「ぼくの犬アルバム」

☆このコーナーでは本書でモノクロ掲載した写真が天然色で楽しめます。

●花子 (17年前にアメリカの友人からもらい受けた狼犬。当時は2歳で体重45キロ。)

著者の仕事で安心してくつろぐ花子。
(本書103頁に掲載)

1993年3月撮影。永眠する3年前の花子。
(本書108頁に掲載)

●メルセデス (現在、著者が飼っている雌のラブラドールレトリバー。愛称は“メルちゃん”。)

噛む事が大好きなヤンチャ盛りの3歳。
(本書104頁に掲載)

リビングのソファで雄猫ケビンと一緒に仲良くうたた寝。
(本書114頁に掲載)

NC「ぼくの犬 僕のウィード」
高橋よしひろ著
絶賛発売中!

定価 580円(本体552円+税)

「銀牙伝説ウィード」の高橋よしひろが
愛犬家に贈る初のコミック&エッセイ!! 
犬は“人間の最良の友”であり
“絶対に裏切らない親友”である!!


本書には著者自身がかつて飼っていた狼犬・花子への“愛幸の心”、現在飼っている愛犬・メルセデスへの“愛育の情”、連載作品「銀牙伝説ウィード」の主人公・ウィードに対する“愛着の念”が満ちあふれている。“犬は人間の最良の友”であり、“犬は絶対に裏切らない親友”であるという著者からあなたへのメッセージが、随所に生き生きと描かれている。絵物語「ゆうたとソロ」・書き下ろし漫画「我が家のメル」・ウィードギャラリー「子犬編」・エッセイなどで綴る“犬と人間の友愛”の著である。
花子とケビン(本書96ページ)

第2章 犬は人間の最良の友である

【飼い主の環境チェック】

 「犬が欲しい!」「犬と暮らしたい!」と、突然思いついて、ぼくのようにキンタを買ってしまうのは、本当はいけません。
 自分の反省を含めて、飼い主の環境をチェックする必要があります。
(1)家族に子供がいるか老人がいるか、散歩は主に誰の役目かなどの家族環境。
(2)室内で飼うか、外か。マンションなのか一戸建てで庭があるのかなどの住宅環境。
(3)運動のための時間がとれるか。
 でも、ここが難しいところです。
 人間は孤独です。人間自身が理想的な環境で生きていれば実は犬などという面倒なものと暮らしたいとは思わないのではないでしょうか。
 人間は、自分の生活のどこか欠けた部分を犬と一緒に暮らすことで補おうとしているのかもしれません。
 その意味では、「こんな環境なら犬を飼っても大丈夫」と断定することなどできないのです。
 知り合いのデザイナーは大きなエアデールテリアをペット禁止のマンションで飼っています。エアデールテリアはその大きさだけでなく、膨大な運動量を満足させないと非常にストレスがたまりいろいろなイタズラをするといわれています。
 1日3回、管理人さんの目を盗んで散歩に連れ出すのに、この飼い主はたいへんな苦労をしています。でももう3年も仲良く暮らしているのです。
 管理人さんには2回見つかり、もう1度見つかったら引っ越す覚悟だとか。
 「そんな環境で飼うなんて、なんてこと」
 というのは簡単です。でも、この飼い主はそんな綱渡りのような生活でもこのエアデールテリアとどうしても暮らしたいのです。たとえそのために仕事を減らし、デートをあきらめ、どんなに時間とお金がかかろうと。
 つまり、先の飼い主の環境にこんな項目をつけ加えればいいと思います。
(4)あなたは犬との生活をどこまで優先させられるか、犬と自分の生活をどこで「折り合い」がつけられるか───。
 すべての犬種選びがここから始まるのかもしれません。

 とはいえ、どんな犬と暮らすにしても、普通は以下の5つをチェックします。
(1)大きさ──大きい犬は力も強く、20キロ以上となるとしつけでコントロールしなければなりません。
(2)雄か雌か──雌は年に2回の発情期があります。雄はマーキングといってオシツコをかけたり、雄犬と喧嘩することもあります。
(3)手入れが必要かどうか──犬種によっては定期的にトリミングに行くとか毎日ブラッシングしなければなりません。
(4)運動量──これは犬の大きさより犬種に関係します。小さい犬でも毎日運動しないとストレスがたまる犬種もあります。
(5)持って産まれた本能的な特性。

