚をすることによってその状態が保てなくなるくらいなら、このまま一人でいるほうがマシかも。結婚という形にとらわれて、自分をなくしてしまうことだけは絶対に避けたい」(34歳/システムエンジニア)



Q1.今の生活は楽しいですか?
とても:11%、それなりに:71%、
ちょっとつまらない:14%、最悪:4%(男性)
とても:15%、それなりに:52%、
ちょっとつまらな:30%、無記入:3%(女性)

 アンケ−トを見ても、このような今の生活スタイルを守ろうとするタイプはけっこう多く、1人暮しが長ければ長くなるほど、この傾向はますます固まっていくように見受けられる。とくに、男性は「結婚したら自由がなくなる」というイメ−ジがよほど根強いのか、結婚していない理由を「独身のほうが何のしがらみもなく、誰にも迷惑をかけずに遊べるから」と答えた人もいたほどだ。既婚の友人たちから聞かされるボヤキを真にうけて、やっぱりひとりでいるほうが気がラクだと思いこんでいるのかもしれない。でも、自他共に遊び人を認める既婚の男友達に言わせれば、「結婚したってやろうと思えばいくらだって遊べるし、実際そういう人もいっぱいいるよね。小遣いだって自分の稼ぎしだいではどうにでもなるものじゃない」とのこと。そう考えると、彼らが是が非でも今の生活にこだわろうとするのは、もしかしたら新しい生活に飛び込むことを怖がっているからではないだろうか。ただ単に自由がなくなるのがイヤだというよりも、自分の知らない世界で困難に立ち向かう勇気がないというのが本当のところのように思えるのだ。

 この怖さは私自身にも身に覚えのあることで、仕事柄しかたないということを言い訳に、とびきり不規則な生活を続けているのだが、「こんなことをしたらきっといつまでたっても結婚なんかできないだろうなぁ」とたまらなく不安になるときがある。とりわけ締切り日が重なったときの身も心も修羅場と化した状態を見せても、笑って許してくれる寛大な相手がはたして存在するのかどうかはかなり疑わしいと思う。でもその一方で、「結婚して環境が変われば、この私だって規則正しい生活ができるようになるかもしれない」という期待もまたある。たとえ今まではできなかったことでも、必然に迫られればできるのかもしれないし、要は気のもちようで、どんなに怖くてもやってみなければ何も始まらないのだから。それも自分ひとりでやるのではなく、パ−トナ−と一緒にチャレンジすればいいのだから怖がるどころか、本来はこんなに心強いことはないはずなのだ。
Q2.既婚者の友達をうらやましいと思いますか?
思う:25%、思わない:61%、
両方:7%、無記入:6%(男性)
思う:59%、思わない:33%、:両方:8%



「変わりたい? 変わりたくない?」

 今の生活を変えたくない、という男性とは逆に、女性のなかには今の生活に疑問を感じている人が少なくないようだ。「既婚者の友達をうらやましいと思う」と答えたのも、「シングルでいることに悩んでいる」と答えた割合も、男性よりも女性のほうが圧倒的に多く、30代シングルの生活が必ずしも快適なことばかりではないことを物語っている。 「結婚している女友達たちと食事をした帰り道。私は一人暮らしだけど、彼女たちには家に帰ると待っている人がいるんだなぁ、と思った瞬間にものすごぉく結婚したくなった」(32歳/美容師)

 家庭をもつということに対しての意識のちがいなのだろうか。既婚者のデメリットばかりが真っ先に浮かぶ男性に対して、ついつい女性は既婚者のメリットのほうに目がいってしまうことが多い。もちろん隣の芝生的心理も強いのかもしれないが、ある意味では女性のほうが前向きに人生を進めていこうとする潜在的なパワ−が強いといえなくもない。  私自身もよく既婚の友達との話しているときに、「あんたは遊べていいわねぇ」などと言われて、「そんなのちっともうれしくないよぉ!」とムキになって反論することがある。旅行に行けるだとか、夜遊びができるだとか、そんな楽しさはもういらない。それよりも自分の帰る場所というか、精神的に安心できる関係がほしいと、痛切に思ってしまうときがたしかに増えてきている気がするのだ。
Q3.普段一緒にいる友達は、未婚者と既婚者、
どちらが多いですか?
未婚:32%、既婚:32%、同じくらい:36%(男性)
未婚:49%、既婚:19%、同じくらい:32%(女性)


Q4.あなたは自分がシングルで
いることに悩んでいますか?
はい:14%、いいえ:82%、無記入:4%(男性)
はい:30%、いいえ:66%、無記入:4%(女性)
 誰にも束縛されずに、自分らしく暮らしたい……。自分が何よりも大切だと信じてきた30代シングルの私たち。でも、心の底では、自分の時間を少しぐらい削っても、束縛されてもいいと思えるような相手が現れるのを待っているんじゃないだろうか。そしてそんな相手と一緒に新しい生活を築いてくことを、無意識のうちに望んでいたりするのかもしれない。そんな30代シングルの本音が凝縮されたような、こんな男性のコメントで今回は締めくくりたいと思う。

「適当に一緒に遊ぶ女友達はいるし、平日の夜は同僚なんかと飲み歩いてるのでこれといって寂しくはない。それでも時々、そんな女友達が全部いなくなってもいいから、ただひとつの愛がほしい!と思ってしまうときがある」(33歳/商社)


次回(12月10日更新)へつづく。

取材・文/kako
撮影/ハヤシヒロシ

日本文芸社のトップページへにちぶんうぇーぶへメールでの質問・お問い合わせ