野球は左バッターの方が1塁に近いのでヒットを打ちやすく、近年の2000本安打達成者も左バッターが多い。
その多くは右投げ左打ちの選手でイチロー、松井秀喜、青木宣親、福留孝介、阿部慎之助、鳥谷敬、前田智徳、金本知憲、小笠原道大、栗山巧、福浦和也など。
ここ10年を振り返っても、右打者で達成したのは一昨年の巨人・坂本勇人を含めてたった10人。
しかし、アマチュア選手は右バッターの方が圧倒的に多いのが現実。
本書はその右バッターに向けた打撃技術向上本です。
和田一浩氏は遅咲きの2000本安打達成者として有名です。
若い頃から活躍したわけではないからこそ、その技術論に説得力があります。
現在は中学生チームや社会人野球チームの打撃コーチを務めています。
そのためもあってか、とにかく打撃理論を言葉にしてアマチュア野球選手に伝える技術が素晴らしいのです。
指導者に必要なのは「技術力」と「伝達力」。
選手なら「技術力」だけでOKなのですが、こと指導者となれば違ってきます。
プロ野球の世界で2050安打を放った和田一浩氏の技術力はもちろん素晴らしいのですが、彼の「伝達力」は過去の名バッターと言われる人たちの中でも間違いなくトップクラスにあると確信できます。
その打撃理論は非常に論理的な内容です。
天才肌の感覚的な選手では説明できない、技術論を徹底的に追求した著者だからこそ持っている右バッターに特化した内容です。
いくら守備が上手くても、いくら足が速くても、打てなければピンポイントで出場機会が訪れる控えの選手になってしまうのです。
逆に言えば、打てれば監督はスタメンで使います。
さて、アマチュア野球界では圧倒的に右バッターが多いのが現実です。
プロの世界は左バッターが多いように感じますが、それは左バッターの方が1塁に近いためヒットを打てる確率が高いためです。
また、足が速い選手はヒットを打てる確率が高い。
しかし、「左バッターになる」「足を速くする」これはある程度の年齢以上になるともう本人の努力だけでは達成不可能な次元のことになってきます。
小学生高学年以上の右バッターで活躍できる選手は「打てる右バッターになる技術を身に付ける」という方法を目指さなければなりません。
その最高のお手本が和田一浩氏です。
本書は初心者向けというよりは野球をある程度やった後に、「何か変えないと、何か新しいことを取り入れないといけないのは分かっているが、どうしたら自分のバッティングが良くなるのか分からない」と悩める中級者向けの内容です。
2008年からは中日ドラゴンズでプレー。2015年には2000本安打を達成。
プロ通算2050安打、打率.303、319本塁打など輝かしい記録を残している。
しかし、打撃技術の根本は極めてシンプルです。
「正確に強い打球を打つ」
ここが原点です。
ここからそれぞれのタイプや選手の役割の違い、得意や不得意、試合における状況に応じた打撃を考えていかなければいけません。
「正確に強い打球を打つ」から枝葉のように分かれていくのです。
別の言い方をすると、アベレージヒッターもホームラン打者も、この原点を見失ったり、この原点から離れていってしまうと調子を崩したり、結果が出なくなります。
見ていて「打撃が分かっていない」と感じる打者は、この原点を明確に理解していないのです。
「正確に強い打球を打つ」これがしっかりと出来るようになる方法を伝授します!