【最初はみな雑種だった】

 ここでまず、雑種と純血種の比較をしましょう。

 問題は最後の点。純血種の場合、性格や大きさなどがある程度想像ができるという利点があります。初めて犬と暮らすなら、純血一種の方が楽とよくいわれるのはこのためです。
 でも、純血種でも、飼い方次第で性格もかなり変わってしまうことも覚えておきましょう。家庭犬としてなら、犬種の違いより、飼い主がどうしつけるかの方がずっと重要なのですから。
 また一般的に、血統書に書かれたチャンピオン犬の数が多いほど値段も高くなります。
 家庭犬の場合はこのように血統のいいといわれる犬を買うのはあまり意味がないと思います。

 「雑種」といういい方を嫌って、最近では「ミックス」と呼ぶ人もいます。
 たとえば、ラブラドール・レトリバーとプードルをかけ合わせて「ラブラドゥードゥル」という「雑種」をあえて作り出しています。これは、オーストラリアで繁殖され、毛が抜けにくいという利点を生かして、犬の毛のアレルギーを持っている盲人のために役立っています。
 プードルの利口さとラブの従順さは盲導犬にはうってつけでしょう。また、橇犬にはハスキーとアラスカンマラミュートを合わせて、スタミナとスピードをもつ犬を生み出しています。
 つまり、純血種というのはさまざまな目的のために人間が作り出した種類を、それ以上変化しないように固定しただけなのです。
 この固定した形をスタンダードといいます。ドッグショーなどではこのスタンダードにいちばん近いスタイルと性質をもった犬を選ぶわけですね。
 いずれにしても最初はみな「雑種」だったのです。日本犬もそうです。
 勇敢で熊狩りにまで使われた北海道犬、古くから武将に愛された甲斐犬、闘犬で有名な土佐犬。
 どれも目的のために作られた犬にその土地の名前を付けて保存しているのです。柴犬や紀州犬も同じです。
 明治時代に血統がはっきりした洋犬が輸入されたとき、日本犬はまとめて「雑種」扱いされたために交雑がすすみ、ほとんど滅びかけました。
 昔から日本人は流行に弱かったのですね。
 その後、ようやく日本犬の特徴を残す繁殖がすすめられ、現在では海外でもシバドッグ、キシュウドッグ、ジャパニーズ・アキタなどと呼ばれてたいへん人気になっています。

 先に、純血種のほとんどは、人間がさまざまな目的のために作り出したといいました。したがって、純血種を選ぶときは、以下のことに注意しなければいけません。
(1)その犬種がなんの目的で作り出されたか。
(2)目的による犬の特徴をよく知る。
(3)その特徴が飼い主が求めている犬との生活にあったものか。
 問題はこの3番目です。吠えるのが仕事の犬に「吠えるな」と教えるのはたいへんです。走り回るのが仕事の犬に「膝の上でじっとしていろ」というのも可哀相です。
 ここでは純血種を大きくグループわけして、その特徴だけを簡単に紹介しておきます。
(1)護羊犬──もともとは狼から羊を守るのが仕事。体もおおきく、勇敢。敵は狼だけではなく、羊泥棒とも戦った歴史も。当然警戒心も強いです。代表的犬種にグレートピレニーズがいます。
(2)牧羊犬──もともと羊の群を人間の指示に従って統率する役目。吠えて羊を追い込んだ歴史があるので、吠えるのは仕事のうち。人間の意思をよく読みとり、主人への忠誠心も強いです。人気のシェルティーなどはこの代表です。
(3)テリア種──一般的にからだはあまり大きくなく、可愛い顔をしていても、もともと猟犬。ネズミや狐、カワウソなどの害獣を捕っていました。活気があり丈夫で賢いが、やや我が強いところがあるようです。フォックステリアやヨークシャーテリアがよく知られています。
(4)猟犬──仕事によって、鳥などを回収する犬種、鳥や獣をその場にとどめておく犬種、逃げる獣を追いかける犬種など、いくつかにわかれます。回収犬としてはゴールデンやラブなどのレトリバー種。ポインティングドッグとしてポインター、セッターなどがあります。また大型犬ではボルゾイ、中小型犬としては、ビーグルやダックスフントが有名です。
(5)原初型の犬──犬の元の形にもっとも近い形をし、人間の改良が加えられていない犬種。昔のままの犬なので、姿形が他の犬たちとは違います。働くのが生き残るための本能のようになっています。仕事としては橇引きだったり、番犬だったり、いずれにしても、粗食に耐え忍耐強いかわりに、人間にはあまりベタベタしません。シベリアンハスキーやアラスカンマラミュート、日本犬。花子も当然この仲間に入ります。
(6)愛玩犬──人間に愛されるためだけに繁殖された犬種。人間に可愛がられるのが当然と考えているので、多かれ少なかれ、ややわがままで飼い主べったりの性格も。いつも注目されていたい甘えん坊なところもあります。
 と、いちおう以上のように分けてみましたが、今ではほとんどの犬が「家庭で飼いやすい」ということを第一に考えて繁殖されています。つまり、みんなペットになってしまったわけですね。

【花子の婿殿】

 この、血統ということでは、ぼく自身が嫌な思いをした記憶があります。
 雌犬の飼い主なら、一度は「この仔の子供を残せないだろうか」と考えるものです。
 犬の寿命は小型犬で15歳から20歳。大型犬なら長くても15歳。飼い主より先に死んでいくのは自然でやむを得ないことですから、仔犬が残せたらこんな幸福なことはありません。
 ぼくも花子のお婿さんをと考えたことがあります。花子の結婚がどうなったか。
 その前に、犬の結婚と準備を説明しなければなりません。まず相手探し。
(1)散歩先や知り合いに適当な相手がいないかきいてみる。昔はこの場合がほとんどでした。誰も血統などうるさくいわず、せいぜい同じ犬種ならいいという程度の判断でした。それよりある日突然、雌犬のお腹が大きくなったのに気づき、仔犬が生まれてから、
 「近所のあいつが夜中にこっそり来たんじゃないか」
 と、仔犬と似た顔の雄犬を見ると噂したものです。
(2)犬を買ったペットショップ、ブリーダー、あるいは訓練士、獣医さんなどから紹介してもらう。
 最近はこのケースが多いようです。
(3)交配料。純血種の場合、雌犬の飼い主は「交配料」を雄犬の飼い主に支払うのが普通です。「交配科」は生まれてくる仔犬1頭の値段が基準になります。つまり仔犬が5万円なら交配料も5万円前後となります。また、交配料のかわりに、生まれた仔犬1頭を雄側へ譲る、「仔分け」という手段もあります。
 なかには雄犬がチャンピオン犬で「交配料」が何十万円ということもありますが、それはショータイトルのために繁殖する特別な場合と考えていいでしょう。
 さて、花子の嫁入りです。もともと狼犬は数も少なく交配相手に苦労しました。人づてにようやく相手が見つかり、交配という段になって困りました。
 まず交配料が50万円だというのです。しかも血統書はどうなってるとききます。花子に血統書などありません。狼犬と交配させようとしたのも、それが花子にいちばん近い血統と考えたからにすぎませんでした。私は唖然とし、このお見合は破談となりました。
 どう考えても変です。いくら珍しい犬種といっても交配料が50万円というのは高すぎます。
 逆にいえば、稀少犬なら50万円の交配料も普通という犬の世界があるのでしょう。
 ちなみに、日本のペット産業の総額は1兆円超(日本ペットフード工業会「犬・猫飼育実態調査」平成10年10月調査)だそうです。ペットを飼うことが産業として成り立ってしまうのはなんか恐ろしい気がしてなりません。
 その後、アラスカンマラミュートと交配してくれるという相手が見つかりましたが、結局、花子は仔犬を産むことはできませんでした。

【キンタを買った日は雨】

 昔は、犬はもらったり拾ったりしたものです。どこにでも犬はいて、その気になればすぐに飼い始めることができました。
 最近は買うことが普通になってきました。犬を買うとき、大きくわけて2種類の方法があります。ひとつはペットショップであり、ひとつはブリーダーという繁殖者から直接買う方法です。
 簡単に比較してみましょう。


と、このように比較しましたが、欧米などではブリーダーから買うのが普通です。(ぼく自身はキンタをペットショップで衝動買いしましたから、偉そうなことはいえないのですが、これについても後で述べます)
 できればあなたも、ブリーダーから買う方が、飼い方のアドバイスや病気になったときの相談も受けやすいという利点があります。
 ただし、多くのブリーダーは、その犬種が好きで繁殖していますから、
 「うちのワンコ以外は犬じゃない!」
 という決めつけをしがちで、これはちょっと困ってしまいます。アバタもエクボでみんなよく見えてしまうわけですね。
 もちろん中には、繁殖の知識もない素人が「流行犬で売れるから」という理由で繁殖している場合もあります。これは話してみると犬の知識がないのですぐにわかります。
 いずれにしろ「ブリーダーから買うと安いから」という理由だけではブリーダーも嫌な顔をします。
 あるブリーダーさんに聞いた話ですが、いちばん売りたくない人というのは、電話で「いくらですか」と、仔犬や親犬のことをきく前に、値段ばかり気にする人だそうです。
 よほど悪質なブリーダー以外は、仔犬は家族のようにして育てられます。できれば一生可愛がってくれる飼い主に売りたいと思うのは人情でしょう。
 ブリーダーの情報や「仔犬が生まれました」という情報は愛犬雑誌に載っていますので気軽に電話をしてみるといいでしょう。

 昔から、仔犬の性格は母犬から引き継がれるといわれています。母犬を見ることができれば将来その仔犬がどんな性格になるか、少しは想像できます。いわばこれは「仔犬の教育環境」ということでしょう。
 たとえば、母犬が神経質でいつも吠えている場合、仔犬が吠えたときもやめさせないでしょう。母犬が飼い主に反抗的なら、やはり仔犬も反抗的になるかもしれません。
 母犬も仔犬も、こんな様子があったら一応避けるべきです。
(1)神経質で他人にすぐ吠えかかる。
(2)骨格が細く弱々しい。
(3)臆病で人を恐がる。いくらその飼い主には慣れていても、他の人をむやみに恐がるような犬は問題です。
 仔犬の場合はもうひとつ加えて、
(4)兄弟犬の中でいちばん元気のいい犬は避ける。特に雄犬の場合は、活発すぎてやや手をやくかもしれません。

 ここからはぼくの個人的体験で、もちろんどのペットショップにも当てはまることではないのでしょうが……。
 キンタを買って数日後。偶然キンタを売っていたペットショップの前を通りかかりました。するとこんな札がかかっているではありませんか。
 「雨の日ペット半額」。その日は雨でした。どうして犬の値段が天気に関係するのか。「そんなバカな」と誰でも思うでしょ。
 このペットショップに不信をつのらせたのは他にも理由があります。
 偶然ペットショップの横を通りかかると、鳩が苦しんでいます。どうも背中にグリスのような油を塗り付けて飛べなくしてあるようです。
 ぼくは事務所に連れ帰るとアシスタントたちと台所洗剤で油を洗い落とし、なんとか飛べるようにしました。こんなことは子供の頃からやってますから慣れたもんです。餌をやるといったんは飛び去っても、ときおり仕事場の窓に餌をもらいに来ます。そこまではよかったのですが。
 しばらくするとまた同じような鳩が同じ場所に捨ててあります。ぼくはまた拾って事務所で洗って……。そんな繰り返しを5回も6回もしたでしょうか。
 ぼくの仕事場は鳩の食堂になってしまいました。なにしろ、5羽の鳩がその仲間をつれて遊びに来るんですから。糞はするわバタバタ羽音を立てて集まるわ、大家さんに知れたらたいへんです。しかたなく、餌をやるのをやめにしました。
 それにしても、どう考えてもあの鳩たちはペットショップが捨てたとしか思えません。
 幸いキンタは健康であまり問題のない犬でしたが、やはりこんなペットショップで犬を買うのはおすすめできません。
 これはどこで犬を買うかという以前の問題です。

 最後に犬の入手先をまとめてみましょう。
(1)ペットショップ。(2)ブリーダー。(3)獣医病院。(4)公共の里親制度。(5)盲導犬のパピーウォーカー。
 (4)と(5)については少し説明が必要でしょう。まず公共の里親制度ですが、各都道府県の衛生部などでは、もらい手のない犬や猫を登録して新しい飼い主を捜す制度があります。
 また、各都道府県の動物管理事務所、動物愛護センターなどに問い合わせるという方法もあります。
 (5)の盲導犬パピーウォーカーは、盲導犬になる犬を生後50日前後から1歳になるまであずかって育てる里親のことです。その犬と一生暮らせるわけではなく、各盲導犬協会によって条件もありますが、普通に犬と暮らすのとは別な喜びがあるでしょう。

NCニチブンコミックス『ぼくの犬 僕のウィード』より

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